今まで散々ドロドロさせてきましたが、今回は割とさっぱりしてます。多少ネタも入れてますし、気楽に読んでいただければ幸いです。それではどうぞ。
どうも皆さんこんにちは、ホロウです。
ラフコフに潜り込んでヒャッハーしてて、それをキリトに殴って止められたのは覚えてるんだけど、そこからどうなったかが分からない。なので、とりあえず質問してみよう。
「ここどこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
そう、今俺は真っ白な空間にいる。どこまでも白で、壁も何も無くどこまでも続いてるようだ。いくらソードアートオンラインの中でもこんな場所は無いだろう。そこから考えられるのは1つ。
あ、俺死んだわ。
いやまあ驚くことじゃない。気絶してる間にラフコフの奴らに殺されたのかもしれない。うっわーダサすぎワロタ。てかそしたらキリト達はどうなったのかな。死んでなきゃいいけど、まあ気にしたってしょうがないか。
てか死後の世界ってこんな感じなんだな。てっきり天国とか地獄とかあると思ったのに割とさっぱりしてる感じだ。
でも何もないっていうのは割と地獄だな。クッソ暇なんですけど。せめてニコ生くらいはあってもいいんじゃねーの?なんて考えたり。まあめんどいから考えるのやめよ。
「…………本当に死んだんだな、俺」
あれが俺の人生だったとなると、本当にクソゲーのような人生だったな。まあ人間に生まれた時点でまあ決まったようなものだし、せっかくだから来世はヤドカリにでも転生して
『何死んだ気になってんだよバーカ』
後ろから聞こえた、何度も聞いてきた声。振り向くと、予想通りの奴がそこにいた。
『感傷に浸るなんてらしくねーじゃねーか、ソラ』
「だからリアルネームで呼ぶなつってんだろ」
『いやここはソードアートオンラインじゃねーからよくね?』
「となれば本格的にここどこよ」
そう言うと彼女は「そんなの自分で考えろバカ」とか言ってきそうな顔で、
『そんなの自分で考えろバカ』
ってマジで言ってるじゃねーかコラ。
いやでも、こいつがいるってことは死んでる線が濃厚なんてすけど。だってこいつは。
『残念だけど、お前はまだ死んでねーよ』
ふと、彼女の声が聞こえる。なんか暇そうに髪の毛をいじりながら、言葉を続ける。
『正確には夢の中ってとこだな。キリトに殴られて意識ふっ飛んだのは覚えてるよな?』
「まあ覚えてるけど、あの後どうなったんだ?」
『そんなの自分で確認すりゃいーだろ?』
まあそれもそうか。出来れば無理ゲーな展開はやめてほしいが、祈ったところで何も解決しないから考えることをやめる。
『お、そろそろ意識が戻るみたいだな』
少しずつ、目の前の景色と彼女が霞んでいく。すると、今にも消えそうな彼女が俺に歩み寄り、仮面を外す。俺の顔を見て、彼女が呟く。
『相変わらずシケた面してるな、お前は』
「……………うるさい、誰のせいだと思ってる」
『ごめんごめん。でもさ、もういいんじゃないの?』
「……………………でも」
『あいつらなら、お前が隠してることもちゃんと受け止めてくれる。だから…………』
「断る」
『…………つれないねぇ。まあ時間はあるし、焦らなくてもいいと思うよ』
もうこの夢も終わる。こいつとは、暫くお別れだ。
『じゃあな、ソラ。まだこっちに来るんじゃねーぞ!』
「誰が行くかバーカ。………じゃあな、《ニーナ》」
俺がその名前を呼ぶと、彼女は消えた。その顔は、どこか笑ってるように見えた。
「ん……………………」
目を覚ますと、俺は椅子の上に座っていた。視界がおぼつかないが、部屋の様子から圏内の屋内ということが分かった。誰が助けてくれたかは知らないが、とりあえず状況を把握しないと…………
「……………あれ?」
体が動かない。精一杯力を込めてもビクともしない。そして意識が完全に覚醒すると、俺は自分の状況を理解してしまった。
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぉぁぁぁ!!!」
そう、俺は椅子に拘束されていたのだ。両手首は背もたれの後ろに縄で縛られていた。両足も同じく縛られていて、椅子に完全に固定されていた。
くそ、一体誰がこんなこと。そしてふと顔を上げた瞬間、その犯人であろう人物が目に入ってきた。
「…………………あれ、皆さん?」
そこには、キリト、リズベッド、シリカ、アルゴ、あと討伐隊にいた女とデカい黒人の男が立っていた。しかし、キリトとリズとシリカとアルゴは阿修羅のような顔をしていた。そんな顔のキリトが、怒りに満ちた声で、
「ホロウ………お前って奴は……………」
あ、これヤバいやつだ。
「アノー、キリトサン?ソレニミナサンモ、イッタイコレハ」
「どうして片言になってるんだ?」
「I can't speak Japanese. OK?」
「せいっ!!」
「おぶっ!?」
キリトが渾身の右ストレートを俺の鳩尾にシュゥゥゥーッ!超!エキサイティンッ!!
