・重ねて申しますが、東方の二次創作です。
・キャラ崩壊要素や、設定の独自解釈などがあります。
・主人公は異世界人という設定です。よくある転生ではなく、転移、いわゆる幻想入り(非正規手段)です。
・主人公が割とエンタメに通じておりますが、仕様です。
・主人公の持つ『能力』は最強、というよりはチートの部類に入ります。
・主人公自身も最強クラスです。成長もガンガンしていきます。
・主人公の行動理念は帰宅、と隣人愛。至ってシンプル。
・作者は東方キャラだとルーミアが一番好き。
以上の点にも注意してください。
とある世界に一人の少女がいた。過酷な運命を背負って生まれ、後に偉業を成し遂げる。
その隣には常に女性がいた。その身一つで道を切り開き、弟子に全てを伝えた。
その少女はあまり感情を表に出さない子だった。………少なくとも本人はそう思っていた。
その女性は感情を表に出さない、寡黙な人だった。………少なくとも周りはそう思っていた。
二人は師弟であった。
そんな二人が転移装置の故障で本来の目的地ではない世界に飛ばされたことから話は始まる。
その世界のうち、二人が飛ばされた場所はこう呼ばれている。―――幻想郷…と。
■
「目の前は食べられる人類?」
「良薬は口に苦しって言葉、知ってる?」
そんなやり取りから戦いは始まった。
スペルカード・ルールに従い、非致死性の『弾幕』を打ちながらルーミアは相手の紅白――博麗霊夢に話しかける。
「私は別に今回の件にはかかわりないわよね?」
「知ってるわよ。そんなこと。」
ルーミアの言う今回の件、とは現在も夜空を覆っている赤い霧の事である。恐らくこの巫女はこの異変を解決するために動いているはずなのだ。
「だったらなんでかしら?」
「あんたは妖怪、私は博麗の巫女。それ以外に何か理由が必要?」
「横暴だわ―。ひどいー。」
「そのくせ弾幕は止めないのね。」
ルーミアのスペルカード、夜符『ナイトバード』を余裕の表情で回避しながら霊夢は言った。
「攻撃をやめたら退治されちゃうでしょう?」
「自分から吹っ掛けといてよく言うわ。――――スペルカード、ブレイク。」
ルーミアのスペルカードが突破される。結局、被弾どころか掠り――グレイズすらしなかった。
「やれやれ、私の負けね。スペルカード・ルールにはまだ慣れてないってのに。ひどい巫女ね。」
「別にあんた程度なら普通に戦っても勝てるわよ?」
「はいはい、私はどうせ弱小妖怪ですよ。」
ルーミアとの会話もほどほどに、霊夢は何処かへと飛び去って行く。
恐らくは異変の元凶のところだろう。ルーミアには興味もないし、行く意味もないが。
「はあ。体が痛いわ。殺傷能力はないけど割と威力あるのね……弾幕って。」
文句を誰に聞かせるでもなく呟きながら、ルーミアも移動を始める。別段目的があるわけでもないのでどこに行くでもなくさまよっていると、妙なものを見つけた。
なるほど。久々の『ごちそう』だ。
□
状況を整理しましょう。
私の名前は向野 華(こうの はな)。14歳で、三人姉妹の一番下。
いえ、個人情報はどうでもいいですね。えー、状況、状況。
確か私はうちの師匠と一緒に異世界探索に出かけたはずです。姉さんの会社で作った異世界移動機か何かを使って。
それも踏まえて、現在の状況はと言いますと。
見知らぬ森にいます。――異世界ですからね。確か近代化が進んだ世界だと聞いた筈ですが、まあ、森ぐらいあるでしょう。
寝転がっています。恐らく気絶していたのでしょう。――まあいいです。異世界移動は結構酔うらしいですし、気絶位ならあり得ます。
傍らには金髪の少女、いえ、幼女?がいます。――まあ、別におかしくはありません。
