ソードアート・オンラインーEverlasting oathー 旧バージョン、1、2話欠損   作:ゆぅ駄狼

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アインクラッドー光と影の勇者ー
第1話


 「はぁ………」

 

 ユウキは一人溜息をついていた。まるで恋をしている女の子のように。今日はユウヤと一緒にアスナの家に行く約束をしていた。どうすればいいんだろ………ユウキはアスナに言われた事を思い出した。

 

『ユウキ?ユウヤ君が好きならちゃんとアプローチしないと駄目だよ?』

 

 アプローチってどんなことするんだろ、楽しい話をするとか……?それともプレゼントをするとか……?それとも……手を繋ぐ……それはもうやってるし

 

「何で、膝枕とか手繋いだりしてるのに恋人同士じゃないんだぁ〜〜〜〜〜〜〜っ!」

 

 ボクは叫ぶと頭の上に誰かの手が乗った。その手は大きくて、とても暖い………そしてその人はボクを呼ぶ。この声は一番好きな声。

 

  「ユウキ?何ボケっとしてんだ?そろそろ行くぞ?」

 

 ────ボクの大好きなユウヤの声だった。

 

 どうやらアスナの家に行く時間になったらしく、ボクを呼びに来たらしい。アスナの家に着いたらアスナにどうアプローチすればいいか聞いてみよっと

 

「うん!」

 

 ボクはユウヤにそう言ってユウヤの後ろをついて行った。

 

 

 

 

 

 ボクとユウヤは商業区にいた。アスナの家に行くには商業区を通って市街区に行かなければいけないのだ。ユウヤは歩いていると何かを見つけたような顔をする。

 

「お、何か店があるな。アスナの家に行く前に少し寄ってこうぜ」

 

 ユウヤは指を指しながら笑顔でそう言った。ユウヤが指差した方向を見ると一つの店があった。

 

((アクセサリーショップ店))

 

 アクセサリーショップかぁ……アクセサリーをつけたらボクでも可愛く見えるかな……

 

 そう思いユウヤと一緒にアクセサリーショップに入るがーー中に入ると色々揃っていた。人もそれなりにいて、結構人気がある店だったようだ。悪趣味なバンダナの人が必死に新しいバンダナを選んだりもしている。

 

「沢山あるな〜。お!あれ見て見ろよ!ユウキに合いそうなのがあるぞ!」

 

 そういってユウヤはボクを商品のとこまで連れて行った。ユウヤがボクに合うと言っていた物はカチューシャだ。カチューシャを見てると一つの黒色のカチューシャが目にとまる。

 

 あ……この黒色のカチューシャ可愛いなぁ……

 

 そう思い黒色のカチューシャを手に取ろうとしたが、黒色のカチューシャの横にあるカチューシャに目が行った。

 

 

 《猫耳カチューシャ》

 

 

 それは男のロマンであり、また、男にとって破壊力抜群の装備であり、最強の武器である。ユウキは猫耳カチューシャを見てアスナに言われた事を思い出す。

 

 『ちゃんとアプローチしなきゃ(猫耳カチューシャつけなきゃ)駄目だよ?』

 

 ここでこれをつけてアプローチすれば……でも、ボクがつけて可愛く見えるかな……もしかしたら引かれるかもしれない……でも……ここで頑張んなくちゃ駄目なんだ!

 

 ユウキは意を決し、猫耳カチューシャをつけてユウヤを呼んだ。

 

「ユ、ユウヤ!」

 

 ボクがユウヤを呼ぶとユウヤはボクの方を向く。

 

「んー。どうし───

 

 ユウヤはユウキの猫耳に気付いたらしく、言葉が途切れた。ボクは一か八かで勇気を振り絞って猫の手の真似をし、ユウヤに上目遣いで言ってみる。

 

「に、にゃー……」

 

 その威力は絶大だった。アインクラッドのそれぞれの層のボスを一撃で倒せるんじゃないかってくらい強力であった。周りの客がユウキの声を聞いたのか、驚きのあまりに商品を床にぶちまけていた。辺りが沈黙する。

 

「うぅ……ユウヤぁ……」

 

 ボクは沈黙に耐え切れず、目に涙を浮かべながらユウヤを呼んでみるのだけれど、ユウヤには全く反応がなかった。やっぱりボク可愛くなんてなかったのかなと不安感に襲われる。ボクはもうユウヤに嫌われたと思い、目に溜まってる涙が溢れ出しそうな位に心が張り裂ける。

 

「うぅ……うぇ……」

「────可愛い……」

「ふぇ……?」

 

