一方通行は楽観的すぎる   作:au revoir

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十話 昼飯に行きました!

 

 

 

 

打ち止め(ラストオーダー)と名乗った子供を拾ってから翌日。ベットを占領されたオレは泣く泣くソファーで寝ていたが、そもそもあまり柔らかいものでもないため、少し寝違えた。痛い。

拾ったと言ったが、ついてきたという方が正しいか。妹達(シスターズ)達は妙に素直なので、部屋番号を間違えて伝えたりしてからかったりしたが、やはり部屋の中までついてくるとは思ってなかった。

まぁ、そんな部屋も今やズタボロでとても住めやしないが。

昨日帰ってきたら、ドアが壊され、カーテンも破かれ、壁には落書きだらけ。ソファーや机には刃物で切りつけられたような跡があった。くだらない、そう思ったが、毎度の如く冷蔵庫の中身がダメになっていたので怒りは湧いた。

というか、もうこれ直してくれる奴いないという事実に落胆したんだけども。あれだよ、実験に協力してくれてる以上は今ぐらいの生活保障はするってやつ。あれはこういう生活水準……主に部屋が壊れたりしたら直してくれてた。だが、終わった後なのでそれももうない。

 

「あ、起きた!おはよう!ってミサカはミサカは昼過ぎなのに朝の挨拶をしてみる!」

 

は?昼過ぎ?マジか、すげぇ寝てたのかオレ。

出かけた服のままなので、そのまま起き上がり財布をポケットに入れて玄関へと向かう。

食材がダメになった今、手軽に食べれる外食に行くしかない。

 

「どこ行くの?ってミサカはミサカは質問してみる」

「飯、食べに行くンだよ」

「ミサカも行く!ってミサカはミサカは元気よく手を上げてみたり!」

「あっそ」

 

ミサカ達は妙に素直だが、頑固だ。一度こうと決めればあまり変えない、多分だが、オリジナルである第三位の性格からきているのだろう。何回かしか会っていないが、そんな性格をしてそうな顔だった。

なのでついてくると言われ、例えそれがオレの奢りだとしても、オレは諦めるしかないだろう。反論するのも力がいるし面倒くさい。ソファーで寝た一方通行君は今日だけ、気怠げなんだよ。

 

「けどミサカは一方通行のギャップを期待してただけに、少し残念だな。ってミサカはミサカははぁとため息を吐いてみたり」

「は?どォいうことだよ」

 

ギャップ?

 

「起きてからすぐ玄関に向かったって事は普段料理してないんじゃないかな。ってミサカはミサカは推理してみる。だから、一方通行がエプロンを着て料理をするっていうギャップを期待してたから、残念。ってミサカはミサカはさっき言ったことの理由を述べてみたり!」

 

そういうギャップね。

確かに、オレの見た目から料理するような人間には見えないだろう。まっこと失礼なことである。見た目から判断するなんて酷いとは思わないか?これでも炊事洗濯掃除ちょちょいのちょいだ。前世で一人暮らししてたからな。窓の縁に溜まった埃とかと格闘してた思い出がある。まぁ今世に至ってはそこまで掃除はあまりしてないけどな……週に一度はするけど。

 

「この部屋の惨状見てなかったのか?料理できるような環境じゃねェだろう。冷蔵庫の中の食材は全部無駄になってるしなァ」

「そうなの?ってミサカはミサカは首を傾げてみる。ん?それより、食材があるってことはやっぱり料理するの?ってミサカはミサカは一方通行のギャップに期待してみたり!」

「する。炊事洗濯掃除、なンでもござれだ。一人暮らし嘗めンなよ」

「うははー!ギャップきたー!ってミサカはミサカは飛び跳ねて喜びを表現してみたり!」

「うるせェ、跳ねンな、埃が散る」

 

喜ぶのは勝手だが、埃を散らさないでほしい。

この部屋を作り出したスキルアウト共は土足で入ったようだし、特に玄関に近い場所の土埃が激しい。誰だか判明したら、死なない程度に痛めつけてやろうか。

ってか、セキュリティ完璧だったはずの扉も暴力には屈したらしい。折れ曲がり外れた扉を無視して、近くのファミレスに向かって歩き出す。今度は対能力の機能でも付けようか。それも知り合いにでも頼めば可能だろうが、頼みを聞いてくれるような奴ではないのは確かなので諦める。なんで天才さんは頭が可笑しいのか。は?オレ?オレは別に天才じゃないだろうに。能力だけ取り柄なんだから……ぐふっ、血反吐吐きそう。あ、でも、機材だけならどっかからの研究所から盗めば良いのでは?そしたら対能力者用のセキュリティ、自分でできる気がする。

 

 

そんな事をつらつらと考えていたら、ファミレスに着いた。

たまに来る場所だからか、対応に来た店員が疑わしそうな視線を浴びせてきたが、そんなのはスルーするに限る。そりゃな、一人で来てた人物が急に小さな子供を連れてきてたら怪しいよな。しかもこんな目立つ髪色してるオレだし。

