一方通行は楽観的すぎる   作:au revoir

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九話 変態に出会いました!

 

 

 

 

コーヒーが切れた夜十時時過ぎ。

夕方から寝たおかげか眼が覚めたオレはなんとなくコーヒーを飲もうとしたが、冷蔵庫に一つも入ってなかった。粉のコーヒーならあるが、暖かいコーヒーを飲む気にもなれず仕方なしにコンビニへ出かけることにした。

完全下校時刻を過ぎれば、警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)が注意をしてくるが、最早こんな時間誰も起きてないだろう。夜勤の警備員とか以外は。

それだからか数が限られており、見つかる確率はだいぶ低い。

そのため、スキルアウト共は路地裏に跋扈している昼と違って、この時間帯が彼らの時間なのだろう。路地裏から公共の場へと出てくるのだから。

何時ものように缶コーヒーを二缶ずつ掴み取ってカゴに入れる。ある程度入れ終わったら、レジへと向かう。大学生と思われる若いお兄さんが顔を引きつらせて対応してくれた。やはりこの数は異常か。

 

「ありがとうございましたー」

 

気怠げなそんなお礼の言葉を背にコンビニを出る。

さて、さっき言ったスキルアウト共の話だが、何故そんなことを知っているか教えてあげよう。

 

教えて!アクセラレータ先生!

 

うむ。好奇心旺盛な君達にこの私、一方通行が教えてしんぜようではないか。

普段、スキルアウト共に襲われてるオレだからこそわかる事実。

前はこのオレが超能力者(レベル5)であることへの妬みや恨みで襲われていたが、何処から聞いたのか無能力者(レベル0)に負けたという事実がスキルアウト共に広まった。前よりも数が増えた気がする。別にオレの能力は変わってないし、無能力者が上条サンだったから負けたんだが。

というか上条サン、本当に無能力者だったとは……書庫(バンク)漁ってわかったんだが、備考欄に幻想殺しと書いていた。あれか?あれが原因なのか?

と言っても備考欄なので本当かどうかはわからない。

……閑話休題。

さて話を戻すが、今でもスキルアウト共に襲われるオレは、昼間は路地裏や人目の付かないところ、監視カメラの死角などだが、夜間はこうして、道路のすぐ脇だというのにバットを振って襲ってくるからだ。

足音がバレバレだし、敵意も剥き出し。無駄だということを教えてやるために足を止め、受け止める。と言っても受け止めるのはオレの反射膜だが。

 

「ぐぁっ……!!」

 

あーぁ。指折れたんじゃねぇの?

思いっきり殴ってきたんだもんな。振り返ってないから知らないけど。まぁ、早めに病院へ行くことをお勧めするぜ。

そんなバカが激痛なのか手を握って悶えてるのを横目にまた歩き出す。

こいつ一人だけなら良いけどなぁ。と思っていたら案の定一人だけじゃなかったらしく、五、六人のスキルアウトがいた。

思いっきりため息が出る。何なの?暇なの??暇なんですか??

 

「あァー、なァお兄さン達」

「あぁ?なんだ?」

 

お?どうやら話は聞いてくれるらしい。ただのバカではなかったか。

 

「こンなことして何が楽しいンだ?」

 

これは本心から思ってることだ。

スキルアウト共の中には見たことのある顔の奴もいる。そいつらは前にもオレに挑んできて返り討ちにされた奴だ。

オレの能力を知っている。反射だけとは言え、攻撃が通じないのはわかっているだろうに。何故何度も挑んでくるのか。

 

「楽しいねぇ。答えるなら、お前が突っ伏してる姿を考えるだけで楽しいんだよっ!!」

 

