ソードアート・オンラインーEverlasting oathー 旧バージョン、1、2話欠損   作:ゆぅ駄狼

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第2話

「……」

「ユウヤぁ……大好き……」

 

 俺達は今、大樹の下で横になっている。そして俺は眠っているユウキに抱きつかれていて起き上がることが出来ない。俺とユウキは大樹の下で告白しあって相思相愛となり、その後は大樹の下で寝てしまい、現在に至る。ユウキはとても可愛い寝顔で俺に抱きついていた為、俺の理性がそろそろ限界値に達しそうだった。

 

「そろそろ俺の理性の城壁が壊れそうだ……早くユウキを起こさないと俺とユウキが危ない」

 

 俺はすぐにユウキの頬を突ついて起こそうとする。取り敢えず突きまくった。

 

「うぅ…ユウにゃぁ……」

 

 ─────俺は今、人間としていけないことをした様な気がする。

 

 俺がユウキの頬を突ついたら状況が更に悪化した様に思えた。今日は色々やりたい事があるので俺はは構わず突ついた。

 

「にゃぁ……むにゃ……ユウにゃぁ……!」

「んなっ!?」

 

 状況が間違いなく更に悪化した。ユウキが寝ながら俺の耳を甘噛みしたのだ。俺にとっては今までにない感覚に襲われ、理性が吹っ飛ぶ寸前だった。

 

「うん…あふぇ?ひゅうやぁ…?」

 

 俺の理性はギリギリでガードの破壊を免れたらしい。理性の城壁はヒビだらけで次に何かをされれば間違いなく過ちを犯していただろう。

 

「よ……っす………」

「…………え」

 

 ユウキがユウヤに何をしていたのか気づき、ユウキは顔を真っ赤にし、ユウキは自分の顔を見せまいと俺の胸に顔を押し付けた。

 

「ごめんねユウヤ………」

「い、いや……ユウキだから別にいいけど……」

 

 俺はユウキにそう言うとユウキは俺に強烈な一言を放つ。ユウキは顔を真っ赤にしながら上目遣いをしながら俺を見た。

 

「もっと噛んでいいの……?」

「落ち着けユウキ」

 

 やばい、もっと噛まれたいなんて言えない。

 

 俺は本心を抑えつつ、今日は行く所があるからそろそろ起きようとユウキに言った。ユウキは顔を真っ赤にしながら頷き、俺とユウキは起き上がる。そしてアルゲードの商業区に向かう。

 

 

 

 

 

 

 俺達が商業区に着くと一人の全身が黒い男を見つけた。その男は一つの店の前で立ち止まる。男が立ち止まった店は俺の用がある所でもあった。

 

 実は昔、キリトに物を売るならいい店があると言われて一つの店の行き方を書いたメモを俺に渡していたのだ。俺のアイテムストレージはいらない武器や素材で圧迫されていた為、その事を思い出してメモを見ながら店に来たのだ。

 

 あれってキリトじゃないか?

 

「よっすキリト。この前渡してくれたメモ見てここにきたぜ」

「ユウヤか……お前も何か売りに来たのか?」

「俺のアイテムストレージが色々なアイテムで圧迫されたからな……お前もか?」

「フッフッフ……見てみろユウヤ!」

 

 キリトがそう言うとアイテムストレージから自慢気にアイテムを取り出した。

 

 

 《ラグー・ラビット》

 

 

 何に使うのかすらわからない物を出されて俺は頭の上に疑問符を並べていた。そもそもこんな物を何処でとってきたのだろう。

 

「何だコレ……」

「これはな……ラグー・ラビット……S級のレアアイテムだ!……だが俺は調理ができないから売りに来たんだ……」

 

 そう言ってキリトは肩を落とした。本気で食してみたかったのだろう。俺はキリトに一言、どんまいと声をかけ店に入っていった。

 

「よ、エギル。元気にしてるか?」

「キリトじゃねーか、今日は何を売りに来たんだ?」

 

