その最中今回予備のテキストを用意していなかった為チサが使っている物をりんに渡しチサは本来の予定を早めより中級のテキストを支給していたので遅れて戻ってきたユカとチサにりん
そのりんが王妃の姿を見て
「王妃様、あんな素敵なドレス有難うございます
あのドレスに恥じないよう一杯お勉強して命様…みこちゃんにお仕え出来るようになります…皆様、宜しくお願いします」
そう言ってユカ達美月のスタッフにお辞儀するりんだった
でもりんちゃんはみこの生まれて初めてのお友達なんだよ?
だからお友達になってもらったけどお友達って何なのか良く分からないんだ…ホントの事言ったらね」
それを聞いていた鬼百合が
「みこ、そいつは考えて分かることじゃねぇからりんと過ごして色んな事を一緒にやってって初めてわかる事だ
船旅楽しかったろ?だが乗る前からその楽しさ分かってたか?違うだろ?ならせっかく出来た友達と色々やってみな?取り敢えずは風呂からだな、りん…お前、友達沢山いるんだろ?
ならその友達の良さをみこに教えてやってくれ、チサも今は友達居ねぇから仲良くしてやってくれたら嬉しい
今のお前の出来る最大の事だし人見知りするみこが自ら受け入れたお前をアタイ等も期待してるぞっ!」
鬼百合がそう言うと王妃と観月を始め皆が頷いていた
「分かりましたね?ミナ、三人をお風呂に入れてください
ユイはみことチサの今夜のドレスとりんのお披露目のドレスを用意しておきなさい
ユカはそれまで着ておくみこの服とチサとりんの替えの制服を用意するように」
そう指示すると王妃を見て
「伯母様も宜しければ人魚になったみこの姿をご覧になりますか?」
聞かれ嬉しそうに微笑みながら
「勿論それを期待してきたのですからね」
微笑みながら答える王妃に
「こればかりは父や兄達には見せられない状況ですから見せてません」
そう笑いながら言うと王妃も
「それは私も、同じで夫や息子達にも見せる気はありません」
そう言うと他の者達も一緒になって笑っていた
暫くして「命様が湯船に入られました」そうミナが告げると一同がぞろぞろと浴室に入って行き命の姿を見た
今日会ったばかりの王妃は勿論初めて見る嵐にちゃんと見るのは初めてのりんが大喜びし
何よりアレ程入浴を渋った割りに…の命の弾けっぷりには普段の命からは想像がつかない程
そんな命に王妃が
「みこちゃんに聞いても良いですか?貴女方のご両親の事を教えて下さい…」
とこれまで観月ですら敢えて触れなかったその問い掛けに
「私は知っている…生まれて間もない頃にお母様自らの手でそう、まるで汚らわしい塵クズでも捨てるように迷宮に投げ捨てられたのを…
私は聞いていた…あの愚か者達がみこ達の事を散々黒い魔力を持つ魔女、穢らわしい黒き血と魂を持つ呪われた闇の子と口汚く罵りながら私が赤子故に何も見えず何を言っても聞こえない
そう勝手に思い込み知りたくも聞きたくも無い事をべらべら喋っていた事を…
だから真琴には申し訳無い事をしたと思っている…私自身は言われる通りの黒き魔力を持つ黒き血脈を受け継ぎし魔女なのだから仕方無いが生まれる前の小さなその身体には収まりきらぬ黒き魔力…
それがお母様のお腹の中で私と共に過ごした故に真琴の魂をどす黒く染めてしまったのだ…
そう純白の生地を汚す黒い墨がシミのように真琴の魂を汚してしまった私はその罪を我が命を以て購うしかないのだ…」
そう言って言葉をと切らせた命に
そんな事無いっ!みこちゃんに会えたのがアクエリアス様のお導きなら私はアクエリアス様に感謝してるんだよ?みこちゃんを私の前に連れて来てくれた観月様やその他の人達にも一杯感謝してる…
だからもうそんな悲しい事言わないでよっ!
