一方通行は楽観的すぎる   作:au revoir

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六話 実験中断されました!

 

 

 

 

 

 

午後八時四十五分。

 

午後五時の完全下校時刻を過ぎたからか、いつもは騒然としているこの街も静かだった。

そんな中、黒い子猫を抱えて歩く少女が一人。

この街では知る人ぞ知る常盤台中学の制服に身を包み、しんみりと肩を落として歩く姿は思わず、どうしたの?と声をかけたくなるほどだ。まぁ、そんなことをすれば報道されかねないが。

少女の名前は御坂美琴。常盤台の超電磁砲(レールガン)と言えば、おわりいただけるだろう。そう、この少女は学園都市で七人しかいない超能力者(レベル5)の第三位という称号を持っている。電撃使い(エレクトロマスター)の彼女が力の限り放電すれば、この街は停電に陥り、電子機器はショートするだろう。見かけによらず危険な存在である。

 

「ッ!?何!?」

 

力なくある場所へ向かっていた彼女にはだが、急に聞こえた爆発音によって顔を上げた。

視線の先には何十メートルかあろう黒煙が炎を伴って空へと登って行っている。つまり、それだけの爆発が起きたということ。どう考えてもただ事じゃない。

 

「あいつ、まさか!」

 

ヒーローの顔が御坂の脳内に過る。そして同時に良くない予感も。

瞬時に黒猫を降ろして、大丈夫だと言い聞かせて走り出した。その良くない予感が当たらない事を願いながら、御坂は走る。

 

ただただ、無事でいて欲しいという願い。

 

傷ついて欲しくないという思い。

 

絶対あいつなら大丈夫だという信頼。

 

その数々の心情を胸の内に秘めながら少女は走った。

彼女は知らない。何故こんなにも心配なのか、どうして笑ってる姿がよぎるのか、なんで頬に水のようなものが滴っているのか。

 

彼女の心に淡く、今にも消えそうな、ある想いが芽生えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、悪い予感というものは当たるもので。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやっ、いやぁあああああっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女が見たのは、発生した突風で舞い上がり鉄の棒にぶつかり、地面に強打したある血だらけのヒーロー(上条当麻)の姿。

どう考えても致命傷。いや……死んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けたら、いつもは人工的な光に塗りつぶされている夜空の星たちが輝いているのが目に入った。

思わず手を伸ばす。肌に触れる風は優しくて、夏の夜だというのに涼しかった。

 

あぁ、あの星がもう少し近かったなら。

 

今度望遠鏡でも買おうかと苦笑した。天体観測……いいかもしれない。

オレは見た目や性格に似合わず、そんな事が好きだった気がした。雲が一切ない綺麗な空が好きだったんだ。

 

上げた右手を握る。その瞬間、あることを思いついた。

 

---新しい能力の使い方だ。

 

ふわりと、頬を撫でていた風がオレの右腕を中心に回りだした。

グルグルと回るその光景は竜巻のようで、オレはその中心に寝そべっている。

一度握った手を開き、オレはもう一度力強く握った。頭上に浮かんだ月を掴むように。

するとどうだろうか?回るだけだった風が一箇所に集まり始めたではないか。その中心には青白い火花も見える。成功。思わず嗤った。

地面に手を付き、起き上がる。さて、と呟き上条サンを探すが……うわ、死んでる。

服をボロボロにして、赤い液体の中に倒れるその姿はどう見ても死んでいた。どうしてそうなったのかわからないがさっきいた位置より動いていることから、オレが起こした風によって何らかの攻撃……というか不運な事故にでもあったのだろう。

眉を顰めて、オレは目を逸らした。

 

「ぎゃはっ」

 

そして上手くいっている能力の操作に思わず笑い声を漏らした。上を見上げると、暴風と共に青白い閃光がバチバチと音を立てていた。

さて、先ほどから何をしているのかを説明しよう。

 

高電離気体いうものはご存知だろうか?

