ソードアートオンライン《仮面の行商人》   作:Gissele

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30 穢れなき幼女と血塗れたおじさん

俺は今、第1層の《はじまりの街》に来ている。茅場晶彦がデスゲーム開始を告げた、システム的にもデスゲーム的にも本当にはじまりの街。そしてホロウとしての自分が始まった場所でもある。何度か来ている場所だが、何度来ても思い出に浸ってしまういい場所だ。

 

何故ここに来ているかはある程度察してくれているだろうけど、一応説明しておこう。この街にある教会に、《サーシャ》という女性がいる。彼女は子供を保護し、その教会で孤児院のようなことをしているのだ。しかも無償で。彼女は自分自身を「ドロップアウトした」と表現していたが、それは大きな間違いだ。拠り所を失った子どもたちを無償で保護し、他人のために努力している彼女と、自分の利益しか考えない俺たちのようなプレイヤーを比べたら、その差は歴然としているだろう。もっと胸を張ってもいいのに、と思うのだが、そうしないところもまた彼女の魅力だったりする。

そんな彼女を知った俺は、物資の援助を無償で行っている。この層じゃ手に入らないような食料やアイテムを寄付し、子どもたちやサーシャさんに少しでもいい思いをしてほしいからだ。俺も子どもたちの遊び相手(戦闘的な意味で)になっているし、シーナもモフモフされたりと割と需要はある。動物を見て癒されるとか、そういった感じなのかは分からないが、サーシャさんも歓迎してくれているのでこうやって定期的に遊びに来るのだ。

 

こうして俺は、何事もなく教会に辿り着いた。二階建ての比較的小さな協会は、公共の施設のため鍵は掛けられてはおらず、そこから弱々しく揺れるろうそくの火が見える。どうやら人はいないようだが、留守にしている時間でもないので、とりあえず中に入ってみようとすると、

 

「あー、仮面のお兄ちゃんだー!」

 

「おせーぞクソ野郎!」

 

「猫ちゃん久しぶり!」

 

と、中から子供の波が押し寄せてきた。デスゲームの中だというのにみんな笑顔で、もうムカつくほど元気だ。子供だからというのもあるんだろうけど、やはりサーシャさんの努力が大きいだろう。彼女の苦労を考えると、やはり助けになりたいと思う。

 

「おーっすクソガキ共、元気にしてたかー?あとサーシャさんは?」

 

「みんな元気だよ!先生はお客さんと話してる。お兄ちゃんとシーナちゃんも元気?」

 

「気遣いのできるガキは嫌いじゃないよ。ほれ、いつもの」

 

俺はアイテム欄から赤色の飴玉のようなものを取り出し、差し出す。すると子供は目を輝かせ、口に放り込んだ。その顔は本当にほっぺたが落ちたようになっていた。

このアイテムは、常連客がよく持ってくるもので、毎回大量に寄越してくるものだ。現実世界の飴のようで美味しいんだけど、どうしても数が多い。それをここに持ってくると皆死に物狂いで頬張ってまあ大好評。なのでここに来る時は飴玉も持ってくるのが習慣になっていた。

 

「ありがと!」

 

「あっ、ずりーぞ!俺にもよこせ!」

 

「あたしもほしい!」

 

どんどん子供たちが強請ってくるので、一人ずつ均等に渡していく。何回か来ているので、ここにいる子供たちの顔はよく覚えている。順番に渡していくと、皆喜んで受け取ってくれた。

 

「えっと、あとは────」

 

半分ほど配り終わり、周囲を見渡す。するとそこには。

 

「………………?」

 

見知らぬ少女、もとい幼女が一人、ぽつんと立ってきょとんと首を傾げていた。黒い長めの髪に、くりっとした瞳。ワンピースを着たその幼女は、森の妖精と言われても疑わないほどに、純粋な幼女だった。…………なにこのかわいい物体。もとい幼女。

 

「ハロー、君は最近ここに来たの?」

 

「……………………」

 

いきなり話しかけられたからか、なんかオドオドしていた。……いや、違うな。仮面をつけた黒マントの男が幼女に話しかけているだなんて、不審者でしかない。そりゃこうなるか。

 

「ほっほっほっ、そう固くならなくてもいいんじゃぞ?」

 

なので、とりあえずおじいさんみたいな話し方でのアプローチを試みる。迫真の演技だったつもりだが、周りからは乾いた笑いしか聞こえない。おいクソガキ共後で覚えてろよコノヤロウ。

 

「ぷっ…………」

 

ほら見ろ、目の前の幼女は笑ってくれた。俺の迫真の演技(笑)が勝因だろう。間違いない。…………きっと。

 

「はじめまして、名前は?」

 

「………………ユイ」

 

なんだか面倒なので口調を戻したが、ユイちゃんは返事をしてくれた。

 

「君は最近ここに来たの?」

 

とりあえず質問してみるが、ユイちゃんは横に首を振った。どうやらここの子供ではないらしい。とはいえこんな小さい幼女が一人でここに来たとは考えにくい。となると、誰かとここに来たことになる。サーシャさんが話をしている客の連れなのかな?