 エギルさん………ちっす。

 

 店の中にいたのは1層以来会ってないエギルだった。エギルは1層のボス攻略以来、こうやってプレイヤー達に貢献している様だ。因みにエギルは店のオーナーをやってるらしい。

 

「ん?そっちの少年と少女は……ユウヤとユウキじゃねぇか!元気にやってたか!?」

「あぁ……俺とユウキは元気にやってたぞ……エギルの方も元気そうだな」

「エギルさん久しぶりー!」

「ユウキちゃんは随分と可愛くなったじゃねえか!今はユウヤのお嫁さんってか?」

 

 エギルはユウキに対して言葉の火薬を投擲してしまった。言葉の火薬はユウキの心に火をつけてしまう事になる。

 

「ボクがユウヤのおよ……およ……お嫁さん………」

「おい、ユウキ。考えが早すぎる」

「俺……なんか悪いことしちまった見たいだな……」

 

 ユウキは完全に思考がショートしてしまい、落ち着かせるのに時間がかかった。俺がユウキを落ち着かせるとキリトはトレードアイコンを押し、エギルにさっきのアイテムを取り出す。

 

「エギル、こいつ買い取ってくれるか?」

 

「おいおい……S級のレアアイテムじゃねぇか!俺も現物を見たのは初めてだ……別に買い取ってやってもいいが……おいキリト、お前金には困って無いんだろ?自分で食おうとは思わないのか?」

「俺も食べようと思ったさ……でもS級の食材を扱える程料理スキルが高い奴なんて……」

「俺達が焼いても焦がしちまうだけだしな……」

「ユウヤはこいつを調理できたりするか?」

「ゴミになるぞ」

 

 俺がそう言うとキリトとエギルは肩を落として落ち込んだ。落ち込むのも無理ない。《ラグー・ラビット》は滅多にお目にかかれない程レアでこの食材をちゃんと調理できたら最高の料理になるのだ。

 

「俺はいつもユウキが料理してくれるからいつも美味い料理が食べれるんだが……これそんなに美味いのか?」

「ユウヤ……ボク、前にこれで料理作ってあげたよ?」

「えっ」

 

 実はユウキの料理スキルはコンプリートしていてS級の調理がし辛い食材でも調理出来るのだ。普通の料理でもプロ並みの味になってしまう為、俺はS級の食材を食べた事を覚えていなかった。

 

「キリト君に皆、何でここに集まってるの?」

 

 一人の少女がキリトの肩を突ついてキリトを呼ぶ。キリトはその声の主が誰かと分かり、すぐに振り返って少女の手を取った。

 

「シェフ捕獲!」

 

 その少女はアスナ。アスナの後ろには護衛がついており、ギルドの仕事が終わってここに来たのだろうと思った。

 

「何よ……」

「……」

 

 キリトがアスナの手を握っていると護衛の男がキリトを睨んだ。キリトは男の視線に気付いたのかすぐに手を離す。

 

「め……珍しいなアスナ!こんなゴミ溜めに顔を出すなんてよ」

「ゴミ溜め!?」

 

 キリトがそう言うとエギルは顔をしかめた。

 

 内装は意外に綺麗なのにな。

 

「エギルさんの店は綺麗だよ!」

「ありがとな……ユウキちゃん……」

 

 エギルはユウキの励ましで泣きそうになっていた。

 

「もうすぐ次のボス攻略だから。それに昨日ご飯食べさせてあげたらすぐに食べて暗い中ダンジョンに潜り込んでいったから生きてるか確認しに来てあげたんじゃない」

「そんなことフレンドリストに登録してんだからそれくらい分かるだろ」

「生きてるならいいのよ!そんなことより何よ?シェフがどうとか……」

「あ……そうだった……アスナの料理スキルの熟練度、今どのくらいだ?」

「ふふっ……」

 

