ペイラー・榊。
現在フェンリル極東支部支部長のポストに収まっており希代の天才化学者。
そして最強級のマッドサイエンティスト。
どこがマッドかと言えば、突如かなりと強敵二体を蹴散らしたアラガミを辛うじて撃退して帰った神機使いに報告書を書かせるくらい。
いや、流石にケルベロス級のキチガイ染みた敵との戦いの後はいくら極東の神機使いでも休まないと体がヤバい。
俺が極東支部のラウンジに設置されたテーブルにPCを置いて(普通ならターミナルという設置型端末を使うのが一般的なんだが、どうしてもこのキーボードの感触が好きなんだ)ひたすら文字を打ち込んでいると、誰かが差し入れなのか飲み物を置いてくれた。
この手の感じからして………ソーマ博士か。この人も大変だろうに俺に差し入れ入れてくれるとは…ありがたやありがたや。
「大変そうだな」
お、どうやら俺の予想通りだったようだ。
彼はソーマ・シックザール。通称ソーマ博士。
ここの先代支部長であるヨハネス・フォン・シックザールの息子で、人類最初の神機使い。
今は戦線を離れて化学者として【レトロオラクル細胞】…良く分からないけど細胞そのものが勝手に考えて動くとかなんとか。とりあえず凄い細胞の研究をしている。
その研究の成果次第ではもしかしたら将来、設置すればアラガミに見付からないテントだとかアラガミの攻撃に合わせ形を変えられる防壁だとかが作れるかもしれないとさ。良く分からないけど。
そんな彼がここに居るのは珍しいな。いつもは研究室に籠ってるか素材を集めに行っているのに。
「お前が新種のアラガミを撃退したと聞いてな。どんなアラガミか聞こうと思ったんだ」
なるほど、やっぱアラガミ関係の研究をしてる人には新種の情報は大切なのか。
まぁとりあえず飲み物の礼に説明しようか。
「えぇ、俺が戦ったのは今のところ【ケルベロス】って呼んでるアラガミで、オロチの変異体に近いと思われます。特徴は赤、青、黒の三色の頭とその圧倒的な速度と火力。正直ブラッドレイジが無きゃ負けてました」
「なるほど…弱点はどうだ?」
あ、やべ………弱点とかまったく分からん。
あの時は必死でそんなこと考えてなかった。
俺が正直にそういうと、ソーマ博士は『まぁ、今のところはオロチの変異体と思われる事から弱点属性は火や神属性の可能性ありって事にしておけ』と言われた。
どうやら断定しないでおけと言いたいようだ。
まぁ確かにあのアラガミはいまだ謎が多いからな。そもそもオロチそのものも謎が多いし。
その後も、ソーマ博士にいくつかの助言を貰いながら報告書を作成していった。
そして、愚痴も聞かされた。
どうやら博士は最初の神機使いだったが故にこれを書かされてばかりだったそうな。
なんと神機使いの間では『師匠』との呼び声高い【シユウ(師匠、というのは戦闘スタイルが昔のアニメの格闘家に似ていて、神機使いに戦闘の基本を教えてくれることからのあだ名)】を最初に倒したのも博士らしい。
ただ一部のアラガミ………特に接触禁忌アラガミ(新人は見掛けたら即座に撤退、ベテランも準備無しに出会えば逃走というのが普通になるクラスの奴ら。ただ極東では禁忌種のアラガミを倒せてからが本番とも言われているのだが)は今の隊長の前の極東支部第一部隊隊長が大量に見付けてきた歴史があるようだが。
1つ言うとすれば、その隊長はどこまでも人間じゃないとしか言えない。との事だろうか。
そんな事を言ったら、博士に『お前には言われたくない』と言われた。解せない。
ーsideジュリウスー
こんにちは。
私はジュリウス・ヴィスコンティ。
極東支部所属特殊部隊ブラッドの隊員の神機使いだ。
使用神機はロングブレード。最近の悩みは何故か防壁(アラガミ防壁と言うものがあり、それはオラクル細胞に対しかなりの堅牢性を誇る)の中の子供たちに『ピクニックさん』と呼ばれる事だ。
そんな私の業務はブラッド隊長に回される書類をある程度整理してまとめ、その負担を軽くすること。
アカツキはいつも戦闘で無茶するからな。書類仕事まで大量にやらせるのも酷と言う物だろう。
なに、私も前はブラッドの隊長だったからこういう仕事は………ふむ、最近極東周辺で確認されている謎のアラガミと所属不明の神機使いについての調査依頼か。
確かアカツキが新種と出くわしたと言っていたから後で聞いてみるとしよう。
とりあえず要点だけをマーカーで分かりやすくして、分かりにくい表現は注釈しておくとしよう。
というか連絡事項は簡潔に書くのが重要とは言え、専門用語のオンパレードだな………
今度現場の神機使いの方にも分かりやすい形での書類を書くよう上層部に求めてみるか。
それで、次の書類は…と。
ふむ、独立支援部隊『クレイドル』の方から資材調達の依頼………これは受けるにしても第二部隊(防衛班なので見回りをしており、防壁外の方にある資材を調達することも多いらしい)に押し付けるにしてもすぐに決められるようにしておこう。
案外楽に片付いたし、もう1つ済ませるか。
サカキ博士の………感応種アラガミ三体の連続討伐任務(その上一体一体がシユウを引き連れているそうだ)だと?
一体何を考えているのやら………いや、これが極東らしいと言えば極東らしいと言えるが。
ここは特に何も手を加えなくて良かろう。サカキ博士は専門用語を基本的に使わないし、使っても神機使いなら誰でも分かる程度の物だ。
なら次………整備班からの連絡、定期メンテナンスは第二部隊を除き隊単位で行い、スケジュールは以下の物とする。
なお、特務等の事情がある場合はスケジュールを変更する場合がある。
ブラッドは1週間ほど先か。
………そういえば昔は5月の前半に大型連休があったと言ったな。
定期メンテナンスは3日ほど掛かるし、丁度大型連休をもらえたと考えるべきだろう。
みんなを誘ってピクニックにでも行ってみるとするか。まぁ、定期メンテナンスまでに大事件が何も無ければ………だが。
説明的なもの。
ピクニックさん
ジュリウスがゲーム本編にて任務終了後『まるでピクニックのようだな』と言ったことから。
感応種
感応波と呼ばれる物を発し、周囲になんらかの影響を与える能力を持つアラガミ。
なお、感応波が神機に当たるとブラッドが近くに居ない限り機能不全を起こす。
ブラッドが近くに居れば平気なのはブラッドがそれを無効化する別の感応波を出しているから。
レトロオラクル細胞
キュウビというアラガミのみが持つオラクル細胞。
正直作者も分かって居ないが、変化が自由自在、運用次第ではとんでもない物が作れる、何も情報がないまっさらな細胞。という要点を抑えれば問題ない。
クレイドル
極東支部の独立支援部隊であり、かなり熟練の神機使いが多く在籍する。
名前の通り人類が安心して暮らせる『揺り籠』を作るのが目的。
レトロオラクル細胞の研究はそのための第一歩。