ソードアート・オンラインーEverlasting oathー 旧バージョン、1、2話欠損   作:ゆぅ駄狼

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第21話

「リーファ、危ない!」

「はぁぁぁ!」

 

 世界樹攻略、グランドクエスト。

 それは全プレイヤーの夢であり、野望であった。

 世界樹を攻略すると頂点に辿り着いた一種族だけが桁違いの強さを手に入れることが出来る。

 勿論、それは容易な事ではない。

 辿り着く為には目の前の障害を越えなければならない。

 

 ある一人のプレイヤー(本物の英雄)がこの試練に挑んでいる。

 黒の剣士、キリトだ。

 かつて、多くの人間をデスゲームから救った英雄の一人だ。

 キリトは更なる強みの為にグランドクエストを受けている訳ではない。どうしても、それ以外の理由でこのクエストを受けなければいけなかった。

 世界樹の上には大切な人がいると言う。

 その為に多くの仲間達を後ろに引き連れ、目の前で剣を構える大量の敵と戦っている。

 

 その数ーーー約1000万体のガーディアン。

 話を盛り過ぎているかもしれないが、このクエストはどんなに敵を蹂躙しようが、駆逐しようが新たに生まれ変わってくる。

 目的は倒すことではない。

 大量の障害を越え、その先に行くのが目的である。

 

 

 1302人vs約10000000

 

 

 四種族世界樹攻防戦

 

 ケット・シー頭領 アリシャ・ルー

 

 シルフ頭領 サクヤ

 

 ウンディーネ頭領 メイデル

 

 ノーム頭領 クルズ

 

 

「キリト君、後ろ!」

「何!?」

 

 リーファと呼ばれるシルフの女の子が叫んだ時には、既にガーディアンはキリトの背後で大きな剣を振り上げている。

 だが、その刃はいつになってもキリトを襲う事はなかった。

 突如現れた炎の一線により、背後にいたガーディアンどころか、周りのガーディアンをも巻き添えにし、キリトの周りの敵は綺麗に掃除された。

 炎の根源はーードラゴンだ。

 

「ドラグーン隊、第二射用意!」

「シルフ隊、ドラグーン隊に生じる隙をカバーせよ!」

「ウンディーネ隊もカバーだよん!」

 

「「「「「Protect us a guardian angel(守り神よ我らを守りたまえ)………」」」」」

 

 シルフ隊はケット・シー種族の最大戦力であるドラグーン隊の前で盾を構え、守護や回復に特化しているウンディーネ隊は魔法詠唱により味方全体を覆う巨大なバリアフィールドを作り出す。

 これは時間稼ぎに過ぎない、ウンディーネ隊の魔法は絶対防御を誇るが、それは数秒の間だけである。

 ただ、CPUであるガーディアンはそれを理解出来ていない猿の様に攻撃を繰り返してくる。

 

「ちょっちやべぇかもな〜………」

「メイデル君、もうちょい頑張ってよ!」

 

 アリシャ・ルーの言葉にメイデルは苦笑する。

 流石に辛いのだろう。

 物理ダメージを完全に遮断していても、1000万を越える打撃を一気に与えられればダメージ判定がない衝撃は術者へと諸に与えられてしまう。

 打撃によって生じる衝撃は軽いノックバックを引き起こし、詠唱中のウンディーネ隊の中でもよろけ始めているプレイヤーは少なくもない。

 そうすれば魔法を発言させる為に必要なスペルを詠唱することにも集中が出来なくなり、徐々にバリアフィールドは弱くなって行く。

 

 今まさに、バリアフィールドが消えようという時、黒と緑の彗星が四種族の前を駆け抜けて行った。

 

「止まるなリーファ!」

「分かってるよ!」

 

 キリトとリーファ、たった二人がバリアフィールドを攻撃しているガーディアンを次々に蹂躙している。

 しかし、二人で倒せる量なんてものはたかがしれている。

 良い所、數十体程度、気休めの様なものだがその気休めがウンディーネ隊にとっては大きな余裕になる。

 

「キリト君、リーファちゃんナイスだよん!」

 

 ガッツポーズを取るアリシャ・ルーだが、額には冷や汗を浮かべている。

 すぐさま真剣な表情へと戻り、第二射の準備が出来たドラグーン隊に指示を出す。

 