 アスナは料理スキルがどのくらいだと聞かれ、私の料理スキルに勝てる奴はいないという自慢気な顔をしてキリトに言った。結構な自信があったのだろう。

 

 ユウキの料理スキルはコンプしてんだけどな。

 

「先週コンプリートしたわ!凄いでしょ!」

「アスナもコンプリートしたのー!?ボクも1ヶ月前にコンプリートしたよー!」

 

 ユウキ……それアスナの心、砕いちまうぞ。

 

「「「な!?」」」

 

 ほら見ろ。本来二人が驚く筈だったのにアスナまで驚いてるぞ。

 

「まぁアスナ……その腕を見込んで頼みがある!」

「へ?」

 

 ……………………。

 

「こここ……これ!ラグー・ラビットじゃない!?」

「取り引きだ!こいつを料理してくれたら一口食べさせてやる!!

 

「!?」

 

 キリトがそう言うとアスナはキリトの首を掴み、物凄く怖い顔でキリトを睨みながらキリトに言った。

 

 

「は・ん・ぶ・ん!」

 

 

 アスナはキリトを睨み続ける。その目は天敵を狩る鷹の様な目付きだった。

 

「ひゃ……ひゃい……」

 

 アスナはS級の食材を半分食べれるという事に感動しジャンプしている。その姿は純粋に喜ぶ子供だ。

 

「やった!」

 

「悪いなエギル。そういう事だから交渉はなかった事にしてくれ」

「俺達、ダチだよな!?俺にも味見くらい……」

「感想文を800字以内で書いて来てやるよ」

「そりゃないぜ……」

 

 キリトはアスナを連れてそのまま店から出て行った。エギルの店にはガックリしたエギルに二人組のユウヤとユウキがその場に残されていた。俺はガックリしているエギルに励ましの言葉をかけた。

 

「安心しろエギル。俺だけはお前の本当の友達だからよ……」

「ユ……ユウヤ……お前だけは信じてるぜ……」

 

 俺がエギルを励ましているとユウキが話しかけて来た。それもとんでもなく可愛い笑顔で。

 

「ねぇユウヤ!今日のご飯はボク達もさっきのやつでいい?」

「え」

 

 ユウキが突然今日の飯の事を話かけ、しかも今日の飯はさっきのS級の食材でいいかと聞いてきたのだ。

 

「さっきの食材持ってんの?」

「うん!この前またドロップしたんだ!」

 

 ユウキの言葉を聞き、不安そうに見ているエギルに向かって俺は口を開いた。そしてエギルに絶望の言葉を送った。

 

「エギル……俺達……いい友達だったよ……」

「ユウヤぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!」

 

 俺はユウキの手を握って足早にエギルの店から出て行った。 外に出ると夕方になっている。ユウキの方を見ると何故か上機嫌。

 

 どうしたんだ?

 

「〜〜♪」

「どうしたユウキ?」

 

 俺がユウキにどうしたと聞くとユウキは笑顔で俺の方を見る。

 

 癒されるな……

 

「ユウヤと手!繋いでる!」

「ん?」

 

 そう言ってユウキは俺と繋いでる手を俺の目の前に出してきた。

 

 いつものことじゃん。

 

 俺はそう思うとユウキの手を離す。

 

「ユウヤ……?」

 

 ユウキはユウヤに突然手を離されて泣きそうになり、目には涙が浮かんでいた。ユウキが泣きそうになると突然ユウキの体が宙に浮く。

 

「ちょっと、ユウヤってば……」

「お帰りはこちらの方がいいんじゃないんですか?」

 

 ユウキは顔を真っ赤にしていた。何故かと言うとユウキはユウヤにお姫様抱っこされていたのだから。しかも外だった為、お姫様抱っこの姿が他のプレイヤー達の視線を集めていたのだ。ユウキはお姫様抱っこされた嬉しさと他のプレイヤーにお姫様抱っこされてる自分を見られて顔を真っ赤にしている。

 