その子はお食事中のようです。――まあ、別に構いません。
私の右手はその子の口に入ろうとしています。―――食人趣味ですかね。別におかしくは――――
何ですかこの状況。異世界で金髪幼女に食べられかけてるってわけですかそうですか。
はい。危機的状況ですね。とりあえず右腕にかじりついた幼女を左手で殴り飛ばして距離を取ります。
右腕の肉を少しもっていかれましたが大したことじゃありません。脳内で目標設定。
1、現状脱出。2、現状のもう少し正確な把握。
って、そんな悠長なことしてる暇じゃありません。めちゃくちゃ危機的状況。
■
幻想郷において、人間と妖怪の間にはいくつかのルールが存在する。
その中で、人間の里の人間を食べてはいけないというものがある。
そのため、ルーミアからすれば生きた人間などめったに手に入らないごちそうなのだが、今日は運が良かった。
魔法の森と呼ばれる地域に人が倒れていたのだ。本来ならばそのまま無視するが、その人間は見慣れない衣服を着ていた。
人間の里に住む人間はたいてい和服なのだが、その人間は素材すら定かではない、特殊な衣服を着ていた。
明らかに里の人間ではない。つまりは、外界から隔絶された幻想郷に迷い込んできた人間――ルーミアにとっては『食べてもいい人類』なのだった。
その人間は気絶していた。本当に運がいい。
十代前半ぐらいだろうその少女は細く、華奢な体格だった。肩口で切りそろえられた美しい黒髪から、栄養状態もよく、育ちがいいこともわかる。
とりあえず、右腕からかじりついてみる。拘束などしなくてもルーミアの力なら、この少女ぐらい簡単に抑え込める―――そう思っていた。
まず感じた違和感は、硬い…という事だった。かじりついた右腕は異様に硬く、ルーミアが全力で噛み付いても肉にほんの少し食い込んだところで止まってしまう。
次に感じた違和感は自分について。ハッキリと何がおかしいとはわからないが、何かがおかしい。
そして、次の違和感。その少女が目を開き、自分を見つめている―――次の瞬間には殴り飛ばされていた。
確かにその少女は人間だった。匂いも、血肉の味も人間そのもの。だが、今見せた筋力は――――
□
とりあえず殴り飛ばしましたが、感触でわかりました。この程度では戦闘不能にはできないと。かなりの強度です。少なくとも一般人だったら顔面陥没待ったなしの一撃だったのですが。
「一応、聞いておきます。あなた、何者ですか?あと、ここはどこですか?」
相手がいるであろう方向に声をかけます。どうやら言葉は通じているらしく、返答がありました。
「私はルーミア。宵闇の妖怪って呼ばれてるわ。ここは――って、難しい質問ね。幻想郷の魔法の森って言われてわかるかしら?」
割と丁寧に答えてくれました。結構理性的な人(?)のようです。これは、交渉が可能かもしれません。
「いえ、聞いたこともない場所です。ええっと、異界座標とかご存じですか?」
「なにそれ?」
異界座標というのは、異世界移動の時の指針となる数字……住所みたいなものです。
予想はしていましたが、異世界旅行のできる世界ではなさそうです。どうやって帰ればいいのでしょうか。
「ええと、では、先ほど何をしていたのか質問しても?」
「いいけど、私からも質問いいかしら?」
「どうぞ。」
「貴方は、食べてもいい人間?」
どうやら、諦めてはくれないご様子。でしたらこちらの返答は決まっています。
「構いませんが、相応の抵抗はさせていただきます。」
「顔にはそう書いてないけど?」
「では、わかりやすく。徹底抗戦させていただきます!!」
本心は一つ。食われてたまるかぁ!です!!
