世界?相手取れますが何か?   作:クロレンス

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え?道場破りってこうだっけ? by.篠ノ之束

日曜日の朝、篠ノ之神社の隣にある篠ノ之道場には人がきはじめる頃。

 

私、篠ノ之束は朝食を家族でとっていた。

 

実は1年前までご飯を自分の部屋で食べていたので両親との付き合いが少ししかなかった。

しかし今は家族と、お父さんとお母さんと一緒に食べている。

 

これは私の友人星神(ほしがみ)龍虎(りゅうこ)のおかげである。

ちなみに私は彼のことをりゅーくんと呼んでいる。

 

彼に家族と食事をとっていないと言うと、彼は「あ゛!?とれ(家族と食べろ)!今日からでいいから!!」

 

親との付き合いが悪いと言うと、彼は「自業自得だ!それにだいたい親なんてちょっと可愛い子ぶれ(ふりをする)ば甘くなるもんだ!!」と不誠実極まりない事を言っていた。

 

言いにくいのだと言うと、彼は「よろしい!ならば説教だ!」と私の家に向かって走り去っていった。

 

それを私とちーちゃんが追いかけると、居間でお父さんとお母さんがりゅーくんに説教を受けていた。

なにがなんだか分からない私だったが邪魔になると思いちーちゃんと私の部屋で遊んでいた。

 

あ、ちーちゃんと言うのは織斑千冬と言う女の子であり私の友人だ。

 

ちーちゃんと遊んでいると、何故か上半身の服が無いお父さんと目と(ほほ)が赤いお母さんが部屋に飛び込んできて私を抱きしめた。

2人とも泣いていた。

 

ふと気がつくと、ちーちゃんが居ない。

ん?と思うとりゅーくんが縦長の紙を取り出し、『勝利!!』と見せてきた。

りゅーくんはちーちゃんを連れて、帰っていった。

涙が溢れてきたのは何でだろうか。

 

 

まあそんな事があり、家族で一緒に食べているのである。

 

 

「束?今日はどこかに遊びに行くの?」

お母さんが聞いてきた。

ちょっと前だったらうるさいと思ったかもしれないが、今はこういう普通の事がひどくうれしい。

 

そのため普通に私は答えた。

 

「特にないよ。ちーちゃんかりゅーくんが来れば別だけど」

そうするとお母さんが頭をかしげた。

 

「あれ?龍虎くん、さっき神社に居たわよ?」

え?居たの?

居るなら遊びに来てくれてもいいじゃない。

 

「む~~」

私の(ほほ)は知らぬ間に膨らんでいたらしく、お母さんが口を押さえて微笑んでいた。

 

「本当に束は龍虎くんが大好きなのね」

私は顔が赤くなってしまい、お母さんはそれを見てさらに笑みを深めていた。

 

「ごちそうさま!」

そうこうしているうちに私は朝食を食べ終わった。

 

「ふふ、おそまつさま。そうだ、お父さんを呼んで来てくれる?束」

お母さんがそう言うので、私は道場で弟子の人に剣道を教しえていたお父さんを呼ぶために、道場へ向かった。

 

 

「「「「せい!せい!せい!」」」」」

道場にはもう20人以上の弟子の人が居た。

私が道場に入っても誰も気がつかないほど、みんな熱心に剣を振っていた。

 

私はお母さんに言われたことをお父さんに伝えるため、お父さんに近付こうとした。

 

 

「たーのもー!!」

その声が響くと同時に道場に凄く大きい門の扉が飛んできた。

 

声の主であろう門を飛ばした犯人を見ようと、飛び込んできた門の近くに近寄るとそこにはお父さんがいて、鋭い目で門のあったところを見ている。

思わず震えてしまうほどの気迫だった。

 

「束!?離れてろ、道場破りだ。しかも古天武術の流派のどれか一つだ」

『古天武術』これは昔からある武術の中でも個人を圧倒的な存在にするための武術の事をさし、まさに一騎当千の武人をつくるための武術だ。

 

