ナニを求めて?
① 収穫祭
帰還後の命は慌ただしく王城近辺の集落の収穫祭に参加することになりその間に出発の準備を整えた
その慌ただしい合間を縫って芝居見物などを真琴共に過ごす二人
その一方でセレナは命から
「一度実家に戻り翔と共に旅立つか否かを考えなさい、期限は私達の出発の朝までです」
そう告げられ翔に送られその事はセレナ経由でノース達にも伝わり各々に考える事になりそして最後の祭り
翌日に控えたセレナ達の村の収穫祭を最後に侯爵領に旅立つので期限は明日の祭りが終わるまでに決めなくてはいけないのに…
参考までにノース達にも聞いてみると
「翔個人についていきたい私達は命様にお仕えするわけにはいかないのだから付かず離れずの距離を保ちながら命様の一行についていきます」
そう言われたセレナは
(私には言えない…今の私には自信も覚悟も無いんだから…でも、このままお別れなんてそんなのだけは嫌だよね?)
夜が弱い翔は既に熟睡中でその寝顔を見ながら考え続けた…でも、答えは見えない…
不意に涙が溢れて声を押し殺して泣くセレナの身体にすり寄る翔の身体に腕をまわして抱き締めそのひんやりする感触感じながらいつしか眠りに落ちたセレナだった…
開墾以来初めての豊作に沸く村人に代わり真琴、命、歌姫、舞姫の競演による豊作に感謝の気持ちを捧げる踊り、地の精霊への奉納の踊り、来年の豊作を願い豊作祈願の踊りを舞い祭りが始まった
翔は得意術で加熱料理のお手伝いでコードはスチーマーの応用術の大釜を発動し小枝と紗綾に準備してもらった鍋を作りその放射熱でジャガイモのパンケーキを焼いてもらい
二個は翔の前で発動させて使わせ、自身はスーに用意してもらったホットサンドを焼きポップコーンを作り… ケベックの中で弾けて踊るコーンが大ウケで祭りを賑わせ…
最も人々を驚かせたのがわたあめで命を大喜びさせたので更に注目を集めた
後は、コード自体は何もしないけどリンゴ飴を知らない事と自分の知識に有るリンゴに比べ酸っぱいことに気付いたのでセレナの祖父に教え、試食してもらった結果…
期待外れの残念なリンゴ達にも光が当たり、祭りでも人気の逸品となりあんず飴も教えたので双璧をなし巫女達の奉納の踊りを観に集まった人達の人気商品になり売り切れる迄行列は絶えなかった
また、ブライドポテトはあるがポテトチップスがない事を知ったコード
王城の料理長にポテトチップスの事を話て鬼百合に試食させるとそれを肴に飲み始めるのを見た命がつまんで食べるとサクサクとした歯応えが楽しくついつい
そんな感じで二枚目、三枚目と手を出して周囲を驚かせた
若月の…ミナがデザインし月影の国で作製された服やエプロンは好評で代理店に指名した店の入荷待ち状態
そして祭りも終盤に入りコードが気を利かせ翔に
「仰山世話になったセレナと祭り見て回らんかいっ、ちゃんと巫女様達のお許しもらっとるんやからさっさと去ねっ!鬱陶しいうすらトンカチがっ…」
そう叫んで二人を店の外に追っ払い(翔に対しては実際店から蹴り出している)
「ホンマ難儀なやっちゃな…ついてきて欲しいくせに…まぁぇーか…後は二人の問題でボクには何も関係あらへんのやから…」
そう誰に聞かせるともなく呟き肩を竦めて作業に没頭する事にした
他者との不要な関わりを忌み嫌い避けて歌姫に対してさえ飼い主以上の感情を持つ事を厳に戒め歌姫と出会う前の…
スラグと呼ばれていた頃の無機質無気力な荒んでいた頃の状態に戻りつつあったコード…
良くも悪くもそれが迷いを断ち切り魔術の目覚めを促しその時は確実に近付いていたが歌姫とユカの不満を募らせていった
翔とコードの売り上げ利益は二人の収入で他には手間賃代わりに貰った炭の相当額
二人の術に対する御祝儀等も二人の収入で支出の無い二人…
主食が虫の翔と草の実が主食のコードは翔が集めて来るし体格的にも量を必要としない食費は安いと言うか自給自足どころか
衣装に無頓着な二人は与えられた物を着るだけで当然の事ながら試作品なのでタダで使い途の無い翔
更に根本的な問題なのが引きこもり気味のコードは城から出たがら無いのもユカの不満の元
そんな状態なので極端な話し王女でない翔は雫やリンに仕えたいと思う者達と同じく王女の侍女、騎士ではない為翔に直接仕える事も出来るし…
リン達が王女宮の設立迄は公女宮所属の命担当を経て王女達担当になっていたように翔の担当になれば良い
そう観月は考えていたのだけどいかんせん当人達の思い込みだけで好ましくない結論出してしまっている
そして命の前に集められた四人と翔を前に
「今答えを聞いて良いですか?それとも明日の朝まで待ちましょうか?」
命に問われた四人は
「私は王女様達が嫌いじゃありませんけど翔ちゃんの側に居たい、不器用な翔ちゃんの手伝いをしたいだけで王女様にお仕えしたい方達の様には振る舞えません」
セレナがそう答え
「私達も同様に考えますから付かず離れずの距離で翔の事を見守ります」
そう告げられ俯く翔は
「そんなんややっ!なんで側に居ってくれんの?…何で一緒に来るってゆーてくれへんのっ!?