 

「なっににしよーかなー!ってミサカはミサカは初めて来る場所にテンションが上がっていたり!」

 

みるとか、みたりじゃなくなったぞ、おい。いたりって。いたりって何だよ。

足を振りながらメニュー表を見る打ち止めを横目に、オレもメニューに目を通す。

うむ、何にしようか。やはり、ミックスグリルか、いや……昼だけど、寝起きだ。グラタンにしようか。え?あまり変わらない?バカ言え、ミックスグリルとグラタンじゃ何となく胃の重さが違うぞ。

グラタンとドリンクバーを頼むことにしたオレは、もう決まったかどうか打ち止めを見たが、その後ろのファミレスの外にいる人物を見て目を細めた。

 

「(あいつは……天井亜雄じゃねェか)」

 

超能力者量産(レディオノイズ)計画から絶対能力者進化(レベル6シフト)計画へと流れてきた研究者。超能力者量産計画の時から計画に関わっており何回か会ったことあるが、小物臭がやばい人物だったのは覚えている。

いやだってな、こっちが何もしてないのに近づくだけで、ひっ!とか小さな悲鳴上げるんだぜ?これのどこが小物じゃないってんだ。

天井は此方の視線に気づいた後、逃げるようにして自身の車に乗り込み駐車場から出て行った。ってか、車がスポーツカーって。小物なのに威張ってんなぁ。

しかし、何だったんだろうか?何か怯えたような感じだったが。いやあいつはいつもあんな感じだったな。

 

「(別に、気にすることでもねェか……)」

 

そう、天井が何をしようともオレには関係ないし、興味もない。もう実験も終わったしな。

ふと視線を戻すと、アホ毛をぴょこぴょこと嬉しそうに動かしている打ち止めが目に入った。

 

「……………………チッ」

「ん?一方通行どうかしたの?ってミサカはミサカは突然の舌打ちについて尋ねてみる」

「別になンでもねェ。それより、決まったか?」

「うん!このハンバーグがいい!ってミサカはミサカは写真を指差してみたり!」

「ご飯セットかよ。図々しいガキだな」

「えへへー!遠慮の欠片もないのがミサカの特徴だからね!ってミサカはミサカは胸を張ってみたり」

「威張ることでもねェだろ、それ」

 

打ち止めの言動に呆れながら、店員を呼び出す呼び鈴を鳴らす。一分もしない内に女性店員がやってくる。

メニュー表の写真を指差しながら、ハンバーグとグラタンを頼む。あとドリンクバー二つ。

 

「以上でよろしいですか?」

「あァ」

「ドリンクはあちらでお取りください。失礼致します」

 

それだけ言うと店員は奥に入っていく。厨房に言いに行くんだろう。目に見えなくなると、オレは立ち上がり打ち止めの方を向く。

 

「ドリンク取りに行くが」

「んじゃ!カル○スがいい!ってミサカはミサカは何故か優しい一方通行に頼んでみたり!」

「一言余計なンだよ」

 

カル○スな。子供っぽい。まぁたまに飲んでみたくなるよな、ジュースって。炭酸とかな。

コップを取り出し氷をトングで掴み、二、三個入れカル○スを入れた。ストローも忘れない。オレはいつものようにブラックコーヒーだ。ここに来る時はいつもホットを入れる。

ホットコーヒーとカル○スを持って席に着く。どうやらもう飯が届いていたようだ。目の前にはグラタンとハンバーグ、フォークを持って目をキラキラさせ待機している打ち止めの姿。

早ぇな。客数があまりないからかなのか、こんなにも早いとは思ってなかった。

 

「ほれ、カル○スだ」

「わーい!ってミサカはミサカは手を振り上げて喜んでみたり!」

「危ねェ、やめろ」

 

オレの手からカル○スを受け取った打ち止めはそのまま飲むかと思いきや、傍にコトリと置いた。どうしたってんだ?

不思議に思いながらオレは椅子を引き座り、机に既に置いてあるカラトリーケースからスプーンを取り出した。

 

「ねぇねぇ!」

「あァ?なンだよ」

「いただきますって一度やってみたかったんだ!やってもいい?ってミサカはミサカは同意を求めてみたり!」

「勝手にしろ」

 

何で同意をもとめる必要があるんだよ。そう思いながら、グラタンにスプーンを刺した。ふわりと湯気が舞う。

オレの言葉に打ち止めは表情を明るくさせニッカリと笑う。そして手を合わせた。

 

「いっただきまーす!」

 

そう言った打ち止めは、まずハンバーグを食べ、白米を食べる。そしてまた笑顔になると、美味しい!と嬉しそうに言った。

その姿を見たオレも食事を開始する。グラタンは少し甘く、熱かった。はふっと思わず息を出してしまう。

元々食事スピードも速いオレだ。打ち止めがあと半分ぐらいって所で食い終わり、食後のコーヒーを嗜む。ここまで五分ぐらいだ。

ハンバーグを千切っては食べ、白米をすくっては食べを繰り返す打ち止めを尻目に、少し緩くなったブラックコーヒーを喉に流した。先ほどまで甘いグラタンを食べていたせいか、いつもより苦く感じた。