「さーて向かう所は宿屋ですよー姫?」

「うん……」

 

 俺はそう言ってユウキをお姫様抱っこしたまま宿屋に向かった。

 

 

 

 宿屋に着くと自分達の部屋とキッチン使用のコルを払う。宿屋には一階にレストランがある。そして各層の宿屋によるが追加コルを払うとキッチンを一日だけ使える様になるのだ。このシステムは俺達みたいに家を買ってないがレア度の高い食材などを持っているプレイヤーの為に導入されているらしい。

 

「そいじゃ!今日は何を作ってくれるのかな?」

 

 俺がユウキに聞くと人差し指を口の前に起きながら考えた。すると、何か閃いたのか調理に取り掛かる。

 

「今日のご飯はシチューです!」

「おおおおおお!!」

 

 ユウキは野菜や肉などの食材を出すと、包丁で一つ一つ触れていった。このソードアート・オンラインでは料理が簡略化されすぎていて触れるだけで野菜が千切りにされたりする。

 

「現実と違って料理が簡略化されすぎてつまんないよな」

「そうだね、本当はもっと手順があるんだろうし」

 

 ユウキはそう言いながら切った野菜や肉を鍋に入れていった。この世界では鍋に食材をぶち込めばできますよというくらい料理が簡略化されている。この簡略化は女の子からは批判されているらしい。

 

 鍋にブチ込んでオーブンに突っ込むとシチュー出来るって…

 

「流石にユウキも現実と同じ様に料理したいよな」

 

 

 

 俺がそう言うと空気が重くなった気がした。

 

 ───なんだ?

 

 ユウキはオーブンに鍋を入れてタイマーをかけようとしたら突然手を止める。

 そしてユウキが何か言った気がした。

 

 

 「ボク、現実で料理もしたことないし─────できないんだ。」

 

 

 

 

「え?」

「ううん、オーブンにお鍋を入れるだけで料理が出来るなんてつまんないなーって思ったんだよ!あとは25分待ったらシチューの出来上がり!」

 

 ユウキがそう言い、俺とユウキはシチューが出来上がるまで待っていた。

 

 

 

 

「はい、ユウヤ!S級の食材で作ったシチューだよ!」

 

 ユウキは俺の目の前に物凄くいい香りがし、美味しそうなシチューを置いた。

 

「一応、S級の食材を食べるのは二回目なんだよな……」

 

 俺自身は食べた事をすっかり忘れていたがS級を食べるのはユウキ曰く、二回目らしい。俺はこのシチューの味は一生忘れまいと思いながらスプーンでS級のシチューをすくい、口に運んだそして俺はシチューを味わった。

 

「う、まい………!」

 

 俺はそう言うとユウキの作ったシチューにがっつく。

 

「ユウヤ美味しい?」

「ああ!美味すぎる!プロ並みのユウキが超極上のS級の食材を調理するとこんなにも美味しい物が出来るのか!」

「えへへ、ユウヤに喜んで貰って嬉しいな……」

 

 俺がシチューにがっついているとユウキが何か閃いたのかスプーンでシチューをすくい俺の前に出してきた。それは男女でご飯を食べていたらお約束の行動だった。他人からすれば甘すぎる光景だろう。

 

「ユウヤ、あーん」

「ん?あーん………美味い!」

「えへへ」

 

 こうして甘い食事の時間は過ぎていった。

 

 

 

 

「あ、そうだ。ユウキー!」

「なーにー?」

「そろそろボス攻略が始まるから明日は最前線に行ってマッピングするぞー」

「わかったよー!」

 

 俺はユウキに伝えると自分の部屋に入っていく。

 

「今日も一日疲れたな……S級のシチューも食えたし……明日は最前線でマッピン……」

 

 俺はベッドで横になって、そのまま眠ってしまった。

 

 

 

 

 ん……?なんだ……?