大好きなみこちゃんにそんな事言われたら私、どうして良いのか分からない…」
りんがそう嘆くと
「みこ…意識の無い貴女を初めて見た時私は運命的な出会いと感じその後女神の依り代と言う運命に導かれました
導く者である貴女はこれからも多くの者を導くべきです」
その観月の重い言葉に
「私は貴女の様に強くないしなる気もない、私は他人に棘の道を歩ませる事が出来る強さ等微塵にも持ち合わせてなどいないのだから…」
そう悲しげに告げると
「私はただ翼ちゃんの側に居たかった…
でも…その願いすら断たれようとしたあの時私達を助けてくれたのは真琴ちゃんとみこちゃんなのよ?だから今度は貴女が背負う運命や宿命を私や翼ちゃんにも背負わせて…だってみこちゃん言ったよね?私達は家族だって言ってくれて…本当に嬉かったんだよ?
だから真琴ちゃんも翼ちゃんもみこちゃんにもっと頼って欲しいって思ってるし私だって…
勿論観月様や大公家の皆様、王妃様や十六夜様にりんちゃんだってみこちゃんの力になりたいと思ってる
大好きな人を守るのに楽な道なんて無い…
だからもうみこちゃんが一人で苦しむ必要なんて無いんだよ?」
そう言われてさえ尚
「そんな事無い、みこには生きてる資格なんか無い…生まれてきた事その物が誤りのみこは生きてちゃいけない子なんだよ…」
うわごとの様にそう繰り返す命とりんの啜り泣く声だけが静かに聞こえていた浴室内
「寝ちまったみたいだな…二人とも」
鬼百合の低い呟きに我に反った観月が
「鬼百合…今みこが言った事は…」
不安げに聞かれた鬼百合は
「多分本当の事なんだろうな…覚えてるか?嵐…レムが前に多分命様は高位魔導師が転生された方なのだって言ったのを…」
そう言われ
「あぁ、確かにそう聞いた…我々には感知出来ない敵の接近に気付いた時の事だったな…」
あれからそれほどの時が経った訳でも無いのに随分昔の事の様に感じていると
「真琴と命の身元に心当たりがありますが…観月、手伝ってくれますね?」
そう聞かれて
「彼方に残っているレムに言って調べて貰うように頼みます」
そう言って一同を見回し
「取り敢えず今は今夜の夜会の準備をします
阿はみこに服を着せるミナを手伝って
鬼百合はりんに服を着せるユカの手伝いを…
チサは服を着たら午後のお茶にしますからリビングにユイとユウはそのお茶の仕度を…」
そう告げると
「王宮の茶菓子は期待して良いんだろうな?」
鬼百合がそう聞くと
「今日は水菓子の新作を試食の予定ですから微妙な所でしょうね…」
と言われ盛大な溜め息を吐き皆を笑わせ何とか場の空気を変えた鬼百合はむぅっ…と唸ってみせ皆を笑わせた
そんな中表情を改めて観月が阿に向かい
「彼方に何か変化は?」
と聞くと
「特に問題無い
まぁ強いて言うなら翼が貴女の代理を立派に勤めている事
レム、吽、黒豹と黒狼は地の精霊と風の精霊の情報待ちで大公領内の見回りをしていると沙霧と白浪は真琴と翼の側に
黒竜、隣気、黒炎、白炎の二人は大公家の騎士達を鍛え千浪、波頭と四聖獣達は海兵隊の者達を鍛えてる為二番艦、三番艦に乗船
飛沫、水竜は海兵隊の基地に詰めている
睡蓮は、翠湖の二人は国境警備隊の応援に向かいました
と言ったところが今の状況です」
その話を聞いた王妃は
「先ほどみこちゃんが名前を出した子ですね?その翼というのは…
十六夜からも聞いてましたが社交界で貴女の代理を立派に勤めてる…
その子も勿論こちらに来てくれるのですね?」
と聞かれた観月は
「真琴のレッスンに目処がついたら共に此方に来ます」
そう答えると
「そう、此方に来たら私の供として社交界に紹介しても構いませんか?」
と訪ねられ
「構いません、と言うよりそうしても恥ずかしくない教育を施して有りますから色々経験させてください」
その嬉しい観月の返答に
「二人の到着を楽しみにします」
その顔はとても嬉しそうだった
「それはそうとこちらでも鬼百合と阿のお二人に女神の騎士団の四人を鍛えて貰いたいのですか…」
観月が二人に言うと鬼百合が
「それは確かにそうだが感覚で生きてるアタイにゃ期待せんでくれ…」
と答え日頃の威勢の良さはすっかり影を潜めていたが
「まぁそれに関わりのある話になるんだがチサ…お前、みこみたく霊玉を産み出せるか?