 ユウヤが突然口を動かし、そう言うと周りが騒ぎ始めた。

 

「あの子誰だ!?」

「猫耳少女だぞ!誰かパーティに誘え!」

「俺がパーティに誘う!」

「テメー!抜け駆けすんじゃねぇ!」

「ク……クククライン!独身24歳です!!」

 

 周りの男達がユウヤにパーティの勧誘や結婚の申し込みなど色々な事をしてきた。ボクは顔を真っ赤にしてユウヤの方に助けを求める。

 

「ユウヤぁ……」

「これはやばいな……行くぞ」

 

 そういってユウヤはボクの手を引いて店から出て行き、猫耳は男達にぶつかった衝撃で頭から取れてしまった。ボク達は男達から逃れると商業区を出た先、市街区の噴水広場に辿り着く。噴水広場からは大きな大樹が見える。

 

「ここまできたら大丈夫だろ……にしてもやばかったな男共の目が……」

「う……うん……ありがとう……」

「さ、アクセサリーはあんま見れなかったけどもう少しでアスナの家に着くから歩こうか」

 

 ボクは手を繋いだまま、できるだけいい笑顔で返事をした。

 

「うん♪」

 

 

 

 

 噴水広場から10分するとアスナの家に着くのだがーーアスナの家はレンガでできていて、とても高級感がある。ボクはアスナの家のインターホンを押した。

 

 ………中がやけに騒がしい。するとドアが突然開き、一人の黒服の男が出てきた。

 

「ユウヤ!お前も呼ばれてたのか?」

「お邪魔しました」

「ちょっと待て!」

 

 ドアを開けて出てきたのはキリトだった。

 

 あれ?キリト呼ぶなんてボク聞いてなかったのにな。

 

「俺はユウキがアスナの家に一緒に行かないかって言ってきたからついてきたんだよ。ユウキはキリトがいるって知ってたのか?」

「ううん、知らないよ」

「へっ?お前らアスナに呼ばれたんじゃないのか?」

 

 アスナってキリトが好きなんだっけ?………なるほどね。

 

 ボクはアスナも必死にアプローチしてるんだなと思い、笑みが零れた。

 

「「何笑ってんだ?」」

 

 ユウヤとキリトが声を揃えてユウキに聞いた。いつものことだが毎回声を揃えて喋るものだからユウヤとキリトは似ていると思う。鈍感だという事も入れて。

 

「まぁまぁ!気にしない気にしない♪」

 

 ユウキはそう言ってユウヤとキリトの背中を押し、ボク達はアスナの家に入った。アスナの家の中はものすごく綺麗に整頓され、女の子らしい物が沢山あり、充実している。

 

「アスナー!」

「ユウキー!遅かったじゃない!」

「いやー色々あってね……」

 

 猫耳の事はアスナでも絶対に教えれないなぁ、ユウキがそう思っているとアスナの言葉に対してユウヤが言い訳を言った。

 

「実はユウキがアクセサリーショップで猫耳カチューシャをつけたら沢山の男達にナンパされたから逃げてたんだ」

「へぇ……猫耳ねぇ……ユウキも頑張ってるってことね!」

「────っアスナも家にキリトを呼んでるなんて……随分頑張ってるみたいだね!」

 

 ユウキとアスナが恋愛のことで盛り上がってる中、ユウヤとキリトは話についてこれずにいた。この時のユウヤとキリトの顔はアホ面と言うのだろう。口をポカーンと開けたまま喋らない。ユウキとアスナは何か話をしている。それは女子陣にとっては重要な話だった。

 

「ユウキ……後で私が計らってユウキとユウヤ君を二人だけにしてあげる。その間にユウヤ君に告白でもしたらどう?」

「こ……告白?」

「そ、ユウヤ君に好きって思い切って言ってみたらどう?貴方達、手とか繋いでるのに恋人関係じゃないなんて可笑しいし、いっそのことちゃんと口に出してみるんだよ。好きって………ちょっとユウヤ君とキリト君?今日は私がご飯を食べさせてあげるわ。ユウヤ君はユウキと一緒に食材を商業区で買ってきてくれないかしら?キリト君は料理の準備を手伝ってくれないかな?」

  「わかった」

「わかった。ユウキー行くぞー」

 

 アスナはボクに一枚の買ってくる食材のメモを渡し、アスナは耳元でボクに言った。

 

「ユウキ頑張れ!」

 

 それを聞くとボクは頷いてユウヤと商業区に向かった。

 

 

 

 

 

「暗いな……なんかのバグか?」

 

