桜の織り成す番外編   作:天枷美春

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タイトル候補

作り上げろ、地球料理
出来立てゴハン!
厨房最強の弟子~戦え紅楼夢~
絶対に続きは書かないパロディ集その1


何でこんなタイトル候補かって?
そら、前半の雰囲気がこんな感じだからよ。


Α-Ωを一皿に

此処は紅楼夢。

料理を極めてしまった鉄人の集う場所。

その中にただ一人、ごく普通の学生の姿があった…………!

 

 

「そこ! 泡立てが遅い! 早くしないと卵白が常温に戻ってしまう!」

-策謀する和食家・森林孔明-

 

「は、はい!」

 

 

軽く直系40cmは有ろうかと言うステンレス製のボウルをかき混ぜる。

中には卵20個分の卵白、常温に近づけば近づくほど泡が荒く成る為に急ピッチで行わなければいけないのだ。

 

 

「馬鹿野郎! シロップだって言ってるだろうが! 放置してカラメルまで吹っ飛ばす気か!!」

-星勲百個・岩鍋豊-

 

「ああっ……! 済みません!!」

 

 

並行してのシロップ作り。

作業を流れるように行う為には、一瞬でも気を抜くことが出来ない。

料理の時間を無駄に使う事は出来ない、ましてや素材を無駄に使う事なんて以ての外である。

 

 

「ホ~アチャチャチャチャチャチャァア!! こうよ! ナッツの刻み方はこうよ! 一回しかやらないから良く見ておくよー!」

-ありとあらゆる中華料理の鉄人・陳椒肉-

 

「って、ししょー。一回しかやらないじゃなくて、一瞬でボクが使う分以外全部刻んじゃうから一回しか出来ないんでしょー?」

 

 

二刀流中華包丁を巧みに扱い、詰まれていたナッツの山は一瞬で刻まれる。

何が恐ろしいかと言えば、その仕事は決して雑でなく、全てが均等に刻まれると言う神業と言って差し支えない事であろう。

 

「無駄口叩く前にまずは香辛料(スパイス)混ぜるヨー!!」

-裏調味料界の死神・サギョアンド=マサーラー-

 

「ああ……この匂い…………最早嗅い…………」

 

 

調味料とは香辛料等の調合を始める所から始まるとの事である。

美味いと不味いが表裏一体になる中、今混ぜ合わせるそれはちょっと気持ち良くなるお薬に成分が近くなってきているのではないかと不安になる。

 

 

「ん………………どんな形になるか想像して」

-盛り付けと食い合わせの申し子・小坂井ユキ-

 

「……………………まだ型に流し込んでるだけなんだけどなー」

 

 

プロとは、既にこの時点で盛り付けの完成系までを確信しているとの事である。

完成しても居ない物をみて、盛り付けの方向性を決めるのは流石に無理じゃないのかと思いながらも、師匠ならやりかねないと思ってしまう。

 

 

「ふぉっふぉっふぉ、ムギちゃんや。最近ちょっとは料理の腕も上達してきた様じゃのう」

-地球皇帝・道畑万三郎-

 

「おっかしーなー……ボク、此処には料理じゃなくて、お菓子作りを学びに来たはずなんだけどなぁ………………」

 

 

橘小麦が此処に通い始めて早3年である。

菓子職人(パティシエ)の道を目指そうと意気込んでいた少女は、多くの大人達から無理やり色々な料理を教えられ、育っているのであった。

 

 

 

 

・・・・・・

「それでちょーろー、ボクにお話とは一体何でしょう」

 

 

そう言った日常を過ごして来て、急に万三郎の座敷に呼び出しを喰らうのであった。

長老とは、それっぽい雰囲気だから皆にそう呼ばれているだけである。

 

 

「うむ。ムギちゃんもそろそろ花のJKじゃ、行く所は決まったのかのう?」

 

「…………ちょーろー、JKは無いですよ。で、行く所ですか?」

 

 

この時期にそんな話をされるなんて思っても居なかったのが正解である。

中学を卒業して進む道など、普通なら高校であろう。

しかし、小麦の家は果て無く貧乏だ、私立の高校に通う程のお金は無く、ましてや中学の三年間は料理に費やされてきている。

成績こそ悪くは無いのだが、無いのだが公立には遠い。

だから、そのまま弟子として此処に住まわせて貰えないかと前々から伝えていた筈であるのだが――――――

 

