一方通行は楽観的すぎる   作:au revoir

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三話 場所変更ですって!

 

 

 

 

 

「かっ、はっ」

 

赤色の液体がビチャビチャビチャと地面にぶちまけられる。それを吐いた本人は、カヒュッという言葉にならない声を漏らしていた。

何万通りの場所で、何万通りの殺し方。元よりその殺し方でしかこいつらを楽に殺せない。というのは前日知ったことだ。科学ってすげー!

今日の殺し方は腹をぶち破る方法。元より防御能力などない相手で、オレより何倍もスピードが劣る相手に動作でもないことだった。

側にあった鉄パイプで向かってくる相手にプロ野球の豪速球のようなスピードで、腹めがけて投げてやった。そして見事にクリーンヒットし、壁に突き刺さった相手の声がそれだ。

 

「一発ですね。とミサカは今までの実験とは速さが違うことを告げます、ぐふ」

 

無理して喋るからか、口から大量の血を吐き出しては飲み込むを繰り返している。うぇ、不味そう。鉄の味って不味そうだし。

あー、速さね。

 

「今日は用事があるンだよ」

 

耳を掻きながらそう答える。

と言っても夜遅いから早く寝たいだけなんだが。

今の時刻は深夜3時。何万通りの実験とはそういうことだ。何時何分から始まるというのも視野に入れている。まぁ、オレが遅刻ばかりするので大丈夫なのかはわからないが。因みに今日の遅刻理由は寝落ちしてたこと。

深夜3時だからって、ずっと起きてちゃダメだな。夜早くから寝て、起きれば良かった。今度からそうしよう。

 

「これで、第10030次実験を終了します。とミサカは意識を朦朧としな、が…………」

 

徐々に声が聞こえなくなり、やがて呼吸が止まる。死んだか。

10030号が息絶えると、待機していた妹達(シスターズ)が現れ、10030号を回収していった。ってか、あと何回殺せばいいんだ?10030とか言ってたから、あと9970人か。うへぇ、絶対へのー道のりは遠い。ま、目指してないけど。そもそもだな。

 

「(こンなやり方で絶対能力者(レベル6)になれるわけねェだろ)」

 

確証はあるわけではないが、何かが可笑しい。

だって考えてもみろ。能力というのは自分だけの現実(パーソナルリアリティ)から来ている。それが強いほどレベルが高くなり、素質も大きい。だからレベル5は人格破綻者なんて言われるんだけど。否定はしない。

自分だけの現実が重要になる能力。それを引き上げるために、ただ人形共を、ただ機械的に、提示された条件で、殺す事で上がるのならば苦労しないだろう。それに、超能力者(レベル5)と何回も戦うことで、絶対能力者へと進化(シフト)するということだったはずだった……聞かされたのはそうだったんだ。しかし、蓋を開けてみれば第三位(オリジナル)の劣化版ばかり。強くても強能力者(レベル3)……前提が覆ってんじゃねぇか。

まぁ、樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)が導き出した事だとあのおっさんも言ってたしな。あまざけなんとかってやつ。天然パーマなのは覚えてるけど。

 

「ン?」

 

ポケットに入れている携帯が僅かながらに震えた。それを取り出し見ると、メールが来ていた。そこには次の実験場所、時間、殺し方を書いてあり、それを暗記したオレはそのメールを消した。

 

八月二十一日。午前3時2分。天気は晴れ。

 

雲一つない空だというのに、地に輝く無機物な光に塗り潰された星達は、一つも見えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

起きたら2時でした。

どういうことだ。あれから昨日帰って、シャワー浴びてベッドへダイブしたっていうのに。寝たの4時なのに。起きたの14時。10時間も寝てるぅ!?

