「まさかあんたにあんな趣味があったなんてね~」
「んなわけあるか」
「黙れロリコン」
「拒否権無しかよ!?」
シリカと居合わせたとこをリズベットに目撃された俺は、何とかリズベットの誤解を解こうとしていたが、いくら弁明してもリズベットの誤解は解けない。別に変なことはしてないけど、まあロリに手を出してる不審者に見えるのは否めない。
でもレベリングに付き合ったりケーキ奢ったり別に手を出してる訳じゃねーからな?ロリへのタッチはダメ、ゼッタイ。でもロリって言うのはシリカに失礼ではないだろうか。
「………………ねえ聞いてる?」
「うん、聞いてない」
いくら考えても状況は変わらない。これ以上は流石に面倒だし、これからどう切り抜けようか…………
あの悪魔の拷問から何とか逃れた俺は、少し人捜しをしていた。リズベットのことだ、絶対拡散してやがる。周りからの視線が痛いし。
「ったく、あの悪魔め……………」
「死んだ魚みたいな顔してるナ。何かあったのか?」
「ほっとけ。それよりアルゴ、お前に頼みたいことがある」
こいつはアルゴ。アインクラッドで《鼠のアルゴ》として情報屋をやっている。
彼女は情報に関するプロだ。情報の取得から情報操作まで何でも出来る(何でもするとは言ってない)。金はかかるが、それだけ確かな仕事をしてくれるので、度々依頼をしている。
ちなみに、アルゴも俺からよく商品を買うので、いい商売相手でもある。
「頼み事とは珍しいナ。事情によっては高くつくゾ?」
「金はいくらでも出す。内容が内容だしな」
「お前がそこまで言うなんて、その依頼ってのはどんな内容なんダ?」
「あぁ、実は──────────」
「…………正気カ?」
「嘘でこんなこと言わねーよ」
「仕事自体はそこまで難しくないケド………」
なんだ、心配した俺が馬鹿だったぜ。流石はアルゴ、さすアル!……………語呂が悪すぎるな、却下だ。
「ホロウ、お前は大丈夫なのカ?」
「大丈夫って、何がだよ」
大丈夫かって、死ぬんじゃないかってことかな。このデスゲームに囚われてからは、毎日が死と隣り合わせの日常を過ごしてきたんだ、死を意識しない瞬間なんて無い。状況が違うだけで、基本的な部分は同じだろう。
「そんなの、今までだってそうだったろ?今までもこれからも何も変わらねーよ」
ヘラヘラしながら帰ろうとした時、背中にに何かがぶつかった。振り向くと、アルゴが額を俺の背中に押し付けてきたのだ。どこか、震えてるようにも見えた。
「頼むから、無事に帰ってきてクレ。死なれると、夢見が悪いカラ」
……………まあ内容が内容だし、この反応はしゃーないか。だからこそアルゴにしか頼めなかったし。まあ出来るだけリカバリーはしておこう。
「それは約束は出来ないけど、出来るだけ頑張ってみるよ。お前も待ってることだしな」
そう言ってアルゴの頭を撫でる。しかし懐かしいなこの感覚。あいつにもよくしてやったっけ。すると、
「にゃああああああっ!?」
なんか殴られた。圏内だからダメージ無いけど、完全に鳩尾抉られた。ここがゲームで良かったぜ、じゃなきゃ今頃もんじゃを大量生産しちまってるだろうし。
「お前何してるんダ!?この変態!ケダモノ!!○○○○○○○○○○!!!」
かなり怒ってるみたいだ。結構俺には普通だったんだけどな、いやあいつがおかしいだけか。でもね、流石に街中で放送規制かかるような言葉を叫ぶのやめよっか。周りの視線がすごく痛いよ?
「いや、悪かったって。だから変な言葉叫ぶのやめよ?」
「うるさい!!誰のせいでこんなことになってると思ってるんダ!!」
まあ俺のせいなんだけどね。でもどうやら自爆してるのには気づいてないみたいだ。このまま黙ってた方が面白そうだし。やっぱりシリアスは壊されるためにあるものだよね!
「みたいなことがあってさー」
「お前は鬼か」
俺は今、キリトと話している。さっきのアルゴのことを話していたのだが、結構引かれた。でもさー、冷静になって自分の言ったことを理解したアルゴの顔よ。最高だったから思わず写真と音声を保存しちまった。俺のネタのフォルダーがまた潤ったぜ。
「そういうお前もリズとデートだったらしいじゃねーか」
「場所があんな雪山で、出てきたのがドラゴンじゃなかったらな」
リズから聞いた話だと、キリトの剣を作るのに必要なアイテムを探しに行ったら雪山の穴に落ちてそのまま一泊。しかもそこがドラゴンの巣だって言うからあらビックリ。何とか脱出出来たしアイテムを使って目的の剣も作れたしめでたしめでたし、らしい。
「しっかしお前も罪な男だよなー」
というのも、リズの顔を見れば分かる。あれは恋する乙女的なやつだ。性格悪いせいで乙女に見えなかったけど。まあ性格悪いのは俺に対してなんだろうけど。
「アルゴを陥れたお前が言うか」
「だいぶ話が脱線したし要件だけ話すわ」
「いやそれお前のせいだからな!?」
キリト、それ知ってる。まあ今更だろうし、気にしたら負けだぜ?
「少し姿を消す。つってもレアアイテムの情報を手に入れてな、それを手に入れるべく遠征に行くのさ」
「そ、そうなのか。でもそれならあの話は無理か………」
「あの話って?」
「……………今度、ラフコフの討伐作戦があるんだ」
リーダーがPoh《プー》って奴で、基本的に快楽を求めて殺人する奴が集まるギルドだ。ぶっちゃけふざけてやがるねこいつら。リーダーハニーハントでもしてんのかよ。って感じ。
「出来れば手伝って欲しかったけど、しょうがないか。ちゃんとレアアイテムゲットしてこいよ?」
「そこは任せなダンナ。てか俺が手伝わなくても大丈夫か?」
「まあこの前みたいに暴走されてもあれだしな」
まあそりゃそうか。討伐作戦と言っても目的は拘束みたいだし、つい殺っちゃうんだ☆ってノリはNGだ。いや普通にダメだけどね。
「それもそうか。じゃあ俺は行くよ。シリカとリズにも言っといてくれ」
「分かった、気をつけろよー!」
「お前もなー!」
そう言いお互い逆の方向に歩く。この先へ行ったらもう戻れない。だから絶対振り返らない。振り返ったら、もうその先へ進めそうにないから。
「ホロウ、何故お前は戻ってきた?」
目的地に着くなり聞こえてくるのは懐かしい声。まあ大嫌いなんだけどねこれ。
「気になるのか?そうかそうか。是非聞いてくれ」
「なら聞こう。お前は何を求めてここに来た」
少し挑発してみたけど動じない。この人はそういう人だったっけか。なのでさっさと答えることにしよう。
「そんなの決まってる。俺は
殺戮を求めて戻って来たに決まってるだろ、Pohさん?」
俺は帰ってきた。狂気で満たされたこの世界へ。