闇と影   作:春の雪舞い散る

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翔とコード

 決戦への備えとして騎士達を鍛え巫女達は焦っても仕方ないので踊りの指導をして翔はマジックアットレーの兵器強化版の修行を始める事にした

 

 もっとも… 殺傷力は低いので主に撹乱や牽制用だけど実用性についてはぶっつけ本番と言ったところか?

 

 いずれにせよ翔に関しては不確定要素が多い上戦力より月夜の精神安定剤的な役割が大きく翔を抱き締めることにより心を落ち着けてもらうのだ

 

 同様に怯える月美にコードを渡し心を落ち着けさせて嵐が去るのを待つ事にした伯爵家

 

 仕掛けたのは真琴で、翔から預かったスチームエクスプロージョンの霊玉を埋め込んだアットレーを開かれる闇の口に撃ち込んだ為

 

 大半の尖兵達は、自分達の身に何が起きたのか気付く事無く消滅したし難を逃れた者達も全くの無傷で済んだ者は少なく先制攻撃は大成功だった

 

 なにしろ、全くの予想外の奇襲を受けて雑兵達が混乱し… 爆発の衝撃で開いた口に鬼百合達が放つ矢の洗礼に晒されその数を減らしていき完全に出鼻を挫かれた闇の者達

 

 一旦退却し、第二陣の到着を待とうと指示を出そうとしたが時既に遅し

 

 体制を整えようと集まったところを、命の八青龍神の洗礼を受け壊滅状態になり生き延びた少数の者が辛うじて後退して逃げ延びた

 

 勿論、月夜の拉致を目論む別動隊も熱烈な歓迎を受け城に近付く事すら叶わなかった

 

 戦勝に沸く伯爵領は空からの侵攻の為一般兵達の中で弓士隊と弓士隊所属ではなくても鬼百合の忠告を受け入れた弓が得意な者達が武勲を上げた

 

 その戦果を聞いた真琴と命の二人は、伯爵の許しを得て彼等の持つ弓と矢筒を霊玉と勾玉で強化しそれを与えた

 

 最初は遠慮していた兵士達に鬼百合が呆れて

 

 「 オメー等よぉーっ… 変な遠慮してねぇでその弓で伯爵を… 故郷守りやがれっ! それが精霊の巫女達の望なんだからよっ! 」

 

 そう言われて互いに顔を見合わせると慌てて弓と矢筒を受け取り改めて伯爵に忠誠を誓う兵士達だった

 

 翌日、事態を理解しない第二陣が闇の口から闇蜂を送り込もうとしたけど逆にマジックアットレーに仕込まれた勾玉、霊玉が闇蜂を取り込んでしまい闇の者にとり計算外の事態を招いてしまった

 

 勿論その事を知らされた真琴は大喜びして甲冑を錬成して

 

 光の霊玉を取り込んだ招杜羅と毘羯羅と火の霊玉宮毘羅と迷企羅の四人が監視役を務める事になり

 

 その夜戦勝を祝い兵士達を労う宴が繰り広げられ、翔とケベックの力に目覚めたコードの活躍で盛り上がる伯爵城内

 

 その騒ぎの中、闇の精の従神月代(つきしろ)の女神が目覚め、勿論依り代に選らばれたのはその名が指し示す通りに月夜で

 

 ー 月夜、定められし宿命を受け入れますか? ー

 

 そう問われた月夜は

 

 「 結ばれたい、そう思う人と出会ってしまった私はもう… 」

震える声で答える月夜に微笑む女神は

 

 ー 私は依り代に純潔であり続ける事は強制しませんし、同様に歌の国の豊穣の女神の依り代達は代々西の大公を始めとする集落の代表者の元に嫁いでいましたよ

 

 そして、今一人の依り代が婚約し嫁ぐ日を待ちわびてます

 

 それに、光と水の精霊の巫女達に問いますが月夜の恋は祝福出来る物ですか? ー

 

 そう問われた真琴は

 

 「 鈍い男と思いを告げられない月夜様… まずはその二人がはっきりしない事には未だ応援するとしか言い様がありません 」

 