 

「………………腕試し、してみんかの?」

 

 

そう言って取り出されるのは一枚のパンフレットであった。

そこには『遠月茶寮料理學園』と書かれていた。

 

 

「りょ、りょうり、がくえん? 専門学校じゃ無さそうですね。それだったらボクそもそも入れませんし」

 

「うむ。あくまでも高校生向けの料理学校じゃよ。此処を卒業するころには、ムギちゃんはもっと料理が上手くなっておるじゃろうて」

 

「料理学校って、お菓子の腕は上がるんですかね」

 

「………………………………ふぉっふぉっふぉ」

 

「オイコラ何とか言えー!?」

 

 

完全に目を合わせては居ない。

まあ、元々菓子作りは小麦の趣味であり、学べなかったからと言って死ぬ訳では無いので紹介された先に言っても問題ないのは事実である。

だが、何故急にそんな所を紹介してくる事になったのかが気に成るのであった。

 

 

「――――――ムギちゃんはワシらの愛弟子じゃ。その愛弟子が……悪く言えばこんな所で腐っていくのを見て居るのは偲びのうてな」

 

「そんな、紅楼夢(ここ)は凄く良い所じゃないですか」

 

「料理人は、料理をしてこそ光り輝く。ムギちゃん、前にも言ったじゃろう。此処は料理の世界に馴染めなかった者が集う場所じゃ、此処を卒業できればムギちゃんも引手数多な料理人に成れる…………のう、そうすれば、ムギちゃんも両親を楽させてやれるんじゃぞ? 金の心配も、無いわい」

 

「――――――――――有難う、ございます。両親と、話して、きます……!」

 

 

眼に涙を浮かべ、けれども泣いている所を見せない様にとすぐに立ち上がり、パンフレットを持って部屋から出ていくのであった。

 

 

「ふぉふぉふぉ…………上手くいったのう。孔明君」

 

「ええ。これで、小麦君はまだまだ料理の腕が上達する。演技派ですな、長老」

 

「まあ、全部が全部ウソ……と言うか、全部本当の事じゃしの、後は小麦君の頑張り次第じゃ」

 

 

そんな会話がなされる中、後にその料理学校に入れられた真実を知り、あの日の涙を返せと無関係な師匠方を含めて二~三発殴ることに成るが、それはまた別の話である。

 

 

 

 

・・・・・・

「な、に、が、お金の心配はない、だ…………」

 

 

確かに、試験料を払う必要が無いと言う意味では、それは紅楼夢が出してくれたのが事実である。

しかし、授業料等その他に関しては、入学試験を良い成績で合格して只なりなんなりにして貰って来いとか無茶苦茶な事が描かれているのであった。

 

 

「無茶苦茶だ、滅茶苦茶だ、ぐっちゃぐっちゃだよ…………何か女の子の一声でみんな逃げ出すし、残ってるのボクと……君ぐらいだよねぇ?」

 

「ん? ああ、そうだな」

 

 

幸平創真と名乗った少年は、卵料理の課題をやる気満々であった。

勿論、その気持ちは小麦にも変わらない。

創真と違っているのは、実家が料理には一切関わっては居ない事、つまり料理人としてのプライドが無い事が強みであり、弱みでもあると行った所か。

 

 

「ボクは作るの決まってるけど、君は?」

 

「ん? ああ、俺も既に決めた。調理台は被るか?」

 

「オーブンと、まあコンロ一台さえあれば……ねえ、そっちの女の子。うん、試験官様じゃ無い方」

 

「わ、私ですか?」

 

「Yes,コレを用意してもらいたいんだけど、あるかい?」

 

「え…………こんなのを料理に使うんですか……………………えりな様に変な物を作ったら承知しませんよ?」

 

「くふふ、あるなら上々。完璧さ」

 

 

無駄口叩いている暇はないと、お付の女子生徒を走らせ、小麦も料理を始める。

 

 