ちっくしょ。最近やっと生活リズムが整ってきたかなー?と思ってきたのに!最近深夜の実験多すぎなんだよ。リズムが崩れてらぁ。

ベットから起き上がり、頭を掻く。視界の端で白い糸が揺れたが、気にせずに冷蔵庫へと向かった。目覚めの朝はコーヒーだと相場が決まっている。朝じゃないけど。

冷蔵庫の扉を開き、いつもブラックコーヒーを入れている場所に手を伸ばすが、そこには何もない事に気づく。えっ、嘘。まさか切れた?あんなに買ったのに?確かに、飽きかけてきたけどさ。

 

「…………しゃーねェ」

 

机の上にある携帯と財布をズボンのポケットへ入れて、玄関にある靴を履く。ちょっくら、コンビニまで行きますか。

何時ものように黒い帽子を被れば、準備万端だ。扉を開け、鍵を閉める。

オレが学園都市一位だからか、ここのセキュリティは甘くない。何せ、指紋認証、色彩認証、声紋認証、パスワードやらを入力してからではないとここの扉を開けられないからだ。厳重過ぎ?常に命狙われてんですが、それは。

まぁ、命狙われるって言ってもほとんどがスキルアウト共なんだが。反射で楽々返り討ち。

強すぎるってホント罪だよねー☆(イケメン風)…………うぇぇ……。

 

とあるコンビニへと着くと、オレンジ色のカゴを持って飲料コーナーへと行く。ここのコンビニは他のコンビニよりコーヒーの種類が多く、(自称)オレ御用達コンビニである。

飲んだことがあるコーヒーの中から、まだ飲んだことのない缶コーヒーを見つける。この時、コーヒーと似た缶のエネルギー飲料水もあるから要注意だ。

ふむ。今日はこの、エメ○ンにも似たコーヒーを買うとするか。

手を伸ばしカゴへと入れていく。二十缶ほど入れてから、インスタントコーナーへと向かう。オレは缶コーヒーだけじゃなく、普通に粉も好きだ。冷たくなく、あったかいのを飲むならコレだな。しかしだ、コーヒー豆を買ってそれを挽き作るなんて面倒なことはしない。美味しさより手軽さを選ぶのがオレだ。

え?料理?あれは、自己満足なようなもので、別に美味しさを求めていない。適当に作ってるし、冷蔵庫にある材料で何をするか適当に決めている。栄養方面も考えていないし、作るとすればより簡単な方を選ぶ。まぁ、流石にインスタントとか、コンビニ弁当とかはマズイかなぁと思って始めただけで、他意はねぇよ。

レジにカゴを持っていくと、店員さんは驚いたような顔をしてから、視線をずらしオレの顔を見ると、納得したように会計を始めた。あぁ、オレここで買い物する時、大概がお姉さんだもんね。お疲れさん。

 

「合計2836円です」

「ン」

 

また随分の微妙な数字だな。まぁ、あまり考えずに入れたこともあるか。

財布を開いて、学園都市ならば何処でも使えるクレジットカードを取り出す。(ドヤァ)

千円以上で、支払うのも面倒くさいときへコレを使う。さすがに千円以下ならば、オレも財布の中にある小銭を使う。自販機とかはクレジットカード非対応だからな。

袋に詰められたコーヒー達を能力を使って持ち上げる。店員さんは見慣れているのか、別段気にした様子もなく、ありがとうございましたー、と手を振っていた。心なしか笑顔な気がする。無愛想な人だと最初思っていたが、学園都市一位のオレに怯えることもなく手を振るとは、いい人だ。オレ、感動で泣いちゃうぜ!そんなことないけど!

 

「…………」

 

ふと、視界の端にある者が映った。

茶髪のショートヘアーにお嬢様学校である常盤台の制服を着たその人物は、此方を一瞥してから路地裏へと入っていく。

ふむ。あれは確実に妹達の一人だろう。

妹達は普段、オレの生活空間には入っこない。言うなればプライベートは関係しませんということだ。その妹達がオレの視界の端にいた(・・)

先ほどの行動からしても、これは呼び出しの類。人形が何考えてんだって話だが、上に命令でもされたのだろう。

ポケットに手を突っ込み、後を追った。

 

「ンで、何の用だ」

「イレギュラーが発生しました。とミサカは不測の事態を知らせます」

 

イレギュラー。不規則なこと。変則的なこと。

つまりは予期せぬ事態が起こった。不測の事態。

 

「はァ……?不測の事態……だと?」

「はい。どうやらお姉様が私達を嗅ぎつけ、研究施設の破壊活動を。能力でハッキングをされる危険性があるため、電子機器はアウトだそうです。とミサカは長台詞を終えて一息つきます」

 

第三位が破壊活動か。まぁあいつは、会ったところ根っこからの善人ぽかったしな。ったく面倒くせぇな……。

 