 と、真琴が答えるとみこではなく精霊の巫女の命も

 

 「 大樹と言いたけと言い… 全く世話のやける男の子達で月夜様には申し訳無くて仕方がありません 」

 

 そう言って頭を下げるのを見てユカが溜め息を吐いてたけを見て

 

 「 未だ月夜様の気持ちがわからないのですか?この唐変木っ! 」

 

 そう言われて驚いたたけが

 

 「 えーっ、だって身分が… それに月夜様みたいな綺麗な人には俺なんかじゃ… 」

 

 そう言い訳するたけに

 

 「 全く… 身分がどうとか言い訳まで大樹と同じ様なことを… 」

 

 そう言って深い溜め息を吐く命を見ながら

 

 「 他国とはいえ、れっきとした正騎士の貴公が役不足な訳がありません

 

 逆に霊獣の騎士たる貴公に、特別な宿命を背負いし娘を支えて頂きたいと思いますぞっ!」

 

 そう月夜の父に言われて

 

 「 す、すいません… 」

 

 そう言って詫びるたけの言葉を聞いてビクッと震え身体を強ばらせる月夜に気付かずに

 

 「 俺、言い訳してました… 命様のお供するまで口を利いた事の有る女の子は妹のきみだけで…

 

 その後は、兄貴分の大樹さん達の背中を追い掛けるので一杯一杯で… そうゆー事考えた事無いから勝手に弟みたいに思われてるって決めつけてました

 

 素敵な人だけど、俺なんかじゃ迷惑だからって言い訳してました…」

 

 そう言って月夜の前に方膝を付き大樹がヴェルサンディにしたように

 

 「 我が剣我が為に在らず、お守りしたい貴女の敵に振るい貴女を護る盾となる事を誓いこの誓いを疑われし時我が命で身の潔白の証しとするこの誓約をお受け取り下さい 」

 

 そう告げるたけに、その頬に口付けで応える月夜に

 

 ー この祝福された恋路を邪魔するは野暮と言うもの

この想い生涯貫きなさい、良いですね? たけは精霊の巫女達の恥になる振る舞いはせぬであろう? ー

 

 そう問われた二人は

 

 「 勿論私も受け継がれし月夜の名にかけて誓います 」

 

 「 巫女様達だけじゃありません、俺の不義は取り立てて下った和泉の女神の依り代の観月様や鍛えて頂いた阿様達を裏切る行為

 

 何より、俺自身そんなの格好良い騎士じゃないから絶対嫌ですっ!」

 

 そう二人が答えると

 

 ー これで貴女が躊躇う理由はなくなりましたね? 私を受け入れ自らの宿命に生きなさい、きっと貴女の騎士が守ってくれますよ? ー

 

 そう女神が告げると月夜の母が

 

 「 女神の依り代と若き英雄の恋物語… 新しい伝説の幕開けですね? 」

 

 嬉しそうに語ると月夜も覚悟を決め

 

 「 私を私の運命にお導き下さい月代の女神様… 私をお守り下さい私の恋する騎士、たけ様… 」

 

 そう言って左手を掲げるとその手を取り口付けを落とすと月夜の中に入ってゆきひとつになった

 

 意識を失い崩れ落ちる月夜の身体を受け止め抱き上げるたけに

 

 「 月夜様を寝台にお連れしなさい、ユカと… 」

 

 そう言って月夜付きのメイドを見て

 

 「 ユカと月夜さんを楽な服に着替えさせて身体を休ませて差し上げなさい 」

 

 真琴にそう言われ伯爵を見ると頷いたので

 

 「 お任せ下さい、真琴様 」

 

 そう答えたので真琴も微笑みで応えてメイド達を喜ばせると

 

 ( 真琴様… どんどん王子化が進んでますね… )

 

 真琴を見ながらそう思って、苦笑いを浮かべるユカだった

 

 その翌朝から翔に加え、コードも修行に加わる事になりライバル意識を燃やすコードとコードに対しては余裕綽々の態度をとる翔の態度が益々面白くないコード

 