「第二射………………ドラゴンブレス発射!」

「ノーム特攻部隊、ドラグーン隊に続け!」

 

 四種族がお互いに協力し、この場にいる全てのプレイヤーが勝ちを確信した時、勇者(悪魔)は笑顔を浮かべた。

 

 

「|A spear slaughtering all given by God, turn all over in nothing」

 

 

 全てのガーディアンが一瞬にして消えた。

 

 最初からそこにいなかった様に、存在する事を許されないかの様に。

 

 四種族のプレイヤー達は唖然としていた。

 

 必然的に魔法詠唱をしていた一人のプレイヤーに全ての視線が移る。

 

 そして、英雄であった黒の剣士にとって悪夢が始まった。

 

「槍…………何だよ、あの渦巻いて………………る物……………」

 

 見覚えがある槍よりも一回り大きな大槍。

 

 かつて、デスゲームの最後に見た戦友を覆い尽くすドロドロの黒。

 

 目の前にいるプレイヤーは先程まで話していた男だ。

 

 キリトは信じたくはなかった。

 

 "戦友"が自分達を屠りに来たことを、殺しに来たことを。

 

 喜怒哀楽を表すプレイヤーのそれ(オーラ)は全てを意味していた。

 

「何で…………何でお前が………………」

「グランドクエストのラスボスは俺ッテかぁ?」

 

「ユウヤぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!」

 

「くヒ………さぁ………始めようぜ、グランドクエストをよぉ?」

 

 俺は笑みが収まらなかった。

 

 何でって、当たり前だろ?

 

 目の前には理解出来ていないか雑魚共がわんさか。

 

 ほら、見ろよ、あの阿呆みてぇな面。

 

「先ずはァ……………こうするしか無いだろッッッ!?」

 

 槍を地面に投げる様に突き立てた。

 その瞬間、俺を渦巻いているオーラ(感情)は紅く燃え上がった。

 

 

 ーーーLearned MAGIC(魔法を覚えました)

 

 

 魔法名 《グラディエンテーション》

 

 使用可能種族 マクスウェル

 

 魔法タイプ 魔法フィールド

 

 魔法属性 無属性

 

 魔法範囲 全プレイヤー

 

 魔法詠唱文字 Turn it down on the ground

 

 魔法効果

 全プレイヤーを飛行禁止状態にする。

 

 

 雑魚共が飛べて、何で俺が飛べないんだよ。

 

 あーあー理不尽すぎる。

 

 なら、簡単なことだよな?冷凍食品を電子レンジで加熱するくらい簡単。

 

 俺がお前らを飛べなくさせればいいんだよ。

 

 

「Turn it down on the ground」

 

 

 途端に飛んでいたプレイヤーの背中に生えていたALOの象徴である羽は忽然と消え、地面へと落下して行き、頭や胴体から落ちて行ったプレイヤーの場所には砂埃のようなエフェクトが絶えず発生する。

 グランドクエストを受けていない外側にいるプレイヤーまでもが羽を奪われ、落下する。

 黒の剣士も同様、ゴミ箱にゴミをぶち込む様に真っ直ぐに真下に落ちていく。

 

「…………?」

 

 雑魚共が落下して行く中、俺の体に変化が起きた。

 

 状態異常…………バグか?

 

 微かにだけど………………かろうじて色は分かるけど…………。

 

 

 右目が"見えない"……………。

 

 

 左目は大丈夫。

 

 でも、何で右だけ?

 

 まぁ、いいか、すぐ治るだろうし。

 

「おい? こっからが楽しい所なんだろうがよぉ………そんな絶望された顔されちゃやる気が出ないんだわ」

 

 四種族最大戦力の前にはたった一人の男。

 

 たった一人。

 

 自称グランドクエスト最終ボスを名乗る男。

 

 今、この場にいる四種族全員の、全ての戦力を使えばただの男一人など容易くエンドフレイムに出来るだろう。

 

 普通のプレイヤーだったらの話だが。

 

 目の前にいる男は違う、一人で1000万を越えるガーディアンを消し去り、未知の魔法で本来のALO(妖精の羽)までも取り上げてしまうなんてーーー。

 

 チートじゃないか。

 

 誰もがそう思った。

 