出来るんなら幾つか分けて欲しいんだがな?」
そう頼まれたチサは
「自信は有りませんけどみこちゃんに教えてもらってご用意致しますけど?」
その答えを聞き
「あぁわかった、宜しく頼む
アタイらの方も戦力補充と自身の強化に勾玉を受け入れようと思うがお前はどうする?」
そう聞かれて
「敵が闇の者である以上戦力の強化は重要で我々は命を守りたいと願う真琴とレム、そして鬼百合…お前達の願いが具現化した者
だが命を守りたいと思うのは既に我々の願いであるのだから命にあだなす者が強いならこちらも強くなるだけの事
私の分も有るのか?」
そう聞いて
「取り敢えず手持ちはみこの勾玉と霊玉が四個ずつで真琴の勾玉が一個有る」
そう言ってニヤリと笑うと
「ならば私は蒼い霊玉を頼むが早い方が良いのか?」
と阿が聞くと
「いや、お前は未だ初めてだから今夜の夜会が終わってからで良い
アタイ自身も明日にしておくから取り敢えず六人の戦士を召喚しようと思う
観月、真琴が居らずみこも寝ちまってるからお前が代わりに埋め込んでくれるか?女神の依り代であるお前が…」
そう頼まれると「私がやっても構いませんがチサ、今まで祈りを捧げてきた成果を見せる時では有りませんか?」
観月にいきなり振られたチサが焦って
「そんな…二人の代わりなんて私には…」
と断ると
「チサ、お前がその気になれば…自覚を持てば出来ん事じゃないと思うぞ?
実際の話二人がやる時も然程魔力や霊力を使ってるようには感じんからな」
その会話を聞いていた王妃が
「もしやと思ってましたがチサ…貴女は精霊の巫女なのですか?
貴女から僅かに感じる霊気は火の系列の…まさかフレア様なのでは有りませんか?」
そう言われたチサはビクッと震え観月は
「さすがは司祭の里の血を濃く引きし伯母様、良く気付かれましたね
未だ未熟な私が精霊の巫女を名乗るのはおこがましい」
そう言うチサの意思を尊重し伏せてありますが伯父様や十四夜、十六夜にだけは場をも受けて貰いお話ししようと思います…宜しいですね?チサ」
そう言われたチサは
「はい、国王様や王子様達にはお話ししておくべきだと思います…」
覚悟を決めたチサの返事を聞き満足の笑みを漏らす王妃と観月だった
「鬼百合さん、勾玉と霊玉を貸して下さい」
そう言って渡された勾玉と霊玉を受けとると一つ一つ丁寧に埋め込むと命や真琴がしたのと同様に各々の結界を張り…
霊玉が召喚したのは船乗り風の瑞穂と柳水
勾玉がよびだしたのは忍者と呼ばれる特殊職業の斬刃とモリオンに白い勾玉が召喚した白檀に白蓮
「柳水、お前にこのアクエリアスの祝福を受けた銛を預ける」
そう言って命から船上で貰った銛を渡すと静かに頷くとその六人に向かい
「今夜は私達を歓迎する夜会がありますからユウ、六人を大公宮に案内し客分騎士の正装に着替えていただきなさい
チサも同行して手伝いなさいね」
そう言われ
「承知しました」
と答えユウの案内で大公宮に向かう六人だった
ユウの案内でチサと六人の戦士達が大公宮に向かってから暫くしてからりんが目を覚ますと居眠りしていた事に気付いて恥ずかしそうにしているのが微笑ましかった更に時が経ち目を覚ました命は起きていると言うのが微妙な程ボーッしていてミナが冷ましておいたお茶をを飲ませ覚醒を促した
それでもスッキリと目覚めない命に溜め息を吐いて
「しょうのない子ですが好都合とも言えますね…ミナ、ユカ、今のうちに夜会の仕度を済ませてしまいなさい
