更に評価をつけてくださった方もいて、それを見て発狂してました。本当にありがとうございます!!
こうして見てくださる方のために、もっと頑張っていくのでよろしくお願いします!
「が…………………ぁあ…………」
目の前で、男が苦悶の表情を浮かべる。そりゃあそうだ、なんせ心臓をナイフで貫かれてるんだから。なかなかの苦痛だろう。だが、この程度では足りない。こんなもんじゃ、俺達が受けた苦痛には到底足りない。
「あぁぁぁぁぁああぁぁああ!?」
刺したままのナイフを捻ると、男は絶叫した。より鮮明に感じる死の恐怖から逃れようと抵抗するも、俺がそれを許さない。まだ、足りないのだから。
「大丈夫だよ、おじさん」
ナイフを刺したまま、男の顔に優しく手を添える。
「も、もう…………許し……て………………………」
男は痛みに苦しみながらも、俺に許しを乞う。涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔は、どこか滑稽に見えた。でもまあ、そんな顔したって結果は変わらないし意味ないけどね。
だから、最期は丁寧に、残酷に終わらせよう。添えた手で口をこじ開け、もう一方の手で胸にささったままのナイフを引き抜く。そして。
「死んでも、許してあげないから」
最高の笑みを浮かべながら、ナイフを口の中に突き刺す。勢いよく突き出したナイフは首を貫通し、そこから鮮血が噴き出す。………やっぱり汚いな。
ナイフを引き抜き、次の準備に取りかかる。片付けるのも面倒だけど、ここは一つ芝居を
「おい、どうした!?」
お巡りさんが部屋に入ってきた。おそらく叫び声を聞いて駆けつけたのだろう。まあ予想はしてたけど、案外早かったな。無駄に鼻の利く犬だこと。とはいえ、予定通り進んでいるので良しとしよう。
「この人が、僕を刺そうとして…………………。身を守ろうと、とっさに………………」
俺が殺した犯人に、全ての罪を背負ってもらおう。先程刺したナイフを犯人が抜こうと握ってくれたおかげで、指紋もばっちり。しかも俺は手袋装備なので、はいザマァww状態なのである。しかもこの部屋に監視カメラが無いことは確認済みだ。
しかも、犯人に殺意があると信じ込ませるため、予め自分を刺していた。そのナイフをそのまま持ってきたので傷口とナイフは一致するし、俺の血液も…………つってもあいつの血でわからないか。
「君、怪我してるじゃないか!!早く治療を………」
ちなみに、こいつはあの日俺を助けたお巡りさんだ。病室に見舞いに来たことから知り合い、割と親密にもなれた。本当に嬉しかったよ、いい駒が手に入ってさ。
では何故ここにいるのかって?そりゃ呼んだからに決まってるだろ。「不安だから」「心細いから」とか適当なことを言っとけば着いてくるようなバカだから、楽でいい。
まあそのバカが心配してるので、もう少し演技をすることにしよう。俺を近くの病院に運ぼうとする警官に、こう言ってやる。
「僕、人を………殺しちゃいました…………。僕は…………罪に問われますか……………?」
ガタガタ震えながらそう聞く俺に、お巡りさんは優しく言った。
「大丈夫、君のしたことは正当防衛だ。だから、何の心配もないよ」
そう笑顔で答えるお巡りさんに、バレない程度に笑い返した。
騙されてくれてありがとう、と。
その後犯人の罪は確定し、俺の殺しは正当防衛として処理された。更に、賄賂がバレたらしく、あのクズ刑事は処罰を受けた。社会的にも、復帰は困難らしい。
それを聞いて思った。
「なんてどうでもいいんだ」と。
正直あいつらがどうなろうが別に興味はない。
だって、俺が失ったものは永遠に戻らない。愛する家族も。幸せだった日々も。───復讐の代償として壊れた、俺の心も。
6歳の子供が家族を殺され、その犯人を殺し、その事実を隠蔽したとなれば、そりゃあ精神が異常としか言いようがない。そこは俺も同感だ。何せ、心の変化には気づいていたからね。
俺は、全てがどうでもよくなっていた。自分の命も、他人の命も、夢も希望も、何もかも。全てが空っぽだった。心の中には空虚な世界が広がり、そこには何もない。そこにあったものは、とっくに無くなっていたのだから。
そして、柊空の心は壊れた。
え、「それでお前生活どうしてるの?」だって?
