一方通行は楽観的すぎる   作:au revoir

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十六話 意外な人に出会いました!

 

 

「さて……帰るか」

「えぇー!?ご飯食べただけじゃん!ってミサカはミサカは貴方の決定に不満たらたらだったり!」

 

腹一杯にご飯を食べ、満足したオレはそう呟いた。小さく呟いたはずの言葉は近くにいた打ち止め(ラストオーダー)に拾われていたらしい。案の定抗議の声が上がった。

オレとしては大覇星祭は毎年見てるもので、どうでもいい事なんだが、打ち止めにとっては今年が初めてだ。何せ去年に生まれたとしても、研究室から出たのはつい先月だしな。

 

「嘘に決まってンだろ。お姉様の競技見に行くンじゃなかったのか?」

「行く!!絶対行く!あ、それとナイトパレードも見たいな?ってミサカはミサカは上目遣いでお願いしてみたり」

 

キラキラとした目でオレを見てくる打ち止め。

上目遣いと言っても、元々背が低いのでオレと顔を合わそうとすれば自然とそうなる。

しかし、ナイトパレードか。確か六時半からだったか?それまで外にいるのは面倒くさいというか、何というか……面倒くさい。

 

「面倒くさいから却下。ってか、それが通用するのはロリコンだけだ。残念だったな」

「え…………?」

 

………………ん?

 

「何だよその“ロリコンじゃないの?あり得なーい”みてェな顔」

「え?違うの?」

「ちげェわ!!」

 

心外にも程がある!何処がどう見てロリコンなんだよ!あぁ!?

打ち止めを連れてるからですかぁ!?連れてるだけでロリコン扱い!ヒジョーにキビシィー!

 

「とにかく!ミサカはナイトパレードを見てみたいの!これ絶対!ってミサカはミサカはお願いを止めて命令をしてみる!」

 

ふんす!と鼻息を吐き、腰に手を当てて踏ん反り返る打ち止め。頭の天辺にあるアホ毛が、打ち止めの心情を映し出すかのように揺れていた。風も吹いてないのに揺れるってどういう仕組みなんだろうか、気になる。

どう見てもオレの面倒くさいという意見は通らなさそうだ。これだからガキってのは頑固で嫌だねぇ。

というか、命令という時点で昔なら誰に命令してんだよ、とキレてた所だ。オレも丸くなったもんだな。うん。

 

「わかったっつゥの。お姉様の競技見てから、一旦病院に戻ってナイトパレードの時間になったら出る。それでいいか?」

 

打ち止めの提案を飲みつつ、オレの提案も提示する。打ち止めは不思議そうな顔で頷いた。

よかった、頷いてくれたよ。これが通らなかったらオレは道端で倒れる事になってた。

内心ホッとしていると、何か言いたそうな打ち止めが視界に入る。どうしたというのか。

 

「でも、何で病院に一旦戻るの?ってミサカはミサカは純粋に思った事を聞いてみたり」

 

あぁ、なるほど。病院に戻るのが不思議だったのか。

まぁ、ナイトパレードまで時間潰すなら別に戻らなくても、そこらのファーストフード店やらファミレスやらに入ればいい話だもんな。

……そっちの方が断然いいな。座れれば、いい話だし。別に少し遠い病院に戻らなくてもいい。ただ言った手前、理由もなしってのはダメだろう。

 

「何でって……そりゃァ、疲れるからなァ。アレだ、ジョ○イさんの所に戻るのと一緒だ」

 

ほらだって、手持ちがひんし状態になったら戻るだろ?オレだって何回もやってることだ。

そう説明したのにまだ打ち止めは不思議そうな表情をしていた。ったくなんだってんだよ。

お前は自分で考えるってことはできないのか?頭の中は大人だろ。見た目は子ども、中身は大人。ほら、どっか事件でも解決してきたらどうだ?

 

「病院って言う点については一緒だけど、疲れる?誰が?ってミサカはミサカは首を傾げてみる」

 

は?誰が?

