さて、今の状況を説明しよう。宿屋に泊まったのはいいが、色々疲れたシリカはそのままキリトの部屋でぐっすり。ベッドで寝ているシリカを起こすわけにはいかず、キリトは床で……………とはいかせないぜ!
床で寝ているキリトをそーっとベッドの近くに運ぶ。ヤバいねこれ。顔めっちゃ近いし。パニックになる2人を想像しながら、俺は部屋の隅で眠りについた。
結果だけ説明しよう。
シリカが起きる
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キリトの顔が近すぎてパニックに
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キリトも状況を理解しわたわたしてる
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阿鼻叫喚の部屋を見て草不可避←今ココ!
いやぁ期待通りのリアクションご馳走様です。頑張ってセッティングした甲斐があったぜ!!
「2人とも、朝から盛んなのはいいけどもうちょいボリューム下げてくんね?」
「「誰のせいだと思ってるんだよ(ですか)!!?」」
さあそんな訳でやって来ました47層!主街区《フローリア》には花々が綺麗に咲いていた。フラワーガーデンの名の通りの光景に目を奪われる。え、さっきの地獄絵図は、だって?君は何も見なかった。おk?
気を取り直して目的地にLet's go!という訳でフィールドにやって来た。のはいいけど…………
「ぎゃああああああ!?何これ気持ちワルーー!!?」
そりゃあそうなるよね、歩く花とかパッ○ンフラワーみたいなのが実際にいたらそうなるって。ここはその特性上植物のモンスターが出てくるんだけど、シリカくらいの女子にとっては天敵でしかないね。
「そいつは弱いから大丈夫だ!花の下の白い部分を狙うんだ!」
「そんなこと言っても気持ち悪い………わわわ!?」
するとシリカの両脚にツタが絡み、そのまま頭を下にして宙吊りに。するとシリカのスカートが重量に従い下がっていく。慌てて左手で抑えるも、そんな体制じゃ上手く攻撃出来ない。
「キ、キリトさん助けて!!見ないで助けて!!」
「それはちょっと無理だよ…………」
そりゃ無理だろうねしゃーない。でも俺にはノータッチとは悲しいねえ。振られても困るけど。
諦めたシリカは左手を離し、ツタを切断、そのままソードスキルを発動。敵を倒し着地したシリカがこっちを見て、
「…………見ました?」
「「…………………見てない」」
何とかシリカの短剣の餌食にならずに済んだ俺達は、再び思い出の丘へ足を進めた。
敵を倒しながら進むと、小高い丘が見えてきた。そう、あれが《思い出の丘》だ。だが真っ直ぐな道に大量のモンスターが。しかしそこはキリトと俺の出番だ。モンスターを片っ端から倒しながら進むと、丘の頂上に辿り着いた。
「うわあ……………!」
美しい花々が咲き誇っているその光景は、まさに空中の花園だ。その中央にある白い岩にシリカが近づくと、岩から生えていた芽がたちまち成長していき、純白の花へと変化した。シリカがその花に触れると、ネームウィンドウには《プネウマの花》と表示される。
「これで………ピナを生き返らせられるんですね………」
「そうだな。早く街に戻ってピナを蘇生てやりな」
「はいっ!」
そうとなれば善は急げだ。さっさと戻ろう。転移結晶は極力使いたくないから歩いて帰る。それにしてもモンスターがほとんどいない。そりゃあいないのはいいことだが、明らかに不自然だ。そろそろ、当初の目的を果たすとしますか。
「キリト」
小川に掛かる橋を渡ろうとしている時、俺はキリトに目配せをする。仮面をつけてるから分からない?そういうのは野暮ってもんたぜ?その目配せに気づいたキリトが、道の両脇に生い茂る木立を睨みつける。
「そこで待ち伏せてる奴ら、出てこいよ」
「え………………?」
そうキリトが言うと、木立から赤い髪の女性………昨日俺達に話しかけてきた女が槍を持ちながら出てきた。
「ろ、ロザリアさん…………?」
「あたしのハイディングを見破るなんて、なかなかやるわね。侮ってたかしら?」
そう言うとロザリアはシリカに視線を移し、
「《プネウマの花》は無事に手に入れたみたいね。じゃあ、それを渡してもらいましょうか?」
「……………お前頭沸いてるのか?渡すわけねーだろ。お前の脳味噌赤味噌で出来てるんじゃねーか?」
若干キレてる俺をキリトが制すと、ロザリサに向かってこう言った。
「俺はあんたに用事があるんだ。犯罪者ギルド《タイタンズハンド》のリーダーのロザリサさん?」
さあ、みんなも思い出してみよう。俺達の当初の目的はなんだったかな?まあこれから説明するからちゃんと聞いてね。
キリトと俺はオレンジギルドの《タイタンズハンド》を捜索していた。聞いた話によると、《シルバーフラグス》というギルドが十日前に襲われたらしい。その犯人がこいつらだ。そのリーダーだった男は、キリトにタイタンズハンドを黒鉄宮(牢獄的なとこ)に送るように依頼したのだ。黒鉄宮に設定した転移結晶を全財産はたいて買ってまでだ。そこまでされたらやるしかないよな。
