「ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
敵が居る、己が居る。
俺の思考の全てを埋め尽くすのは、確かな殺意。
俺が未だかつて感じた事のない殺意。
「IIIIIIIIIIIIIIIIII」
「ガアアアアアアアアアア!!」
黒の機体が3機見える。
電子音を響かせ、こちらを威嚇しているように見える。
3機の機体は横一列に並ぶ。
まず真ん中の1機を蹴散らす。
そう判断した己は、身を加速させ、近づく。
周りの景色は見えず、この世界には己と敵しか居ない様に感じられる。
敵は思ったよりも怠慢な動きだった。
すぐに近づき、右の拳を繰り出す。
黒の機体に当たった拳は、その機体を吹き飛ばす。
「IIIIIIIIIIIIIII」
両脇の2機が己に剣を振り下ろそうとしている。
己は驚くほど自然に、己の翼に意識を向けた。
「ガアッ!!」
己の翼から衝撃波が発生し、黒の機体を吹き飛ばした。
そして己はまたも当たり前の様に黒の柱を構える。
向ける先に居るのは、殴り飛ばした1機。
黒の柱に意識を向けると、柱は漆黒の光を生み出した。
「コワセ」
その声が頭に響き、己は漆黒を打ち出す。
それは黒の機体に突き刺さり、その後ろの地面をも消し飛ばした。
「コワセコワセ」
またも己の頭に声が響き、己は残りの2機を壊しにかかる。
2機は己を取り囲むように位置を取り、円の軌道を描きながら移動し始めた。
己が1機に近づくと、別の1機から砲撃された。
己がそれを無視して近づいていた一気に攻撃を加えようとすると、その1機は離れた所に居た。
そんな堂々巡りが続く。
「コワセコワセコワセコワセ」
段々と頭の中に響く声は大きくなり、己の思考がなくなってくる。
そして完全に意識が途切れた。
「何故?知りたい?ありがとう、さようなら、抑制、待機、演習、訓練、進化、破壊」
続いて様々な声が響く。
幼い声から、大人のような声まで。
統一性といえば女の声であるということだけ。
幼い声は疑問を口にし、幼さの抜けきっていない声は感情を口にする。
大人のような声は様々なことを口にする。
「やはり君には、まだ早いのか?」
しかしその中に1つだけ、男の声が存在した。
その声は嘆いているかの様に語る。
「アアアアァアアアアアアアアァアアアアアアアァアアアアアア」
どこかで己の声がする。
その中でも男の声は続く。
【僕の声は君に、届くことはないのか】
その男はまるで己を待ち望んでいるかの様な声を出す。
【何故僕は君に会えないのだろうね】
【こうして声は届くのに】
【いつもいつもいつも】
【声は届くのに】
【君もダメなのか】
【君も、僕を見つけてはくれないの?】
【僕は、君を、知っている】
【君も、僕を、知っている】
【君と僕は隣にいる】
【僕を見つけてはくれないか?】
【織斑一夏】
【僕の名は――――】
「ぐっ!」
男の声が全て終わる前に、痛みが己を襲い、それによって意識が戻る。
しかし相変わらず己と敵以外にこの世界に認識できるものはない。
「IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII」
敵が6機に増えている。
しかも絶妙なコンビネーションだ。
1機が囮となり、他の5機で攻撃する。
全体に攻撃を加えようとすれば、全員で邪魔をしに来る。
攻めきれない。
「コワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセ」
わかっている、すべてを壊せばいいんだ。
それ以外に答えなどない、それこそが正しい。
故に己は壊す。
そうだ、己は、そのために生きている。
「アァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァア」
「一夏!!!」
「あ・・・」
あれは何だ?
己ではない、ならば敵か。
「コワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセ」
分かっているさ、あれは、て・・・き?
「一夏!!」
「コワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセ」
「一夏!!」
「コワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセ」
アレは何だ?
何もかもがない世界で、己と敵しか居ないはずの世界で。
アレは何だ?
なぜアレだけは敵ではないと思ってしまうのだ。
アレは何だ?
ならば己とは、ここにいるこの己とは何だ。
アレは何だ?