 

「オレに決まってンだろ」

「一方通行弱ーい!ぷーくすくす」

「はっ倒すぞ!?」

「おこなの?おこなんです?ってミサカはミサカは口元を押さえながら煽ってみたり」

「殺スッ!!」

 

笑い出して煽る打ち止めにオレはこめかみに筋を浮かべながら、そう叫んだ。いや、本当に殺しはしないが。もし殺したらブタ箱行きである。まぁ、利用価値の高いオレをそんな場所へ入れる学園都市ではないだろうが……良くて闇の部分へお引越しかね?

というか、打ち止めのやつ昼飯前にオレがやった事と同じ事やりやがって。くっそ腹立つ。

最大限に眉を寄せ打ち止めを睨むが、当の本人は何のそので、未だクスクスと笑っている。因みにだが、オレの睨みを見た通行客はオレから距離を取るように歩いている。突き刺さる目線が痛いぜ!

 

「ねぇ聞いた?奥さん?学園都市一位が聞いて呆れるわよねぇ?ってミサカはミサカは近所の奥様方の様な話し方でミサカネットに拡散してみたり」

「おいやめろォ!」

 

約一万人のミサカ達にこの光景が拡散されていくのか。想像しただけで胃が痛い。ぐふ、これ以上オレにストレスをかけないでくれっ。

 

「というかこういう会話した時点で伝わってンだろ……それ」

「あれ?バレた?ってミサカはミサカはテヘペロしてみたり。テヘペロ」

「二回も言わなくていい」

 

頭に拳を軽くぶつけ、ウインクし舌を出す打ち止め。非常に腹の立つ行為である。こういうのって人にするのはいいけど、されると嫌だよね。じゃするなって?馬鹿言え、到底無理な話だ。

しかし、こうして打ち止めが見聞きしたものは瞬時にミサカネットを伝って残っている全ミサカに伝わるのか。プライバシーの侵害もクソもねぇな。

そうだな、例えるなら某青い鳥のSNSで一万人のフォロワーがいるアカウントで、常時言動がツイートされている状態だ。うん、精神的に死ぬな、確実に。

打ち止めがいる限り、此方の行動は筒抜けであるという事が発覚した。今更感あるが。唯一の救いは、ミサカ達が口軽というわけじゃないこ……と、と思ったけどそうでもない気がする。聞けばなんでもホイホイ答えそうだ。それこそ、彼奴らが好みそうな物などをあげれば。

 

「む!ミサカ達はそんな安い女ではないよ!ってミサカはミサカは貴方に抗議してみる」

「思考を、読まれた……だと……!?」

「フハハハ!ミサカの能力で貴方の補助デバイスから電気信号を伝って脳内で考えた事がわかるんだよ!ってミサカはミサカはまだ言っていなかった衝撃の真実ゥを述べてみたり!」

 

ベク○ーかよ。

てか、それが本当ならオレのプライバシーは本当に米粒程も、ミジンコ程も、微生物程もなくなって、“無”になったぞ。何考えても常時筒抜け、ミサカネットを伝って全ミサカへ拡散。言動だけでなく、思考までも筒抜けなんて……なにそれワロエナイ。

 

「というのは嘘で!」

 

嘘かよッ!!

焦ったよー。めちゃくちゃ焦ったー。

本当に筒抜けだったらどうしようかと考えてたよ。学園都市から逃げ出そうかと。確かに思考の中というか、頭の中身や記憶まで筒抜けに出来る能力の持ち主はいるが、そういう系統の能力ではない打ち止めがそんなの使い出したら、ちょっと嫌いになってました。えんがちょしようかな、なーんて考えてました。

オレにとって脳内の事がバレるのは死活問題。だって前世の記憶があります、なんてオカルトなこと信じてもらえないだろうが、興味を持つ科学者がいそうだ。そしたら脳内解剖決定だ……ひぇ。学生の街でもあるこの都市は科学者の街でもあるのだから、科学者はごまんといる。そういうオカルト方面に科学者もいるだろう。

そもそも、超能力というのは元々オカルトチックな話だ。いや、魔法とかよりは可能性はあった。種も仕掛けもないスプーン曲げとか、それだ。因みにオレもできる、能力のおかげでな、力任せにこう!ぐにゅっと!

