ソードアート・オンラインーEverlasting oathー 旧バージョン、1、2話欠損 作:ゆぅ駄狼
神様ーーーお願いします
あと少しだけーーー時間を下さい
好きな子に伝えないといけない事があるんです
『へぇ、伝えたい事ってなんだい?』
『俺には大切な人がいる』
『残念、君は君であって、君はいない』
俺の目の前には一つの大きな扉
何故だろうか、これを開ければ楽になれる、そんな気がする
『君はもう十分役目を果たした。その扉は君が進むべき道、だけどそれは君の自由、選択できるんだ』
『そうかーーー俺はどうなるんだろう』
『心配する事はないよ、君は君であり続ける』
『もう、会えないのかな』
『そう、君は会えない。見続けるだけ』
白い空間には何故かそこに存在している多くのディスプレイ。
ディスプレイに映されている映像には泣きじゃくる木綿季の姿がある。
そっと、指で画面に触れる。
優しくーー木綿季の頬に触れる。
溢れていく涙は透き通った右手では拭ってあげられない
木綿季の前で笑顔になって、『泣かないで』、そう言っても
俺の声は、笑顔は、触れる手は、木綿季には届かない
それどころか、膝を抱えて泣き続けてしまう
『俺が好きにならなかったら、木綿季が俺を好きにならなかったら、こうはならなかったのかな』
『君がそう思うなら、それが正しいさ』
ねぇーーー俺はここだよ
最後にそう呟いてみる
涙を堪えながら、枯れた様な声を出して
それでもーーーそれでも
声は白い空間に溶けていくだけでーーー
嗚呼…………
届かないんだ
何も出来ないんだ
なら、もういいじゃないか
一歩
一歩
また一歩と扉へと向かっていく
『もう、いいんだね』
『ーーーーー』
『そうかい』
『もうーーー疲れたよ』
扉を開ける
扉の向こうはとても眩しくて、愛おしく、暖かい光が待っていた
愛おしいーーーー
『優也ーーーお別れなんて嫌だよ』
君が待っていた
『ごめんね、優也と同じになっちゃったよ』
『馬鹿……………馬鹿………………クソ…………馬………鹿やろ…………………』
『ごめん……………』
『何やってんだよぉ……………何で………うぁ……あぁ"あああぁあああ"あああああああ"あ"ぁあぁぁああ……………』
『うん………ごめんね…………』
堪えていた涙は溢れ出てきて、目の前の君は優しく抱き締めてくれる
大きくなった
本当にーーー
身長は俺に及ばずともーーー
誰よりも暖かく、たくましくなった
『えへへ…………優也はさみしがり屋さんだからね。独りぼっちじゃ嫌でしょ?』
『うん……………俺は…………寂しい…………お前がいないと……………』
ねぇ、何しよっか
何でもいいよーーーお前といれるなら
あ、そういえばさっき、ボクを忘れようとしたでしょ
ーーーーごめん
ううん、大丈夫。もう、忘れさせないから
ーーーー忘れない
約束はしないよ、ボクが一方的なだけだから
う"…………あぁ………………
泣かないで
そう言って、木綿季が俺の頬に当ててくれた手は凄く心地が良かった
嬉しい
もうこの暖かさが、人の温もりが、木綿季を感じれないと思っていたさっきまでの事が全て無くなって
『もういいのかい』
俺と木綿季は振り返る。
その声の主にーーーー
もう決まっているさ
『行くよ』
『ボクは優也に着いて行くよ』
『そうかい』
俺と木綿季は光の中へと足を踏み入れていく。
扉が閉まると同時に、声の主である"人間"の姿が少し見えた。
赤い瞳に少し茶色を帯びた髪色。
そっかーーーごめんな
俺は心の中で自分自身に言った。
扉の中は色々な人の夢が広がっていた
事故で死んだ人の叶わなかった夢、流産し、産まれることの出来なかった胎児の夢
幸せな家庭を築き、歳を取り、幸せに死んでいったお爺ちゃんやお婆ちゃんの死んだ後の夢
沢山の夢が広がっている
『ボク、何だか眠いよ』
『あぁ、俺もだよ』
分かっている
俺達もこれから夢を見るんだ
幸せな夢を
お互いに口付けをし、嫌がる事もなく目を閉じた
愛してる
うん、分かってるよ
ずっと、ずっと一緒にいてくれるよな
さみしがり屋さんーーー
あぁーー俺はさみしがり屋だ
木綿季ーーー
優也ーーー
大好きだよ
これがお互いに贈る
愛を永遠に誓った言葉
声も温もりも、心も感情も
涙も、お互いに握っている手も
全てが光となって溶けていった
Fin