ボクがみこお姉ちゃん一杯お手伝いするから皆にご飯食べさせたってもろて一緒に馬車乗ればエーやん?」
そう言って泣きながら四人に訴える翔を横目にコードは
「ボクかて出来る範囲で色々お手伝いしたる…ボクは彼奴で彼奴はボクやからボクに何とか出来る事やったら何とかしたるけど…
せやけどなっ…ショーミの話しホンマあんた等四人にはガッカリやわっ!所詮何の関わりもない無いボクはもう何も言わん、勝手にさらせっだぁほっがっ!」
声を荒げる事なく四人を睨み付け言いたい事だけ言って持ち場に戻って行くコードを見ながら溜め息吐いて
「全く…翔ちゃんにあんなこと言わせて情けない…
王女様達と違い翔ちゃんやコードちゃんの二人に専属で仕えるのは容易い事でひとつには王女宮ではなく魔導師の命様に仕えてもらい命様が貴女達に翔の事を任せますと言えば良いだけの話し
もう一度問います翔の側に居たい…ついてくる意思はないのですかっ!?」
そう問い詰められた四人はユカに抱かれ肩を震わせて泣く翔を見ながら
「私は…ちゃんと向き合ってませんでした…翔ちゃんが私の前から居なくなる事の重大さから目を逸らしてました…」
そう言って言葉を途切らせるセレナに翔の身体を差し出すとその身体を受け取り改めて抱き締めると
「わ、私も出来る限りのお手伝いをします…ですから私も翔ちゃんと一緒に連れて行ってください…翔ちゃんの側に居たいです…
だからこれでさよならなんて嫌すぎますっ!」
涙ながらに訴えるセレナを見て溜め息を吐いて
「待ってたんですよ?貴女のその言葉を…貴方達はも具体的な待遇はユカから聞きなさい…翔を頼みますよ?」
そう告げて王女に帰る支度を始めさせる命だった
侯爵領に向かう陣容は何故か三台の荷馬車の先頭に命と馭者のシュー幌付の荷台にはセレナ、翔、ミチ、ソウ、ノーランが乗り込みニ台目の馭者はイース三台目の馭者はウェスが務めることになり
「命様のお供…私達には無理なのでしょうか?」
一人の馭者の問い掛けに無表情に
「一見荒事と無縁そうなシュー様とイースとウェス…命様の狙いは山賊狩りですね」
質問ではなくそう言い切るノーランに笑いながら
「その通りですから三名は馭者としてではなく兵として同行をお願いしたいのですが?」
命に変わってユカがそう答えると溜め息を吐いて
「ノーランって言ったね?君が弓を得意だと翔から聞いた…破魔矢で翔を守ってほしい」
そう言って渡し三人の馭者に蒼い霊玉の短槍を渡して
「みこ達を頼みます」
そう言って頭を下げる真琴に驚き
「とんでもありません、我等の方こそその様な大任を与えていただき光栄です」
そう言って他国の王女への儀礼で返す馭者達に穏やかな笑みを浮かべ応える真琴だった
そしていよいよミナの元から巣立つ時が訪れた
「今まで甘えてばかりでゴメン、そして有難う…壊れちゃってまこちゃんに甘えられなかったみこをいつも側で見守ってくれた
春蘭…アマアマなミナお母さんのフォローするみたく厳しいお姉さんみたいだった…
大丈夫、みこや翔、コーデみたいに面倒な子なんてそうそう居ないから皆のお姉さんになって導いてあげてねっ♪
そして媛を守ってあげて…この先の鍵を握るだろう媛と翔をひとつ所には居させられないから…伯母様、月光お兄さん、瑞穂お姉さんそれに駐留組の皆、媛の事…お願いします」
そう泣き笑いで告げる命に同行する者達