「そりゃご苦労さン。で、その話からだと、場所を変更するってことになるのかァ?」

「はい、その通りです。とミサカは一方通行の頭の回転の速さに驚きます」

「……いや、今のは誰でもわかるだろ」

 

人形に褒められたって嬉しくないやい。

となるとだ。今から口頭で次の場所を話すのだろう。言葉というものは聞かれず、録音されなきゃ、どこにも残らない情報となる。

ちょいちょい、と人形を手招きする。その時に反射を切る。

 

「?」

「そのままそこにいろ」

 

人二人分が入るぐらいの距離に立たせ、オレは反射を発動する。今度は人形とオレが入る程度の大きさだ。

反射の設定を弄り、外と中からの音を反射に設定する。これで、ここでの話は外に漏れないし、外の声は聞こえずゆっくりできる。

例え、外の音が聞こえなくとも、気配でわかるし、大抵の奴じゃオレの反射を突破できない。完璧だ。

 

「よし、話せ」

「?何をしたのですか?とミサカは疑問に思ったことを素直に聞きます」

「何、能力を使って音を遮断しただけだ」

「相変わらず便利な能力ですね。とミサカは呆れながらも流石一位だと納得します」

「便利でもねェよ。誰しもは欠点は持ってるしなァ」

「意味のわからないことを。とミサカは相変わらずな一方通行にため息を吐きます」

「うるせェ」

 

オレが、オレ自身が意味のわからないなんてこと今更すぎるぞ。

人形は、ため息を吐き終わった後、次の実験場所の詳細を言う。それはオレが音を切断するというのを考慮してなかったからなのか、一般人が一発で聞いてもわからない内容となっていた。オレにはわかるが。

 

「伝えるべきことは伝えました。とミサカは任務完了の敬礼を取ります」

 

某巨人が出てくる駆逐アニメのような敬礼をした人形は、そのまま立ち去っていった。……妹達の間でアニメを見るのが流行っているのだろうか。

この世界にもクールジャパンと呼ばれるサブカルチャーはある。漫画とかアニメとか。

その漫画やアニメはオレの前世界で流行っていたのとそのままで、所謂オタクやらは存在する。オレもその一員だった。

この世界は“とある魔術の禁書目録”というライトノベルを基準にした世界だ、と思う。オレはそのとあるのアニメや漫画、ラノベは見ていないから、確証はもてない。もしかしたら他の漫画の住人がいるかもしれないしな。

オレは、ここがとある世界だという事を知っていても、これから何が起こるのか、誰が誰なのかは知らない。唯一知っていたのは上条サンが主人公なことだけ。まぁその上条サンに会った後に気づいたことだけど。

だから、最初生まれた時は普通に人生やり直せと言われた気がしたし、学園都市に来たのは成り行きなんだが、科学なのにファンタジーという所に惹かれたこともある。オレはこの第二の人生を謳歌してやるぜ!と意気込んだのはいい思い出だ。

正直、前世よりも今は(・・)いい生活していると思う。衣食住があるっていいね。前世は親に借金ふっかけられたからなぁ。高校中退して、バイト人生だったし……貧しかったし。

 

そんなことをつらつらと考えていたら、いつの間にか自分が暮らしている寮に着いてしまった。体が覚えていたのだろう。どうやって帰ったか覚えていない。

しかし、そのことは今はどうでもいいことだ。そんな人体の不思議よりも、目の前の出来事が理解できない。

 

「…………………………………………………………はァ?」

 

部屋へ続く扉が破られ、肝心の部屋の中は破壊尽くされた悲惨な状態。

 

まるで、ダイナマイトを大量に使ったような……ふーん。

 

家事を伝える火災報知器、水浸しな床に、壊れた冷蔵庫、そして真っ黒焦げの食材……ふーん?

 

部屋から出ると、視界の端に捉えた逃げていく武装しているスキルアウト共……ふーン?

 

「く、は、くはははははははっ!!」

 

思わず笑いが漏れる。

こんなにキレたのは久しぶりだなァ!

 

「今日の晩メシがパァになったじゃねェかよォ!!!!!!」

 

能力を使い地を蹴る。

 

殺られる覚悟はあンだろうなァ!!!!

 

 

 

 

 

 

 




一方通行さんの地雷は生命維持活動の危機。つまり食事の奪取。
自己満足とか言ってるけど、結構料理を楽しんでたんだよ!この一方通行さんは!

さて、原作突入……かな?
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