英雄王に憧れた少年   作:印鑑

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動物は未知の世界に放りこまれると方向感覚が狂い、暫く立ち往生するという。
それは勿論、人間にも言える事である。


第一章/魔法少女まどか☆マギカ
新世界・壱


一瞬、そして無限にも等しい静寂の後。

光に全てを委ねていた脳味噌(あたま)が、漸く現状確認の為に動き始める。

 

大きく息を吸い、吐く。どうやら、空気はある様だ。

 

耳を澄ます。

非常に遠くからだが、微かに都会(ひとのいとなみ)の音が聞こえる。

文明はあるらしい。

 

足踏みをする。

靴の裏が、土とは程遠い感覚のモノを踏み締める。

しっかりとした固さのある、人工的な物質。コンクリートか、アスファルトか。

それは分からないが、安定性は抜群だ。

 

暫く視覚以外の感覚を研ぎ澄ませ、

視覚抜きで認識出来る事を認識する事に全力を注ぐ。

手に触れるモノは、少なくとも何も無い。何か異質な匂いもしない。

 

遂に、目を開けるべき時が来た。

果たして自分は今、何処に居るのか。期待もあれば、不安もある。

目を開ければ、それらの疑問がいっぺんに解決するのだ。

さあ、そうと決まればこれ以上目を閉じている必要は無い。

どんと来い、新天地――!

 

 

「………………」

 

 

頭上と足元に広がる、剥き出しのコンクリート。

それを支えている、無数の柱。

そして、十数メートル程遠くから漏れてくる外からの光。

 

廃ビルの中。

そう表現するのがピッタリな、そんな灰色の空間に俺は立っていた。

 

…しかし、何故異世界に来て最初に見たモノが『これ』なのか。

もっとこう、劇的な何かを期待していたんだが。

まあ、いきなり戦場に放り込まれるよりはまし、だと考えよう。

 

――さて、と。

興が思いっきり削がれたが、ここが新天地である事は間違いないだろう。

となれば、何もせずにいつまでもここでぐずついているのは得策とは言えない。

取り敢えず、外から微かに聞こえてくる人の生活音を目指してみるか。

 

足を動かそうとして、ふと思いとどまる。

少なくとも、今俺がいるこの空間が安全なのは確実だ。

…だが、仮に外に出たとして、外も安全だとは限らない。

そもそも、聞こえてくる生活音は本当に人の発している物なのか?

 

自称神の言った事が本当ならば、ここは異世界なのだ。

何か得体の知れない化け物が文明を築いていても、何ら不思議ではない。

そこに「異形」の自分が突っ込んで行っても、大丈夫なのだろうか?

 

しばらく、自問自答を続ける。

だが…当然かもしれないが、納得の行く答えは出てこない。

…出る筈がないと、自分でも分かっているのだが。

 

ええい、悩んでいても何も進展しない!

俺はギルガメッシュの能力持ちで、しかも程良い不死性を持つ人間だ!恐れる物は無い!

そう自分に無理矢理言い聞かせ、俺は止まっていた足を再び動かし、前に進み始める。

いや、進み始めようとしたのだが。

 

 

「――!」

 

「―――!」

 

 

突如、俺の耳に何者かの言い争う声が聞こえてきた。

出所ははっきりとは分からないが、横から聞こえてくる辺り、同じ階層で発せられた様だ。

続いて、何かスプレーの様な物を勢い良く発射する音。

――そして、最悪な事に――。

 

 

「―――っ――!」

 

「―っ――、――――――!」

 

 

その何者かが、『()()()向かってくる足音』が聞こえた。

本来なら第一住人との遭遇という事でテンションも上がる所だが、

何せ場所が場所である。十中八九、ろくな奴では無いだろう。

 

 

「―――っ―っ!」

 

 

只でさえ、異形の化け物だらけの世界かもしれないのだ。

その中でもことさらにろくでもない奴に遭遇したらと考えると、背筋が凍る。

幸い、身を隠せそうな柱は大量にある。

一旦隠れて様子を見て、兎に角何者かを見定めよう。

 

 

「――く―っ!」

 

 

ぐずぐずしている暇は無い。

身を翻し、なるべく素早く、それでいて足音を立てない様に柱に近付き、影に潜り込む。

はみ出ていた靴の爪先に気付いて引っ込めるのと同時に、

『音の主達』はこの空間に侵入してきた。

 

 

「――か、は―く!」

 

「ま―っ―よ、さ―か―ゃん―!」

 

 

…どうやら入ってきたのは、二人組の女性の様だ。

そして何ともラッキーな事に、

日本語(ぼこくご)』で会話しているじゃないか!!!