 

 俺は目を覚ました。今はまだ夜中であった。何故目を覚ましたかというと俺のベッドに何かいて、その物体は俺に抱きついたりしているのだ。

 

 俺は目をこすってよく見て見ると。

 

「何やってんだユウキ……」

 

 俺に抱きついていたのはユウキだった。俺がユウキを呼ぶと俺が起きているのに気付いてユウキは顔を真っ赤にしていた。

 

「ユ……ユウヤと一緒に寝たかったから……」

 

 ユウキは顔を真っ赤にして上目遣いで言ってきた。

 

 ス、ストライク…………

 

「ユウキ…!可愛すぎんだろ!」

「にゅぅ……」

 

 俺はユウキを抱きしめた。ユウキは俺に甘えてきたので撫でたりしてあげる。これ程の可愛い生物、他にいるのだろうか。その後もずっとユウキを抱きしめた。

 

 さて、明日も早いし……そろそろ寝ないとな……

 

「ユウキ?そろそろ寝るぞ……って寝てるか」

「………………」

 

 ユウキは静かに寝息を立てている。

 

 おやすみ。ユウキ

 

 俺はユウキを抱きしめながら眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

「さーて行くかユウキ」

「……ねぇユウヤ。あそこにいるのキリトじゃないかな?」

 

 ユウキがそう言って指を指したので俺は指を指した方向を見た。キリトは誰かを待っているのか、待ちくたびれたという感じで欠伸をしている。

 

「おっす。誰かと待ち合わせか?とうとうソロをやめたのか?」

「ユウヤか……ああ、S級のラグー・ラビットをアスナに食べさせて貰ったあとパーティを組めって言われてな……」

「まぁ……ソロでいるよりパーティを組んで戦った方がこのゲームの生存率が高まるからな」

 

「はぁ……ユウヤの言う通りだよ。それでここでアスナを待っているんだが……」

「こないのか」

「あぁ─────」

「避けてぇぇぇぇぇぇええええええええ!!!!!」

「うわああああ!」

 

 キリトが叫ぶとアスナが一緒に地面に倒れていた。キリトは自分の手に何か違和感があったのか手の開閉をした。キリトにとってシリカのパンツに続いて二回目のラッキースケベだった。

 

「痛い……う、ん……?何だ……コレ?」

 

 キリトは手の開閉を続けた。

 

「いやあああああ!」

 

 突然アスナが大声で叫ぶとキリトに強烈なビンタをかました。

 

「あがぁッッ!?」

 

 アスナのビンタを食らうと筋力補正でキリトが派手に吹っ飛び、近くにあった像にぶつかって勢いは止まった。キリトは土埃を出しながら吹き飛び、銅像にぶつかってしまった為、キリトに頭痛の様なものが襲った。

 

「痛ってぇ……」

 

 キリトが頭をさすりながらアスナの方を見るとアスナが胸を押さえながらキリトを睨んでいる。

 

「……っ!」

 

 アスナが涙目で胸を押さえているのを見てキリトは自分が何を触っていたのか気づき、その感触を思い出す様に手を開閉していた。

 

「や、やあアスナ……おはよう!」

「くっ……!!」

 

 アスナはキリトを殺すと言わんばかりの殺気を込めて睨む。

 

「ひっ……!?」

 

 アスナに睨まれるとキリトは情けない声を出して怯える。しばらくすると転移門が光り出す。アスナは転移門が光るのを確認するとキリトの後ろに回った。

 

「アスナ、大丈夫?」

「……大丈夫だよ……ユウキ……」

 

 ゲートが出現すると中から一人の男が出て来た。その男は昨日、アスナの護衛をしていた男だ。男は周りを見渡し、アスナを見つけるとこちらに近づいてくる。

 