しかし、いくつか不思議な点がある。ロザリサの名前は犯罪者を表すオレンジではなくグリーン。つまり犯罪を犯してないということだ。シリカが驚いていたが、理由はおそらくそれだろう。しかしそれが奴らのやり方だ。
グリーンのロゼリアが対象に接触、じっくり品定めしてから誘い込み、みんなで殺っちゃおうという寸法だ。おそらくシリカに接触していたのもそのためだろう。……………あぁ、潰してえ。
「あんたら、そんな奴らのことでマジになるとか馬鹿じゃない?」
極めつけは殺した奴らへの侮辱。そしてロザリアが合図をすると、名前がオレンジに染まったプレイヤーがこちらを囲んできた。
「流石にこの人数を相手にするのは辛いでしょ?」
「……………キリト」
「俺がやる。お前はシリカのことを守ってくれ」
「……言われなくても」
そう言うとキリトが前に出る。するとあいつらが一斉にキリトを攻撃してきた。
「ホロウさん!キリトさんを助けないと…………!!」
「大丈夫だよ、シリカ。キリトのHPを見てみろよ」
「え…………?」
キリトのHPは減ったかと思えば全快、減ったかと思えば全快を繰り返していた。
これはキリトの「バトルヒーリング」によるものだ。一言で言えば自動回復、時間経過で勝手に回復するという代物だ。あいつらが10秒間に与えるダメージがほぼ400なのに対してキリトのバトルヒーリングは10秒で600回復する。つまり、あいつらには一生キリトは倒せない、というわけだ。
「ロザリアさん!こいつ…………ビーターっすよ!」
「こんな化け物、勝てる訳がねぇ……………」
「うるさい!なら他の奴らをやりな!!」
ロザリアが怒鳴ると、奴らは標的を始めとするシリカに切り替えた。その殺気にシリカが怯える。
その時、シリカの肩にシーナが飛び乗った。そして「安心して」と言うように頬擦りをする。よかった、こいつも気持ちは同じようだ。なら、やるべきことは1つ。
「頼むぜ、シーナ」
その声と同時に、シーナは垂直に跳躍。そして周囲の敵に向かって放電した。その放電に触れたプレイヤーは崩れるように倒れた。流石俺の相棒、頼りになるぜ。
シーナは「ナイトウォーカー」というモンスターだ。その特徴は、高いハイディングと強力な麻痺効果のある電撃だ。敵の懐に忍び込み、痺れさせて息の根をとめる。まさにジャパニーズニンジャ、痺れるぜ!まあその変わりに攻撃も防御も全然ないけど。電撃もダメージ0だもん、戦闘スタイルのクセがすごい。
そんなシーナの電撃は、オレンジプレイヤーを全員麻痺でダウンさせた。後はキリトが黒鉄宮にぶち込んでくれるだろう。さあ、残るはあと1人。
「ま、待ってよ!あたしが悪かった、だから許して!あんたと組んでやってもいい!!だから…………」
ロザリサに何を言われたところで、俺のやることは何も変わらないし変えるつもりもない。
「何をしようとお前のした罪は消えない。そしてお前らは俺の仲間に手を出した。それを俺は絶対に許さない。だから
最大限に苦しめながらブッ殺してやるよ」
ナイフ型の短剣を取り出し、ロゼリアの喉元を抉
「ホロウッ!!」
…………る寸前でキリトが俺を止める。少しでも遅れたら、俺はロザリアを殺していただろう。
「お前の気持ちはわかる。でも…………」
キリトの目線の先には、酷く怯えるシリカがいた。俺と目が合うと、ビクッと肩を震わせ後ずさりする。
「………………………シリカ」
「い、いえ、あたしは…………………」
完全に怯えてるなこれ。まあしょうがないか。自分を囮のように扱い、人を殺そうとしていた奴が目の前にいるんだ。それが普通だ。
「すまないキリト。……………後のことは頼む」
そして俺は街の方向へ歩き出した。キリトがこちらを見る。心配してくれてるみたいだけど、その優しさが今はとても痛い。
そして俺はその場を去ろうとする。シリカがこっちを見つめている。彼女を恐怖させたのは俺だ。
「ごめんな、シリカ」
届いているか分からない程の声で、そう謝ることしか出来なかった。それで、精一杯だった。
…………ああ、また間違えた。
どうして自分を止められなかったのだろう。殺意を抑え込むことが出来なかったのだろう。また、あの時のように同じことを繰り返してしまったのだろう。
俺がちゃんとしていれば、シリカを傷つけることも、キリトに迷惑かけることも無かったのに。考えれば考える程、後悔か頭の中を支配していく。
あの時、俺はどうするべきだったんだろう。ロザリサを殺す?タイタンズハンドを潰す?どちらも違う。じゃあ、いつから間違えた?何を間違えた?答えは決まっている。
「初めから、全部間違っていたんだ」
仮面の下で、冷たい何かが頬を伝った。
少しドロドロした感じになりましたが、ちゃんと区切りをつけていきたいと思います。
作品の向上のために、意見などありましたら是非教えてください。
お読みくださりありがとうございました。次回もよろしくお願いします。