つまりこの世界には、名前こそ違うかもしれないが『日本』があるという事だ!

 

嬉しさのあまり、思わずガッツポーズをする。

…しかし、待て。

ここがもし日本だとすると、だ。

何で女性二人が、こんな廃ビルにいるんだ?

 

柱の影から出ようとしていた足を止め、耳を澄ます。

そうだ。少なくとも化け物では無いかもしれないが、

ろくな奴ではないかもしれないという可能性は消えていないのだ。

折角第二の生を受けたのに、そんな奴と関わって人生を棒に振るのは御免である。

 

…ふと、ついさっきまで『恐れる物は無い』なんて思っていた自分が情けなくなった。

結局、凡人は何処まで行っても凡人なのか…

そう考えて気分が沈み、女性二人に気付かれるのも構わずに溜め息をつこうとした瞬間――

 

 

 

 

 

 周り(世界)が、『変質』した。

 

今まで俺が身を潜めていた柱は消え、代わりに巨大な(イバラ)が現れた。

背中に刺さるのを危惧して飛び退いた先にも、巨大な茨が乱立している。

上を見上げてみればあら不思議、あれだけ閉鎖的だった天井が全く見えません。

…何が起こった。どうしてこうなった。

 

 

「―――――」

 

「―――――」

 

「―――――」

 

 

ふと、無数の声が自分の周りを回っている事に気付き、辺りを見渡す。

 

 

「―――――」

 

「―――――」

 

「―――――」

 

 

足が蝶、体が蔓、そして顔は白い毛玉・ちょび髭付き。

そんな無数の何かが、俺の周りを回っている。

 

 

「―――――」

 

「―――――」

 

「―――――」

 

 

それは、何かしらの言語…歌とも受け取れる声を発している。

日本人は英語っぽいが聞き取れない言語を聞いた時、

大体フランス語かドイツ語だと認識するらしいが、正にその通りだ。

 

――つまり、さっぱり分からない。翻訳不可能だ。

外国語なんて二度と見たくない聞きたくない人間の俺に、そんな事を求められても困る。

 

 

「―――――」

 

「―――――」

 

「―――――」

 

 

――さて。アレの歌の翻訳が出来そうにないのは分かった。

次に気になるのは、果たしてアレに『敵意』があるのか否か、である。

見たところでは、急に襲いかかってきたりはしなさそうだが――

 

 

「――…」

 

「…」

 

「…」

 

 

おい待て、何故一斉に黙る。

丁度『追い込み漁』の言葉がが頭に浮かんだので、黙ってほしくは無かったのだが。

――しかし、これをチャンスと捉える事も、出来なくもない。

 

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

 

アレ達は相変わらず、俺の周りを回っている。

――だが、距離を詰めてはこないのだ。

 

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

 

…良し。意を決して話しかけてみよう。

初・異次元の住民との会話にしては相手が少々アレだが、贅沢は言ってられない!

――待て、何語で話しかければ良いんだ?

 

 

「…、――――」

 

「…、――――」

 

「…、――――」

 

 

俺が下らない事で迷っている間に、アレ達は再び歌い始めた。

――相変わらず、何を歌っているのかはさっぱり分からない。

…やばい、話しかけるタイミングを完璧に失った。

 

 

「――――」

 

「――――」

 

「――――」

 

 

どうしよう、この状況。

兎に角、あちらが何か新しい行動を起こしてくるのを待とうか――?