「コワセコワセコワセ」
「一夏ぁ!!」
「コワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセコワセ」
このコワセ、とか言い続ける声、正直うるせーよ。
お前のその声の大きさとウザさのおかげで、こっちは思考がまとまらないんだよ。
いやそれ以前に――――
「
そうだ、壊すなんて二の次三の次。
箒が第一だろうが、何考えてんだよ今までの俺。
全て壊す?そんな事したら箒まで壊しちまうだろうが。
だいたい何なんだよさっき聞こえた男の声。
僕を見つけろ?自分で出て来い。
【酷ッ!!】
出てこれんのか、ならさっきの語りは何だったんだ。
【こっちにしても予想外だよ!】
うっせ、グチグチ言うなよ。
それよりお前の名前ってなんだ?
【白式って言うんだけど・・・】
じゃあ・・・呼び方は
【色じゃないか】
いいだろ?赤とか黒とかよりは。
【色限定なの!?】
当たり前だろ。
それより白式ってことはアレだ、俺のISかお前は。
【うん】
じゃあ話は早い、あのウルサイ女の声を
聞くに耐えん。
【あ、うん】
ならば良し。
そしたらアイツ等壊すか。
【あの黒い奴?】
ああ、それ以外居ないだろ。
【うん!じゃあ壊そうか!】
なんで楽しそうなんだよ。
「うおおおおおおおおおおおおおおお」
まずは奴らの連携を崩す。
壁にめり込んでる“鬼神”を持つ。
そして高速で一番近い1機に近づいて、斬る。
その際に鬼神の能力を発動させる。
「IIII」
標的の機体は自らのブレードで俺の鬼神を防ごうとする、しかしブレードと鬼神が接触する瞬間に鬼神の側面にある鬼が赤黒く発光し、ブレードを壊して標的の機体を切り裂いた。
そしてその勢いで鬼神を近くの敵に投擲し、その敵を切断する。
「まずは2機!次ィ!!」
俺は壁に移動し雪片二型と雪片三型を回収すると、能力を発動させて敵に接近する。
まずは雪片三型を振るって斬撃を飛ばして敵の一番近い1機の体制を崩し、その隙にその1機に雪片二型を突き刺す。
さらに引き抜く力を使って雪片三型で切断する。
「んで、オラァ!!」
さらにその二本をこちらに接近していた1機に突き刺して、そのまま左右に振り抜き切断する。
そして二本を投擲し、こちらに砲門を構えていた1機を破壊。
「最後だ!!」
最後の1機が上空で砲門を構え、こちらに砲撃を行う。
それに対抗するため、先ほどの黒い柱を構え――――
【あ、それの名前は『
・・・・・・ケイオス・ロアーを構える。
そしてフルパワーに設定して――――
【吹っ飛びかねないからフルパワーは止めて】
・・・・・・70%に設定して、撃つ。
撃った瞬間、凄まじい反動と共に漆黒の光が天に突き刺さった。
「箒!!」
すべての敵を破壊した俺は、箒の所へと急ぐ。
「箒ぃ!!」
【一夏君って箒ちゃんの事が好きだよね、凄く】
悪いか。
【悪くはないけどさ】
白に当たり前の事を聞かれながらも箒の所へ文字通り飛んでいく。
「箒!」
俺が箒の目の前に来ると、箒は俺に平手打ちをした。
俺が箒を見ると箒は目に涙を貯めていた。
「バカ一夏!帰ってこないかと思ったぞ!」
うん、さすがに今回は全面的に俺が悪い。
意味の分からない言葉に流されて正常な思考を失ったとは言っても、箒を攻撃しようとしたわけだし。
「ゴメンな箒、心配かけて」
俺がそう言うと箒は俺に抱きついて、泣いてしまった。
俺はまだまだ弱いのだと痛感した。
もっと強くならねば。
【感動シーン中に失礼するけどさ】
うん?なんだよ白。
【君のお友達と模擬戦してた4人、忘れてない?】
あ、忘れてた。
注:一夏君が忘れていた5人は医療班が責任をもって回収いたしました。
「ゴメンな桜夏、皆」
「なんだよ、一夏らしくねーなぁ、別にいいんだよ!」
「ありがと、桜夏」
「ああ、なんて事ないぜ!」
「じゃあ、始末書はよろしくね!!」
「おお!まかしとけ!・・・って、うん?」
病室で泣きながら始末書を書く患者が居ましたとさ。
駄文&超展開、申し訳ありませんでした。
感想&質問、待ってます。