と言いながら代表格的なのが突っ込んできた。それに続き他の奴らも。

なぁ、お兄さん。世間ではそれを痛い奴と言うんだよ。オレに言われちゃおしまいだと思うんだけど。

だって考えてもみろ?白髪だぜ?赤眼だぜ?これだけでも痛いのに、長髪だぜ?いった、イタタタ。……ふぇ、涙出てきそう。

自分で言って自分に突き刺さるって、オレってMなんかね。自虐的な言葉発しすぎだろ、馬鹿野郎。

そんなバカみたいなことを考えていると、スキルアウト共は全員地面に突っ伏していた。ハハッ、突っ伏したのはお前らの方か。フラグ回収お疲れ様です。

こんな所を警備員に見られてはオレが連行されるの間違いなしなので、早々に立ち去る。スキルアウトの一人が何か能力を発してきたが、反射で自滅。第三位の超電磁砲(レールガン)すら跳ね返すオレの反射にそんな中途半端な能力が通るかよ。攻撃するなら反則的なの持ってこい。それなら通るかもなぁ。

 

「クククッ(そンなの御免被るンだがなァ)」

 

さて、スキルアウト共も立ち向かって来なくなったので、スタスタと帰宅する事にする。

冷蔵庫に早くコーヒーを入れなければ。

欲しかったコーヒーが近場になかったので、図らずとも遠出してしまったので、今から帰って着くのは十二時過ぎぐらいになりそうだ。

途中、とある寮の側を通り過ぎようとした時、よく知った声が聞こえてきた。どうやら怒鳴り声のようで、こんな深夜に傍迷惑な話だ、とオレは苦笑いする。

……実験が終わった後から、上条サンとは会っていない。

会う機会がないと言えばそれまでなんだが、なんとも避けられてる感じが…………あぁ、いや、オレが避けてんのか。この前みたくスーパーで見かけても声をかけなくなったしなぁ。

どうにも、どういう顔をして会えば良いのかわからないらしい。楽観的な自分は何処へ行った、とオレは悪態を吐く。

とある寮を通り過ぎ、まだちらほらと人や車が行き交う大通りに出る。完全下校時刻は学生だけに有効であり、二割程いる社会人、つまり大人たちには無効だ。それを破るスキルアウト共は所謂不良だ。

ご苦労様です、と働く大人たちに嫌味を込めて心の中で敬礼する。学生ニートのお通りぞー。

しかし、大通りだから煩いな。ゲームセンターなどあぁいうところはしょうがないが、こういう場所でもうるさいのは少し煩わしい。……仕方がないって?知ってるわ。これはオレの心の問題である!!心が狭いだなんて、オレは知らないです!

 

「(音遮断っと)」

 

音を反射する。するとどうだろうか。騒音が全く聞こえなくなった。ホント、これ便利。

まぁ、車のクラクションが聞こえないっていうデメリットがあるがな。ぼーっとしていれば事故に繋がります。

……オレには反射があるので関係ないけど、突っ込んできた方が被害が絶大なのは言うまでもない、と思う。

あぁー、黒歴史思い出した。

いやね、オレの反射膜ってオレを中心に円状になっているわけだ。それを使って暇な時に、自分に向けて何かをゆっくりと投げて、それが反射膜に触れる前に両手を添えて、バリア!と叫ぶって事をしてた。幼少時に。

だってさ、必要最低限な生活だけを保障された部屋で、娯楽がないって苦痛じゃね?

それを解消するためにしてた事だけど、今となっては恥ずかしい思い出だ。

ふと、たまにこんな事を思い出す事が度々あり、その度にオレは羞恥心に見舞われ悶えそうになるのが日課だ。

 

---ドンマイドンマイドンマイドンマイ!泣かないーでー。

 

そんな感じで黒歴史思い出していたオレだが、何故か脳内で音楽が流れ出し、それにリズムを取り始める。いや、だって一度流れ始めたら無限ループする音楽だよ、これ。

懐かしいだなんて言わないでくれ、今の高校生でも知ってる。この世界の奴は知らねぇけどな!!