 

「パパと…………ママと」

 

誰かと来たというのは正解らしいが、まさかのパパとママ。SAOで子供をつくると言っても可能なのかどうか分からないし、おそらく無理だろう。なら、リアルでの家族というのが濃厚か。

 

「そっか、パパとママを待ってるんだ」

 

「うん…………」

 

「よし、お利口さんなユイちゃんにおじさんからのプレゼントだ」

 

一つ飴を取り出し、ユイちゃんの口の中にねじ込み…………優しく食べさせる。幼女に乱暴なことをしているわけじゃないので安心してほしい。ロリコンでもないしSでもないし。

 

「…………おいしい!」

 

この世界で飴を食べたのは初めてだろうか、ユイちゃんの表情がぱぁっと明るくなる。目にキラキラ輝くエフェクトがついてるような眩しい笑顔は、俺の心にスターバースト・ストリームを決めてきた。破壊力抜群な一撃に、思わずニヤけてしまう。これ仮面が無かったら完全に犯罪者だなと自分を戒めておこう。

 

「おじちゃん、もっと!」

 

おじちゃん。…………うむ、悪くない。飴玉一つでコンティニューできるのなら課金待ったなしだ。一瞬で飴を取り出す。

 

「よーし、特別におじちゃんからの」

 

「ユイちゃん!?」

 

すると、横から女性の声が聞こえてきた。呼び方からしてユイちゃんの同伴者だろう。とりあえず挨拶を────

 

「せやっ!!」

 

「おぺぇ!?」

 

するとその女性はいきなり細剣で切りかかってきた。というか串刺しにしてきた。思わず変な声が出てしまったが、何とか回避はできた。というか圏内ならダメージ負わないし、避ける必要もないんだけど、彼女の鬼の形相にビビってしまった。

 

「ユイちゃんに何してるの!?」

 

「いやいやいや、俺はただ課金アイテム(飴)でガチャを………………」

 

大勢を立て直し、顔を見上げて女性の顔を視認する。そして俺はただ驚愕した。驚愕せざるをえなかったのた。だって目の前にいる人は、俺がよく知る人物なのだから。

 

「ア、アスナなのか?」

 

「ホロウ君っ!?どうしてここに…………」

 

「ママ!」

 

「はいぃ!?」

 

まさかの再開に驚いている俺とアスナ。更にユイちゃんがアスナを「ママ」と呼んだ。例えるなら、鳩が豆鉄砲喰らった直後にロケランでぶっ放されたようなそんな衝撃に襲われ、俺の思考回路は滅茶苦茶に。

 

「待て、アスナをママ?つまりアスナの子供……SAOで子供を産むシステムがあった?いやそれならもっと早く…………」

 

「ホ、ホロウ君?何か誤解してないかな?ユイちゃんは…………」

 

「いたいた、いきなりどうしたんだよアスナ…………ってホロウ!?」

 

「大体予想はついてたけど何でお前がいるんだよキリト!?」

 

「あ、パパ!」

 

「何ぃ!?」

 

アスナを追いかけるようにキリトが現れた。アスナがいるとなるとまあキリトリがいることは予想できた。しかしユイちゃんがキリトを「パパ」と呼んだことに驚きを隠せない。キリトが「パパ」で、アスナが「ママ」。となると、導き出される答えは一つしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

こいつら、やることやりやがった。

 

「…………とりあえずアルゴに報告しよ」

 

「ホロウ!?」

 

「それだけはやめて!というか違うから!!」

 

まあ、キリトとアスナのリアクションを見ると、俺の考えが勘違いだというのは大体分かった。しかし、そこにそれがあるのなら、いつだって俺は人をおちょくり弄り続ける。それが俺という存在なのだ。許せ。