ふと、ある疑問が湧き上がってきた。今の今まで放置していたが、もうそろそろ良いだろう。まだ食事中の打ち止めへと言葉を投げかけた。

 

「おい」

「ん?何?用件は短めにね。ってミサカはミサカは言外に食べるのに忙しいから邪魔しないでって伝えてみたり」

「……言ってる時点で意味ないっつゥの。そうじゃなくてだな」

 

面倒くさいガキだな。

 

「テメェが何故、オレの所に来たのか聞いてなかったと思ってなァ」

「…………………貴方しか知らなかったから」

「あァ?」

「頼れるのが貴方しか知らなかったから。ってミサカはミサカは知人の少なさを暴露してみる」

 

カチャリとフォークを置いた打ち止めは俯き加減にそう言った。細々と呟いたその言葉は今までの雰囲気とは違い、暗い。

その言葉を聞いたオレは数秒間瞬きをしていた。つまりは意味がわからなかった。だって、オレは。

 

「ハッ、お前らを殺したオレを頼るって随分と滑稽だなァ」

「……確かに一方通行は妹達を一万体も殺した。けど、それは実験で仕方がなかったこと。ってミサカはミサカは思ったことを言ってみる」

「仕方がないねェ……けど、オレは嬉々として彼奴らを殺っていた。それは変わンねェだろォ?」

 

そう問いかけると打ち止めは顔を上げ、悲痛そうな表情をする。なんだよ……その顔は。

 

「なら何で、一方通行はいつも遅刻していたの?ってミサカはミサカは問いかけてみたり」

「…………」

「屋内実験ならまだしも、屋外実験はただ一回を除いて全部遅刻してた。実験に支障がなかったけど、それを告げる度に少し暗い顔を貴方はしていた。何故?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」

 

オレは答えない。

 

いや、答えられない。

だって本当に知らなかったからだ。

遅刻していたのは、ただ単純に忘れていた。暗い顔をしていたと言われても自覚なし、わからない。

 

「それに貴方はミサカ達の話に付き合ってくれた。実験動物、ボタン一つで量産できる人形の話に。普通なら言葉を返す必要ないミサカ達の話に何故話に付き合ってくれたんだろう?って。ミサカはミサカは長年の疑問を思い返してみる」

 

それは単に暇だったからで、何も意味はない。

 

「でもね、最近結論が出たんだ!ってミサカはミサカはミサカ達の考えを伝えてみたり!」

 

打ち止めはこちらをまっすぐと見据えて、そして言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方は心の底で実験を誰かに止めて欲しかったんじゃないかって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『悪かったなァ、遅刻常習犯で』

 

『いや、言ってる時点で隠せてねェよ?』

 

『便利でもねェよ。誰しも欠点は持ってるしなァ』

 

今までミサカ達と話した記憶が蘇る。

 

 

「……チッ」

 

本日二度目の舌打ちをして、オレは立ち上がった。付き合ってられねぇ、そう思った。

どこ行くの?とかミサカも行く!とか言っているが無視して、外に出ようとするが、後ろから聞こえてきたガシャン!という音に思わず振り返ってしまった。

明らかに打ち止めの方から聞こえた音。やはりというか、荒い息を立てて打ち止めは机に突っ伏していた。どうしたというのか。

 

「は、ははっ。ミサカは、培養器から、ホントは出てきちゃダメなん、だ。ってミサカは、ミサカは説明、してみる。身体が、規定に達してな、いから、あまり、動いちゃ……ダメだったんだけど。ってミサカはミサカは……」

「…………………」

 

打ち止めはそのまま動かなくなる。別にどうしようもないし、連れて帰る必要ない。

チラリと目に映った伝票を掴み取り、レジへ向かった。ま、奢るぐらいはするさ。金を持っているようには思えなかったしな。

ファミレスから出てある場所へと向かう。こうなってしまった以上、関わらないのもダメだろう。元よりオレも元々関係者である。実験される側だがな。

 

見えてきた白い建物を足を止めて見る。ここで引き返すのもアリだ。面倒ごと、確実にそれなのに……だが、何でだろうか。その選択肢はもうない。

人が変わった。今のオレを見たら、誰かがそう言いそうな気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

……あーァ。こういうのはオレの領分じゃねェのになァ。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回もなんとかなるのかなー。

 

 

 




た、助けて!シリアスブレイカー!!

なんだこれ!シリアス!シリアスだ!なんかわからないけどシリアスだ!え?今までもあったって?そんなバナーナ!!
あ、ダメだ、動揺しすぎて死語使っちまったよ。

相変わらず話によってテンションの浮き沈みが激しいアクセラさんには作者もたじたじだよ、チクショウ。
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