 NPCならそういうイベントは百歩譲ってアリにしても、この場にいるたった一人はNPCでは無いことを確信している。

 

 砂埃が舞う中、突如として勇者(悪魔)のフードが取れ、素顔が現れる。

 

 見たことの無い種族、羽がない妖精。

 

 何故か片側だけ血だまりの中につけた様に紅くなった"瞳"。

 

 渦巻く感情に、神の持つ神器と称される大槍。

 

「主神…………オーディンの大槍……………」

 

 四種族の中、誰かが呟いた。

 

 途切れる様なか細い声で。

 

「やっとお目覚めですか皆さん?」

「ユウヤ………」

「キリト擬きか……………あの上(世界樹)には大切な人がいるんだってな………それってもしかしてアスナさんですかぁ?」

「………………俺はどうしても行かないといけないんだ」

「思い上がってんじゃねぇぞ、一人じゃ何も出来ねぇくせに、どうしてもって言うんだったら……………越えてみろよ」

 

 悪魔は突き刺さっている大槍を引き抜き、足を前へと踏み出していく。

 

「越えてやるさ」

 

 勇者は落としてしまった自分の大剣を拾い、前へと向かっていく。

 

「お前じゃ無理だ」

 

 お互いの刃が届く程の距離まで近づいた時、歩みを止める。

 

 本当はーーーーもう分かってるさ。

 

 俺の名前を呼ぶ奴はこの世界(ALO)にはいないからな。

 

 なぁ………キリトーーーーごめんな。

 

 もう戻れないんだよ。

 

 幸せだった日々にはもう…………。

 

 戻れないのに、進むことしか出来ない筈なのに。

 

 その場にずっと留まっちまうんだよ。

 

 留まった(茅場の負の遺産)にはお前()が眩しすぎてさ………。

 

 うざったい話だけど、お前も道連れにしてやるよ。

 

 キリト………………。

 

 

 

 ーーー俺を殺してくれ。

 

 

In hard pains thanks(辛い苦しみに感謝を)………」

 

 

 俺の最後の魔法。

 

 きっと、お前はナーヴギアを被ってる筈だ。

 

 それは俺も一緒だ。

 

 これであの時(デスゲーム)と条件は殆ど同じ。

 

 後はーーー死ぬか死なないかだ。

 

 

 ーーーLearned MAGIC(魔法を覚えました)……………。

 

 

 ーーー。

 

 ーーー。

 

 ーーー。

 

 魔法効果

 発動プレイヤー&対象一人だけにペインアブソーバーLV0を付与

 パロメータを全て1にする

 

 ーーー。

 

 

「あああアァア"ああァ"ああああああ"ああァあああ"あッッッッ!!!!」

 

 微かに見えていた俺の右目の視界は完全に光を拒絶し、数秒後には見えなくなってしまった。

 残るのは痛みと流れる涙の様に溢れ出てくる赤いエフェクトだけ。

 俺は右目から絶えず溢れ出てくる痛みを抑える様に片手で右目を抑える。

 

 痛い。

 

 でも、これだけじゃ終われない。

 

 茅場があの時、全員を麻痺状態にした様に。

 

 

「……… Tie up an enemy 」

 

 

 俺が対象として認識するのはお前以外の全プレイヤーだ。

 

 あの時と同じ様に、周りが動けなくなって行く。

 

 突然、体の自由を奪われたプレイヤー達は情けない声を出しながら地に伏せ、顔だけを上げて俺とキリトを見る。

 

 その中にはキリトの名前を呼ぶシルフの女もいた。

 

「ハァ……………ァ…………始めようぜ…………」

「ユウヤ……………?」

「今………俺とお前は痛みを味わう事が出来る……………胴体を真っ二つにされたらその痛みを味わう…………俺の勝手な妄想だけどな………痛みを味わえる程の高負荷な計算をナーヴギアに与えているんだから………きっとHPが0になったらナーヴギアと一緒にあの世に行けるぜ………………」

「……何でお前がこんな事をするんだよ」

時間の流れ(幸せの終止符)だからだ………」

「……………………………分かった、此処でお前を倒して上に行くよ」

「行かせねぇって…………」

 

 微かにだが、紅黒い感情が渦巻く中、ほんの一瞬、光が渦巻いていた。

 

「行くぞキリトぉぉぉぉおおおおおッッッッ!!!!」

「お前を倒して俺は………俺はッッッッ!!!!」

 

 

 ーーー最強は俺だキリトぉぉぉおお!!!