「行きますよ」
そう言ってシューの手を借りて隣に腰を下ろすと馭者を務めるシューの荷馬車を先頭に一行の荷馬車は王城を出発し侯爵領に在る侯爵の居城目指し旅立った
商家の使用人になり済ました線の細いシューと少年達の乗る荷馬車は盗賊達には格好の獲物に見えた…が、彼らの正体に気付けぬ愚者達は次々に捕らえられ裁きを受けるその時まで翔用のアクエリアスの結果結界内に幽閉される事になった
夜遅くまで馬車を走らせ翔、セレナ、ミチが食事の仕度を担当するから強行軍も割合楽しい旅になっている
これから先はかつてミナが命、サエが翼について運命へと旅立ったように翔と共に旅立ったセレナとミチ
ミチは当面先輩の侍女としてセレナに指導させることにし命はセレナに踊りの稽古をつけていた
古関跡付近でこれまでで一番な山賊の一味が襲うタイミング測っていたが既にバレバレでまんまと誘き出されたことを知らぬ哀れな愚か者達
馬車に向け矢を放ち威嚇しながら追い掛けてくる山賊の様子を震え笑いを堪える命を勘違いしたシューの
「かなりの勢力ですがご安心ください、命様っ!」
静かに、だけど力強く宣言するのを聞いて一瞬意味がわからずキョトンとしたけど
「あぁ大丈夫、余りにも簡単に誘き出される山賊達の事を思ってたら可笑しくって笑うの我慢して身体が震えちゃってただけなんだからねっ♪」
微笑みながら言う命に
「それなら良いのですが…」
そう真剣な顔で言うものだから益々笑いが止まらない命は俯いて身体を震わせていたけど
それをシュー同様に勘違いした山賊が侮りシュー達に馬車を止めるよう恫喝してきたがされなくてもそろそろ頃合いだと思っていたシューが止まらない理由はなく後続の馬車に停車の合図を送った
停車させた馬車に近寄り
「痛い目に遭いたくなければ大人しく荷とを女達を置いていけっ!」
そう叫ぶ頭目らしき男が命の素顔を隠すフードを上げながら口笛を吹く男に
「荷は諦めるしかないがお嬢様をどうする気だ?お前達はっ!」
そうシューに問われた頭目はげひた笑いを浮かべながら
「そんな事お前達が知る必要ねえよっ」
が、その声と同時に
ー皆、一味は全部出揃ったから遠慮は要らんさかいちゃっちゃっと片してんかっ♪ー
そう陽気に言ってセレナとミチを守るようにマジックアットレーを二人の周りに展開して戦士達を見守っていた
だが所詮数だけが頼りの俄山賊達に勾玉や霊玉の力を宿した武具に選ばれし戦士に歯が立つわけもない
圧倒的な戦力差の前にほどなく鎮圧され結界内の牢獄の入り口であるに馬車に放り込まれていきそれが終わり走り出すと暫くの後に
「それ以上近づくなっ!近寄れば射つっ!」
そう威嚇する声がして警戒する命達に
「こいつは驚いた…山賊崩れにアタシ等の警告ができる知能が有るとは思わなかったぞ…
だが、アタシ等の前からさっさと消えろ、闇の狗っ!お前達にくれてやる物は何一つも持ち合わせちゃいないんだからなっ!」
そう叫び声を上げる相手に
「そうですか、別に私達も名前も存じない方に差し出されて受け取る理由はありませんしそろそろ主人様に休んでいただきたいので貴女達等に用はありませんが?」
シューが挑発的に言い返すと
「アタシ等だってあんた等にゃ用はないんだよっ!」
そう言い返しながら睨むのだけど
「どーでもえーねんけどあんた等会話成立しとらんて気ぃ付けへん?」