 

固体・液体・気体に続く物質の第4の状態と言われるものだ。見た目はネオンや雷を想像してもらうと分かりやすいだろう。

気体は超高温になると原子核と電子の結合が維持できなくなり、分子が電子と陽イオンに電離する。

そしてその電子と陽イオンの運動からなる気体が高電離気体……即ちプラズマだ。(byウィキラレータ)

オレはそのプラズマを操った風を一箇所に集め、圧縮することで発生させている。あの青白い閃光がプラズマだ。

まぁ、新しい能力の使い方っても空気圧縮させてるだけなんだけどね。

それでも、このプラズマの質量は大きい。ここに落とせば、辺り一帯は吹き飛ぶだろう。

準核爆弾並のそれを生み出すオレは随分と脅威だ。もしかしたら危険対象として軍隊が動くかもな。……まぁ、それは大分前に実現されたんだけど。

 

さて、さてさてサテ?

 

上条サンは絶賛死亡中。人形は取るに足らん相手だし?こりゃ、邪魔者もいないんじゃないか?

実験には犠牲がつきものだし、ちょっとぐらい……シンデモイイヨナ?

 

 

ン?何か飛んできた気がするが、まぁいいか。反射が発動したというか、何か触れたんだよね。何時ものように跳ね返したらしいが。

それより、実験だよ。

 

「ぎゃはははハハハハハハハハハハッ!!!」

 

普段のオレとはかけ離れた思考。

いつもは受け身なオレとは違い、今の自分はかなり攻撃的だ。なんだろうか、内なる自分?高一にして厨二病発症か?……いや、オレ自体厨二病だわ。

攻撃的な自分。いつもと違う自分。

だからかな?さっき飛んできたものが何なのか気にならなかったのか。

それを気にしていれば、何かが変わったのかもしれない。いや、結果だけ見ればこっちの方が良かったのかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

本当の人殺しにならなかったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?なンだ!プラズマがっ、散ってッ!?」

 

突如として、気体が集まってできたプラズマの光が弱くなり散っていった。

どういうことだと混乱しながらも、風を操作して気付いた。風向きがオレの意思に反している。

 

「風の制御がきかないっ!どういう……あァ?」

 

辺りを見渡して、あることに目がいく。

ゆっくりと回っている何十台もの風力発電機が逆回転していたのだ。

普通ならそんな事はありえない。だが逆回転する可能性が一つだけある。電気を流すことだ。小学校でモーターの実験をしなかったか?そう、それだ。

この状況下で考えれば故意的にされたもの。そしてそんなことをできるのは、電撃使いだけ!近くにいる電撃使いと言えば。

振り返ってみれば、人形が第三位(オリジナル)に抱えられて立っていた。

 

「クソッ、お前かッ」

 

そう悪態を吐くと人形はコクリと頷き、第三位はドヤ顔でふんと鼻を鳴らした。うぜぇ……!

 

「半分当たりで半分違います。とミサカは肯定の意思を示し、そして同時に否定します。ミサカはお願いをしただけで、あとは他のミサカ達がしてくれました。とミサカはミサカネットワークを使い残りの妹達(シスターズ)に感謝を伝えます」

「これで、あんたの実験は終わったわけよ!」

「……お前何もしてねェだろ」

「うるさいわね!超電磁砲放ってもケロリとしているあんたが悪いのよ!!」

 

うわ、オレのせいにされた。

ギャーギャー喚く第三位を無視しながら、オレは小指で耳をかき、明後日の方向を見る。

はぁ……興がそがれた。

暫く経ち、チラリと第三位を見るとゲームセンターのコインを此方に構え、照準を合わせている姿が映った。あのコイン……オレがたまに行く場所のじゃねぇか。常盤台のお嬢様もそんなところ行くんだなぁ。

 

「ったく……いいところだったのによォ……ことごとく邪魔してくれンじゃねェか、第三位ィ。それに超電磁砲は効かないってさっき自分で言ってませンでしたっけェ?」

「うるさいっ!あんたはぶん殴らなきゃ気が済まないのよ!!」

 

バチバチバチッと全身から電気を放ち、指先へと収束させていく。

ふわ、と欠伸をする。上条サンの右手と違い、第三位の能力はオレの反射を破れないから別に相手にするほどでもない。というかそもそも、ぶん殴ると言っておきながら超電磁砲放ちに来るってどういうことだよ。

電磁波が辺りに撒き散らされる。クハッ!腐っても人格破綻者(レベル5)か!周りの被害なんて考えてもいねぇ!