 

 ーーーお前を越えて最強になるぞユウヤぁぁぁあああああ!!!

 

 ーーーユウヤぁ?

 

 ーーーキリト君?

 

 ーーーすみませんでした。

 

 

 ドゴッっと鈍い音がエリアに響き渡る。

 殴られた音だ。

 

「グッ……………!」

 

 槍を持っていない左腕で俺はキリトの顔面に拳を入れる。

 僅かだがHPが減っていく。

 僅かといっても現実の痛みを完全に再現し、もろに味わうのだから殴られた痛みは半端ではない。

 

「あぁぁぁあああッッッッ!!!!」

「ガッッッッ!?」

「何がお前を変えたのかは分からない…………今は………今は俺の邪魔をするなッッッッ!!」

 

 顔面を殴られた筈のキリトは右足に力を入れ、耐えた。

 そして、体制を立て直し、俺の左腕を大剣で切り落とした。

 

 プツン………と現実世界の左腕の神経が千切られる。

 

 クッソ痛てぇ……………。

 

「調子乗ってんじゃねぇぞクソがァッッッッ!!!!」

 

 痛みに耐えながらも半回転し、踵でキリトの頭に回し蹴りを思いっ切り、殺す勢いで蹴りつけた。

 鈍い音を残しつつ、凄まじい勢いでキリトは地面に伏せて行った。

 そのまま寝かせてあげる訳もなく、槍を地面に突き刺し、右腕でキリトを持ち上げた。

 

「その程度で欲しい物(幸せ)を手に入れられると思ってんのか?」

 

 右腕で掴んだまま、頭突きをキリトに入れる。

 黒髪の中から薄っすらと赤いエフェクトか滲み出てきていた。

 

 何度も。

 

 何度も。

 

 何度も頭突きを入れる。

 

 やがて、黒の剣士は動かなくなった。

 

「……………結局、誰一人大切な物の為に尽くした所で……………」

 

 俺はキリトを投げ捨てた。

 ドサッと投げ捨てた所に砂埃が舞う。

 突き刺している槍を抜き、周りのプレイヤーに目をくれる。

 

 これで終わり。

 

 幸せなんてものは自分自身が作り出した幻想。

 

 それを維持しようと俺達は条件を満たそうとする。

 

 俺はその条件を満たせなかった。

 

 すげぇよキリト。

 

 お前はそうやって、俺の前に立って難題を達成しようとするんだもんな。

 

「まだ、終わってないぞ………ユウヤ………………!」

「あぁ………分かってる。これで終わりにしようぜ」

 

 俺を中心に巨大な魔法陣が展開される。

 

 億万を越える程の光の槍が溢れ出てくる。

 

 それに応えるようにキリトは体の前に大剣を構える。

 

 本当の意味で始まった。

 

 勇者(過去)勇者(現実)の戦いがーーー。

 

「これで…………」

 

 無数の光の槍がキリトに襲い掛かる。

 

 その中、キリトは光の槍に走り向かっていく。

 

 凄すぎるだろうが………チートよりもすげぇじゃねぇか。

 

 そこまでされたら敵わない気がしてくるわ。

 

 驚くを越えて感心していた。

 キリトは光の槍を避けるのではなく、"弾いている"。

 普通のプレイヤーなら先ず、そんな考えが浮かぶ事は無いだろう。

 ただ、それは至ってシンプルな考えだ。

 避けられないのなら弾いてしまえばいいと。

 

 微かに勇者(過去)は微笑んだ。

 いつの日か少女に向けた笑顔の様に。

 

「悪いなキリト、お前は…………行かせないッッッッ!!!!」

 

 ーーーLe..,jk,IErned MqGiK(マホdくを覚eー)

 

 

 魔法名 《ラスト・アポカリプス》

 

 使用可能種族 ユウーy

 

 魔法タイプ 高f荷、s一撃、m

 

 魔法属性 k無属性

 

 魔法範囲 対

 

 魔h詠唱文字

 

 魔法効果

 1

 

 

 定められたスロットの限界を越えて、俺自身が知っている最強の技、俺の…………。

 

 光の勇者の証として、生きた証として、護る為の証としてのーーー。

 

 ーーーこの時、キリトは気付いてはいなかった。

 

 光の勇者と言われていた男には光の感情だけが渦巻いていたことを。

 

 大槍を構えたと同時にHPが凄まじい勢いで減少し、すぐさま黄色ラインまで達した。

 

 

「ああぁガガガアアアアアア"ああああか"かああァアアア"あああッッッッ!!!!」

 

 

 酸素を奪われる、いや、命が奪われる?

