英雄王に憧れた少年   作:印鑑

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人は警戒している相手の素の行動を見ると、警戒心を和らげる。
本能から来る意図的ではない行動。
言わば『人間らしさ』にこそ、その者の本性が最も出るのである。


お茶会

「さあ、入っていいわよ。」

 

「おっじゃましまーすっ!」

 

「お、お邪魔します…」

 

 

――――誰がどう見ようとも、高級なマンション。

そんなマンションの内の一部屋の前に、俺は呆然と立っていた。

 

 

「いつまでここに立っているんだい、君は?

マミも良いって言ってるんだし、早く入れば良いじゃないか。」

 

 

キュゥべえに急かされ、俺は慌てて玄関へと足を進める。

後ろで扉が閉まった瞬間、何故か逃げ道を塞がれた様な感覚に囚われた。

 

 

「ほら、早くあがりなさいよ!

あんたの横を通り抜けて、『不審者』が入ってくるかもしれないでしょ!?」

 

 

…不審者を強調するのは止めてもらえませんかね…

俺はそうぼやいた後、緊張を抑えながら恐る恐る靴を脱いで並べ、部屋の中に足を踏み入れる。

気分はまるで地雷原だ。女性の部屋怖い。

 

 

「ちょっと、どんだけ緊張してるのよ…

不審者だって思われたくないんだったら、もっと堂々と歩いたら?」

 

 

後ろ向きに歩いてる人に言われたくは無い。

綺麗にワックスされてる床の上でそんな事してると事故るぞ?

 

 

「…あんたに背ぇ向けて歩くよりはましよ――うわぁっ!?」

 

 

水色髪の子は足を滑らせ、その頭を勢い良く床と接触させた。予想通りである。

ほーら、言わんこっちゃない。

 

 

「…っ…」

 

 

反論する余裕もない程の痛みなのか、彼女は両手で後頭部を抑えて悶えている。

手を貸そうかと思ったが滅茶苦茶嫌がられそうなので、声をかけるだけに留める事にした。

 

おい、大丈夫かー?

 

 

「…あんたに心配される道理はないわよ…」

 

 

水色髪の子は涙目になりつつも、俺から目を離さない。

…っていうか涙溢れてるんですが。目を擦るのも嫌なのか?

 

 

「さやかちゃーん、何してるのー?

何か凄い音がした気がしたけど…」

 

「ああ大丈夫大丈夫、心配しなくてもさやかちゃんは元気いっぱいだよー!

…うぅ…」

 

 

…やっぱり手を貸した方が良いのかな…

いや、でもな…

 

 

「…な、何見てるのよ…早く行きなさいよっ!」

 

 

え、いいのか?

…自分より前に俺がいるのは嫌なんじゃ…

 

 

「そんな哀れみの籠った目で見ないでえっ!!」

 

 

あ、はい、すみません。

俺は結構な罪悪感を感じつつ、まだ床に座り込んでいる水色髪の子の隣をすり抜ける。

…通りがけに横目で彼女を見ると、目を擦っていた。罪悪感倍増である。

 

凄く微妙な気分で足を進めると、急に視界が開けた。思わず足が止まる。

――――何せ壁がガラス張り、でそこから夕陽に染まった街が一望出来るのだ。

ガラスで出来た壁がある家なんて初めて見たぞ、おい。

 

 

「あはは、やっぱり驚きますよね…」

 

 

ピンク髪の子が戸惑いがちに話しかけてきたので、全くその通りですと返す。

 

 

「…あれ、さやかちゃんは…」

 

「お待たせー…」

 

 

先程までの気迫は何処へやら、すっかり意気消沈した様子で水色髪の子が部屋に入ってきた。

その足取りは安定しておらず、またすっ転びそうで見ていられない。

 

 

「どうしたの?目が赤いよ?」

 

「あはは、ちょっと目にゴミが入っちゃったみたいでさー。」

 

 

水色髪の子はけらけら笑っているが、その目はピンク髪の子ではなく、此方を睨みつけている。

『さっきの事を喋ったら許さん』と言いたいのだろう。

…愉悦部じゃあるまいし、心配せずとも言わんよ。

 

 

「あら、好きに座ってても良かったのよ。」

 

「いやいや、恐れ多くも先輩の家にあがらせてもらってるんですから、

勝手に座ったりとかは出来ませんよ。」

 

「うふふ、礼儀正しいのね。

お茶とちょっとしたお菓子を用意したのだけれど、良かったら食べない?」

 

「え、良いんですか!?」

 

「ぜっんぜん、構わないわよ。」

 

「やったー!

