闇と影   作:春の雪舞い散る

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第63話

「月影の国の女王陛下ですね?我々は水の精霊の浄化の霊気により闇の支配から脱した者にしてその霊玉の力の恩恵を授かりし者故に水の精霊の巫女様に忠誠を誓いの受け取りを望む者

 

 そんな我等に巫女様が命じ、陛下が我ら受け入れて下さるなら国防の一端を担わせて頂く所存だがどうでろうか?」

 

 他国の王族に対する礼を取る四人に

 

 「 あ、あの…取り敢えず皆を呼び出したんはボクなんやけど? 」

そう言って控え目に抗議したのだけど

 

 「 煩いっ、ガキは黙ってろっ! 」

 

 そう言って一人が睨むと、他の三人にも無言で睨まれ怯えた翔はセレナの背中に隠れて泣いていたけど少しだけ穏やかな表情になり

 

 「 案ずるな… 水の精霊の巫女様が妹の様に扱うお前が後方で大人しくしている分には主の妹御としてバーサーカートと共に守ってやる

 

 いずれお前の出番が来るその時まではな… 」

そう呟いたけど感情の起伏の激しい今の翔の耳には届いていなかった

 

 命はガーディアンズの誓いを受け入れ女王も四人を受け入れたので命も四人の為霊獣イヴーチを呼び出し四人を主人として受け入れた

 

 「当面は首都近郊の海と伯爵領唯一の港を二人一組で守る故にシーホースの騎士を中心に戦力を増強していただきたい」

そう言われて

「うん、だけど…まこちゃん、四人の名前考えて欲しいんだけどな?」

そう命に言われた真琴は四人を見て多聞天、広目天、増長天、持国天と名付け「うん、だけど…まこちゃん、四人の名前考えて欲しいんだけどな?」

そう命に言われた真琴は四人を見て多聞天、広目天、増長天、持国天と名付け

「みこの守護者の君達四人に相応しい名前だと思うけどどうかな?」

そう言われて多聞天が

「名前負け等と言われぬよう精進しましょう、光の精霊の巫女よ」

そう答える四人に

「あ、あんな…これ、持ってって欲しいんやけど…」

そう言って四人の前に一人10本の蒼い霊玉のアットレーが姿を現して指示待ち状態で待機させると

「お前は良いのか?」

多聞天にそう一言聞かれた翔は

「うん、ボクの方は元々数増やしたかったからまこお兄ちゃんとみこお姉ちゃんに又作って貰うつもりやったから気にせんでえーよ

それで女王様や月光兄ちゃん…伯爵様ンたぁ守ってくれるのに役立つんやったらボクの方も嬉しいんやから」

そう言って笑う翔に

「わかった、そう言う話なら感謝すると共に有り難く受け取り力を貸してもらう事にしよう」

そう言って四人は二人一組に分かれアットレーを従えると各々に姿を消した

今目の前で起きた不思議な物語を見て呆然とする人々に向かい

「何ボーッとしとるンよ?料理、焦げ臭なってきとるで?」

そう言って顔をしかめる翔の言葉に月光が笑いながら

「翔の言う通りだね、折角の料理が食べれなくなる前に食べさせてもらえると嬉しいのだが?」

そう言われて慌てて自分が焼いていたちゃんちゃん焼きを器に盛ると熱々のそれを渡し受け取った月光が息を吹き掛け焼きたてのそれを頬張り

「うん、美味しいね」

そう言って微笑むと頬を上気させて喜ぶ紗綾の母親

「あぁ、全くだ…こいつは酒が進みすぎる旨さだぜ」

そう言って酒を煽る鬼百合に呆れた観月が

「全く…口煩い女房が居ないからと言って羽目を外しすぎないように…」

そう言われて苦笑いを浮かべる鬼百合と翔を見て首を傾げ

(変ですね?こんな時に翔がツッコミを入れないなど体調でも悪いとでも言うのですか?)

