黒と紫のソードアートオンライン   作:壺井 遼太郎

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フィリアの秘密

ホロウダンジョン第3階層

 

「やー、まさかイルファング・ザ・コボルドロードがmobとして出るとはな。」

 

「まぁ、最初は見て驚くよね♪」

 

ホロウダンジョンの中を3人で進んでいると、イルファング・ザ・コボルドロードがすぐ近くで湧いて、すごく驚いていた。

 

「私、あのモンスター、アインクラッドじゃ見たこと無いけど。」

 

「あぁ、あいつは、第1層のフロアボスだからな。」

 

「倒した時なんて、ぼくとキリトが大問題起こしたんだよね♪」

 

「大問題って、どういうこと?」

 

「ラストアタックボーナスって、知ってるか?」

 

「あぁ、ボスを倒すときに、とどめを指した人にそのボスのユニークアイテムがドロップすることでしょ?」

 

「そう、おれとユウキはそこで問題になったんだ。」

 

「問題って?2人でアイテムを取り合ったとか?」

 

「違うよ、まずおれとユウキはそんなことでケンカしない。」

 

「問題って言うのは、ぼくとキリトが同時にボスを倒しちゃったんだよね。それでラストアタックボーナスがぼくとキリトの2人に手に入ったんだよね。」

 

苦笑いをしながら、おれとユウキは答えた。

 

「そんなことってあるのかなぁ?」

 

「じゃあ、見せてやるか。って言いたい所だけど、あいにくおれとユウキにドロップした、コートオブミッドナイトって言うアイテムは、今来てる服に変えたからな。」

 

「ぼくの裁縫スキルで、キリトとぼくの《ブラックウィルムコート》にしちゃったしね♪」

 

「それって、なにか効果あるの?」

 

「ああ、このコートは隠蔽スキルをブーストしてくれるから、索敵スキルをマスターしてないと、中々見つけられない。」

 

「へぇ、便利なコートだね。」

 

「そういえば、フィリアって、どうしてこんな所にいるの?しかもなんでオレンジのままなの?3日たったり、カルマ回復イベントでグリーンに戻れるはずだけど。」

 

「そう言われてみればそうだな、なんで戻って無いんだ?」

 

「……。」

 

「あぁ、別に言わなくても良いよ!!ごめんね、こんなこと聞いて。」

 

「すまないフィリア。」

 

「謝らなくても良いよ、それに教えてあげる。私がオレンジから戻らないのも、そもそもなんでオレンジになったことも。」

 

「いいのか!?」

 

「さっきのことも教えてくれたし、今度は私が教える番。一度しか言わないからよく聞いて。」

 

「わかった。」

 

おれとユウキは頷くとフィリアの話に集中した。

 

 

「私ね。自分を殺しちゃったの。」

 

 

フィリアが何を言ったのか、少しの間はわからなかった。

 

「どういうこと?」

 

「私、最初にここに来たときにどこかわからなくって走ってたの。そしたら、プレイヤーが見えて、ここから出る方法を知ってるかと思って、聞こうとした。でも近づいてからわかったの、プレイヤーは私だった。気付くと目の前の私は倒れてて、消えたの。その後から、私のカーソルはオレンジのままだった。」

 

「つまり、君は自分のホロウデータを消したってことか?」

 

フィリアは喋らなかった。彼女の目には小さな涙があった。彼女は拭う事もせずに、首を横に振った。

 

「わからない。」

 

「え?」

 

「私は、自分がホロウなのか現実に肉体のあるプレイヤーかもわからない。」

 

「でも、君はさっき、気づいたらここにいたって。」

 

「ようはフィリアはプレイヤーである可能性が高いってこと。」

 

「もう、私にはわからない。自分がホロウなのか…、プレイヤーなのかも…、試す方法はない。」

 

フィリアが涙を流しながら言った言葉は、辺りを静かにした。だが、その沈黙を破ったのはキリトだった。

 

「あるぞ。たったひとつ。」

 

「「え?」」

 

「おれには出来ない。だが、出来るやつを知っている。」

 

「キリト、その人って誰?」

 

「ユイだ。」

 

「ユイちゃん?」

 

「ユイはコンソールに触れなければ、カーディナルにはバレないと言った。なら、プレイヤーに干渉しても、カーディナルはその事にもチェックはしていない。チェックをしているんだったら、森の家でユイはすでに消されている。」

 

「それとこれと何が関係してるの?」

 

「つまり、ユイはその気になれば、プレイヤーのデータを読み取ることが出来る。」

 

「え?」

 

「ユイを連れてくれば、フィリアがプレイヤーかデータか確かめられる。」

 

「でも、それでフィリアがデータだった場合は?」

 

「おれのナーヴギアのメインコアの中に入れるさ。」

 

「ありがとう、私のためにそんなことをしてくれるなんて。」

 

「何言ってるんだ?おれ達はとっくに仲間だろ、仲間のためにするのは当然のことだろ。」

 

「ありがとう、私の事を仲間って言ってくれて。」

 

「おいおい、何回礼を言うんだよ。礼なら、向こうに帰ってからにしてくれ。」

 

「だから、もうちょっと我慢して。」

 

フィリアは泣き笑いの顔でおれ達には意味の解らない言葉を呟いた。瞬間、おれとユウキは後ろから、背中を思いきり押された。

 

「あばよ、黒の剣士様と絶剣様。」

 

「え?」

 

「な!?」

 

押された方向を見る前に足元が崩れた。落とし穴のトラップだ。

 

(フィリアは、おれ達の事を騙したのか!?)

 

急いでフィリアの方を見ると、フィリアは声が出せないのか口だけが動いていた。そしてフィリアの顔は先程の泣き笑いのすがるような子供の顔をしていた。

 

「お願い、2人共生きて。」

 

フィリアの動いた口には、そう言っている気がした。おれとユウキはそのまま、穴の中に落ちていった。




5月23日(投稿日)はユウキの誕生日、皆の誕生日イベントみたいなのやってみたいです。
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