 

 

「―、」

 

「―、」

 

「―、」

 

 

とか考えてたら、また歌が止んだ。

しかし今度は、アレ達の動きも止まっている。

事態の打開を期待して、俺は対話も兼ねて一歩前に踏み出した。

 

 

「―、―――」

 

「―、―――」

 

「―、―――」

 

 

すると、また新たな動きがあった。

アレ達は今まで影も形も無かった『腕』を、何処からともなく出現させる。

 

 

「――――」

 

「――――」

 

「――――」

 

 

そして、その手には明らかに『刃物』だと思われるモノが握られている――――!?

形状からして、多分剪定鋏とかそっち系の奴だ。人に向けるモノではない。

 

 

「――――」

 

「――――」

 

「――――」

 

 

――自分の置かれている状況が『非常にまずい』事を、

ここに来て、やっと俺は理解した。

 

 

「――――」

 

「――――」

 

「――――」

 

 

――このままだと、死ぬな。

絶体絶命だというのに、何故か俺の頭は冷静だ。

…いや、『思考を放棄している』と言った方が正しいか。

 

 

「―――」

 

「―――」

 

「―――」

 

 

物騒なモノを振りかざし、アレ達はじりじりと包囲網を狭めてくる。

獲物を前にして気分が高まっているのか、歌のテンポも次第に速くなってきている。

――仕方がない。

 

 

「――」

 

「――」

 

「――」

 

 

息を整え、正面の個体を見据える。

俺の動きにアレ達は敏感に反応し、動きを止める。

興味深げに俺を見つめるその顔は、獲物の最期の悪あがきを楽しもうとしている様だ。

 

――初の御披露目がこんなの相手なのは少々残念だが、

アレに殺されるよりはマシだろう。

海魔に対して宝具を使ってくれと頼まれた英雄王の気持ちが、ほんの少しだけ分かった気がした。

 

ゆっくりと、右手を挙げる。

――さあ、初陣だ。

 

 

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)

 

 

そう呟くと、耳の奥底で『解錠音』らしき音が鳴り――

無数の円い光源が、俺の周りを取り囲む様に現れた。

『世界』の雰囲気から逸脱しているその光源――

無限の広さを持つ蔵へと繋がる穴の数は、アレ達の数と丁度同じである。

 

 

「――――?」

 

「――――?」

 

「――――?」

 

 

アレ達は鋏を鳴らす事を忘れ、取り憑かれた様に光源を眺めている。

これはチャンスだ。

アレ達が正気に返らない内に、さっさと決めてしまおう。

まずは使う宝具を決めて…いや、ちょっと待て。

『王の財宝』が使えた事には感動したし、その感動はまだ冷めていないのだが…

 

…そもそも発射出来る『財』があるのか?

 

自分の考えに虚を突かれ、体が固まる。

その時を見計らっていたかの様にアレ達は正気に戻り、一斉に襲いかかってきた。

 

 

「――――!!!」

 

「――――!!!」

 

「――――!!!」

 

 

慌てて周囲をぐるっと見渡すが、元より逃げ道なんて物は無い。

…落ち着け、何かある筈だ、忘れているだけで何か使える財が――――!

 

――そうだ、あった!すっかり失念していた!

攻撃に使えるかどうかは不明だが、最早四の五の言ってられん!

出でよ、英雄王の友の名を冠する宝具――

 

 

天の鎖(エルキドゥ)』!!!

 

 

殆ど叫ぶ様にして、宝具の名を呼ぶ。

瞬間、既に展開されていた光源の三倍はあろうかという数の光源が出現し――

 

その全てから銀色に輝く鎖が飛び出、瞬く間にアレ達に絡み付き、そして引きちぎった。

 

 

「―!?!?」

 

「―!?!?」

 

「―!?!?」

 

 

頭だけになったアレ達は空を舞い、驚愕の感情を目一杯表しながら俺を睨み付ける。

――鬱陶しい。

そんな俺の気持ちに応える様に鎖は空間を疾走(はし)り、

アレ達の頭に四方八方から突き刺さり、そのまま破裂させて消し去った。

 

 

…え、もう終わったのか!?