■
改めて対峙し、その姿を観察する。先ほども見た通り、華奢な少女。それだけだ。
博麗の巫女のように独特な雰囲気を持つわけでもなければ、強大な妖怪のようにその身から莫大な妖力を放つわけでもない。
何の力も持っていないはずなのに、妖怪である自分が気圧される。戦闘前の極限の緊張状態の中、ルーミアは考える。
『いったい何者だ?』
『どこから来た?』
『勝てるのか?』
そんな思考が次々と生まれては不要と判断され、消えていく。
疑問は尽きず、増えては消えていくが、その中で消えない疑問が二つあった。
『これほどの人間、どんな味がするのか』
『自分はどうしてしまったのか。』
これほどに特異な人間である。味はもとより、自分の力も強化されるかもしれない。
いや、すでにその兆候は出始めていた。眼前の少女の血肉をほんの少しとはいえ食らったことによるものか、ルーミアの妖力は増大を始めていた。
もともとかなり高い妖力が更に上昇する。それに伴って、人格が変貌――――いや、回帰し始める。
「ああ、素晴らしいわ。あなたの力、もっと喰らいたくなる!!」
「いやー、狂人が初戦の相手とか……ははは。」
今のルーミアを占めているのは長らく忘れていた感情――――すなわち、戦闘への高揚感。そして……
―――――精神全てを埋め尽くす、凄まじいまでの食人欲求。
「こんなに楽しい気分は久しぶりよ!さあ、殺し合いを始めましょう!!」
そこにいたのは先ほどまでの弱小妖怪ではなく、血に飢えた妖怪であった。
□
明らかに危険な手合い。こういう時こそ落ち着いて。師匠に教わったことを思い返します。まずは状況整理。
敵の戦闘力――――未知数。少なくとも、人間以上。過去最強の敵を五割増しぐらいで想定。
自身の戦闘力――――右腕にダメージはあるが、許容範囲。全力戦闘に支障なし。
敵の目的――――不明。平和的手段での戦闘回避はほぼ不可能。
「仕方ない………ですか。」
全力戦闘を開始します。かなり久々ですが。
切り札は温存しつつ、無駄なダメージを極力抑え、出会った中で暫定最強の敵を倒す。なかなかハードじゃあないですか。
■
目前の少女が動いた。いや、おそらく動いたのだろう。視認が不可能な速度だった。消えた、と思えば目の前にいて、拳をふるっている。しかし拳が目標に到達する前に、ルーミアの能力、闇を操る程度の能力によって闇が集められ、周囲を覆った。ただでさえ暗い夜の森が完全に闇で満たされる。
これで少女の視覚は封じた。ルーミアも同じだが、こちらには嗅覚も聴覚もある。一撃に吹き飛ばされても、こちらが一方的に攻撃できる。
だが、何を思ったのか、少女は拳の勢いを落とすと、ルーミアの体に押し付けた。その突飛な行動に虚を突かれた時
―――すさまじい衝撃が全身に広がった。
意思とは無関係に、ルーミアの体がその場に崩れ落ちた。恐らくはこれを狙っての行動。マズい…と思った時には少女の強烈な回し蹴りが脇腹に叩き込まれていた。
□
接近してみたら周囲が真っ暗になったので路線変更。本来は攻撃した後距離を取る戦法で行く予定でしたが、この暗さだとまず間違いなく見失います。それなら二発重いのを入れておこうということで。
師匠が集めていた異界の文献―――というか漫画の中に使えそうなのがあったのでお借りすることにしました。接近し、相手と密着、全身のパワーを拳から一気に叩き込みます。さすがは千年の不敗伝説を持つ殺人拳。正体不明の幼女さんも見事に崩れ落ちてくれました。そう、吹き飛ぶのではなく、崩れ落ちる。漫画の描写通りですね。追撃として脇腹のあたりに全力の回し蹴りを叩き込み、吹き飛ばします。
暗闇に目が慣れるのを待っている暇はありません。視覚を選択排除し、聴覚と嗅覚、ついでに第六感を駆使して相手の位置を判別します。
■
目論見はすべて外れた。視界を奪っても少女は正確に位置を捕捉し、攻撃してくる。その一撃は堪え切れるような威力ではなく、よけきれるような速度ではない。ガードの上からでもお構いなくその拳はふるわれ、ガードに出した腕のほうが砕けてしまう。もはや肉弾戦での勝ち目はないだろう。それほどの相手だった。
ならば、別の手で攻めるまでだ。
□
あの幼女さん、ルーミアさんの気配が離れていきます。というか、空にいる?跳べるんでしょうか?だとすれば厄介です。私は空中移動はほぼできませんし。
と、空中から異様な気配、いえ、エネルギーの塊のようなものが。なんと言えばいいんでしょう。これ。一番しっくりくる表現としては気弾あたりでしょうか?近距離戦では不利と考えて遠距離に切り替えてきた。と。
拙い。すごく拙い。さすがに私は気を体外に放出したりはできません。遠距離攻撃は射撃だけ。射撃にしたって目の前の妖怪に効くかはわかりません。
いえ、絶対効かないでしょう。殴った感触的にかなり頑強な体ですし。
どうしましょうかね?