「(…………薄力粉、バター、牛乳を鍋で煮詰める…………冷めてから卵黄を………………只のスフレね。こっちの娘はもう良いかしら)」

 

 

審査することに成る2人の料理の手際を見てみる試験官――――薙切えりなであったが、小麦の方を見る事はさっさと止めて、創真の方に注目するのであった。

何せ、卵料理であるのに、全く卵に手を付けたのは10分を過ぎてからである。

一体どのような料理が出来上がるのか、想像が出来ないからであった。

 

 

「んー……卵白に一滴…………彼の料理からして、もう少し入れておいた方が良いかな」

 

「ッ! 貴女、彼の料理が解るの?」

 

「ふぁっ!? え、ええ……そりゃ、まあ、隣で見てれば何が出来るかくらいは?」

 

「お、解るか、ふりかけ」

 

「えっ、親子丼でしょ、ソレ?」

 

「あー…………成程、うん。それも正解だわ」

 

 

使った材料から、親子丼に近い物だと当たりを付けていた。

その後、創真の口よりふりかけだと言われて外すことに成るのだが、逆にそれで完成系が解る小麦なのであった。

 

 

「…………邪魔して悪かったわね。続けなさい」

 

「はーい……? まあ、後は、焼くだけっと」

 

 

親子丼もふりかけも、全然違う物じゃないかと怒るのも止める程呆れ、料理を続けさせるえりななのであった。

小麦も焼くだけなので、さっさと焼き始めて、お付の娘に頼んでいたモノが届くのを待っているのであった。

 

 

 

 

 

・・・・・・

「ん~~~~~~~~♪ ジュ~ッスィ~~~~~~~~~~~~♪」

 

 

リアクションを我慢しながら食べているえりなと違い、思った事そのままを口にだして小麦はリアクションをしている。

魚の煮凝りを使った料理は何度か師匠が作ったので食べた事はある。

中華には豚の煮凝りを使った料理もある。

羊羹だって元をたどれば羊肉料理……多くの正当な知識はあっても、鳥の煮凝り料理とは初めて食べた物であり、新たな知識として五感全てを使って味わっているのであった。

 

 

「すごい……正当な煮凝り料理とは全く違うよぉ。くふふ、これメモって良い?」

 

「あ、ああ、良いぞ……?」

 

 

創真にしてみれば、小麦が勝手に料理を食べて悶えているのだけなのだから、そんな事より目の前で何か葛藤しているえりなに評価を出して貰いたいと思っているのであった。

それに関しては小麦も同じようで、評価してもらって自分の番に回してほしいと、腰砕けになりながら、創真のふりかけご飯を食べるのを止めているのであった。

 

 

「ひょ、評価……の、前に! 橘小麦さん、貴女の料理を持ってきなさい!」

 

「んー? 別に急がなくて良いのにー?」

 

「急ぎます! 大体、貴女が作った料理は『スフレ』の筈です! 時間経過と共に萎んでしまう前に、貴女も料理人ならば一番の食べ頃に出したらどうなんです!」

 

「――――くふふ。一番の食べ頃時期ね、なるほど。それはボクも同感だよ試験官様……でも、ボクのスフレの食べ頃は、短い命では無いよ」

 

「!」

 

 

それは、スフレと呼べる物であっただろうか。

カップから頭を出して居ればそれは十分な膨らみと言われている。

ならば、カップの二倍を超え、三倍に迫ろうとするほどの高さを持つそれを、果たしてスフレと呼べるのであろうか。

 

 

「上に載っているのは……ソフトクリーム!? 何故、何故萎まないの!? こんなことをすれば、乗せた瞬間から萎んで砂上の楼閣の如く崩れ去っていく筈!」

 

「くふふ。先ずは、食べてからどうぞ?」

 

「ッ…………!」

 

 

一体、この入学希望者たちは何なのだ。

片や二流も良い所の定食屋の息子、もう片方は料理に何の関わりもない家からの――――剰え学費優待制度を受けるコースと言う傲岸不遜な態度。

本当に、一体何だと言うのだ、この、鼻を、くすぐる――――――

 

 

「弾ける……レモンの、香り…………」

 

