湖の騎士が王妃じゃなくて王を好きになっちゃったら 作:天才になりたい
「えーと、それじゃあ君は僕らと一緒に来てくれるのかい?」
しばらくしてお互い自己紹介をし直すとマーリンがランスロットに問うた。
「ええ、まあ。しかし私は自分の目で確かめなければなりません。本当に彼女が王になるに相応しいかを。一つ弁解させて頂くならこれは別に貴方が女だからと言ってるわけではありません。私なりに筋を通さなければならないのです。ここまで育てた母に対して己は己が認めた主人に仕えることを示すために」
「ふむ、しかしアルトリアはまだそこまで剣が扱えるわけでもないしな〜……」
「構いません。剣とは強い弱いではありません。その剣に己の魂を乗せあい交えれば自ずと相手がいかほどのものか分かるものでございます。」
「そっか。じゃ、アルトリア頑張れよ」
「はい!剣技では及ばずとも湖の騎士よ、貴方に認めてもらえるようこの魂を乗せて剣を取りましょう」
湖の騎士たるランスロットとアーサー王ことアルトリア。二人は剣を抜き構えを取る。
「それでは……始め!」
ケイの合図で緊張が一気に固まる。二人ともまだ微動だにしない。
一瞬!動いたのは、アルトリアだった。気合いとともに先手必勝と張りにランスロットに突きを放つ。が、ランスロットはそれを簡単に躱し相手の裏を取り、首に剣を当てる。
「両者止め!」
その声とともに二人とも剣を収めた。
「アルトリア、あれでは全くダメだ。先手必勝と言えどもあの突きでは誰も倒せぬ」
ケイにダメ出しを食らうアルトリア。そこにランスロットが口を挟む。
「お尋ねしたいのですが、剣を取ってからいく日ほどなのですか?」
「彼女が選定の剣を取るちょっと前だから、2.3カ月ほど前かなー?」
それにマーリンが答える。
「まだそれほどですか。ならば、よろしい。嘆く必要はございません。どれだけ神秘なる力を持っていたとしても女性の方がたった2.3カ月であれだけの突きを繰り出したのです。大きな成果です。」
「ランスロット殿。アルトリアをあまり甘やかさないでいただきたい。どれ程言おうと未熟は未熟なのです。」
「義兄上の言うとおりです。ランスロット、正直に言ってください。」
「わかりました。なら、正直に言ってしまいましょう。ええ、あなたの実力はまだまだです。とてもじゃないが今のままでは戦場に出る前に野党にすらやられてしまうかもしれない。けれど先ほど申し上げたこともまた事実。それに、貴方の事はこの私が守ります故、そんなに気になさらずともよいのではございませんか?」
真摯な表情で言葉を紡がれ、一瞬三人は何を言ってるのか分からなくなった。
はじめに反応したのはアルトリアだった。
「で、では!私を認めてくださったのですか?私たちと共に来てくださると?」
信じられなかった。どれだけ女性の方では強くとも自分は最早女としては生きていけない人間。だから自分の技量のなさに呆れ、断られるのではないかと思ったのだ。
「ええ。先に言ったはずです。剣とは強い弱いではない、と。私はあのたったひとつの拙い突きに貴方を見ました。貴方ならば私の主人に相応しい。我が王に相応しいと思えたのです。それに今は弱くともこれから強くなればいいだけのこと。幸運なことに貴方には3人も剣の師がいるではありませんか?」
その言葉に三人は顔を綻ばせる。
「それではグズグズしている暇はございませんよ?お仲間を他にもお集めになられるのでしょう?なら、とっとと集めてしまいましょう。最高の仲間を」
「はい!次はどこなのですか?マーリン」
「全く。頼もしいな。もう私は城に戻っていいかい?」
「ダメに決まっているだろう。ふむ、次はどこに行こうか?ま、歩きながらでいいんじゃない?」
「「マーリン!」」
ケイとアルトリアの声が重なる。
それを見てランスロットは笑う。
楽しい道中になりそうだ。
これはあくまで邂逅。出会っただけにすぎない。これより、四人は円卓の騎士を集めていく。ガウェインに始まり、ガレス、パーシヴァル、トリスタン、ディナダン、パロミデス、ガラハッド、モードレッド、ベティヴィエール、アグラヴェインなど。
そうして正史とはちょっと違ったランスロットと円卓が繰り広げるBANZOKUとの戦い。
どうなるランスロット!ブリテンの未来は君にかかっているぞ!
※最終回というわけではありません。