ソードアート・オンラインーEverlasting oathー 旧バージョン、1、2話欠損   作:ゆぅ駄狼

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第14話

 照のソードアート・オンラインでの人生は残酷だった。

 こいつは気付いていなかったのだ。

 悪党を殺し続けた人殺しでも、大切な人を殺した人殺しと何も変わらない事に。

 

「なぁ、お前はどうなんだよ」

「……俺?」

「俺以上に悲しい人生だったのかよ、お前は!!ユウヤは!!何に悲しんでるって言うんだよ!!!」

「俺のは………お前よりは悲しく……ない」

 

 きっと、照よりは悲しくは無いのだろう。

 俺は勝手に悲しんでいただけだ。

 入院している間も勝手に一人で泣いていただけだ。

 

「俺もさ、好きな人を亡くしたんだ」

「……………」

「でも、お前よりはそんなにって感じだよ」

「悲しく無いのか?」

「悲しいさ………でもさ、そいつは笑顔で何て言ったと思う?」

「………何て言ったんだ?」

 

「俺に向かって"大好き"って言ったんだぜ?しかも満面の笑顏でさ、殺されるって時に言ったんだぜ?本当に変な奴だよな。この世界に後悔なんてないって顔をしてやがった」

 

 あいつが幸せに生きて行けたなら俺はそれでいいと思っていた。

 入院中は後悔しか残らなかったが。

 

 ーーーーだが

 

「俺はそいつと"出逢わなければ良かった"そう思う」

「は?」

「俺はあいつが幸せに生きて行けたならそれでいいと思った。でも、頭ではそう思っても本能が違うって言ってるんだよ」

 

 本当にそう思う。

 俺は映画や漫画、小説やアニメの主人公じゃない。

 だから、カッコいい男みたいに"あいつが良ければそれでいい"とか"あいつが幸せになってるなら"とかで片付けられなかった。

 

 ーーー 一人、この世界に残された俺はどうすればいい?

 

 ーーー辛い現実を残された俺にどうしろって言うんだよ。

 

「本当にーーーー」

 

 

 ーーーー出逢わなければ良かった。

 

 

「てめ…………」

 

 照は俺に何か言おうとしたが言葉を止めた。

 屋上に続く扉が開き、担任の先生が来たのだ。

 先生は疲れたという顔をして俺を見た。

 どうやら俺に用があるらしい。

 

「こんな所にいたのか………優也、今日は帰っていいぞ」

「……はい?」

「門の所に迎えが来てるぞ、早く行きなさい」

「…………分かりました」

 

 俺は帰る支度を為るために教室へと向かった。

 先生と照は俺の後ろ姿をずっと見続けていた。

 

 

 帰る支度をして玄関を出るといた。

 門には確かにいました。

 黒色の高級車が止まっていました。

 今日から俺もVIPの仲間入り。

 

「ってな訳じゃないですよねー………」

 

 俺が溜息をつくと中から男の人が出てきた。

 

「君が優也君だね」

「ええ?あ、はい」

「僕の名前は須郷伸行。これから君には僕の手伝いをしてもらいたい。勿論、君の保護者である叔父の桐崎大吾さんの許可を貰っているよ」

「はぁ……手伝いって何をすればいいんですか」

「それについては本社に向かいながら車の中で説明するよ」

 

 須郷伸行と名乗る男はそう言うと高級車へと俺を手招きした。

 車に乗車すると運転手と助手席には秘書の様な人、俺の座る隣には女の子がいた。

 女の子の年齢は……同年代だろうか。

 運転手が俺と須郷が乗車するのを確認すると運転し始めた。

 

 

 車で走行して10分が経った。

 隣にいる女の子がちらちらと俺を見てきます。

 なんなんですかね。

 

「すいません、落ち着かないです」

「この様な高級車は落ち着かないだろうね」

「いや、この車の中にいることではなくてですね。俺の隣に女の子がいることなんですよ」

「その娘に関しては気にしないでくれよ………と言いたいけど自己紹介位はさせないといけないね」

 

 そう言い、須郷が女の子を見ると女の子は口を開いた。

 

「………どうも」

「………どうも………っておいそれだけか!?」

「はっはっはっはっは、君達は面白いね」

「いや、全然面白くないですよ」

「えー?そうかい、まぁ、この娘はあんまり喋らないからね。恥ずかしいんだろう」

「恥ずかしいだけですか。そっか………俺は桐崎優也、宜しくな」

 