寝ぼけ眼の翔が呆れ気味に言えば
「翔に言われても気付いてませんから言うだけ無駄かもしれませんよ?」
そう呆れ気味に話すノーランの口調は冷めており
(ノーランの機嫌悪いのな…)
(うん、相当にね)
イースとウェスが目でそう話し合っていると
「あの…ノーラン?」
恐る恐ると、言う感じでセレナが声を掛けると
「全く…少しは落ち着きなさい、シュー様っ!」
そうノーランの注意を受け悄気るシューを他所に
「私はノーランと言う者で私達は水の精霊の巫女様と共に山賊狩りを行いながら侯爵様を訪問する者です」
そうノーランが名乗ると
「ノーラン…ってま、まさかアンタ…賢者の弟子と言われるあのノーランかっ!?」
一人が驚きの声を上げると
「えーっ、まぁ確かに私が師と仰ぐ方は賢者と呼ばれてますが私は未々未熟者に過ぎませんし…
我等の幼い主人様と私達の可愛い翔がそろそろ眠りに落ちますからお静かに願えますか?」
そう声を掛けると穏やかな声で
「そうだね、この清浄な霊気に気付けぬとは私も焼きが回ってたようだ…案内するからついてきな」
そう言われ騎馬の少女達についていくよう仲間達に指示してミチには命、セレナには翔を見守る様に指示して目を閉じ周囲の気配に気を配るノーランだった
「まさか他国の王女様が僅な手勢だけ率いて山賊狩りをするなんてね……」
驚くやら呆れるやら感嘆の声を漏らす女戦士に喜平が
「そーゆー方なんですよ、安全な後方で守られてるより自らが矢面に立って立ち向かう人なんだからわし等も喜んでお供するんだよ」
そう誇らしげ語る喜平の表情は自国の王女を褒め称えている騎士のそれだった
その後命の代理としてノーラン、侯爵の名代として対山賊の自衛団との話し合いとなりその結果は翌朝話し合いの結果を伝えられた命は
「翔、イースを導いて上げて…んで伯母様にお使い頼んでもいーい?」
そう言われた翔は不思議そうに
「何でみこお姉ちゃんがしーひんの?」
そう問い掛けると命は笑みを浮かべて
「絆になるから…翔とイースの…勿論ウェスやノーランの時も翔が導いて上げるんだよ」
そう告げられた翔にその意味は理解できないけどそうすべきだと言うことだけは漠然とではあるがそうなのだと思えたから
「イース、指笛吹けるんなら思いっきし響かせてんか?」
そう翔に言われて思い切り響かせると天空から一体のゼブラが現れイースの前に降り立った…まるでイースの騎乗を待つように控えるのを見て戸惑うイースに向かい
「イース、これを王城の陛下の元に頼む、翔…イースの案内を頼めますね?」
ノーランがそう告げると命も頷いたのでそれを見た翔も頷いて
「うん、えーで…任しといてやっ♪せやけどメッチャ懐かしいわ…」
そう言って照れ臭そうに笑う翔に
「そだね、海斗達にお使い頼んだ時も一緒に行ってもらったもんねっ♪」
そう言って笑う命に
「な、何で一番年下の俺なんですか?」
そう問い掛けるイースに
「さぁ?みこが決めた訳じゃないし大樹達も一番年下の海斗から選らばれたんだからそんな事気にするより息を合わせて翔を守れるようになって」
侯爵家に着くまでに総勢二百名を越える山賊達を捕らえたけど結界内の牢獄に待ち構えていたまさに獄卒長の閻魔(勿論名前の由来はあのお方から頂いてます)率いる仲間達にきっちり矯正されている為改めて罰を与える必要はないが一応形式的に侯爵の判断に委ねる事にした