あらゆる鉄という鉄に第三位から放たれる電磁波が避雷する。避雷した鉄に触りでもすれば感電でもしそうだ。ひぇ、怖い。

しかし充電も十分、さぁ放とうぜってところで第三位は腕を下ろした。意味不明な行動に思わず顔を顰める。何故そこまで溜めておきながら放たないのか……誰でも疑問に思うだろう。けれど、そんな疑問も第三位の表情を見れば解消された。

 

「……そんなっ、嘘……でしょ」

 

第三位のそんな声が聞こえた。

絶望した声ではない。明るい、それでいて安心したような声。それは第三位自身に向けられた言葉かも知れないが、オレにはこの場にいるもう一人の人物に向けたようにも見えた。

第三位が目を潤わせて見る先には、ボロボロの赤いインクを吸ったような者がいた。その姿を見た瞬間、嘘、だろ……?という声は出ず、ただただ唖然とした。

 

この世界のどこかに、大爆発に耐えられるヒーローはいるのだろうか。

 

この世界のどこかに、死んでいてもおかしくない怪我を負いながら立ち上がるヒーローはいるのだろうか。

 

この世界のどこに、他人のために命をかけるお人好しの化身とも言えるヒーローとも言える人はいるのだろうか。

 

現実。そんな奴はいない。それは空想上のものであり、いないはずだった。

……いや、一人知っている。オレは出会った頃からそいつのことをお人好しのヒーローだと思ってたじゃないか。何故、今になってそいつの異常性に狼狽えるのだろう。

出会った奴に片っ端から信頼される奴。オレとは正反対の……一般人。

 

 

 

「生きている……だ、と」

 

 

 

 

上条当麻(ヒーロー)はそこにいた。

 

 

フラフラと此方に歩んでくる足並みは覚束ないが、その鋭い眼光は此方を見据えていた。

だーかーらー!その目はダメだっての!オレっち弱いんだからね!!そんな誠意の、善意がこもったような目!!

一、二歩と下がる。しかしいつの間にか持っていた変なプライドがその足を踏みとどまらせた。ふぇぇ、身体の自由がきかないよぉ!

というかね、上条サンまず落ち着こうか!?ほら、深呼吸して?ひっひっふー、ラマーズ法じゃねぇか!!

あぁもう!頭混乱してネタに走ってるよ!終始真顔で!脳内でもう一人のオレがネタに走ってんのに、終始真顔!!なんか虚しい!

てかね、なんで雄たけびあげてかけてきてるんですかね!アクセラレータさんワケワカンナイ!!

それに、もう一発殴ったんだからいいじゃないか!!一方さんおこだよ!

 

そんな脳内でパニックを起こしているオレを他所にパリン、という硝子が割れたような音が響いたと思うと、本日二度目のパンチを食らった。痛い。

 

意識が飛びかけながら後ろに倒れるオレ。

 

驚愕した顔を浮かべて此方を凝視する第三位。

 

ドサッと前倒しに倒れた上条サン。

 

こりゃ、引き分けかな…………やべぇ、意識が。

というか二度も殴られて鼻が複雑骨折してるんだけどぉおお…………----。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……知らない天井だ」

 

目覚めたら知らない場所にいました。

 

うん……ドコココ?

 

 

 

 

 

 

 

 




……うん、なんかごめん。他ならぬ作者が原作うろ覚えだったんたよ!(言い訳)ごめん、こんな駄文で!ホント!!
……え?知ってた?あ、そう(吐血)

ウィキラレータもといウィキ先生にはホントお世話になっております。全私が感謝してます。
プラズマって面白いですよね。私はオーロラがプラズマに関係するって初めて知りましたよ。

一方さんのかきくけ笑いは省略してやったぜ!
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