そう思っているとあきが

「観月様、実は…」

そう小声で伯爵家の孫達とピクニックに行った時の一幕を話して

「…そう言った事情が有りますから口をつぐんでるんだと思います…

又調子に乗って喋ってるのをユウ様に聞かれてお尻を叩かれたく無いのでしょうから…」

そう言われて更に深い溜め息のでる観月だった

翔、命、媛歌が眠りに落ち帰り支度をしている春蘭に紗綾の母親が

「私の娘達が王女様達にお仕えしたいと願った様に私の知り合いの娘が人魚媛の澪様のお力になりたい、そう申しておりますが…」

そう言われて観月を見ると

「大海原の女神の依り代となったリンの元にも人が集まり始め侯爵様の家人の協力を得て受け入れを始めました」

そう言って頷くシューを見て

「私自身多くの方の力をお借りしているのですから私より幼く経験の浅い巫女達が力を貸して下さる方が必要なのはおわかりですね?

待ち合わせ場所は漁港が近ければ毎朝踊りを奉納に来てますからそれに合わせ荷物を持たせて来ていただけれは良いですがそうでない知り合いの方の場合は…

あき、馭者を務めて下さる方に同席いただいて都合の良い場所を決めなさい」

そう言われて澪専属の馭者を務める矢治を見ると

「勿論喜んでお引き受けします」

そう答える矢治の顔は本当に嬉しそうで同僚の馭者達も矢治の身体を心配ではなく

「たまには俺達と代われっ!」

と、言う理由から休みを進めるが元々飲めない訳ではないが然程酒が好きでない矢治にとり早朝勤務を理由に酒の誘いを断り

女王に願い出て澪達の送り迎え以外の任務解除の日を設けてもらっているので取り敢えず休暇は必要無かった

 

王城に戻り女王、王妃、真琴、鬼百合が集まり

「真琴、明日から暫く伯爵家に行って欲しいんだが…」

鬼百合が言いにくそうにそう言って王妃に一枚の紙を渡しそれを見る王妃に

「ユウの奴が勝手にその絵の衣装を真琴様にと依頼しちまいやがった

しかも王妃に真琴の訪問要請もすると…」

「真琴、行ってきなさいっ!」

鬼百合の言葉を遮りその一言で決まり女王に手渡して

「この衣装を着せてパーティー会場に出したらどんな騒ぎになるんでしょうね?お姉様…」

そう言われて苦笑いする女王だけど乙女達は勿論男達も太陽王の再来と言って歓び誓いを捧げる者も少なくないのだろうと思ったし…

何より侯爵家と異なり王家との距離を置く伯爵家との融和を望む女王は下世話な話をすれば真琴を利用してその切っ掛けを作りたかったので自分の方から真琴に頼みたい位の話と考えていると

「春蘭様の金糸と銀糸を使った刺繍を白夜の国の王妃様が楽しみにされているとユウ様から伺ってますが…」

そう言われて完成はしたものの未だ自身の持てない春蘭が隠していたもので金糸は勿論真琴を描き銀糸は媛歌を描いた物で

二枚ずつ完成しており王妃と女王が真琴と観月と白夜の国の王妃に媛歌と振り分け

真琴に同行するのは翔にセレナ、剣斗と媛歌に鬼百合と伯爵領派遣予定の四人の准騎士の10人に決まった

(あの子だね?)

そう聞いて闇の者のよりいち早く水の鞭を使って赤子の安全を確保すると

「紫煙、この子を瑞穂に預けて来て…ライラにはこれを預けます」

そう言って渡されたのは聖剣青龍牙で霊獣の騎士達と竜魔鬼と風蜥蜴の空中戦が始まったます

当初は空中戦に慣れない騎士達が押され気味だったのを翔が相手の魔力を吸い取り機動力を落としたので一気に形成逆転し

命が自らを的にして隙が生じた魔物達を一体又一体と撃墜してゆき一刻程の攻防戦は圧倒的勝利を納めると

「野暮用でパーティーの時間が遅れた事をお詫びすると共に今暫く準備の時間を頂けるようお願いします」

そう詫びて支度のため一旦下がるのを見たユカも女王に目配せをした後に

「は命様のお支度を手伝いなさい、は」

 


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