その早さに俺が呆気に取られている間、

無数の鎖は役目を終えたとばかりに光の中へと引っ込んでいく。

 

全ての鎖が収納されてアレ達の残骸が消えた後には、

アレ達が持っていた鋏だけが残されていた。

 

――いやはや、でかい。普通の鋏の二倍はでかい。

これで切られていたらどうなっていたのか…いや、考えるのはよそう。

そう決め、さっさと頭から細切れ肉のイメージを追い出す。

 

とにもかくにも、この鋏はれっきとした戦利品だ。

見るからに鋭そうだし、早速俺の蔵の中に入れて戦力にしよう。

…英雄王なら『(オレ)の宝物庫には最高級の物しか許されない云々』

とか言って、絶対に入れたりしないだろうけど。

 

そんな事を考えつつ、俺は合計二十個の巨大鋏を『蔵』に投げ込んだ。

光源が再び消えると同時に俺は謎の達成感に襲われ、その場でにやけ、テンションを上げる。

宝具を使えた感動が、今になって再び押し寄せてきたのだ。

 

――成る程、愉悦とはこう言う物か。

いい趣味してるぜ、英雄王に麻婆神父。

 

 

「―ゃあ―!?」

 

「―な―、こ――…っ!?」

 

 

だが残念な事に、二度目の人生:初愉悦はそんなに長く続かなかった。

アレ達に包囲されていて気がつかなかったが、

どうやら世界が変質する前に部屋に入ってきた二人の女性も、この世界にいるらしい。

…多分、俺と同じくアレ達に襲われているんだろう。

 

赤の他人で廃ビルに入ってくる様な人達とは言え、

流石に見殺しにする気にはなれない。

 

すみませんがもう一働きしてもらいますよ、親友さん。

俺はそう呟いて王の財宝を五個程展開し、声が聞こえてくる方向へと向き直――――

 

 

     『     』

 

「―!?」

 

 

…ろうとした瞬間、鋭い銃声が鳴り響いた。

俺は慌てて王の財宝を引っ込め、巨大茨(元の世界の柱)の影に隠れる。

…実に情けない。

 

 

     『  、  、    』

 

「―!?」

 

「―!?」

 

 

直ぐにでも様子を伺いたい所だが、

流石に銃声&アレ達の断末魔が続いている状況で、障害物から体を出したくはない。

――銃声が止むまで待とう、そうしよう。

 

 

     ――――――――――――。

 

 

幸か不幸か、僅か数秒で銃声もといアレ達の声は聞こえなくなった。

これで流れ弾に当たる危険性は無くなり、

その分銃声の主が此方に気付く危険性が上がった事になる。

 

…第一、あの銃声の主は何者なんだ?

さっきまで二人組の慌てる声が聞こえていたので、あの二人組である可能性は低い。

――と言うかそうであってほしい。

では、一体誰なのか?

 

良し、確認してみましょう!

柱の影にから顔を出して声が聞こえてきた方に目を凝らすだけで良いのだ。

全く、簡単過ぎて反吐が出る――そう言い聞かせて自分を誤魔化し、

柱にぴったりと背中を付けてじりじりと進む。

 

…アレ達の声が聞こえなくなったのと関係あるかどうかは知らないが、

いつの間にか異空間的景色は消え、元の廃ビル内部の光景に周りは戻っていた。

何故かは分からないが、少し安心した。

前世じゃ昼でもやたら陰気臭かったり、幽霊が出る云々の理由でだいっきらいだったのだが。

 

気を引き締め、そろりそろりと頭を影から出して思いっきり目を凝らす。

勿論、なるべく近づきたくないからだ。

 

俺の目は暫くの間、ピントを合わせる物を探してあっちこっちに動いていたが、

やがて見つけたかった様で見つけたくなかった焦点(ものたち)に、その視線を合わせた。

 

十数メートル程先にしゃがみこんでいる、三つの影。

ここからだとよく見えないが、どうやら制服の様な物を着ている様だ。

 

 

「――――」

 

 

不安そうに何かを見下ろしている、髪の毛がピンク色の女の子。

髪の毛を二ヶ所で結んでいる様だが、多分ツインテールだろう。

 

 

「――――!?」

 

 

その横でやたら大袈裟なジェスチャーで驚いている、髪の毛が水色の…女の子。

髪の毛が短いので一瞬性別判断に迷ったが、

横の女の子と同じ格好なので、女の子だろうと判断したまでである。

 

 

「――――」

 

 

そして、此方に背を向けている金髪の女の子。

…髪型はツインテールっぽいのだが、カールが凄まじい事になっている。

正確な名称があるのだろうが、取り敢えずツインテールトルネードと仮称しておこう。

 

しかし、彼女達は何をしているのだろうか?