 外は既に暗くなっており街灯がなんらかのバグのせいで本当に真っ暗だった。暗くてユウヤを見失ったら迷子になりそうな程だ。ボクはユウヤを見失わない様に頑張ってユウヤいついていった。

 

「ユウキ、ほら」

「え?」

 

 ユウヤがボクを呼ぶと手を差し伸べている。

 

「本当に真っ暗だから危ないし、迷子になったら困るだろ?だから手、繋いでてやるよ」

「う……うん、ありがとう……」

 

 頭の中を『恋人』という単語が泳ぎ回り、無駄に意識してしまう。ユウヤの手は暖かくて、とても大きい───

 

「そういや、アスナから食材の紙もらってなかったか?」

「あ、持ってるよー!」

 

 そう言ってボクはアスナから貰った紙を見る。そこには書かれてたのは食材のメモではなかった。そこに書かれていたのはたった一言だけ。

 

 

 『ユウキなら大丈夫』

 

 

 アスナ、ありがとう

 

「何の食材買ってこいって?」

「……………」

 

 もう後には戻れない。でも、ここで拒絶されたらどうなるんだろう………

 

 ボクはユウヤの顔を確認した。

 

「どうしたー?」

 

 怖い……拒絶されたらもうこの顔が見れないかもしれない……そんなのは嫌だ……でも……ボクは伝えたい……きっと大丈夫。

 

「今日はもう、アスナの所へ戻らなくてもいいみたい、だよ」

「へ?なんでだ……?」

 

 ユウヤは何でだ?という顔をしてユウキを見ていた。いきなり買い物に行って来いと言われ、今度は戻らなくていいと言われたらどんなに頭の回転が速い人でも理解ができなくなる。

 

「ユウ、ヤ……いきなり、だけど聞いてくれる、かな?」

「あ、ああ……」

 

 まだ状況を理解してないユウヤはおどおどしていた。本当に……ここまで来たら後戻りはできない。

 

「ユウヤ……ボクはね……!」

 

 ボクはボクの気持ちを伝えようとした。

 

「ボクは……」

 

 伝えようとしたがその後の言葉が出なかった。ユウキが今一番伝えたい言葉が出なかったのだ。

 

 あれ……?どうしたんだろう……言葉が出ない……

 

「ボクは………」

 

 やはり声は出ない。何回言おうとしてもその先の言葉が出なかった。

 

「ユウキ?どうして泣いてるんだ?」

 

 ボクが泣いてる?なんでそう思うんだろう?ボクは泣いてなんかいないのに…

 

「え……?あ……れ……?」

 

 ユウキの目からは確かに涙が流れていた。その涙は頬を伝っていく。

 

「はは……おかしいな……」

 

 何度も、何度も涙を拭ったが涙は溢れてくるばかりだ。

 

 そうか……やっぱりボクは拒絶されるのが嫌だって心の何処かでまだ思ってたんだやっぱりボクは…ユウヤに拒絶されたくないから…だから…声が出なくて…

 

「ふぇ……うぇぇ……」

 

 ユウキは自分の心境を理解すると目に溜まっていた涙が一気に流れ───少女は一人泣いていた。不意に温かみがボクの身体を包み込んで来た。

 

「ふぇ……?……ユウヤ……?」

 

 ユウキは驚いた。何故ならユウヤがユウキの体を包む様に抱きしめていたのだ。まるで一人の少女を守る騎士の様だ。

 

「何で泣いてるかはわかんないけどさ、泣かないでくれないか……?お前の泣いてる顔は見たくない……」

「……うぅ………ユウヤぁ……」

 

 ボクはユウヤにこの想いが伝えれない悔しさとユウヤの優しさに触れて泣いてしまった。

 

「なぁユウキ……俺はお前が心配だ……だから俺に話してくれないか?」

 

 ユウヤはボクにそう言った。だけどボクは言えなかった。ユウヤと離れたくない、ユウヤとずっと一緒にいたい。この想いを伝えたら一緒にいれなくなるかもしれないから。

 

「もしかして俺が関わってたりするのか?」

 

 ボクは頷きもしなかった。もしここで頷いたらユウヤに想いを伝えないといけなかったからだ。けど、ユウヤは自分が関わっていると悟ったらしく話を続けた。

 

「ユウキ……俺が関わっているんだな……」

 

 もう無理なのかな……ユウヤとはもう一緒にいられなくなるのかな……

 

「俺が何か悪いことしたんだな……ごめんな……ユウキ……」

 

 そういうとユウヤは自分の拳に力を入れていた。

 

「ユウヤは悪くない……!ボクが……ユウヤに嫌われるのが嫌で……」

「どういうこと……だ?」

 

 ボクは抑えてた気持ちが全て解放されて大声で、泣きながら言った。

 

「ボク……ユウヤが好きで!大好きで……その気持ちを伝えたくて……!でもユウヤに……拒絶されると思って……ボク……ユウヤにこんなに迷惑かけて……嫌いになったよね……」

 

 ボクはユウヤに思っていることを全て言った。本当はこれで良かったのかもしれない。実らない気持ちを持っていても辛いだけなのだから。するとユウヤは口を開いた。

 

 ボク、もう一緒にいられないよね。でも……これが、ボクから君へ送る気持ちだよ。

 

 

 

 

 ─────は?