 

 どちらにせよ"死"が一気に近づいてくる。

 

 

 ーーー俺の命の光は強いだろ………

 

 

 ーーー約束して、ユウヤ。

 

 

 それはもう一生使わないって。

 

 ふざけんな、誰がテメェの事を嫌いなんて言った?

 

 これが………ボクから送るーーー。

 

 まるで死ぬ寸前の走馬灯の様に、昔の記憶が鮮明に頭の中隅々まで駆け巡る。

 HPはあっという間に赤ラインに突入し、1で留まった。

 

「ユウヤ……………」

「本当の意味での終わりだ……………キリト……………!」

 

 

 ーーー光の勇者。

 

 ーーー違う、光の悪魔だ。

 

 

 周りのプレイヤー達にはそう見えてしまっていた。

 

 ボソボソとプレイヤー達が呟く中、光の槍(ラスト・アポカリプス)は最高の威力を保ったままキリトに向かっていく。

 

 それに対して、キリトはーーー剣を捨てた。

 

 諦めた、勝てるわけが無い、行動がそれを示している。

 

 全てのプレイヤーが負けを確信した。

 

「ーーーーーッッ!?」

「言っただろ……………お前を越えるってッ!!」

「ははは………………ありえねぇわ……………お前の方こそチートじゃねぇか」

「はぁぁぁぁぁぁあああああッッッッ!!!!」

 

 光の槍(ラスト・アポカリプス)は俺の方へと威力を増しながら向かってくる。

 

 何故かって?

 

 見りゃわかんだろ。

 

 どっちが光の勇者だかな……………。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 俺の(中身の無い光)は確かにキリトに届いていた。

 その(中身の無い光)をキリトは"自分の物(希望の光)"にした。

 槍を手にしたキリトは溶岩に触れるような痛みに耐えながらも光の槍を構える。

 俺の周りに渦巻いていた光の渦はキリトへと移り、俺よりも巨大な魔法陣を周りに発生させていた。

 元々、光は一人だけに宿る物ではない。

 光は希望を持つ者、幸せを祈る者、進もうとする者ならば誰にでも宿る。

 キリト自身もまた、"光の勇者"なのだ。

 

 キリトのHPは1になり、光の槍(ラスト・アポカリプス)はALO最強の槍となって俺を貫く。

 

 

 

 P………………。

 

 

 ボイスメッセージが届いています。

 

 ボイスメッセージを再生します。

 

 

 P……………。

 

 

 ユウヤ?

 

 ボクは生きてるよ。

 

 これもユウヤのおかげだね。

 

 今はよく分からない所にいるけど、ボクは無事だよ。

 

 そうだ、ボク、照君って人に会ったよ。

 

 その人が言ってたんだけど………ユウヤが危ないって聞いたんだ。

 

 元に戻せないとか…………。

 

 全く、ユウヤはボクが……………ボクがいないと駄目なんだから。

 

 多分ユウヤはボクの事で何かあったんでしょ!

 

 ユウヤはボクの事になるとすぐに怒るんだから…………。

 

 大切にされていて………嬉しいよ。

 

 ユウヤ……………?

 

 

 間違いを起こしたら駄目だよ。

 

 

 ボイスメッセージを終了します。

 

 

 なんだよ今更、なんなんだよ。

 

 間違いばっかりしちまっただろーが。

 

 

「ーーーーユウキ」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 まだ生きている左目からは涙が流れ出し、頬を伝っていった涙はメッセージウィンドウに触れると結晶体となって消えた。

 何故か頬が緩み、心を蝕んでいた闇が綺麗になくなった気がする。

 

 声は皮肉にも光の勇者自身が創り出した槍によって掻き消されたーー。

 

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