 実のところ修行開始当初はコーデにとって唯一の取り柄、自慢は単独飛行なら音より早い飛行能力だったけど翼を失った今の自分には唯一誇れる物を失った自分の存在する意義を見いだせなかった

 

 ケベックと言う術を覚えた後もコード的には、翔のパクりとかバッタもんとしか感じないし喜んでお手伝いする翔の気持ちがさっぱり理解出来ないコードにとっては無用の長物に過ぎなかった

 

 夕べの手伝いも

 

 「 別にボクおらんでも良くね? 」

 

 としか思わなかったけど、他に出来る事も無いからイヤイヤ翔の手伝いさせられただけにすぎない

 

 そんな精神状態のコードには歌姫に褒めれても少しも嬉しくないばかりか、褒めれてる気が全くしなかったし他人事のようにも感じていた

 

 そんな訳だから、修行と言われてもヤル気等微塵もないコードは結局歌姫にミッチリお説教を受けるハメになって翔に嘲笑わる結果になり

 

 余計に意固地になっていったが、その悔しさがマジに修行に取り組む切っ掛けだったりもする

 

 既に完成された術を勾玉により継承したコードが本気で取り組んだ結果、翔がそれなりの時を要したケベックをあっという間に使いこなすコード

 

 取り敢えず同時発動がいきなり三個になり皆を驚かせても翔の能力コピーしてるだから当たり前じゃん?

 

 そう考えるコードには何の感慨もないのでつまらなさそうな表情のコードに

 

 「 あんな、新しい自分だけの術編み出したいんならイメージ膨らまし

 

 魔法って結局は想いの強さ柔軟な発想が大きく物を言うんやで? 」

 

 そう翔に言われて

 

 ( 想いねぇ~っ… )

 

 等と考えながらぼーっと眺め

 

 (何かおもろいもんないかな~っ…)

 

 そう思いながら物思いに耽っていたが

 

 「 あっ、あった… うん、イメージ固まったから後は実践有るのみやねっ♪ 」

 

 そう呟き、結界から出ると厨房に直行し料理長にそれを話して手伝ってもらい料理長始め厨房の者に試食してもらい

 

 「 我々にはなかった発想で面白いし何より美味しいから伯爵様もお気に召すでしょうし何より私達が可愛いと思いますよ? コードちゃんの事 」

そう言われて泣きそうな顔をして

 

 「 ボク… スラグなんやで?そう言われて生きてきたボクみたいな塵カスが可愛いわけないやん? 」

 

 寂しそうに笑い

 

 「ボクの本性はお馬鹿な化けモンなんよ… せやから歌姫様すらもボクの事馬鹿な子程可愛いて感じで可愛ごうてくれてたわ… でも、そんでも嬉しかった…

 

 最初はな、ボク見張りやったんよ? 歌姫様達の動向探る為の

 

 もっとも全くヤル気無いからサボってばっかしで適当でえー加減な報告ばっかしとったんやけどねっ♪

 

 おまけに隠れたり誤魔化したりしとらんかったからバレバレで逆にボクの行動つか考えが読めないって頭悩ませとったんやてっ♪

 

 いやーっ、今度はどない報告したろ? とか美味しい木の実どっかに無いかな? 位しか考えとらんかったんやけどね 」

 

 そう言っててへっと笑うコードに

 

 「 そんな事してて… 」

 

 と、心配顔で聞く料理長に深刻な表情で

 

 「 うん、上のモンにバレてマジ殺され掛けたんよ…

 

 んでそんなズタボロで半死半生のボク拾ってくれて手当てしてくれたついで餌付けされたんよ

 

 なんや知らんけど他の連中みたく餌にかぶりつくのややったから餌もあんまし食えんくていつも腹ペコやったんよ…

 

 舞姫は最初、ボクの事全く信用しとらんかったけどまぁそないな事は生まれた時ゆーか記憶の有る範囲で他者に信頼とかされてへんつかおバカすぎてあてにされとらをかったんよ、正味の話

 

 そんなある日思い出してもーたんよ、ボクの前世は別の世界から来た人間の男の子やったって…

 