なんて茶番を脳内で繰り広げる俺に、必死に弁解しているキリトとアスナ、何が起こっているか分からないユイちゃんと、そのカオスな時間はサーシャさんが来るまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明によると、ユイちゃんは二人の子供というわけではないらしい。22層を歩いていたら倒れているユイちゃんに遭遇、そこで二人が保護したようだ。それからユイちゃんの目撃者だったり同伴者を探していて、サーシャさんの所に訪ねてきた、といったところだ。ちなみにユイちゃんが二人を「パパ」「ママ」と呼ぶ理由はよく分かっていないが、なんというかそれで定着しているようだった。アルゴと組んでおちょくることができないことは残念だったが、なんとなくホッとした。ゲーム内で子供作れるとか結構エグい。

 

そしてユイちゃんの件だけど、サーシャさんもよく分からないらしい。子供がいないか探し回っているサーシャさんが分からないなら、もう本当に分からないということだ。こればかりはどうしようもないし、どうするかをこれから考えなければならない。なので二人に「手伝おうか?」と聞いてみたが、「大丈夫だよ」とやんわり断られた。二人も気を遣ってくれているようだし、夫婦の中に割って入るのも野暮というものだろう。二人の気遣いを、素直に受け入れるとしよう。

 

サーシャさんがお茶を淹れてくれるというので、とりあえずお邪魔することにしよう。キリトとアスナも残るらしい。話は終わったものの、もう少し世間話でもしたいのかな。どこの老夫婦だよ。

 

 

「お久しぶりですね、ホロウさん」

 

「色々あって来れませんでしたからね。今回の分は少し多めにしときました」

 

「いつもありがとうございます。どうお礼したらいいか…………」

 

「勝手にやってることなんで気にしなくていいっすよ。俺自身、ここに来るのが楽しみですし」

 

こうして今回の分の食料やら生活用品やらをサーシャさんに渡す。結構な数を用意したから長引いた分は埋められるだろう。とりあえず当初の目的は達成。ひとまず安心した。

 

「ホロウ、何やってるんだ?」

 

キリトとアスナは、そんな俺たちのやり取りを知らない。何か怪しい取引でもしてると思ったのか?さすがにないとは思うけど。

 

「ホロウさんは、ここの子供たちに物資の援助をしてくれてるんです。それも無償で」

 

「ホロウ君、意外にまともな人だったんだ…………」

 

「おいアスナ、それじゃ俺が変人みたいじゃねーか」

 

「え、違うのか?俺から見てもかなりの変人だぞ」

 

「おいキリト表出ろやコラ」

 

まるで計算されたような会話を楽しみながら、お茶を啜る。横を見ると、ユイちゃんや子供たちがシーナと遊んでいた。逃げるシーナを捕まえて、モフモフスリスリするユイちゃん。…………何あのかわいい生物。

 

「ねえ、お持ち帰りしていい?」

 

「いけません!!」

 

「というか、いつの間にかユイに懐かれててるし」

 

「そこは企業秘密ですぜ旦那」

 

アスナに阻まれ、ユイちゃんのお持ち帰りには失敗。非常に残念だが、普通に犯罪なのに気がついたのはしばらく経ってから。つまりアスナは俺の犯罪を未然に防いだのだ。アスナGJ。

 

「おじちゃん、あそぼ!」

 

ユイちゃんがシーナを抱えて駆け寄ってきた。とりあえずおじちゃんは定着したらしい。抱きかかえられているシーナは、子供たちに絞られてぐったりしてる。ざまぁ。

 

「よし、それじゃあおじさんと─────」

 

俺が席を立とうとした瞬間。

 

 

 

 

 

「先生!サーシャ先生!大変だ!!」

 

突然部屋のドアが開き、数人の子供が雪崩れ込んできた。

 

「おい、どうしたお前ら」

 

「仮面の兄ちゃん、大変なんだ!ギン兄ィたちが軍の奴らに捕まっちゃったんだ!!」

 

軍。正式名称はアインクラッド解放軍。発足時はただの攻略ギルドだったが、ボス攻略で甚大な被害を負った後は組織力の強化に力を注いでいた。そしてこの層で、徴税という名のカツアゲをしている。以前ここに来た時も見かけたし、ここの子供たちもたまに被害に遭いそうになったこともある。その時は俺が追い払ったが、今回は最悪の結果となった。

 

「場所は!?」

 

「東五区の道具屋裏の空き地だ。軍が十人くらいでブロックしてる!」

 

「解った、すぐ行くわ」

 

「なら、俺も行きます。キリトとアスナは…………」

 

「わたしたちも行くよ。人数は多い方がいいでしょ?」

 

「ユイや他の子供は俺が守るから心配ないさ」

 

「…………ありがとな二人とも」

 

「それじゃあ、すみませんけど走ります!」

 

サーシャさんはそう言って、教会から飛び出した。その後に続くように俺たちも教会を飛び出し、救出のため走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ、保母さんの登場だぜ」