 

「嘘なら、なンでわかったンだァ?」

「カン。ってミサカはミサカは根拠のない事を答えてみたり」

「第六感ってかァ?何それ、願い下げなンですけど」

 

カンっておま、カンて……。

仮にも科学技術でできた存在がそんなもの言うなんて。あ、でも第六感というのは直感とも言われるが、人間のちゃんとした器官なはずだ。うん、多分。

というか第六感で人の思考読めちゃったらもう能力者いらないじゃん。主に精神系。

まぁ、能力がベクトル操作であるオレには関係ない話だ。そもそも能力って何で生まれたのだろう?原石とか言っているから、元来より人の奥深くには能力はあったのだろう。それを引き出したのが、学園都市の科学技術なわけで。

原石というのは学園都市に来る前から能力を発現している者たちのことだ。オレはここに来てから発現したので含まれてはいない。

自分達のような能力開発を受けたのが、人口のダイヤ。原石が天然のダイヤと呼ばれる。確か、超能力者(レベル5)第七位は原石だったか。一度会ってみたいもんだな。第三位以外に会った事ないし、会ったら会ったで戦闘は免れないのは必須だが、ま、好奇心の方が上だ。

 

「って、ン?あいつ、どこ行きやがったンだ?」

 

色々考えてたら打ち止めがいつの間にか居なくなってました。テヘペロ!

って!ふざけてる場合じゃねぇ!また迷子かよ!あのガキ!!

 

「ねぇねぇお姉さん迷子?ってミサカはミサカはお姉さんの裾を引っ張って尋ねてみたり」

 

あっちか!

存外近くにいたようだ。声がハッキリと聞こえた。人混みのせいで姿は見えないが、直ぐそこだろう。

人混みを掻き分け、少し広い所に出る。噴水広場のような場所だ。休憩時間なのか何故か学生たちのカップルで多い場所に、そいつはいた。

ひょこひょことアホ毛を揺らしながら、噴水の近くにあるベンチに座る、栗色の髪をした女性に話しかけていた。その女性は驚きを表情に見せており、打ち止めを凝視している。ん?どっかで見たような顔だな?ま、いいか。関係はない。さっさと打ち止めを連れ出して、競技をやる場所へと向かわなくては。

行きたいと言ったのは打ち止めなのに、それを無しにしているのが当の本人って始末に負えないだろ?

 

「迷子というか、娘に置いていかれちゃって」

 

走る必要もないのでゆっくりとそのベンチに向かって歩いていると、えへへと苦笑いをする女性。どうやら大覇星祭で学園都市にやってきた母親のようで、娘に置いていかれたらしい。

少なくとも年に一度しか入れず、勝手がわからない学園都市に放置するなど、その娘さんとやらも結構鬼畜だな。

にしても、結構若いのに母親とは一体何歳で産んだんだよ。驚愕。

その女性は、苦笑いをした後に打ち止めをまじまじと見る。どうしたというのか。そんなにアホそうな顔をしているから珍しいのか?…………打ち止めに睨まれた気がしたが、きっと気のせいだろう。

女性はうん、と頷いた後両手をパチリと合わせて和かに笑う。活発そうな印象を持たせる彼女の笑顔は、ここにいる男性の目線を奪い去っていた。おーおー罪深い女だねぇ。

 

「それにしても貴女、小さい頃の娘にそっくりね!」

「そう?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」

 

首をコテリと傾げる打ち止め。オレはすでに打ち止めの隣へと立っているが、この女性は気づかずに未だ打ち止めを見ていた。あれ?オレってまさか影薄い?こんなに近いのに気づかれないし。え、なんかショック。

結構濃いキャラだと自分でも思ってたのに…………というか、小さい頃の娘にそっくり(・・・・・・・・・・・)

 

---まさか。

 

「ミサカっていうのね。私の苗字と一緒だわ」

「へ?」

 

……こういう事ってあるんだな。

ホント、神様ってのは何をするのかわかんねぇ。けど、これはないだろ。

だって年に一度しか開催されない大覇星祭、そのたった二日間で、しかもこんなに広大な土地である学園都市の中で、万が一、億が一、兆が一にでもあり得るとは思わないだろう。

 

「私、御坂美鈴。よろしく、ミサカちゃん」

 

第三位(御坂美琴)の母親に出会うなんてこと。

 

 

 

 




打ち止めが加わったおかげか、会話が多くなったなぁー。
そして話的にあまり進まないコレ。大覇星祭はまだまだこれからだぜ!
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