「全く面倒なことをしてくれたな、あの性能で各国が黙っていられると思うか?」
廊下を歩きながら、携帯で天夜さんに電話する。
多少苛立っているが、不可抗力ということで。
「社長なら何とかなるでしょう?それに
「そのために俺の仕事を増やすな、もう7つの国から情報の開示を求められてるんだぞ?」
桜夏と一夏の機体の性能は俺も知らなかった。
それにアレは危険だ、桜夏はもちろん一夏も無理だ。
俺の機体に付いていた機能、アレを一夏の機体に付けてやがる。
「アレは俺だから使えたんだ、一夏が使うと危険だ」
「弟子を信頼してはいかがです?私の
「信頼していないわけじゃない、時期が早いと言っているんだ」
コイツは鬼師匠と言っても言い過ぎではない。
口癖として「常に思考をしろ」と、常に言い続ける男だ。
確か修行と称して自分の部屋の掃除をさせたり、本を整頓させたり。
その部屋に最新の論文や理論があったり、本の中に彼女の知りたいことが乗っている本を紛れ込ませたりしている辺り、ちゃんと師匠はしているみたいだが。
今回は凄まじい性能を持つ機体を見せることで、それと同等クラスの機体を造れと暗に言っているらしい。
「まあいい、どうしたらアレは完全体になる?」
「一夏君が心の奥底から怒ったら完全体が出てきますよ、その他にもいくつかありますが」
「頭が痛いぞ、どれぐらいの再現度だ?」
「社長のモノとは方向性が違いますけど、最初の機体と同等以上ですかね」
「馬鹿かなんて物を付けてやがる、俺のは?」
「完成まであと少しですね、今は調整中です」
「急げ、できるだけ早く持って来い」
電話を切って学園長室に向かう。
十蔵さんと奥さんに状況説明と協力を仰ぐために向かっているのだが、十蔵さんが居るかどうか。
あの人の事だ、花壇とかにいるのではないか。
「失礼します」
ノックをして部屋に入る。
「来る頃だと思ってましたよ、座ってください」
「気が立っているようですね、お茶でもどうぞ?」
「さすがですね」
完全に読まれてた。
苦笑が溢れるが、勧められた席に着く。
席に着くと同時にお茶が置かれる、会釈してから口を付ける。
「御力をお借りしたいと思いまして」
「あら、どうします?十蔵さん」
「こらこら、そう言われてはお貸しする他にありませんよ」
「ありがとうございます」
轡木十蔵さんはアラスカ条約にて、日本全権で出席した人だ。
さらにその交渉において、IS学園を日本に設置させる事を全世界に承認させ。
その為との理由で、全部で500あるISコアの
コアの内のおよそ200がアヴァロンにあるので、それを除けば3分の1の数となる。
他の交渉役は十蔵さんの事を今でも夢に見ると言われているほどで、『舌戦無敗』とされている。
かく言う俺もこの人に手痛くやられている、特に夢には見ていないが。
「しかし私などに敬語など要りません、貴方は世界で最も強い者でしょうに」
「いやいや、貴方に敬語無しは無理ですよ、俺は貴方に世話になってますし」
「いやいやいや、貴方の方が権力あるでしょう?」
「いやいやいやいや、貴方の方が人脈広いですし」
「いやいやいやいやいや、貴方の人望は凄まじい」
何故にこんな事になっている。
いや理由は簡単だ、早く話を進めないからである。
早く話を進めよう。
「という事で、よろしくお願いします」
「では全て、手筈通りに」
「了解しました」
とりあえず要件だけ伝えた、それで終わりだ。
そうしなければ世界中でアイツ等の争奪戦争が繰り広げられる。
それでも俺が勝者になるであろうが、俺の本意ではない。
アヴァロンは
「それでは、ありがとうございました」
「じゃあ、私は花壇に行きますか」
何故か奥さんは消えていたが、十蔵さんとの話は終わった。
十蔵さんのために花壇を増設するのを条件に。
注:その花壇は無断で中に入ろうとすると、電撃が飛ぶ物になりましたとさ。
もちろん死ぬようなものでは―――
「ぎゃああああああああああああああああ」
「桜夏!?何やってんだよ!!」
「‥‥‥‥‥」
「黒焦げ!?」
――――あるかも。
少なくてすいません。
次から新章です。