さあさあまどか、早く座ろっ!

先輩の好意を無下にするわけにはいかないからねぇー。」

 

「…さやかちゃん、はしゃぎすぎだよ…はは…」

 

 

水色髪の子はいそいそとガラスで出来た背丈が低いテーブルにつき、

半ば強引にピンク色の髪の子を自分の横に座らせた。

…何か躁鬱が激しい子だな。あれだけ俺に警戒していた子とは思えん。

 

 

「…あの…」

 

 

はい?

…いきなり話しかけられたので、つい素で返してしまう。

 

 

「お茶とお菓子、いりますか?」

 

 

あ、はい。もらえると嬉しいです。

 

 

「分かりました。ちょっと待ってて下さいね。」

 

 

そう言うと金髪の子は台所へと移動し、

洒落たティーセットをお盆に乗せた後、再びリビングの方へ出てきた。

 

 

「貴方も遠慮せずに、座って良いんですよ?」

 

 

あ、お気遣いありがとうございます。

――――と口では言うものの、遠慮せずにいられるか。

この日初めて会った人の家で、しかも女性の家だぞ、女性の家。

 

 

「…っ…」

 

「さやかちゃん?」

 

 

…まああんまり挙動不審だと水色髪の子の警戒を益々強めそうだし、ここは勇気を出して座ろう、うん。

えーとだな、このテーブルは見た所二等辺三角形であの二人は長い辺の片方に座っているから、

金髪の子が座る所を考えると俺の座るべき所は…

 

 

「お待たせ。」

 

「おぉっ、待ってましたー!」

 

 

…何か俺が現実逃避している間に金髪の子が底辺に当たる位置に座ったので、

俺は細心の注意を払いつつ、残っている長い辺の場所に座った。

――――我ながら、緊張しすぎな気がする。

 

 

「んー、おいしーっ…

ほら、まどかも食べてみなよっ!」

 

「そんなに急かさないでよ…

…あ、ほんとだ、凄く美味しい…

これ、手作りなんですか?」

 

「練習してるんだけどね…」

 

「…あ、何かごめんなさい…」

 

「今度マミさんの手作りケーキも食べたいなー、なーんて…」

 

「いくらなんでもそれは厚かましいと思うよ、さやかちゃん…」

 

「たはは、ごめんごめん。」

 

「貴方達さえ良ければ、いつでもご馳走してあげるわよ。」

 

「え、本当ですか!?」

 

「…い、良いんですか?」

 

「大歓迎よ。

むしろ、私からお願いしたいぐらいだもの。」

 

「やったね、まどか!」

 

「あ、あはは…」

 

 

――――居づらい。凄く居づらい。

あーあ、何で俺は転生初日に女性三人と同じテーブルについてるんだろう…

 

 

「どうしたんだい、縮こまって。

紅茶が冷めてしまうよ?」

 

 

キュゥべえの一言で我に帰り、俺は目の前に置かれている紅茶とケーキに初めて気がついた。

この孤独感から逃れられるんだったら何でも良いとばかりに、俺は紅茶を一口飲む。

――――美味い!

 

紅茶は俺の予想以上に美味く、ものの三秒でティーカップは空になった。

少し元気が出たので、そのままケーキも一口食べてみる。

――――やばい、凄く美味しい…

緊張が解けた反動もあるかもしれないが、それを差し引いても美味しい!

 

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

 

――――ケーキを食べ終わり、一息つく。

すると、三人に見つめられている事に気づいた。

…しかしその目は警戒している者のそれではなく、むしろ好奇のそれに見える。

俺の食べ方に何か問題でもあったのか?

 

 

「いや、何か普通だなーと思ってさ。」

 

 

そりゃそうだ、普通なんだから。

水色髪の子に言葉を返したその時、俺は自分が比較的冷静になっている事を発見した。

気のせいかもしれないが、水色髪の子の警戒心も薄れている様に感じる。

 

 

「さあ、皆食べ終わった事だし、そろそろ本題に入りましょうか。

…っと、その前に改めて自己紹介しますね。

私は『(ともえ)マミ』。見滝原(みたきはら)中学校の三年生です。」

 

「私は『美樹(みき)さやか』っていいます。マミさんと同じ学校の二年生です。

で、こっちが…」

 

「…さやかちゃんと同じクラスの『鹿目(かなめ)まどか』です。宜しくお願いします。」

 

 

…ご丁寧にありがとうございます。

――――ってか、中学生だったのかよ…

 

 

「おっと、まどかを狙おうったってそうは行かないですよ?