 

目的地に到着すると、軍の奴らに囲まれた子供たちを囲んでいた。その数はおよそ十人。捕まったのはギン、ケイン、ミナの3人。無力な子供を相手にするには少し非情な数だ。そんな軍のプレイヤーはこちらに気づいたようで、振り向きながら汚い笑みを浮かべた。

 

「子供たちを返してください!」

 

「あんたらは随分税金を滞納してるからなァー。金だけじゃ足りないんだよ」

 

「装備も置いてってもらうぜ。何から何まで、全部な」

 

サーシャさんが軍の奴らに硬い声で言うも、男たちは腐った表情を浮かべるのみ。その表情で「所持品全部置いていけ」と言っているのだ。……あぁ、殺してえ。

 

しかし、サーシャさんは何もできなかった。ここは圏内だ。つまりプレイヤーへのダメージは0だし、移動させることも不可能。それを利用し、奴らは対象をの逃げ口を塞ぎ、行動不能にしているのだ。弱い立場の人間にこんなことをするとは、奴らにはプライドとか恥とかそういうのが無いのだろうか。とにかく今の状況では、向こう側の子供たちを助けられないのだ。でも、俺たちには無意味なことなんだけど。

 

「行こうキリト君、ホロウ君」

 

「ああ」

 

「りょーかい」

 

俺たちはステータスをフルに使い、跳躍する。敏捷度と筋力補正を全開にした跳躍は、軍の奴らの頭上を飛び越え、四方を囲まれた空き地へと降り立つ。

 

「なっ!?」

 

軍の奴らは驚きを隠せずにいる。というか後ろのサーシャさんや子供たちも驚いてるというかなんかビビってる。まあ下層のプレイヤーからすれば、俺たちの行動が異常ってことなんだろうけど、そこまで驚くかなって思った。

 

捕まった子供たちは、装備を差しだそうとしていたのか、防具を解除し、簡単なインナーしか着ていなかった。アスナが「もう大丈夫よ」と言うと、慌てて防具を拾い、ウィンドウの操作を始めた。

 

「お…………オイオイオイ!なんだお前らは!!」

 

「軍の任務を妨害するってことは、解放軍に楯突くってことだよなぁ?本部でじっくり話聞いてもいいんだぜ?」

 

「なんなら圏外行くか、おお!?」

 

「圏外」という単語を聞いたアスナは、ギリッと歯を食いしばった。きっと怯える子供たちや腐りきった軍の奴らを見て、怒りのボルテージが限界を越えたのだろう。……まあ、それは俺も同じなんだけどさ。

 

「キリト君、ユイちゃんをお願い」

 

アスナはキリトにユイを預けると、実体化させていた細剣を手にし、軍のリーダーに向かって歩き出す。そして、状況を飲み込めていない軍のリーダーに、アスナの突きが直撃する。紫のエフェクトと爆発のような衝撃を纏った一撃を食らい、男は腰が抜けたように崩れ落ちた。

 

これは《圏内戦闘》というもので、体力が減らないことを利用した戦闘だ。もちろん今攻撃された男の体力も減らないが、攻撃の衝撃やノックバック、剣が迫る恐怖はもろに受けるので、精神的にはかなりキツいだろう。

 

「ひあっ、やめっ……………」

 

男が懇願するも、アスナの攻撃は止まらない。アスナにただただ蹂躙されるしかなかった。さすが狂戦士もといバーサーカー、鬼畜っす。そして周りの奴らは助けようにも助けられない。アスナとの圧倒的なレベルの差を見せつけられ、何も出来ないのだ。彼らもただ恐怖するしかないのだろう。

 

 

 

まあ、そいつらを黙って見逃すなんてことはしない。

 

「そぉいっ!!」

 

敏捷度の暴力で、軍のプレイヤーの一人に急接近、顔面に高速のハイキックを食らわせる。完全に不意を疲れた男はよろめき、倒れ込む。仰向けに倒れ込んだ男にまたがり、ひたすら顔面を殴る。

 

「君がっ、この子供たちを解放するまでっ、攻撃をっ、止めないっ!!」

 

「ごっ!あがっ!!げふっ!!」

 

男は何かを言おうとしたが、顔面を殴られ続けてるため何も言えない。そして糸が切れたように気を失った。だが気絶しようが関係ない。俺は問答無用で男を殴り続けた。俗に言う死体蹴り。いわばオーバーキル。その恐ろしさは、軍の連中を震え上がらせるには十分すぎた。

 

「ち、ちくしょおっ!」

 