今なら可愛いドレスを嫌がるみこに着たくない言い分けをされずに済みますから捗りますね?」そう言われ苦笑いを浮かべて頷く二人は普段ならば絶対に嫌がる桜の花を模したドレスを命に目覚め無いよう慎重に着せ
髪型も桜色のリボンでローツインテに纏め赤い踵の高い靴を履かせた
逆にチサは赤いバラをモチーフにしたドレスを纏い黒いパンプスを履く予定
最後のりんは当然初めてのパーティーなだからお披露目のドレス
靴もそれに合わせて作られたシンプルな物でパーティー会場の給仕に立つ際にも履く靴が用意されている
そして食事の前の一時をを利用し王と王子達にもチサが
「私はみこちゃんとアクエリアス様の導きで火の精霊フレア様の導きを受ける巫女となった者です
ただ…余りにもの未熟さから観月様にお願いして今は未だ公表を控えて貰ってますから国王様にもそうお願いしても良いでしょうか?」
そのチサの告白と要請に
「それはつまり私達は教えてもらえる側の…隠さなくても良い者達なのだと思ってくれた訳ですね?」
そう改めて聞かれたチサは
「私達の事を妹同様に扱って頂いて王子ではなくお兄さんと呼んで欲しいって言ってくれた十六夜お兄さん、りんちゃんにも優しい言葉を描けてくださる王様
未だお言葉は交わしてませんけど優しい眼差しでみこちゃんや私見守って下さる十四夜様にお話し出来なければいつまでたっても誰にも話せませんから…」
そう言われ
「対極をなす二大精霊の巫女様が揃って我が国を頼ってくれ数ならぬ我が身に秘密を打ち明けていただき感謝します…巫女様よ」
そう言われ赤面するチサを十四夜がダイニングにエスコートしながら
「私の事もお兄さんと呼んでくれたら嬉しいよ?幼い頃は観月の居る睦月や如月が羨ましかったのだからね」
その息子の言葉を聞きながら或事を決意した王妃と予想通りの展開に満足する観月だった
そして第一部のディナーが始まりボンヤリしたままの命はミナの献身的な介添えでいつもと変わらぬ…
いや、デザート分も会わせるといつもより多く食べさせる事が出来大満足のミナだけどその代わりにミナ自身は手付かずのまま料理を下げられたが全く気にはならなかった
そんなミナにユカが
「王妃様が貴女の食事を取り置いてますから控え室で食べてきなさい」
そう言われても命を見て躊躇っているとミナのお腹から控え目な虫の音がなり
「ミナさんが手伝ってくれたからみこ、ちゃんとご飯食べれたんだから今度はミナさんが食べる番だよ?」
そう言われやっと
「承知しました、急いで食べてまいります…有難うございます、命様」
ミナにそう礼を言われた命は照れ臭そうに笑いながら
「違うよ、ミナさん…お礼ゆーのはとっててくれたおーひ様にだよ?」
そう言われて照れながら
「そうですね、ですが王妃様はお忙しい様ですから後程改めてお礼に伺います」
そのミナの言葉通りに来客の応対に忙しそうな王妃だった
今夜の主賓である観月と命にチサについてパーティーの開幕に際し
「今宵は特別な夜、和泉の女神の依り代と水の精霊の巫女のお二方のお越しを歓迎すると共に…
大公家の計らいにより控えられていた水の精霊の巫女、そして人魚姫の公表
ならびに命自身は大公家で社交界デビューを果たしているが水の精霊の巫女、人魚姫としての社交界デビューは今宵執り行えることになり使用人達も皆喜んでいる
その様な特別な夜を皆も共にこの訪れを祝い大いに楽しんで欲しい」
そう紹介してパーティーは始まったのだが命一人だけ例によって
「みこお姫様じゃないよって言ったのにぃっ!」
そう言って頬を膨らませて抗議を態度で表していると
「それでしたらいっその事本当にお姫様になりませんか?