まどかは私の嫁になるのだからなー!」

 

「えっ、まだそれ続いてたの!?」

 

「逃げられると思ったのかぁー?」

 

「あうう…」

 

 

…ハハハ、若いって良いもんですなー。

ぶっちゃけケーキ食う動作一つでここまで警戒解かれても困る。逆にビビる。

若い人は柔軟で良いな。

 

 

「若い若いって、やけにおやじくさいセリフ使うんですねぇ。

…まさか、その見た目で四十過ぎとか!?」

 

 

んなわけないだろう。こちとら(永遠の)十九歳だ。

そう何気なく返した瞬間、三人の顔に驚きの感情が浮かび上がった。

…え、俺そんなに老けて見えるの?

 

 

「…い、いえ、そんな失礼な事考えてませんよ!」

 

「そうそう!

高校生ぐらいだと思ってたなんて決して思ってませんから!」

 

 

…正直で宜しい。

まあ、俺は精々170ちょいだし、そう見られても仕方がないと思う。

運動大っ嫌いだったから、そんなに体格も良くないし…

 

 

「そうですか?

私から見ると、至って普通の体格に見えますけど…」

 

「体格を誤魔化せる服を着ているようにも見えないしね。」

 

 

…まあ、君達から見て普通に見えるなら良しとしよう。

 

 

「じゃあ、自己紹介も済んだ事だし、

魔法少女の事について話しましょうか――――」

 

「ちょーっと待ったー!!!」

 

「「!?」」

 

「何でそんなに怪訝そうな顔してるんですか!

マミさんもまどかも、重要な事を忘れてますよ!」

 

「それって何なの、さやかちゃん?」

 

 

その疑問に答える事なく、美樹さやかは高々と右腕を挙げ――――

 

 

「ずばり、この人の名前をまだ訊いてないでしょうがーっ!!!」

 

 

人差し指を、真っ直ぐ俺の眉間に突きつけた。

…急に名乗られたんで失念してたけど、そういやそうでしたね。

 

 

「当事者が何でそんなに呑気そうなのよ。

兎に角、私達の名前は教えたんだから、次はあんたが名乗るのが道理でしょう?」

 

「…さやかちゃん、その言い方はちょっと乱暴すぎない?」

 

「おぉっといかんいかん、ついうっかり。

じゃ、あんたの名前、教えてよ。」

 

 

――――知りたいのか?

 

 

「…え?」

 

 

どうした、俺は『知りたいのか』と訊いただけだぞ?

 

 

「…あの、急にどうしたんですか?」

 

「ちょっと、真面目に答えて――――」

 

「えぇ、是非とも知りたいわ。

差し支えがなければ、教えてくれませんか?」

 

「…マミさんまでぇ!?」

 

 

良いだろう、そこまで知りたいのなら教えてやる…

 

 

「…」

 

「…何、この空気。」

 

「…っ…」

 

「何でまどかまで緊張してんのさ…」

 

 

俺の名前は、フ――――

 

 

「ああもう、焦れったいなぁ!

名前言うだけでしょ!!さん、はい!!!」

 

 

…『"    "』だよ。

 

 

「あらっ、引っ張った割には意外と普通の名前なのね。」

 

 

…だから引っ張ったんだけどな…

もう一つの意図があった事は黙っておこう。

 

 

「…ま、下手に覚えにくい名前よりは良いかもね。」

 

「さやかちゃん、さっきから少し失礼すぎない?」

 

「まどかこそ、少し丁寧すぎるんじゃないの?」

 

 

丁寧なのは罪じゃないだろう。

――――さて、話を中断させた元凶が言うのもなんだが、

そろそろ『魔法少女』の話を聞かせてくれないか?

 

 

「あ、私も丁度そう言おうと思ってたんですよ。

話を中断させた『張本人』は私ですしねー…」

 

「そんなに謝らなくてもいいのよ。

美樹さんも…えーと…」

 

 

巴マミは何故か、此方を見ながらまごまごし始める。

…もしかして呼び名か?別に呼び捨てで構わんよ?