「Yes! 隠し味は、お手製レモネード! レモンを加えると言う事は、メレンゲを酸性へと近づける行為。つまり、シフォンケーキに加えろとか書かれている石酸水素カリウムと同じ働きだね…………効能は、泡の安定性」

 

 

生地を空気で膨らませるタイプのケーキは、時間がたつとともに生地内の空気が抜け、萎んでいく。

そこまではえりなが述べたとおりである。

ならば、空気が抜けないようするにはどうすれば良いか、実に簡単な事でメレンゲと言う気泡を壊れにくくすればよい。

つまりは、酸性に近づける事であると小麦は語る。

 

 

「この高さも、ソフトクリームも、尋常じゃないくらい物理的に軽い。空気が、含まれる空気が根本から違うのね?」

 

「Yes,ソフトクリームの空気含有率(オーバーラン)を極限まで高める事で、雪解けの様な軽さ、そして春の息吹の様な爽やかさを出した……と言う訳さ」

 

「(それだけじゃないわ……空気を多く含むと言う事は、ソフトクリームが溶けやすくなると言う諸刃の剣。それを解消するためにも、冷ます事が出来るスフレが必要…………何と言う、絶妙なバランス……!)」

 

「そして最後に、其のソフトクリームの意味」

 

「ま、まだあるの!?」

 

 

レモンの香りがする霧に包まれ、自身を見失いそうになるほどの陶酔感。

それがこのスフレにはあった。

そして、迷わせない様に、なのか、止めを刺す為なのか、小麦の口から最後の答えが紡がれる。

 

 

「このソフトクリーム、別に有っても無くても良いのさ」

 

「どう言う……」

 

「試験官様が何を食べたかによって、ボクが作るスフレの完成は違ったのさ。創真君の料理がもし軽かったなら、このスフレも共に軽く消えただろうけど…………彼は、重厚な食事を出してきた」

 

「貴女が私に頼んだモノ……つまり、液体窒素は使われない可能性もあったのですか?」

 

「そうさ、元々さっぱりしてる後に、レモンのソフトなんて出されても、クドいだけじゃん?」

 

 

全てはその一瞬の判断を行うためだけに、液体窒素を頼んだのであった。

まあ、最も、実際に創真は濃厚な味付けの『ふりかけ』を作ったのだから、判断としては間違って居なかったとも言える。

 

 

「後は出すタイミングだね。2分から3分もあれば、ソフトクリームは作れる……ちょっと、力とか居るけどね。まあ全ては、この最後の一言の為――――――ご馳走様でした、ってね」

 

 

調理室の窓を開ける。

吹き抜ける風が、調理場の熱気を逃がすとともに、レモンの爽やかさを一層際立てる。

料理だけを料理人が作るのではない。

全て、食べ終わった後の一言に向けて、世界を作って行くのだと、小麦は伝えるのであった。

 

 

 

 

・・・・・・

「『追って、合否を伝えます』…………か。ふはー、まあ、仕方ないよねえ、何か結果的に、ボクと君とで料理を作った感じになっちゃってたし」

 

「そっか? 楽しかったぞ、学校に入れたら、またやってみたいって思う程度には」

 

「くふふ、それは重畳だね。んじゃ、互いに合格出来てる事を祈ろうかな」

 

「それで、入学したら勝負しようぜ」

 

「勝負…………?」

 

「どっちが美味いか、とかさ。俺は、親父って言う目標を超えるために此処に通うつもりだ。だから、アンタみたいなやつとも戦って、勝ちたい!」

 

「くふ、くふふ……面白い事言うねぇ。でも、ボクは趣味で料理をやってきた程度の人間さ。君の期待には応えれないかもねー」

 

「しゅ、趣味…………嘘だろ!?」

 

「くふふふふ、さてね」

 

 

入学まであとひと月。

合否の結果が出るにはまだしばらく係るのであろう。

可能で有るのならば、彼の様な楽しい人物と共に入学したいと、隣で呆気にとられた顔をする少年を見て笑うのであった。

 




はいはい、ひっさしぶりに考えたオリキャラさんですよっと。
まー、やってる事は何処かのパロディみたいな料理ですからねぇー。
基本的に、ギミックを考えれる程私頭良くありませんよっと。

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