早朝の訪問者に驚きながら先頭荷馬車の馭者が変装したシューである事に気付いた門番が慌てて荷馬車の入城を認め中庭で待機する命一行だけどイースと共に一足先に侯爵夫人の元に飛んだ翔を胸に抱いた夫人とその後に侯爵その人とリンと忍達が出迎えてくれた
命を出迎え謁見の間にてシューからの報告を受け閻魔を紹介すると侯爵夫人の胸に抱かれる翔を見て
「野宿の旅やったゆーたら先に風呂はいるよー言われたんやけど…」
そう命に報告する翔に
「命様は侯爵様にご報告を済ませてから行きますからミチはノーラン達に手伝ってもらいミチとセレナは翔の着替えなどを用意したら翔と一緒に入浴を済ませなさい
他の方達は侯爵様宛の荷物の引き渡しの後に休んでください」
そう告げて侯爵との会談を始めた
会談…と言うよりは伯爵家の月夜が女神の依り代となり地の精霊の巫女に仕える霊獣の騎士たけが守護者に名乗りを上げてその二人の婚約が認められ祝福された事
闇の口に関わる騒動や海の異変に山賊狩りの結果等とその対応とその後の対策をユカがまとめたレポートを元にユウに報告させ侯爵領での対策の検討を提案して報告を終えた
場所を変えお茶を飲んで一息ついてるところにりんと雪華が訪れ命を入浴に誘うが
「お風呂は未だ良い(入れば寝ちゃうから)、それよりりんちゃんは命様禁止だからね…もし今度「命様、そんな事…」前はみこちゃんって呼んでくれてたよね?りん様」
そう言われて唖然とするりんに雪華が
「今の貴女ならわかりますね?あの頃の命様の気持ちが…人魚姫や様を付けて呼ばれるの嫌っていたのかを
大海原の女神の依りとなった今の貴女も共に育った留美菜やなみにまでりん様と呼ばれて寂しいのでしょ?
ならもうみこちゃんって呼んであげなさい、勿論公の場で必要な場合は命王女と呼べば良いと思います
命様も命様より命王女の方が宜しいでしょ?」
そう問われて
「うん、その呼び方はみこが偉いんじゃなく王女の肩書きが偉いって思えるからそんで良いと思う」
命にそういわれてやっと
「うん、わかったよ…みこちゃん…だから一緒にお風呂入ろっ♪久し振りに」
納得は出来なくても今なら命の気持ちはわかる気はしてきたりんだからその気持ちに応えたいりんだったから命と一緒にお風呂に入りたい気持ちに応えて欲しいりんだった
夜が明けて明るくなってから領内に入ると待ち構えて居る者逹がいた
「霊獣の騎士大樹様、お待ちしておりました」
どうやら村長らしき人物が口を開き人質にされていた少女が両親と共に近寄ってきた
「やぁ、君はあの時の娘だね…最近山賊が増えたと聞いていたから昨日命様が山賊狩りを行ったのだけど…」
あれから悪い事は起こって無いかい?」
と優しく聞くと
「いいえ、悪い事は起こってませんが毎日が不安で仕方有りません…」
と不安を訴えた
「そうか…ヴェル済まないが命様の従者の皆様を侯爵様の元へ案内してはくれないかな?」
と言うと
「大樹様っ!」
叫び声を上げるヴェルサンディを苦笑いで宥めながら
「村長、対策を父に立てさせる間騎士の大樹様とヴェルを置いて行きますが宜しいでしょうか?」
と申し出ると
「私達は構わないどころか恩人である大樹様とヴェルサンディー様に滞在していただけるのなら皆が喜んでお迎えしましょう」
興奮気味に話す村長に
「それならヴェルも構わないよね?