 

 

「それは流石に固っくるしいでしょう…

普段呼ばれてるあだ名とかないの?」

 

 

無いよ。いつでもどこでも名字呼びだ。

…だが、強いて言うならz――――

 

 

「そうだ、『クルさん』っていうのはどう?」

 

 

…はい?

 

 

「…クール?」

 

「それじゃ涼しいって意味よ、鹿目さん。

…けど、確かに呼びやすいわね。

美樹さん、何でそのあだ名を思いついたの?」

 

「いやぁ、何か印象が変わりまくったから…とでも言えば良いんですかね。

最初は『不審者』。次に『見た目高校生っぽくて中身はおやじみたいな大学生』。

で、今さっきの『謎のノリを持つ人』って感じで。」

 

「…くるくる変わったから、クルさん?」

 

「そういう事。」

 

 

うわあ安直かつ率直なネーミング。

まあ良い、気に入った。

 

 

「じゃあ、そう呼ばせてもらいますね。

では、話の続きを。」

 

 

巴マミは咳払いを一つすると、再び口を開く。

 

 

「美樹さんと鹿目さんはキュゥべえに選ばれた者として、

そしてクルさんは一連の事を見てしまった者として、

最早魔法少女の一件は他人事ではなくなってしまった。

私は魔法少女として、貴方達にある程度の説明をする義務があると思っているの。」

 

「なるほど、義務かぁ。

なら仕方が無い、遠慮せずに何でも訊いてくれたまえ。」

 

「さやかちゃん、それ逆。」

 

 

慇懃無礼の極みである。

しかし巴マミはそんな態度を咎める事もなく、微笑みながら『何か』を――――

金属質の装飾が施された、オレンジ色の宝石らしき物を何処からか取り出した。

 

 

「わあ、綺麗…」

 

「これの名前は『ソウルジェム』。

キュゥべえに選ばれた女の子が、契約によって生み出す宝石なの。

魔力の源であり、同時に魔法少女である事の証でもあるのよ。」

 

「『契約』って何ですか?」

 

「それは僕が説明するよ。」

 

 

俺が訊きたかった事を美樹さやかが言ってくれたので密かに感謝していると、

突如、今まで普通のぬいぐるみ宜しく静観していたキュゥべえが喋り始めた。

一瞬飛び退きそうになったぞ、全く…

 

――――だが、キュゥべえの次の言葉の方が俺にとっては衝撃的だった。

 

 

「僕達は、君達の願いを何でも一つ叶えてあげる。」

 

 

…ゑ?

 

 

「え、本当!?」

 

「願い事って…」

 

「何だって構わない。

どんな奇跡だって起こしてあげられるよ。」

 

 

……願いを叶える……願望器……

 

 

「うわぁ、金銀財宝とか、不老不死とか、満漢全席とか?」

 

「…いや、最後のはちょっと…」

 

 

……聖杯……泥……

 

 

「…どうかしました?」

 

 

この世全てn(アンリm)…何でもない。

ところでキュゥべえ、お前って器とか呼ばれてないかい?

 

 

「呼ばれてないよ?」

 

「どうしたのさクルさん、いきなりそんな事言い出して。

もしかしてあれか、不思議くんのキャラ付けなのかー?」

 

 

…いや、願いが叶うって聞くと過剰反応しちまうもんで。

一応訊くけど、その願いって自我が蝕まれるみたいな対価あるの?

 

 

「そんな物騒な対価は無いけど…」

 

 

じゃあ物騒じゃない対価はあるって事?

 

 

「この場合なら、ソウルジェムが『対価』にあたるね。

これを手にした者は、魔女と戦う使命を課されるんだ。」

 

「魔女?」

 

 

…魔女…っていうと、あの天の鎖で葬ったアレか。

あれと戦うのが使命、と。

 

 

「魔女って何なの?魔法少女とは違うの?」

 

「願いから産まれるのが魔法少女なら、魔女は呪いから産まれた存在なんだ。

魔法少女が希望を振りまく様に、魔女は絶望を蒔き散らす。

不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ。そういう災いの種を世界にもたらしているんだ。」

 

 

――――アレが?

まあ確かにあんな鋏が迫ってきたら絶望はするだろうけど、

猜疑心だの過剰な怒りだのは合わない様な…

俺が会ったのとは別の種類がいたりするのかね?