■
妖力が増大したことで能力が変化したのか、闇の中を見通せるようになった。弾幕を放つ手は止めず、少女の姿を確認する。少女は目を瞑り、かすり傷一つ負わない姿でそこに立っていた。
先ほどの霊夢と似た状況ではある。だが、状況は大きく違う。
彼女は、周囲にモノが多く、回避方法が限られる森の中で、飛行せず、視界を封じられながら、ルーミアの放つ致死性の隙間のない弾幕を回避し続けているのである。
「嘘……でしょう……?」
動揺しつつも、さらに弾幕の量を増やす。すでに周囲は弾幕で埋め尽くされ、地面は数え切れないほどのクレーターに包まれている。それでも、少女にかすり傷一つ負わせることはできない。隙間があればそこに入り、なければ拳をふるい、弾幕をかき消す。もはや人間どころか、妖怪にも難しいであろう不可能弾幕を身体能力のみで躱し続けているのだ。
「あれが、ニンゲン……?本当に……?」
少なくともルーミアにはそれが信じられない。何をしているのかはわからないが、拳によって弾幕がかき消されるなど初めての経験だ。混乱していた。だからこそ、見逃してしまったのかもしれない。
その少女が跳躍した。一跳びで10メートルはある木の頂点に飛び乗った。木の先端、細い枝の上に平然と立っている。
「これ以上続けても何にもなりませんし、ここは引き分けってことにしませんか?」
「ふざッ……けるなぁっ!!!!」
激情に任せ、全力の弾幕を放つ。闇符『ダークサイドオブザムーン』。スペルカード用の物ではなく、全力で放つ致死性の弾幕。無数の光弾が少女を包む。
□
接近戦は無理。私は飛べない。しかも相手の気弾は隙間なく放たれ、避けることは不可能。どうするか。
偉い人は言いました。
『隙間が無ければ自分で作ればいいじゃない。』
その手があったか。発想の勝利というやつです。しかも私はそれができるであろう格闘キャラを知っていますし、私もその漫画の技を練習して習得していたりします。さっき参考にした漫画のキャラよりも人間離れしてる気もしますが。
やることは単純。全力で拳を振りぬく。それだけです。それに付随して真空波が発生し、目前の光弾をかき消します。あとはこれの繰り返し。さすがは傭兵王国の戦闘技。どうにかなりました。
隙を見て近くの木に登ります。私の第六感は動かない物の気配すらとらえてくれます。頼もしい反面、いったい何を感じ取っているのか疑問に思います。まあ、そんなこと考えても答えは出ないでしょうし、どうでもいいのですが。
このまま戦闘を続けても双方消耗するだけな気もするので、交渉を申し込んでみますが――
「ふざッ……けるなぁっ!!!!」
とのこと。さらに私の全方位から先ほどの気弾の気配。私は今木の天辺にいますし、逃げ場ないですね。
『逃げ場が無ければ)ry』
ク○ダ流交殺法陰流、口伝絶命技!『空牙』!!!