『古天武術』は流派自体の数がごく少数なため、その流派の名前は表に出回ることが多い。

しかし出回っている流派はそこまで強くないらしい。

つまり知られていないほど、強いと言う事だ。

例外もあるが。

 

前にお父さんに聞いたことによると、『古天武術』で強い流派といえば、4つに絞られるらしい。

 

1つめ、家の『篠ノ之流』

 

2つめ、表で有名な中では最強である『心神鋼天(しんしんこうてん)流』

 

3つめ、忍が創ったと言われる『風神先殺(ふうじんせんさつ)流』

 

4つめ、誰が修めているのか、まったくと言っていいほど分からない『天龍神虎(てんりゅうじんこ)流』

 

お父さんが言うにはこの中では分類が違うのだと言う。

 

 

正々堂々を基本として打ち込みの仕方、筋肉の使い方、防御の受け流しなどを極めたのが『篠ノ之流』

 

防御こそ至上にして絶対の信念のもとに絶対防御と隙を見て放つ一撃必殺の攻撃を持つ『心神鋼天流』

 

速度と一撃絶殺を極める回避をしながら相手に放つ攻撃の一つ一つに絶対の威力がある『風神先殺流』

 

前の3つと隔絶(かくぜつ)された絶対勝利の流派といわれている『天龍神虎流』

 

直接比べられない物もあるが、一番強いのが『天龍神虎流』で次に他三つが入るらしい。

 

私なりの解釈はこうだ。

 

『天龍神虎流』>『篠ノ之流』≧『心神鋼天流』≧『風神先殺流』

 

まあこんな話はどうでも良いとして、私が言いたいのは『古天武術』はとんでもないものだと言う事だ。

 

 

「束!早く離れてろ!」

お父さんが少しあせった様に言う。

 

私が頷いて離れようとすると先程門を壊した人の声が響いた。

 

「それはこまるな。その娘をいただきに来たんだから、居てもらわなくては」

私はその声にドキリとした。

その声が―――

 

「りゅーくん?」

私の思い人であるりゅーくんであったからだ。

 

「道場破りだ!俺が勝ったら看板と一人娘をもらおうか!」

しかしりゅーくんは5歳である、普通は相手にしない。

 

彼から流れる圧力が無いならの話だが。

 

私にも容赦なく浴びせられるその圧力に私は震えだしてしまった。

周りを見ると弟子の中にも震えている人が何人か居た。

 

「くくくく。さあ、行くぞ?」

りゅーくんがゆっくり構える。

構えは少しだけ手をあげて、少しだけ腰を落とした形。

何も知らなければ、今から走り出そうとする体勢に見えた。

 

その動きにはじかれるように弟子の人たちが急いで構える。

次いでお父さんもゆっくりと構える。

構えは私が何度も見てきた、『篠ノ之流』の形だ。

 

私は後ずさって行って壁にぶつかると同時にハッと気がついた。

りゅーくんは無手だ、弟子の人やお父さんは木刀を持っている。

 

これは危ないのでないか、そう思った。

 

「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

弟子の人の内1人が威圧に耐え切れず木刀をりゅーくんに振り下ろすまでは。

 

「ふっ」

短い息と共にりゅーくんに木刀で殴りかかった弟子の人が吹っ飛んだ。

 

私には何が何だか訳が分からなかった。

殴りかかった弟子の人の木刀がりゅーくんに触れるか触れないかのところで、りゅーくんが少し動くと次の瞬間んにはもう弟子の人は吹き飛んでいた。

 

「今のは、篠ノ之流?しかし心神鋼天流にも似ていた」

お父さんがりゅーくんを警戒しながらもそうつぶやく。

 

「こないならこっちから行くぞ」

そう言ってりゅーくんはもう少し腰を落とした。

 

そしてりゅーくんの姿がぶれたかと思うと―――

 

「ぐはっ!」

お父さんの前に居た弟子の人が倒れていた。

 

りゅーくんはその人の立っていたところに立ち、木刀を持っていた。

 