 俺が女の子に自己紹介をし、微笑むと女の子は顔を赤くし俯いた。

 

 ………ユウキみたいだな。

 

「一応僕から紹介しとくよ、この娘の名前は堀江琴葉。この娘は一応、僕の会社の知り合いの子でね。優也君と一緒に僕の手伝いをして貰うんだよ」

「へぇ……あ、結局手伝いって何を?」

「ああ、忘れていたね。ごほん、これから行く先はレクトっていう会社なんだけど、君は知ってるかな?」

「えっと………?」

「レクトっていう会社はソードアート・オンラインを作った会社なんだ」

「へぇ………俺達にそういった関係の手伝いをしろと?」

「まぁ……そうだね。でも君達の出番はあとあとだよ。仕事内容を言うと僕の研究を邪魔者から守って欲しいんだ」

「邪魔者から守る?俺達は子供ですし、大きな会社なら警備員もいるんじゃないんですか?」

「現実だったらね。僕の行っている研究は仮想世界で行っているんだ。君達の腕を買っているんだよーー」

 

 須郷はそこまで言うと一旦言葉を止め、笑顔で俺に言った。

 

 

「ーーー光の勇者君?」

 

 

 一瞬、俺の眉がピクっと動いた。

 それと同時に呆れた。

 また光の勇者とかなんとか………面倒くさい。

 

「悪いんですけど、須郷さんの力にはなれなさそうです」

「え!?また、どうして?」

「須郷さんは俺を買い被りすぎです。俺は光の勇者でもなんでもないです。ただの、どこにでもいる男子高生ですよ」

「……茅場先輩、もとい茅場晶彦は僕の上司だったんだ。茅場先輩はソードアート・オンラインで人類を恐怖に陥れた。その恐怖から解放したのは君じゃないか。更に付け加えれば茅場先輩のナーヴギアは改造が施されていたらしくてね。それに勝った君の実力は十分じゃないか」

「はっきり言って俺、面倒なんですよ。仮想世界だってもう懲り懲りです。少し遠いですけど歩いて帰れるんで今すぐ降ろしてくれると嬉しいんですが」

「そう言えば………報酬の話がまだだったね」

「はい?そんなのいりませんよ。俺は一切加担しません」

 

 俺がそう言うと須郷は普段かけているらしい眼鏡をクイっと中指で上げた。

 

「………ユウキ君の身の保証でもかい?」

「な………!?」

 

 ユウキの身の保証って………ユウキは生きているのか……?

 いや、あり得ない。

 俺はヒースクリフと同時に消滅したからタイムラグ的な感じで戻って来たんだと思うんだけど………

 ユウキはその前に消滅しているから生きて帰ってる筈が無い。

 そんな事があるわけ無い。

 

「ハッタリはやめてくださいよ。ユウキが死ぬ瞬間をこの目でしっかりと確実に確認したんですよ?他人の心の傷を更にえぐるような真似はしないでくれませんか?」

「ハッタリなんかじゃないさ。信じるも信じないも君次第だけどね。ユウキ君の命は僕達、レクトが維持してると言ってもいい」

「は………俺がもし手伝わないと言ったら?」

「さぁ………どうなるんだろうねぇ?」

 

 こんな話に確実性は全くない。

 だけど、須郷の言い方はハッタリじゃない気がした。

 少しでも希望があるなら賭けるしかないか………。

 それでもし、嘘だったなら嘘でしたってだけで俺が失う物は何もない。

 

「…………分かりました。俺は仮想世界で須郷さんの研究を邪魔されない様に守ればいいんですよね」

「うん、話が早くて助かるよ」

「でも………どんな仮想世界なんですか?」

「えーっとねぇ………はいこれ」

 

 須郷は自分の持っているリッチな鞄をガサゴソと探ると一つのパッケージを取り出した。

 