大きく振りかぶり、振り下ろした手の五指から真空波が放たれます。そういう理屈なんです。少なくとも漫画の中では。実際に真空波なのかはよくわかりません。
本来は近距離で放つ技です。今回は遠いためルーミアさんに大したダメージは通らないでしょう。ですが、周囲を取り囲む気弾は前方部分を中心にごっそりと消えました。ちなみにこの技、空中に五本の牙痕が残るというめちゃくちゃカッコいいものなのですが、私視点からはいまいちよく見えないので残念です。私以外には使える人いませんでしたし。
とにかく、道は開けたのです。
■
無数の弾幕に囲まれた少女がまるで何かを投げるかのように振り上げた腕を勢いよく振り下ろした。
次の瞬間、五本の衝撃波?のようなものが発生し、弾幕の群れを薙ぎ払った。一本はルーミアにも直撃し、その体を吹き飛ばした。
激痛に耐えながら目を開ける。その目前には。
――――ルーミアは知らないことであるが、その少女はいくつかの二つ名を持つ。
『茨の姫君』
『薔薇の毒牙』
『誘蛾灯』
それらは全てその外見と不釣り合いな戦闘能力から付けられたものである。
かつて、彼女がいた世界において彼女はこう評されたことがある。
曰く、『天下無敵』、あるいは『一騎当億』、『破軍』と。
彼女の戦闘能力は億単位の兵隊に匹敵し、それを破るほどであったことを示す二つ名である。
跳躍によってルーミアに追いついたその少女の拳が振るわれる。
頭部を叩き潰さんばかりのその一撃をまともに食らい、地面に叩き付けられてルーミアの意識は途絶えた。
■
紅魔館の門番であった紅美鈴は紅白の巫女に撃破された後、何をするでもなく空を見ていた。
紅魔館においては彼女が唯一の発見者だった。
空に走る牙痕。すなわち宵闇の妖怪と異世界人の戦いの余波である。だが、彼女はそれが一個人の手によって起こされたとは考えられず、不思議な自然現象だと考えた。
人里でも、ソレの目撃証言は相次いだ。様々な憶測が飛び交った。
曰く、『どこかの妖怪による攻撃だ』
曰く、『巫女と妖怪の戦いの余波だ』
曰く、『世界を食らう妖怪の牙痕だ』
どれも憶測であり、明確な証拠なども出てこなかったため、それ以上は広まらず、一部の人間の間を賑わせるにとどまった。
□
痛烈の一撃だったのですが、ルーミアさんは普通に五体満足です。一般人であれば『空牙』の時点で千切れ飛ぶこと確定なんですが。ちなみに、全力ではなく5割ぐらいの『空牙』です。全力はいろいろと危険なので自重しました。
と、うめき声を上げながらルーミアさんが起き上がりました。
「うー、体が痛い……―――――――さすがにもう動けないわよ…」
どうやら落ち着いたご様子。ゆっくりと話ができそうです。
「えっと、とりあえず自己紹介を。私は向野 華。別の世界から飛ばされちゃったみたいです。」
「華……でいいかしら。」
「構いませんよ?」
本音を言うと最初から呼び捨てなんてちょっと照れちゃうんですけどねぇ。
「それって幻想入りしたってことでいいかしら?」
「幻想入り?」
ルーミアさんに聞いたところ、ここ、幻想郷は忘れ去られたものを取り込むような性質があるんだとか。
「うーん、違うと思いますよ。私まだ忘れられたりしてないですし。あと、自分から来てますからね。何より、私はその『外の世界』の住人じゃないと思いますし。」
「だったら、異世界人ってことかしら。」
「まあ、その解釈でいいかと。」
「で、事故で流れ着いてしまったから元の世界に帰りたいってこと?」
「そんなところです。」
「外の世界に帰すならまだ簡単なんだけどねえ……」
そういうとルーミアさんは考え込んでしまいました。
私の帰還ってそんなに難しいことなんでしょうか。そういえば、一緒に飛ばされたはずの師匠はどこに消えたんでしょう。あの人も見つけ出さないとなんでしょうか。