「おいおい、こないのか?看板と娘が持っていかれるぞ?」

そうりゅーくんが言うとお父さんが一歩前に出た。

 

「龍虎くん、君の流派は何なんだい?さっきのは風神先殺流に似ていたが、その前は心神鋼天流に似ていたが篠ノ之流にも似ていた。君の流派はなんだい?」

お父さんからそう言われたりゅーくんは少し考えるそぶりをして、こう言った。

 

「全部」

 

「「「「「え?」」」」」

りゅーくんが言った言葉にお父さんや弟子の人たちは唖然としていた。

そう言う私も唖然としていたのだが。

 

何故か、それは簡単だ。

 

この三つの流派は絶対に複数習得ができないからである。

才能云々の前に三つは無理である。

 

どこかに二つ習得した天才が居るとの事だったが、三つは無理だ。

 

………と、お父さんに聞いた。

 

 

「な、なら君はあの古天武術を三つ習得しているのか?」

 

んにゃ(いや)、ちがう」

 

「え?ならさっきのは・・・・・」

りゅーくんの言葉の意味をみんな理解できていなかった。

そう言う私も分からなかった。

 

みんなりゅーくんの次の言葉を待った。

 

「言ったろ全部って」

 

「だから、心神鋼天流、風神先殺流、篠ノ之流、この三つだろう?」

 

「だ~か~ら!全部!それに天龍神虎流も入るんだよ!だから四つだ」

 

「「「「「え?」」」」」

みんなさらに唖然としていた。

 

それはそうだろう。

誰も知らない流派を知っているだけでも凄いのに、他の古天武術も全て取得済みといったのだ。

 

これは人間兵器といっていいだろう。

 

「ま!刷り込みはできてないから、自分のものって言うよりは真似しているって言うったほうがいいかな」

 

「それでもすごいな」

 

「え?そう?ふへへへへへへへへへへへへへ」

お父さんが言った事にニヤニヤするりゅーくん。

 

「へへへへ。まあもうそろそろ行くぜ?待ったなしだ!」

 

「「「「「っ!!!」」」」」

 

そこからは私の目では攻撃や防御は見えず、りゅーくんが弟子の人やお父さんと衝突して言った風にしか見えず、何にも言えなかった。

 

「ぐぅ」

 

「がっ!」

 

「ぐふ!」

 

「ぎっ!」

 

「ぶべら!」

 

「ぶげら!」

 

「もげら!」

 

「もげろ!じゃ無くて吹っ飛べ!」

 

「ぐはぅ!」

 

「おうぇ」

 

「ぐぴゃ!」

 

1人また1人と弟子の人は倒れていき、ついにはお父さんしか立っていなかった。

 

お父さんもボロボロで、もうすぐ倒れるような様子だった。

 

「もうあきらめてくれませんか?さっきから防御していた左手が痛くて痛くて」

 

「そんなわけにはいかんな!看板はどうでも良いとして、娘はやれんな」

 

「じゃあいりませんよ?別に看板もいらないし」

え?空気が固まった。

ボロボロながらも起き上がっていた弟子の人も固まっていた。

 

みんなが言った、では何故来たのかと、何がしたかったんだと。

 

みんなボロボロながら立ち上がってりゅーくんの言葉を聞こうとしていた。

 

「あ~、昨日見た漫画でこういうのがあってさ、カッコいいな~と思って」

 

「「「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」」」」」」」」」

後ろ髪を掻きながら言うりゅーくんに、みんなが最後の力を振り絞ってつっこんだ。

 

次の瞬間みんな仲良く気絶し、立っているのは私と申し訳なさそうにしているりゅーくんだけであった。

 

 

 

 

 

これが私の大切な日常である。

 

 

…………でも、道場とか門とか誰が直すのかな?

 

 

3日後にクレーン車でりゅーくんと私が直したのは、余談である。

 

 

 

注意:今話に出てきた流派は本編に出てくる可能性がほぼゼロです。

 

 

 

 

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