私達なら貴女達四人を喜んで迎え入れますよ?」
そう王妃に言われその意味が判らずキョトンとして居ると最初のパートナーの十四夜に誘われダンスの和に加わった
因みに国王は観月、命、チサの順に踊り席に着き
十四夜は命、チサ、観月
十六夜がチサ、観月、命
帆風がユイ、ユウ、ユカで四人目にチサと踊り十六夜がユイの手を取ると
「この夜だけでなくこの先の人生のパートナーになって欲しいって考えてる
愛してるよ…ユイ」
と突然のプロポーズに赤面するユイと十六夜の思いに気付いていた十四夜は十六夜の背中を叩きながら
「ようやくコクったかっ!」
そう言って我が事の様に歓び王妃は
「今日はなんと嬉しい事が続く日でしょう、勿論私は大賛成ですよ」
そう言ってユイに受け入れを急かしたから国王が
「これ、その様に返事を急かさずとも…」
との国王の言葉に
「貴方は反対だと仰るのですか?」
そう言って妻に睨み付けられ
「いや、そう言う問題ではなく十六夜も先ずは交際を申し込むところから始めるべきではないかと…」
しどろもどろに答える国王だったがその二人の様子を見た人々は既にこの話が正式発表されるのも時間の問題だと感じていた
人々の視線が当事者の四人に集中してる隙を狙って命がバルコニーにエスケープを目論むも鬼百合にむんずと首根っこを掴まれ
「あのなみこ、もう少しで良いから場の空気読め
今のこの場の雰囲気を壊すような真似はすんじゃねぇよ…」
呆れ声で命に言い
「楽士さん演奏止まってるぞ?水の精霊の巫女様はここに居る
次のパートナーの者は迎えに来てやってくれっ!」
鬼百合がそう叫ぶと慌て演奏を再開する楽士達と
「はい、私がパートナーの栄誉を賜った者です」
そう言って鬼百合の元に来た青年は育ちが良く人当たりは良さそうだが線の細い頼りなさそうに見えた
「巫女様との一時をダンスのパートナーを勤めるのも良いのですがテラスで冷たい飲物を飲みながらお話ししませんか?」
その会話を聞いていた鬼百合が
「待ってろ」
そう言って食事を終えたミナを呼び寄せると
「二人はテラス席で飲みながら会話を楽しむそうだから欲しい物を聞いて運んでやってくれ」
そう言って二人に頭を下げると鬼百合は自らバーに向かいブランデーのストレートを頼むと軽く煽り会場の様子を見回した
「みこはこの前飲んだ綺麗な色のジュース」
「私はシャンパンをお願いします」
そう聞いて
「承知しました、お席にお持ちしますからお座りになってお待ちください」
そう言ってバーに向かうミナとテラスに向かう青年だった
暫くして飲物を用意して貰ったミナが二人に届け命の後ろに控えるとシャンパンを一口呑んだ青年がまず最初に
「先程騎士殿に担がれていたとき身体を丸めていたのは何故ですか?」
その様子を一目見て気になっていたこと聞くと
「あーユー時に身体を丸めないと賢い子に見えないぞって鬼百合にゆわれたからだよ?」
ストローを口から出しそう答える命を見ながら
鬼百合…先程の騎士殿の事か…しかしそれでは巫女様の事はまるで猫扱いだな?
そう思い内心苦笑いをしながら
「巫女様は…」
そう言って不機嫌そうな顔付きの命に気付きどうしたのだろうかと考えていると
「貴方が巫女様と様を付けているからですが…
命様、このお方は水の精霊の巫女の意味で巫女様とお呼びしてるご様子ですから仕方無いと思いますよ?」
そう言われ自分の方を見て
「そうなの?みこ、命様や人魚姫様と呼ばれるのあんまし好きく無いから…やだなって思って…ごめんなさい」
そう言って頭を下げる命の様子を可愛らしいと感じその後は命についての色々な話を聞いた
「いつもしてるのはお勉強とお歌のお稽古
お勉強は難しくて退屈だから嫌い、お歌のお稽古は楽しいから好き
大好きなのまこちゃんと翼ちゃんとチサちゃん…皆みこの大切な家族
甘えさせてくれるミナ、初めてのお友達のりんちゃんも好き
ユカさんも好きだし観月ちゃまやユウさん、鬼百合達も皆好きだし大公様やむーにいちゃまとキーにちゃまもすき」
そう笑顔で聞きながら
(むーにいちゃまとキーにちゃまもすき?あー公子の睦月と如月の事だな?)