 

 

 

 

 

 

 俺はユウキに向かって叫んだ。そして俺は思っていること全てを叫んだ。俺の本心を全力で。

 

「俺がお前を嫌う筈ねえだろーが!!俺がお前を拒絶する?お前の価値観で勝手に判断するんじゃねえ!!!」

「ユウヤ……?」

 

 俺はユウキを抱き締めている腕に力を入れた。一人の少女を絶対に逃さない様に。手放さない様に。

 

「俺はお前がいるから今、ここで生きてる!俺はお前が俺にいつも笑顔をくれるから毎日楽しく生きてる!俺はお前が心配だからいつも一緒にいる!!お前が俺から離れようとするのは絶対にゆるさねえ!!!」

 

 俺は全力で泣いている少女に叫び続けた。もうこの少女を不安にさせないように。俺はユウキの肩を掴み、目を見た。そして俺はユウキに貰った想いを想いで伝えた。

 

「いいかユウキ!!!聞きやがれ!!俺はな、ここにいる一人の女の子が…!いつも俺に笑顔をくれる子が!!!」

 

 俺は次の言葉に想いを乗せた。絶対にもう俺がユウキを嫌っただなんて言わせない。そして俺はユウキに向かって言った。

 

 

 

 ───────ユウキが大好きだ

 

 

 

 俺は自分の中のユウキに対する想いを言った。それでもユウキにはまだまだ言いたい事が沢山ある。

 

「俺はユウキが楽しそうに話して笑ってるユウキが好きだ!猫耳をつけて恥ずかしそうにしているユウキも好きだ!時々見せる照れてるユウキも大好きだ!!」

「うぅ……」

 

 ユウキは涙を流しながら俺の目を見ていた。ユウキは叫ばれている言葉を自分の中で何度も繰り返す様に聞いていた。俺は叫ぶことをやめなかった。

 

「お前は俺から絶対に離れるんじゃねえ!!!!!!」

 

 ユウヤは力強くユウキに言い放ち、ユウキを強く抱き締めた。

 

「うぇ……ふぇぇ……ユウヤぁ……」

 

 俺は絶対にこの子を離さない。死んでも。

 

「ユウヤぁ……大好きだよ……!」

「二度と俺から離れようとするんじゃねえぞ……」

 

 そう言うとユウキはユウヤの腕の中でコクンと頷いた。

 

「なぁユウキ、この先の噴水広場から見える大樹に行かないか?あそこから見る星空が綺麗なんだ」

「うん……」

 

 俺達は手を繋ぎながら大樹へ向かった。

 

 

 

 

 

「綺麗……」

 

 ユウキが夜空を見ると無数の星がそこにあった。月はまるで自分を主張するかの様に星達の真ん中で光輝いている。ユウキは星空の綺麗さに声を出して驚いていた。

 

 いつ見ても綺麗だな………これでも仮想世界なのにな

 

 ユウキは星を見ていた。俺はユウキに近付き、優しく抱き締める。

 

 

 「ボク、夢見てるのかな」

「もし夢の中でも俺はお前を離さねえし、お前を好きでいてやる」

「が嫌な事をしちゃっても?」

「そしたらそのユウキも好きになればいいだろ」

「うん……そうだね……」

 

 ユウキはまた俺の腕の中で泣き出しそうになっていたが、ユウヤはユウキを力強く抱き締めた。

 

「ユウキ、大好きだ。これまでも。これからも」

「ボクもユウヤが大好きだよ。これまでも。これからも」

 

 二人は星空の下で愛を誓った。二人を一生離れないように。これが二人がお互いに贈る。

 

 

 

 俺から君へ

 

 

 

 ボクから君へ

 

 

 

 二人が贈った想いだった。

 

 

 

 大好きな人に贈る、愛の言葉

 

 

 

 そして二つの影は一つとなる。月と星達は二人の少年と少女を照らし、祝福していた。

 

 

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