音も遮断してしまっているので、余計脳内の声や音楽は響く。いつ止まるんかね、これ。ずっとサビから抜け出さない。何回ドンマイを聞いたか。うるせぇよ。

自分で脳内で再生しておきながら、文句を言うオレは暫くの間その存在に気付かなかった。

視界の端。そこにぴょんと跳ねる茶色いアホ毛が目に入った。驚いて見ると、小学生だろうか?灰色の毛布のようなマントを羽織っている子供がいた。頭から被っているのと、身長差のせいで顔はよく見えない。

どうやらオレに用があるようで、その小さな口を一生懸命パクパクさせていた。取り敢えず、遮断していた音を受け入れる。

 

「いやー、ここまで無視されるといっそ清々しいというか何というか。ミサカのような幼気な女の子を無視できるって、寧ろ全国シカト選手権で優勝できるんじゃないかな!ってミサカはミサカはありもしない大会に出場する事を勧めてみたり!」

 

何だよ、その大会。というか自分でありもしない大会って言っちゃってるし。ってか、自分で幼気なんて言うか、普通。

色々の脳がアレな子供を可哀想な目で見る。

声からして女なんだろうけど、小学生にしてこの残念感漂う発言。オレが言うのも何だけど、将来大丈夫か?こいつ。

 

「あ!やっと気付いた!ってミサカはミサカは鈍感な貴方にため息を吐いてみたり」

 

嬉しそうにそう言う少女の言葉に、オレは眉を顰めた。この特徴的な話し方はよく知っている。それは、一万も繰り返し会い、話し、殺してきた相手のと少し違えど似ていた。

いや、しかし聞いてみなければわからない。わからないなら聞け!子供の特権である。高校生が子供なのかという疑問は置いといてだな。(オレとしては十分子供だと思う)

 

「ミサカ、だと?」

「ん?その疑問はどういう意図で言ったのかな?ってミサカはミサカは質問を質問で返してみる」

「そりゃ、お前が本当にあのミサカなのかっていうことだなァ」

「なるほど!ってミサカはミサカは頷いてみる。なら自己紹介するね!ってミサカはミサカは胸を張って一方通行に向き直ってみたり!」

 

足を止めていたからか、トトトッと軽快な足音を立ててその少女はオレの前に出てきた。

見上げる姿勢で此方を見据える。

 

「ミサカの検体番号は20001号。20000体作られた妹達(シスターズ)の上位個体として作られた存在。最終信号、つまり打ち止め(ラストオーダー)って呼ばれてる。ってミサカはミサカは長い自己紹介をしてみたり」

 

最終信号とか言ったが、結局のところ読み方はラストオーダーだろう。打ち止めねぇ。

嘘を言っているようには見えないが、一応本物かどうか確認しないとな。オレを良く知る人物の策略かも知れないし、言葉遣いなら誰にでもできることだ。

 

「おい、お前」

「む、打ち止めってちゃんと自己紹介したよ!ってミサカはミサカはお前って呼び方が気に食わなかったり」

「一回、その布脱いで顔見せてみろ」

「布じゃなくて、毛布だよ。ってミサカはミサカはしなくてもいい訂正を……………って、へ?」

 

突然惚けたようような顔をして、此方を見る少女改め打ち止め。

何処か固まっているようにも見えるそいつに、何かと睡魔に襲われ眠いオレはイライラしていたのか、黙り込む打ち止めを無視して、その毛布を引っ掴み腕を振り上げた。

 

「えっ……は?ッ!はわっはうわわ」

 

見えてきたのはその顔と同じ色の白い肌、白い四肢。

つまりは…………裸だった。

 

「は?」

 

顔を赤らめ自身を抱きしめ蹲る打ち止めに、オレは意味がわからないという顔をするのだった。

 

 

 

 

 

 

裸に毛布って、痴女かよ。

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、変態は誰……なんでしょうねー?

いつも思うがこの光景見てた人がいたら、一方通行は今頃警備員にお世話になってると思う。そうなったら、何処かの囚人公系勇者さんみたいになるじゃないか。幼女の服を剥ぐってのも一緒だしな。
原作と同じく冷静なアクセラさん。何かと欠落してるんだよ、許したってくだはれ。
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