と考えながら次の言葉を待っていると
「お舟の旅って楽しいんだね…お魚釣りもちょっと退屈だけど面白いしそれにね…マストに座って身体に風を受けてるととっても気持ち良かったんだっ♪」
と言うのを聞いて
「それならば近いうちに私の祖国も遊びに来て頂けませんか?」
と、誘われて
「みこ貴方のお国何処に有るのか知らないってユーか大公様のお家と王様のお家しか知らないんだよ、みこおバカだから…それにみこ一人じゃご飯も食べれないしお着替えも出来ないから観月ちゃまのお許しが居るんだよ」
そう言われてやはり精霊の巫女の交渉窓口は観月なのだと理解し納得もした
そして次のパートナーの帆風が迎えに来てホールに向かう命の後ろ姿を見送った
やがて命達の退場時間も迫り一休みもかねて楽士達の前に胡座をかいて座る鬼百合
そしてそのその足の上に座って演奏を聞く命に気付いたハープに奏者が舞台袖の裏方に声を掛けその者が
「ハープを奏でている者がお渡しして欲しいと言ってます」
そう言って古びた竪琴を命に手渡し舞台袖に下がると楽士達の休憩になりハープの奏者が命に近寄り
「命様は楽器の経験は?」
笑いながら命に聞くと
「次から命様ってゆったらお返事しないよ?楽器は触った事無いし見たのだって未だ二回目だよ…」
命の最初の言葉を聞いて嬉しそうに
「ならみこちゃん…とお呼びしても良いのですか?」
その言葉が余程嬉しかったのか満面の笑顔で
「うん、それが良いっ♪」
と答えると
「分かりました、みこちゃん…宜しければその子を貰って頂けませんか?
私の愛用していたお古ですが手に馴染みやすく扱いやすい初心者向けなんです」
そう言われ思うままに奏でて見ると全く分からないにも関わらず右手が勝手に旋律に乗って躍っていた
楽士達の小休憩が終わり再び演奏が再開されると命もそのまま演奏に合わせ竪琴を奏でる命
その命を見て
(やはり私の勘に狂いはなかった)
そう思って微笑む奏者だった
勿論今宵の夜会二部のクライマックスを盛り上げるのに一役買ったのは間違いなく
「今度はもっとお稽古してお上手になってるね、じゃあみことチサちゃんはお部屋に戻って寝るからお休みなさい」
そう告げる言葉はしっかりしていたけど眠気に負けそうで足取りは覚束無い命を阿が抱上げるとさすがに引き留めるものはなく
抱き上げられて安心したのか既に頭を阿の肩に預けうとうとし始めていたが会場の人達の優しい笑顔で退場を見送られた命とチサ二人に付き従うりんだった
それでも部屋に戻るのが精一杯なのはチサの目にも明らかで言われ通りに何とか着替え終えるとベッドに倒れ込む様に眠りについた
阿は命の着替えさせるミナの手伝いをしその後りんを布団の中に寝かせ直す
そしてそれらが終わるとチサの手により命の霊玉を埋め込まれると蒼い結界に包み込まれた
翌朝早く命達の部屋を覗き二人が寝ているのを確認し
船での着替えた服を洗濯して戻ると命の姿がなくおろおろするミナに気付いて目を覚ましたチサが
「ミナさんどうしたんですか?」
そう訪ねられ
「お恥ずかしい話ですが私が洗濯で席を外してる間に間に命様の姿が見えなくなりまして…」
そう申し訳無さ一杯に言うミナに
「大丈夫ですよ?お城の裏の方がざわついてますから多分みこちゃんがそこに居るはず…迎えに行きましょう」
そう言われても生きた心地のしないミナは顔面蒼白でチサの目からも痛々しかった
(みこちゃん…観月様から注意して貰った方が良いみたい)
そう考えながらミナを案内する事にしたチサだった
時は少し遡りミナが洗濯物を持って部屋を出たそのすぐ後に目を覚ました命はいつもの寝起きの悪さが嘘みたいにスッキリした表情で夕べ貰った竪琴を手に取り満面の笑みを浮かべると…
本当は今すぐにでも弾いてみたいけど我慢して部屋を出ると寝ている者の迷惑にならない場所を探してさ迷い出たのは良い…
一話抜けてました…