普通に親戚に引き取られてました。俺の両親にお世話になったという女性が、俺を引き取ってくれたのだ。しかし、向こうは俺の容姿も内面も気味悪がっていたので、これといって会話したことも触れたこともない。俺が話しかけるだけで怯える程に、俺が怖くてしかたがないようだった。ま、それもそうだよね。
小学校にも通ったが、顔の左半分に火傷が広がっている不気味な俺に近づく奴はもちろんいない。気味悪がる奴もいたし、馬鹿にする奴もいた。そして教師までもが俺を気味悪がり、いつの間にか特別教室という名の独房にぶち込まれていた。おかげで、卒業するまで誰かと話したこともなかった。
そして小学校を卒業すると、俺は県外の中学校に通うことになった。理由は、俺を引き取った親戚のおばさんの一言だ。
「あなたといるのが辛いから、わたしから離れて」
だそうだ。まあそれが普通だし、こんな俺を引き取ってくれたのには感謝してる。だから、その要求を受け入れ、遠く離れた場所へ向かった。
でも、俺は少し不思議だった。
俺がしたことは間違っていない。なら、どうしてこうなってしまったのか。考えれば考える程分からなくなる。そして辿り着いた答えは、
「初めから全部、間違えていたんだ」
どこからかなんて分からないけど、きっとそうなのだろう。そうでなければ、説明がつかない。とりあえずそうしておこう。また今度考えればいいや。
そうして、俺は考えるのをやめた。いや、やめてしまった。
そうして俺は中学校に入学した。学校はアパートから近く、車椅子の俺でも通いやすかった。
そしてここの人達は、俺の情報を知らないようで、普通に接してくる。顔の火傷をお面で隠しているのもあるが、俺を忌み嫌う奴はいなかった。
こんな虚ろな顔というのも何なので、適当に笑顔を返して、ある程度のリアクションを混ぜる。案外上手くいくもんだ。
そうやって、少しずつ仮面を創っていった。そしてその仮面が出来上がる頃には、俺は心からの表情を忘れてしまっていた。
そしてある時、クラスメートからこう聞かれた。
「ねえ、空君ってゲームやってる?」
そのクラスメートの一言で、俺はゲームを知り、そして始めた。かといってそいつとやることは無く、独りでやっていたけどね。
初めてやったゲームはPCのフリーゲームなんだけど、それがまたクソゲーでさ。レベルアップも無し。装備の強化も無し。初見殺したっぷりのRPG。しかもエンディングで倒したはずのラスボスが復活し、世界を滅ぼすというクソみたいな結末だった。
でも、そのゲームは何かに似ていた。そしてその答えに辿り着いた時、俺は全て理解した。
────ああ、この世界はゲームだったんだ。
この世界がゲームだというのなら、納得出来る。クソみたいなストーリー。どう足掻いてもレベルアップしない、初めから詰んでるようなシステム。チートもバグも日常茶飯事、有象無象のプレイヤーがルールも無しに動き回っている。そんなクソゲー誰もやらないって。
しかし、それがこの世界なのだ。そして、俺はその中のプレイヤー。役割として悪夢を見させられるキャラクターなのだ。そう思わないと、やってられなかった。
だからこそなのかもしれない。俺は見事にゲームにハマった。学校では仮面を被り自分を偽らなければいけないが、ゲームをやっている時は気にしなくて済む。それに画面を見ている時は、全てを忘れてのめり込むことができた。
だからこそ、俺は出会ったのかもしれない。そういう運命だったのだと、そう思ってる。
中学校を卒業し、近くの高校に通っていた俺は、あるゲームに出会い、そしてそれを手に入れた。
そのゲームのタイトルは、《ソードアートオンライン》。
俺は歓喜した。スタート時点では皆平等で、戦えばそれに見合った経験値と報酬が手に入る。しかも仮想空間ではアバターを用いるので、顔の傷も歩けない足も関係ない。そんな理想の世界に行けるのだ。喜ばずにいられるだろうか。答えはNOだ。
そして俺は、《ソードアートオンライン》と必要なハードである《ナーヴギア》手に入れた。かなりの倍率と聞いたが、何とか手に入れた。買えなかった奴も頑張ったよ。後で鼻で笑ってやる。
さあ、準備は整った。せっかくだし、死ぬまでこの世界に行こう。この世界こそ、俺のいるべき場所なのだから。
「リンク………スタート」
その言葉と共に仮想空間へと向かう。そこに求めていた世界があると信じて。
今回は~SAOまで、という感じになります。所々に彼の元になるワードが入って…………るのかどうかは微妙ですけど、ある程度は入ってると思います。
これまでは《ソラ》の物語。そしてからは《ホロウ》の物語となります。更に歪んでいく彼をドロドロ書き上げていきますので、どうぞお楽しみください。