それにしても、ルーミアさんって私より幼く見えますが、精神年齢はかなり高そうですよね。一体何歳なのやら。失礼に当たるので直接聞いたりはしませんが。
「考えても仕方ないわね。とりあえず博麗の巫女に話を通しましょう。」
「はくれいのみこ?」
「幻想郷を覆う結界の管理者よ。幻想入りの時は大体巫女が解決してるし、一応意見を聞いときましょ。」
「なるほど。その人にはどこに行けば会えるんです?」
「――――――今すぐ?」
「まあ、できれば。」
面倒事は先に片づけるのが私の性分です。
「だったら案内してあげる。ついさっき会ったばかりだし。」
「ありがとうございますー。」
「礼はいいわよ。さっきのお詫びみたいなもんだし。」
「?」
「久々に力が戻りかけたもんだから暴走してたみたいなのよね。迷惑をかけちゃったみたいだし。」
「別にケガとかしてないし気にしないんですケド。」
■
暴走気味だった頭が冷えればそこには痛む体が残るのみ。あれだけの戦闘をして息一つ切らしていない少女――華にも驚きだが。話の流れ的に、異変解決中の霊夢に乱入戦を仕掛ける形になっているが、その方が面白そうなので言わないことにする。人間対異世界人の対決なんて心が躍る。
それにしても、先ほどの暴走は何だったのだろうか。行き場のない怒りのようなものが胸の内にあったのを覚えているのだが何に対しての怒りなのか、さっぱりわからない。考えても仕方がないことのような気もするが。
今は現在霊夢がいるであろう紅魔館に向かっている途中である。ルーミアは飛んで、華は走って向かっている。現在は紅魔館近くの湖…霧の湖と言われる場所なのだが、彼女は平然と水面を走っている。本人に聞いたところ、スピードを落とさなければ大丈夫とのことなので純粋な身体能力の産物らしい。ちなみにこのあたりに出没する氷精は邪魔なので闇に包んでおいた。
「いやぁ、結構疲れるんですよね。」
言葉とは裏腹に汗一つかかずにいう。呼吸が少し乱れてはいた。
「で、あの真っ赤なのに博麗の巫女がいるんですか?」
「まあ、訪問中ってとこね。ちなみに、霊夢は私を倒した相手よ。油断しないでね?」
「幻想郷には化け物しかいないんですか……」
ルーミア内のバケモノランキング暫定一位が何か言っている。
「そう言えば、貴方ってなんか特殊な能力とかあったりする?」
「能力ですか?うーん。ここでの能力ってどんな風に表現されます?」
「?まあ、自己申告制で、○○する程度の能力って感じかしら。」
「だったら、『無限に成長する程度の能力』って言えばわかりやすいですかね?」
ルーミアの中の化け物ランキングから暫定の文字が外れた。規格外というか、反則もいいところだ。
「そこまで便利なものではないんですけどね。」
「なんかあなたの規格外さに納得がいったわ……と。」
目前には真っ赤な門。紅魔館の入り口である。門前にはここの門番である妖怪が立っている。
「何用だ。」
「さっきここに来た紅白の巫女に用事があるんだけど。通ってもいいかしら?」
「悪いがお嬢様の許可のないものを館内に入れるわけにはいかん。」
「急ぎのようなんですけど……ダメですか?」
「特例は認められない。ダメだ。」
「だったら、無理やり侵入します。」
華が臨戦態勢をとる。あまり面白い戦いにはなりそうにないが、とりあえずルーミアは傍観することにした。
後語り:ミニ
いかがだったでしょうか。ご意見や質問などがあればお気軽にコメントください。なお、この作品の主人公?である華の物語は私のブログにあげている華鳥風月という作品に乗っています。よろしければそちらも。
この作品の書き方(区切りの■□など)はパイマン様の小説、東方先代録を参考にさせていただいています。この場を使って精一杯の感謝を。
ではでは。
華ちゃんがまねた技
陸奥圓明流 「虎砲」参考元『修羅の門』
クルダ流交殺法表技「刃拳」参考元『SHADOW SKILL-影技-』
同陰流「空牙」参考元『上記同』