 さぁお喋りはもうこの辺で止めてお仕事の時間やね 」

そうコードに言われた料理長が

 

 「 伯爵様、今日はコードちゃんが変わった術を披露してくれますからお楽しみに 」

 

 そう言って恭しく頭を下げると

 

 ー ポップアップっ♪ ー

 

 と、唱えるとスライスされパンが縦に並んだ状態で宙に浮き暫く待つと何処からともなくチンっと言う音がしてパンが持ち上がり料理長がトングで掴み皿に乗せてメイドに渡し

 

 メイド達は各々の主人の好みのバターやらジャムを塗り手渡すと受け取った物、即ち焼けたパンの香りに誘われて一口かじると皆喜んでくれ伯爵が

 

 「 ずいぶんユーモラスな術だね? 」

 

 そう言われて喜んでくれたので本人も嬉しくなり

 

 「 あはは… 別にボクが考えた訳ちゃうんよ、ただの真似しいやからっ♪ 」

 

 笑いながらそう答えるコードを見ながら歌姫が

 

 「 どんどん焼いて下さいね 」

 

 そう催促するとコードも頷いて

 

 ー ポップアップっ! ー

 

 ーケベックっ!ー

 

 と続けざまに唱えトーストが焼け続いてホットサンドに次のケベックでホットドッグを焼いていきそのペースが上がるのを見てメイドの一人に

 

「コードちゃんがどんどん焼いてくれるのなら使用人達も手の空いてる者達から順次食事にさせようと思うのだが宜しいかな?」

 

 そう問われたコードは

 

 「 うん、エーよっ♪ ボクに出来る事やからねそれにボクの方こそ一杯一杯お世話になっとるんやから変に遠慮せんといてください 」

 

 そう言いつつ実のところユウとユカ… 特にユウを苦手としていたコードが恐る恐るユカの顔色を伺っていると歌姫が笑いながら

 

 「 コードは大人な女性が苦手なんですよ、ユウさんやユカさんみたいな方達が… 勿論観月様等も苦手なタイプですね 」

そう言って苦笑いの歌姫を見ながら

 

 ( 多分この歌姫と言う人は表現を変えてる… コードちゃんは若干私に対し苦手な素振りを見せてるから気の強い、押しの強いタイプが苦手とみた )

 

 そう思いながら観察してると積極的に自分から話し掛けるタイプで無いらしく基本的に視線を合わせようしたがらない

 

 自己嫌悪が翔ちゃんより酷いと聞いているからそのせいだろう… 小さく幼い見た目と裏腹に色々あったらしいって聞いている 」

 

 多分私には想像もつかないことなんだろう… 位にしかわからない

 

 二人が何か言い合いながらお手伝いしているけど仲が悪いようには見えない

 

 敢えて言うのなら素直じゃない姉妹… 多分翔ちゃんとコーデちゃんの二人を言い表すにこれ以上に適切な言葉は無いだろう

 

 そう思いながら二人を見ていると

 

 「 ねぇみこ、翔と違いコードの属性は風と雷なんじゃないのかな? 」

 

 真琴にそう聞かれた命は頷いて

 

 「みこもそう思うけど… 春蘭が良いのかな? それとも翼お姉ちゃんに見てもらった方が良いのかな? 」

 

 そう聞きかえされた真琴が

 

 「 そうだね…取り敢えず春蘭にみさせたら良いんじゃないのかな?」

 

 その真琴の言葉に鼻面にシワを寄せ

 

 「 属性? そんなん知らんわ… ボクの能力はトップスピードが音を超える飛行能力だけで後は何も無いんよ?

まぁ今は借りモンの力が有るみたいやけどね… 」

 

 そう言ってまるっきりの他人事のコードに

 

 「 魔力の全てが翼に集中してたのがその翼が無くなって新しい力が目覚めつつあるんだよ… 」

 

 そう言われても全く実感の持てないコードにはやはり他人事に過ぎなかった

 

 朝食の後ユカは一行を引き連れて首都に向かい命と翔にセレナは鬼百合に送られ一足先に戻り鬼百合は折り返し白夜の国に戻り暫く共に過ごす事にした

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