「あるふ………あるぶへいむ?」

「アルヴヘイムオンライン。皆はALOとも呼ぶね」

「どんな世界なんですか?」

「簡単に言えば……ソードスキル無し、魔法と飛行が可能になったソードアート・オンラインかな」

「死ぬんですか」

「いやいやいや、そんなことはあり得ないから安心してよ」

「"皆は"って事は一般人もいるんですね」

「勿論、研究は一般人の立ち入りが絶対に出来ない所でしているんだけど、念には念を、保険をかけておこうかと思ってね」

「それで俺達ですか」

「そう、ALOでの操作は琴葉に教えて貰うことでいいかい?」

「あ、はい」

 

 つー事はだよ。

 ここで信頼を深めて手伝い中でも両者が楽しめるようにしないと駄目なんだよ。

 至ってナンパとかでは無いんですよ。無いんですよ。無いんですよ。

 大事な事なので三回言ったよ。

 なので先ずは趣味からでいいよな。

 

 俺は緊張しているのか全く分からない堀江さんとのコミュニケーションを取ることにした。

 

「えーっとさ、堀江さ……「琴葉」……」

「琴葉でいい」

「えっと………琴葉さ……「琴葉」……」

「琴葉でいい」

「琴っちゃん。じゃなくて!琴葉は趣味とかある?」

「何で」

「いや、此処はお互い友好関係を築いた方が宜しいかと」

「………………………………………ピアノ」

「随分溜めたね………じゃあ好きな食べ物は?」

「………………………………………………………いちご」

「おお、女子力高めだね」

「……桐崎君は?」

「えっと………ってか俺も優也でいいよ」

「………ゆう……や………ゆぅや……」

「あはは、呼びやすければなんでもいいよ。レバニラ炒め君とかはマジで勘弁してほしいけど」

「…………」

 

 琴葉は少しの間、無言でいると俯きながら顔を赤くしながら今にも途切れそうなか細い声をだした。

 

「ゆ………ゆぅ君………」

「おお、何か、来る物があるね。ありますね。グッと来たね。でもまぁ、それでいいよ」

「……ゆぅ君の……趣味は?」

「バスケ、サッカー、将棋とかかな」

「………ピアノとかは……?」

「鍵盤ハーモニカならプロ行ける自信あるわ。むしろプロでもいい」

「……今ある…「すいません、無理です」」

 

 俺がそう言うと琴葉はクスっと笑った。

 笑顔がとても可愛らしく、見ていて凄く和んでしまった俺がいた。

 

「そーいや、琴葉の髪型って可愛いのな」

「そうかな………?」

「俺はあんまり見てきたことが無いから、来る物があるな」

「変………?」

 

 琴葉の髪型は俺にとって少し珍しかった。

 元々ロングの黒髪の後ろ髪はそのまま降ろし、右側の髪を三つ編みにして耳に掛け、物凄く女子力が高めだった。

 街を歩いたら10人中10人が見留めるのではないだろうか。

 

「ううん、とっても可愛らしいと思うよ」

「…………ありがと」

「琴葉、優也君。もう着くよ」

 

 須郷がそう言うと車内の硝子越しに指を指した。

 そこと見て見るともの凄く大きい建物が立っていた。

 

 

 

 レクト本社 ーーー会議室ーーー

 

 

 あのさ。

 いや、あのさ。

 どうなってんの。

 アイドルの握手会では無いんですよ?

 なのにーーーー

 

「あの英雄のユウヤ君ですよね!?」

「いや、英雄なんかでは………」

「SAOトップランカーで、しかも恐怖に陥った人々を解放したユウヤ君だ!」

「えっと…………」

「実は私もあの世界にいて………ありがとうございます!」

「は、はぁ…………」

「イケメンだ!」

「SAO関係ねーし」

「ゆぅ君………モテモテ………」

「須郷さんか琴葉さん助けてください」

 

 俺は数十人のレクト本社の人間に囲まれ、握手などをされていた。

 須郷がその場を抑え、なんとか助かったが、記者の様な質問責めに発狂しそうになった。

 俺達はすぐに会議室を抜け、来客用の部屋に向かった。

 

「ふぅ………疲れた………」

「お疲れ様………」

「いやー、うちの社員が失礼をしたね。君は会社では有名なんだよ。さっき言われたとおり皆が皆、君を英雄だと思っているのさ」

「ゆぅ君って凄いの……?」

「あ、琴葉は知らないんだったね。でもデスゲームになったソードアート・オンラインは分かるよね。彼はその世界を終わらせた張本人なんだよ」

「だから、俺一人でやったわけじゃないんですよ」

「凄いね……」

「おっと、ここ、着いたよ」

 