「お前は、どうして、いつもっ!!」
「おぐっ!!げぼっ!!べぶっ!!」
鳩尾にエキサイティンを連発するキリト。圏内でダメージは無いとはいえ、これはトラウマものだ。
「せぇいっ!!」
「あぎれっ!?」
更に後ろからメイスで頭をホームランされる。武器からしてリズだろう。どうして女の子なのにこんなこと!まあリズだし仕方ないか。
「どっせぇぇぇぇぇぇぇい!!」
「ぱぶ!?」
するとまたリズが俺の頭をジャストミートしてきた件。
「何失礼なこと考えてるのよこのバカ!!」
「お前が悪いんだろ!?」
「ホロウさんが全部悪いです!!」
「キュイッ!!!」
「シリカまでなん…………アダダダダ!!」
シリカも短剣で切りかかってくるし、ピナも鼻に噛みついてくるし。マジで何なのこの拷問怖い。
「これで、少しは反省シロ!!」
「ぎんっ!!?」
ラストはアルゴが俺の股関に一撃。リアルだったらマジで去勢されてたなこれ。
「オウ…………オウ……………」
「こいつ、やられすぎておかしくなってるぞ」
「キリト君、流石にやりすぎじゃ………」
「こいつにはこれくらいが丁度いいんだよ」
「それ酷くね?」
「悪いのは完全にお前だからな」
すると、シリカが怒ってるんだか泣いてるんだか分からない顔で、
「どうして、こんなことしたんですか!?いきなりいなくなったから心配してたのに、あんな危険なことするなんてっ!!」
それは俺を糾弾しているようにも、心配してるようにも聞こえた。
「怖かったんですよ!?ホロウさんが死んじゃうんじゃないかって!!何も出来ないまま消えてしまうんじゃないかって!!!」
涙ながらに叫ぶシリカを見て、俺は何も言えなかった。
「バカなくせに、独りでこんなこと抱え込むんじゃないわよ!!少しはあたしたちに相談しなさいよ!!!」
リズも思いっきり怒鳴ってきた。それでも、心配してくれてる。
「ホロウ、お前は独りで抱え込みすぎダ。もう少し周りを巻き込むことを覚えることダナ」
アルゴは落ち着いた声で言ってきた。冷静を装っていたが、見るからに震えていた。
「……………………どうして」
なんで、こうも俺を。恨まれるのは仕方がない。憎悪を向けられるのは覚悟してた。なのに、なんで心配なんかしてくるんだよ、こいつらは。
「それだけお前は想われてるんだよ、ホロウ」
キリトが言う。どこか笑ったような顔で。
「お前の抱えてるものを少しくらい背負わせてくれよ」
「そうよ、どうせあんたはぼっちなんだから。あたしたちくらいしかいないじゃない」
「そうですよ!少しくらいはホロウさんの力になってみせます!」
「そうダナ。お前はお得意様だし、サービスしてやらないこともないゾ?」
キリト、リズ、シリカ、アルゴの言葉は相変わらずで、温かかった。それは自分が拒絶してきた、それでも欲しかったもので。
「………………本当に何なんだよ、お前ら」
自分には手にする資格は無い。それでも、どこかで求めてしまっていた。ダメだ。この手を取ってしまうのは。
『もう、いいんじゃないか?』
……………ああもう、なんでお前が。でもまあ、その通りなのかもな。あいつらのおかげだ。何から何まで全部。礼を言わなくちゃいけないよな。感謝の言葉は、笑顔で言わなきゃ。
「………………ありがとな、みんな」
「別にいいわよ。それじゃ仮面を剥ぎ取るわよー」
「いや何故に!?」
暴れる俺を、キリトが押さえ込む。
「いいじゃないか、減るもんじゃあるまいし」
「いや色々と減るからね!?」
こいつらには頭が上がらないといえども、これだけは死守しなければ。
「そうだ、私はアスナ。血盟騎士団の副団長で、この間の討伐戦にも参加してたの。よろしくね」
「俺はエギルだ。ここで店をやってる。よろしくな」
「いや何でこのタイミングで自己紹介するんだよ!?」
アスナとエギルは助けてくれそうにない。身動きもとれないし、詰んだなこれ。
「それじゃあ、オープン!!」
リズが仮面を外す。
「…………………え?」
リズが俺の顔を見て戸惑っている。まあそれが普通の反応だよな。だって今の俺のは。
「どうして…………………泣いてるのよ」
お読み下さりありがとうございました。
次回から、ホロウに何があったか明かしていきます。これで今までの行動の意図が分かるかもしれません。
それではこの辺で失礼します。感想批評お待ちしております。