着替えとかの荷物は後で持たせるから」
とスクルドが言うと
「ではその役目は私が引き受けましょう」
と引き受けたライラに
「有難うライラさん
ヴェル、要る物が有るなら持って来てもらいますが?」
と言われ
「いえ、特に有りません」
と答えると
「わかりました、大樹様…ヴェルの事お願いします」
と言われて
「うん、侯爵様に宜しく伝えて下さい」
「そう言った訳で取り敢えず大樹様とヴェルを残して来ましたので後の事はお父様にお任せします」
そう報告の言葉を結ぶスクルドに
「ひとつだけ良いか?」
父の問い掛けに
「私の知っている範囲ならば…」
「媛歌様と同じように羽を持つあの歌姫と舞姫と名乗る二人はは何者なのだ?」
と聞かれ
「音の精と鏡の巫女と聞いているのみです」
としか聞かされてないのでそう答えると
「では、命様の従者の精霊の巫女の一人として扱えばよいのだな?」
と、問うと
「事実そうなのですからそれで構わないと思います
後他に無いようでしたらヴェルの着替えを用意して騎士のライラさんに持たせたいので宜しいでしょうか?」
この話題の終わりを告げられ
「ああ、済まなかった…宜しく頼む」
ユウが命に
「近々美月主催で大海原の女神の依り代のりん様お披露目パーティーを開く予定ですが命様のご意見は?」
特に何も無いから
「みこには無いからユウに任せるよ
大樹の事は取り敢えず明日にでもに後任を任せてはと思うけど…
たけは地属性の騎士…地の精霊の巫女の騎士なのだから忍お姉さんの判断に任せるべきかも…」
と言うと
「たけ、行ってくれますか?」
と言われ
「忍様が俺の誓いを受け入れてくれるのならお命じ下されば良いのです」
たけの誓いを受け入れ
「たけ、大樹に代わり侯爵様のお手伝いお願いします」
忍にそう言われて
「はい、我が誓いに掛けてお引き受け致します」
と応えたたけの事を
「ユウ、たけも正騎士に昇格したからね」
と報告する命に
「命様、明日りん様は侯爵様と豊作祈願祭に行かれますが命様はどうされますか?」
言われて
「みこは邪魔にならないの?」
と聞くと
「そんな事無い、久し振りにみこちゃんと踊りたいし指導もして欲しい」
そう聞いて
「うん、でもそれだけなら後で練習みてあげるよ?
みこも新しい踊りをお稽古中だから」
と言われ
「同じ舞台で踊りたいのっ!」
と怒って言うりんに
「そうなの?」
と聞くと
「私達だって命様と一緒に踊りたいのです
そうですよね?忍様」
と振られた忍は
「私や雪華は貴女と踊った事が殆ど無いのだから…」
と答えた
「解ったよ…じゃ代わりにりんちゃんに覚えて欲しい事が有るんだけど」
と言われ
「それは…私に出来る事なのでしょうか?」
と聞くと
「りんちゃんもすべき事だよ」
と言われて
「解りました、お導き下さい…」
と答えた
「じゃあ…食事の後で貴女を慕って集まった子逹に会わせてね」
と話していると
「みこちゃん…それは私もいつかすべき事ですか?」
と聞くと
「その一人だよ」
「命様、我々はそれに立ち会わせて頂くわけにはいかないのだろうか?」
と問われ
「大丈夫だよ、雪華の時は伯母様…女王様が立ち会ったんだからりんちゃんを見守ってね
りんちゃん来て
「りんちゃんのお友達のみこだよ、皆よろしくね」
とあっさりした挨拶に驚いていると
「りんちゃんの試練の為に皆の力が必要なんだけど…応援してくれるよね?」
「②花の娘とコーデ
―おい、そこの駄鳥擬き… 駄鳥はどこ行ったんだ? ―
その失礼きわまりない呼び掛けに反応したのは歌姫で
「 いきなりなんですか? 失礼な…姿を表しなさい、何様のつもりなんですか? 」
そう声を上げると
― あんたにゃ関係無いが駄鳥は私を馬花の娘呼び他の者達は花の娘と呼ぶ者だが私は私自身を知らぬゆえそうとしか言えぬ…
で、駄鳥はどこに行ったんだ?折角彼奴が好みそうな手土産を持ってきてやったものを…
まぁ良いのだが… 擬き、駄鳥に会ったら渡しとけ… もう帰る、否… もう行くと言うべきか? まぁバカと言われてる私にはどうでも良いのだが…― そう言って思考の中断した花の娘がコードに向かい
―お前にもこれをくるてやる…―
そう言って何かの詰まった袋を渡すと姿を現すことなくその気配は消え
(アレ、一体なんやったんやろ?)
誰に聞けばいいのかわからないコードだけど実のところ認知度の低い花の娘の存在を知る者は少なく既にミナと春蘭も側に居ない現状では直接花の娘を知る者は皆無だがコードにはそれすらも知らない事だった
首都を出発後合流した大樹とヴェルサンディと共に侯爵領を目指す一行は宿泊先の街の盛大な歓迎で迎れながら侯爵領を目指した
が… コードは勿論歌姫、舞姫が目立つことを厭い裏に引っ込んでしまい気配すら消してしまいスクルドは頭を抱える事になった
そして一行が訪れた古関近くの村での事…村の入り口で村人達が待ち構えていて
「皆様のご到着をお待ちしておりました」