 須郷が足を止めると目の前には来客用と書かれたプレートが貼られた部屋があった。

 ガチャリとドアノブを回し、扉を開け、部屋の中へ入っていった。

 中に入ると長い机があり、その上にはナーヴギアとよく分からない物が一つあった。

 

「ナーヴギアとこれはなんですか?」

「これは"アミュスフィア"って言ってねナーヴギアの後継機だよ。安全性はアミュスフィアの方が断然高い」

「へぇー……」

 

 アミュスフィアと呼ばれたナーヴギアの後継機はまるでエアガンと一緒に同封されている防護ゴーグルの様だった。

 

「優也君はナーヴギア。琴葉はアミュスフィアを持って行ってね」

「なんで俺だけ危険物なんですか」

「別にアミュスフィアでもいいんだけど……そのナーヴギアは市販の物とはレベルが違う。あ、因みにプロフィールデータとかは君のナーヴギアを入院中に回収してそのナーヴギアに移しといたよ。僕からの細やかなプレゼントさ」

「いや、これトラウマしか残って無いんですけど………それに市販とは違うって何処がですか?」

「そのナーヴギアはね………茅場先輩が使っていた物なのさ。分解して見たら、先輩のナーヴギアには多大な費用を使った改造が施されていた。だから性能も段違いなのさ。それに、感謝してくれたまえよ?君のナーヴギアのバグが酷すぎて思ったより手間を掛けてしまったんだから」

「手伝うにしたって此処は落ち着かないんで家からログインしてもいいですか?」

「別に構わないよ。だけど………」

 

 須郷は口を閉じると琴葉を俺の前に出した。

 突然、俺の前に立たされた事によりキョトンとしていた。

 そして、須郷はあり得ない事を言った。

 

「この娘も連れていってね」

 

「「………………」」

 

「「はい………?」」

 

 

 

 優也自宅 ーーー玄関ーーー

 

 

「優也君………!?」

「ただいま………叔父さん………」

「………お世話になります」

「 」

「あ、こいつフリった。まぁ……いいかっ。琴葉は俺の部屋の隣にある空き部屋を使っていいよ」

「分かった………」

「優也アアアアァァァァアアアアア!!!」

「うわっ、汚っ」

「これは一体どういう事なんだよ!叔父さん知らないよ!?不純性交友なんて絶対あめよ!あめあめ!」

「いや、須郷さんからの頼みで………」

「いや、聞いてたけどさ!「聞いてるんかい」」

「それにそこの娘!」

「………?」

「俺の事はお父様と呼びなさい!!」

「お父………「キャァァァアアアア!ヤメテェェェェエエエエ!!!」」

「糞ジジィがあああああああ!!」

「えええええええええええ!!!!この娘、嫁さんじゃないの!?」

「んなわけねーだろ!」

「なーんだ」

「うわっ、ウザっ」

 

 叔父は鼻をほじる素振りを見せ、興味なさそうにしていた。

 本当に殺したい。

 生き埋めにしてやりたい。

 っという感情は心の引き出しにしまっておいた。

 

「で………でも……およ………お嫁さんになれる様に………がんばる」

「あら、いい娘じゃないか!」

「………がんばります」

「は………?」

 

 ………流石に今の言葉には引っ掛かり、イラっとする所があった。

 何故イラっとしたのかは分からないけど物凄く頭に来た。

 そして俺はその場の空気を悪くしてしまった。

 

「………何言ってんだお前」

 

 俺は言葉にしてしまった。

 

「お嫁さんになるだって………?………いきなり何言ってんだお前。今の琴葉の発言にはイラっと来た。」

 

 やっぱり、怒ってしまうのはきっと心の何処かであいつが一番だと思ってるから。

 軽々しく嫁になるなんて言われたから怒ってるんだと思う。

 

 …………

 

「…………ごめん、ちょっと眠いから寝るわ」

 

 そう言って俺は自分の部屋に向かっていった。

 

 本当に何やってんだろ…………勝手にキレだしてさ。

 一番なんて、もう、いないんだ。

 

「俺って腐ってるよなぁ……………………」

 

 嫌になってくる。

 

 本当にーーーー

 

 

「出逢わなければ良かった」

 

 

 

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