生憎金髪の女の子(ツインテールトルネード)で直接は見えないが、

見える二人の顔の向きからして、彼女達の中心の空間にある『何か』を見ている様に見える。

どうやら水色髪の毛の女の子は、それを見て驚いているらしい。

 

 

「――――」

 

『いやぁ、助かったよー。』

 

「――――」

 

「――――」

 

 

まあ、会話の内容が全く聞こえて来ないので何に驚いているかは分からな――――

…いや、待て。

 

 

「――――」

 

『ありがとうね、二人とも!』

 

「――――」

 

 

――――いや待て。凄いはっきり聞こえてくる声があるんだが。

最近味わったばかりの、自分の心にドカドカ入ってくる様な不快な感覚…

間違いない、これは念話の類いだ。

 

 

『僕の名前はキュゥべえ!

君達にお願いがあって来たんだ!』

 

 

――謎の念話野郎…もとい『キュゥべえ』は話し続けている。

対象(ほんたい)が見えない分、あの神よりも不愉快だ。

 

 

『僕と契約して――』

 

 

…え、契約?

――ま、まさか…まさかサーヴァントとの契約か!?

全く期待していなかったが、ここはFateシリーズの世界なのかっ――――!?

 

 

『魔法少女になってよ!』

 

 

――――ざんねん! むしろ プリズマ☆イリヤの それ だった!

俺はずっこけかけ、崩れかけた体勢を戻す為に思わず右足を強く踏み締めてしまった。

馬鹿でかい音が響いたので、慌てて柱の影に隠れ直そうとしたのだが――――

 

 

「誰っ!?」

 

 

あ、気づかれた。終わった。

 

 

「まさか、生き残りかしら?」

 

 

三人の内の誰かが歩いてくる。

足音が反響し、俺の鼓動と混ざり合う。

 

…ええい、ままよ!突貫せずして何が愉悦か!

取り敢えず、両手を挙げて出て行こう!

 

両手を上空に高く挙げ、半ばやけくそになって柱の影から出る。

真っ先に目に入ったのは、先程と服装が大幅に変わっている金髪の女の子。

 

 

「っ!?」

 

 

――――と、彼女が構えていた長い銃だった。

瞬間、何か凄く速くて当たったら痛そうな物が俺の首筋ギリギリを通り過ぎた。

何か体が反応するよりも前に、

俺の脳は自分以外の全ての器官のコントロールを止め、状況整理を始める。

 

 

「えっ、あっ、大丈夫ですかっ!?」

 

『大丈夫だよ。

軽いショックを受けただけで、当たってはいないみたいだ。』

 

「軽いショックで済むわけ無いでしょ!!

…どうしよう、困ったなぁ…」

 

 

金髪の女の子がおろおろしているのとキュゥべえとか言うのの念話を数秒間程聞いて、

俺は漸く頭で自分が死んでいない事を確認し、話しかける。

 

 

「きゃあ!?」

 

 

俺が話しかけると金髪の女の子は余程驚いたらしく、一気に二メートル程後退した。

――――別にそこまで驚かなくても良いんじゃないか?

しかし、ようやく話せそうな人が出てきたのだ。このチャンスを逃す手はない。

 

 

「…大丈夫ですか?」

 

「怪しいやつ…

さては、不審者だなっ!?」

 

 

…前言撤回。まだ会話は出来そうにない。

ピンク髪の女の子と水色髪の女の子の俺を見る目は、完全にアレな人を見る目だからだ。

まずは、誤解を解かないとな。

 

 

――――その後俺は十数分かけ、何とか話す距離を一メートルまで縮めたのだった。

英雄王流トーク術は俺には厳しかったよ。




ってなわけで、最初の世界は世界的に有名な虚淵ワールドです。
Fate/Zeroと雰囲気が似てなくもない(主人公は気づかない)
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