「アスナ様……勝手な事をされると困ります。ギルド本部まで戻りましょう」

「いやよ!大体あんたはなんで朝から私の家の前に張り込んでいるのよ!」

「「「!?」」」

「ふっ……こんな事もあろうかと一ヶ月前からずっとセルムブルクでアスナ様の監視の任務に就いておりました」

「気持ち悪……」

「それ……団長の命令じゃないでしょ!」

「私の任務はアスナ様の護衛です。それには当然、ご自宅の監視も────」

「含まれないわよっ!」

「全く……聞き分けのないことを仰らないでください……さぁ本部に戻りましょう!」

「うっ……!」

 

 キリトは男の腕を掴んでアスナを引き離した。男は驚いた様な顔をし、キリトを睨む。

 

 全く、嫌がってる女の子を無理矢理連れていこうとするとか。怖いなぁ。

 

「悪いな。お前さんとこの副団長は今日は俺の貸切なんだ」

 

 キリトは男に向かって力強く言い放つ。男はキリトの腕を振り払い、キリトを睨みつけた。

 

「アスナの身の安全は俺達が保証するよ。別に今日はボス戦に挑もうというわけじゃない。本部にはアンタ一人で行ってくれ」

 

 キリトがそう言うと男は言いたい放題言われてプライドに傷がついたのか、キリトに向かって叫び出した。

 

「っ!ふざけるな!!貴様の様な雑魚プレイヤーにアスナ様の護衛が務まるか!!私は栄光ある血盟騎士団の……!」

「アンタよりはまともに務まるよ」

 

 最後の一言が効いたのか、男は右手でウィンドウを開き、キリトに一つのウィンドウを出した。そして怒りが混じった声で男はキリトに言い放った。

 

「そこまででかい口を叩くからにはそれを証明する覚悟があるんだろうな…!!」

 

 キリトの目の前には一つの決闘ウィンドウが開かれていた。

 

 

       Duel Application

 

 ───────────────────

 

 

    デュエル申請を受諾しますか?

 

      対戦者 : kuradeel

 

      対戦形式 : 1vs1

 

 

 ───────────────────

 

 

 

 プレイヤー名、クラディールという男はキリトを睨みながら決闘の受諾を待った。

 

「いいのか?」

「うん、団長には私が報告する」

 

 アスナが頷くとキリトは決闘の受諾をした。ルールは初撃決着。

 

 初撃決着ルールは最初に相手に強力なダメージを与えた方、もしくは相手のヒットポイントを半減させれば勝者となるというルールだ。一般的に決闘する時はこのルールを使用されることが多い。俺自身も昔はよく決闘を申し込まれたがこのルールを適用することが多かった。

 

 キリトが受諾ボタンを押すとキリトとクラディールという男の頭上に開始までの待機時間が表示される。クラディールという男は装飾が豪華な大剣を構えた。キリトは愛剣のエリュシデータを構えた。

 

「おい、キリト」

「何だユウヤ?」

「普通に攻撃するんじゃなくて俺が前に教えた技をお見舞いしてやれ」

「あぁ……あれか、分かった。やってみるよ」

『おい……見ろよ……決闘だってよ』

『ソロのキリトと血盟騎士団のメンバーが決闘だとよ!』

『見ものだなぁ……』

「…………ッチ」

 

 クラディールは野次馬が気になったのか舌打ちをする。

 

 残りの待機時間は12秒となる。キリトは必死に武器の脆そうな所を探した。ある一つのシステム外スキルを発動する為に。

 

 そして残り時間があと4秒になった。

 

 「……彼処狙えば出来そうだな」

 

 

 3………………

 

 2………………

 

「ねぇユウヤーキリトに何を言ったの?」

「見てろってユウキ、すぐに見れるから」

 

 1………………

 

 そして待機時間が0になると大きなアラーム音がなり、頭上にスタートという文字が出た。その音と文字を合図に二人は同時に動き出す──────

 

 クラディールは大剣基本スキル、アバランシュを発動させる。クラディールの剣はオレンジ色に光り、キリトに向かって行った。

 

「はぁっ!」

 

 キリトの剣は緑色に光り、片手剣ソードスキル、ソニックリープを発動した。

 