「この化け物が!!」

 

残りのプレイヤー達がようやく武器を構えた。どうにか抵抗しようとしているようだが、俺とアスナというバーサーカーの構えは万全。アスナは俺を見て微笑む。きっと、「こいつら殺っちゃっていいよね?」的なアレだろう。俺は頷き、アスナと共に軍の連中と向き合う。

 

 

 

二人の鬼畜プレイヤーが容赦なく蹂躙していく。剣の衝撃による爆音と、軍のプレイヤーの悲鳴が辺りに響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、軍のプレイヤーは全員魂を抜かれたように転がっていた。

 

アスナの周りには子供たちがわらわらしていた。バーサーカーっぷりを子供たちの目の前で発揮したことに後から気づき、どうしようかと心配していたようだが、子供たちからは「すっげー!」とか「姉ちゃん強い!」とか言われ、笑顔で飛びつかれた。子供たちにはかっこいい戦士に見えたのだろう。まあ怖がられなくてよかったな。アスナもいい笑顔してるし、よかったよかった。

 

え、俺はって?誰も寄ってきませんでした。死体蹴りオーバーキルがいけなかったのか、皆俺を避けている。まあこんな鬼畜おじさんに寄ってくるだなんて思わないけど、アスナより俺と子供たち付き合い長いよ?飴玉という課金アイテムも使ってるというのに、KONOZAMAである。

 

「…………おじちゃん?」

 

「ユイちゃん、どうしたの?」

 

そんな俺の様子を感じ取ったのか、ユイちゃんが話しかけてくれた。…………それにしても、おじちゃん。たまらんね、クセになっちゃいそう。

 

「おじちゃん、大丈夫?」

 

「大丈夫だよー。それよりママのところに行かないの?あんなにかっこよく戦ってたのに」

 

若干自虐が混じった返事は、中年男性の悲哀が混じったものだった。だが、そんな俺にユイちゃんが上目使いでこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おじちゃんも、かっこよかったよ!」

 

その一言で、なんだか報われたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、俺は皆と別れた。

軍のことは心配だったが、キリト達が教会に残るようだ。あの後少しユイちゃんの様子がおかしくなって、すぐに治ったものの心配だったので、教会の空き部屋を一室借りることにしたのだ。俺も残ろうか聞いたけど、とりあえず大丈夫らしい。まあ親子水入らずの時間を邪魔されたくないよな。

 

いつも通りサーシャさんが入り口までついて来てくれて、子供たちは教会の中から見送ってくれた。そしてキリトとアスナ、ユイちゃんもサーシャさんと同じくついて来てくれた。

 

「おじちゃん、行っちゃうの?」

 

「俺も行きたくないんだけど、この後用事もあるしなあ…………」

 

「そっか」

 

すると、ユイちゃんが抱きついてきた。

 

「またね、おじちゃん!」

 

「おっふ」

 

「…………ホロウ君?」

 

「いや、何故睨む」

 

「娘はやらんからな」

 

「いやどこのロリコンだよ」

 

「え、お前ロリコンじゃないのか?」

 

「シバくぞ」

 

…………みたいなこともあり、なんだかんだで笑顔の別れとなった。サーシャさんや子供たちも無事で何よりだし、キリトとアスナがいればとりあえず安心だろう。ユイちゃんと戯れていられないのが残念だったけど、まあ仕方がない。この後は結構大事な用事が控えているのだから。名残惜しさを感じながら、はじまりの街を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、数日後。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく来てくれたね。ようやくゆっくり話せそうだよ、ホロウ君」

 

「うるせえよ。こっちも話したいことが溜まりに溜まってるんだ、覚悟しとけよ。というか殺す」

 

「怖いものだね、《徒花の死神》君はそんなに悪い子だったのかな?」

 

「ぬかせ、《神聖剣》とか英雄ぶってるお前に言われたくねえよ、このラスボスが」

 

魔王(ヒースクリフ)死神(ホロウ)は、再び対峙する。




遅くなってしまい申し訳ありません。本当に今回はどうしようか悩み、4回くらいやり直しました。それでこの程度のクオリティーなので余計辛いです。本当に申し訳ない。

ですが、これでようやくラストへ向けて書けます。だらだら続けるのは嫌なので、せめて一矢報いるような話を書いていきたいと思います。

そんな次回ですが、少し変わった感じでやってみようかと。ストーリーで結構大事なところなので、頑張ります。とりあえず今日か明日に投稿します。

今回もご覧いただきありがとうございました。作品の向上のため、低評価や罵倒、苦情などで私を潰しにきていただければ幸いです。
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