 

 

「理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ。

形のない悪意となって、人間を内側から蝕んでゆくの。」

 

「そんなやばい奴らがいるのに、どうして誰も気がつかないの?」

 

「そこが魔女のタチの悪い所さ。

魔女は常に結界の中に身を潜めていて、決して人前には姿を現さない。

さっき君達が迷い込んだ、あの迷路の様な場所がそうさ。」

 

「結構危ない所だったのよ。

あれに呑み込まれた人間は普通、生きて帰れないから。」

 

「…マミさんは、そんな危険なモノと戦っているんですか?」

 

 

鹿目まどかは不安そうにそう言い、巴マミとソウルジェムを交互に見る。

巴マミはその真剣な表情を崩さずに、話を続けた。

 

 

「そう、命懸けよ。

だから、貴方達も慎重に選んだ方がいい。

キュゥべえに選ばれた貴方達には、どんな願いでも叶えられるチャンスがある。

けどその代償として、死と隣り合わせの戦いに身を投じる事になるの。」

 

「…はぁ…」

 

「んー、悩むなぁ…

クルさんはどう?命懸けで叶えたい願いとかある?」

 

 

無いよ。

何の変哲もない、かと言って決して退屈しない。

そんな程良く愉悦出来る日常が、俺の理想だからな。

 

 

「…成る程、日常の小さな幸せを大切にする派なのか。」

 

「クルさんは平和主義者なんですね。」

 

 

違う、愉悦愛好者だ。

そこら辺は間違えてもらっちゃ困る。

 

 

「あー、益々迷ってきた…」

 

「別に今すぐに決めなくても良いのよ。

…そうだ、もし良かったら、暫く私の魔女退治に付き合ってみない?」

 

「えぇっ!?」

 

「え!?」

 

「百聞は一見に如かず。

魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみれば良いわ。

その上で危険を冒してまで叶えたい願いがあるかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの。」

 

「は、はぁ…」

 

「どうする、まどか?

私は付いて行こうと思ってるけど…」

 

「え、えぇっと…

…じゃあ、行ってみます。」

 

「よくぞ言った!それでこそ私の親友っ!」

 

「決まりね。

じゃあ第一回目は、明日の放課後にしましょう。

集合場所は学校で…いや、それだとクルさんが来れないわね…」

 

 

…ちょっと待て、俺も行くのか?

 

 

「ええ。むしろ今回の魔女に限っては、鹿目さんと美樹さんよりも貴方に来て欲しいんです。」

 

 

…一度限りなく近づいたから、標的にされる可能性が高いんだっけ?

 

 

「流石に魔女の相手をしながら別の場所に守るのは難しいので、

付いてきてもらえたら良いなと思っているんですが…」

 

 

別に良いよ。

…いざとなれば王の財宝で何とかすれば良いんだし。

 

 

「おお、クルさん結構度胸あるじゃないですか!

度胸ある男の人はもてますよー!」

 

 

度胸じゃねえ、むしろ臆病だ。

 

 

「またまたぁ、謙遜しちゃって。」

 

「大丈夫だよ、"    "。

いざとなれば、君が契約すれば良いんだ。」

 

 

…あ"?

 

 

「「「へ?」」」

 

「君には僕の姿が見えているんだろう?

それはつまり、君にも『素質』はあるって事さ。」

 

「…素質って…アレ?

魔法少女になれる…素質の事?」

 

「うん、そうだよ。

最も今まで前例がないから、僕にもどうなるかは分からないけどね。」

 

「…クルさんが、魔法少女?」

 

「魔法少年…いや、魔法青年とかかな?

いずれにしても、ちょっと無理がない?」

 

 

無理があるないどころの話じゃない。

第一そんなのになったら、愉悦が異次元の彼方に吹っ飛んでしまいそうである。

…いや、愉悦を願えば良いのか?

 

 

「と、とにかく…

明日の三時ぐらいになったら、見滝原中学校の校門前に来て下さい。

そこを集合場所にしますから。」

 

 

――――分かった。分かったんだが…

 

 

「?」

 

 

君らの通ってる中学校って、何処にあるの?

 

 

「「「!?」」」

 

 

――――その後、俺は少しの疑いの視線を受けつつ、地図を見せてもらう事になったのだった。

地図自体は中学校の地理の教科書で結構見辛かったけど、

同じ教科書に俺の記憶通りの日本地図が載っていた事には結構感動した。

 

 

 

 

 

…何処で寝泊まりするとかは後で考えよう、うん。




改めて言います。主人公の名前は出ません。
出てくるのはあだ名だけです。キュゥべえは(出ないけど)本名呼びですが。
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