「はああああ!!」

 

 だがクラディールの方が振るのが早かったのか剣はキリトを捉えている。しかし、キリトは元々クラディールを狙っていない。クラディールの"剣"を狙っていた。

 

「はぁっ!!!」

 

 本来、片手剣と大剣では重さが全然違く、剣と剣が交われば軽い片手剣が弾き飛ばされる。そう、本来ならば。

 

 「ちゃんと使える様になったんだな」

 

 俺はそう思うとキリトの勝利を確信した。

 

 お互いがソードスキルを当て、通り過ぎた。キリトのHPは減っていなかった。クラディールのHPも減っていなかった…がその代わり剣が折れていたのだ。

 

「ば……馬鹿な………ッ!」

「ユウヤ!キリトが武器を破壊したよ!?」

「思ったとおりだな。あれだけ装飾が施されていたら何処かに必ず脆い部分がある。そこに強い衝撃を与えれば今みたいに武器の耐久値が一気に下がって武器が壊れるんだよ」

「もう一回、武器を変えて仕切り直すなら付き合うけど。もういいんじゃないかな」

「ぐっ………」

 

 クラディールはキリトの言葉が気に入らなかったらしく、右手でアイテムウィンドウを開いて新しい武器を装備するとキリトに向けて斬りかかった。

 

 「諦めが悪いな。見苦しい」

 

 俺は自分の愛槍、クェーサールインを握りしめてクラディールの前へ行こうとすると────

 

「おろ?」

 

 アスナがクラディールの剣を弾いたのだ。クラディールは驚いた顔でアスナを見ていた。

 

「アスナ様……!あいつが小細工を!武器破壊も何か小細工をしたに違いません!!そうでもなければこの私がこんな薄汚いビーターになど負ける筈が────」

「クラディール。血盟騎士団副団長として命じます本日をもって護衛役を解任。別命があるまで本部で待機する様に以上」

「なんだと?」

「アスナ、めっちゃ副団長っぽいな」

「アスナは副団長だよ!」

「あ、そうだった」

 

 クラディールはキリトを睨んだ。余程キリトが気に入らなかったのだろう。

 

「転移……グランザム……」

 

 クラディールはそのままゲートの光りの中に包まれ、グランザムに転移していった。

 

「キリトにアスナ、お疲れ様」

「最後のアスナ、かっこよかった!」

「ありがとうねユウキ」

「いい武器破壊だったぞキリト。俺の教えた技が活かされたな!感謝しろ、土下座しろ」

「ああ、助かったよユウヤ。土下座は絶対にしないからな」

「冗談だよ。……キリトとアスナはこれから迷宮区に行くのか?」

 

 俺が二人に聞くと二人は頷いた。

 

「俺達も迷宮区に入るから一緒にパーティを組まないのか?」

「いいね!それ!」

「確かに人数が多い方が迷宮区攻略も楽になるしな…」

「私は別に構わないよキリト君」

 

 俺は二人に承諾を貰い、一緒にパーティを組むことになった。そして俺達は第74層の迷宮区へと向かう。歩いていると突然アスナがキリトに話しかけた。

 

「そういえばキリト君。私の胸触ったよね?」

「え、あぁ。あれぇ?そうだっけ」

「とぼけるんじゃ────」

 

 アスナは一旦間を置くと細剣に手をかけた。凄い形相でキリトを睨むと剣を抜いた。そのまま凄まじい勢いでキリトに向かっていった。

 

「ないわよーーーー!!!!」

「ごめんなさーーーーい!!!!」

 

 キリトは全力で迷宮区の方へ逃げて行ったが、アスナはキリトを全力で追いかけていった。

 

「ねぇ、ユウヤ」

「ん」

 

 俺はそう思いながらユウキの方を見るのだが、何故かユウキは顔を真っ赤にして、自分の胸を見ていた。

 

「ユ、ユウ………ユウヤは大きい方がいいの?」

「はい?」

 

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