湖の騎士が王妃じゃなくて王を好きになっちゃったら 作:天才になりたい
ではどーぞ
それからいろいろなことがあった。
カリバーンは折れちゃうし、変な闘争には巻き込まれるし(主にアルトリアが首を突っ込んで)、ランスロットは女性に集られるし、マーリンはまともな道案内しないし……。
いや、ほんと色々とありすぎた。
そうして数多の困難を超えて、とうとう今日アルトリアはアーサー王となる。そう、戴冠式なのだ。
あらゆるブリテンの民達が一堂に会したこの良き日。未だ前途多難。その未来には破滅しかないとしても、今はそれを知る由も無い。故に彼らは、夢を抱く。王に理想を見る。例えそれが己の手で裏切ることになるとしてもあらゆる現在・未来の円卓の騎士は平和な世を夢見て、アーサー王の元へと…。
ようやく戴冠式も終わり、宴が始まるまで少し休もうと部屋へ向かっていたアルトリアはランスロットと出会った。
「おや、これは王。戴冠式お疲れ様でした。お部屋でお休みになられるのでしたら、後程貴方の好きなお茶をお入れしてお持ちしますね」
お前は執事か!と他の人なら突っ込むようなことをサラッと微笑んで言うランスロット。
「ありがとうございます、お願いしますね?」
「お任せください」
「……。」
ランスロットはいきなり黙り込むアルトリアに顔を訝しんだ。
「王よ、どこか体調が優れないのですか?今すぐマーリン殿をお呼びしましょう」
と言い、従者を探し始めるランスロットに対して慌てたように制止する。
「あ、ああ。違うのです!その、ちょっと……」
「王?一体どうされたので?」
「いえ、その…。ランスロット!」
「え?あ、はい!なんでしょう?」
いきなり叫び呼ばれるものだから先ほどの執事風の欠片もなく慌てて返事をするランスロット。
「私は貴方を唯一無二の親友と思っています。ですから貴方がどう思っているかは分かりませんが、もし貴方も私を親友として思ってくれるなら一つ願いを聞いてくれませんか?」
「いえ、その言葉は私こその言葉であります。そして親友のたっての願いとあらばお聞きいたしますよ?」
「その、えっと、ランスロット。私のことですが、どうか二人だけの時でもいいのです。今まで通り、アルトリアと呼んではくれませんか?」
そう言うと顔を真っ赤にして俯くアルトリア。それを見て不覚にもランスロットは笑ってしまった。
「フフッ」
「んな⁉︎ランスロット⁉︎なぜ笑うのです!」
「あ、いえ、申し訳ありません。その、嬉しかったもので」
悪気がなかったように笑いながら返すランスロットに未だ納得はしてなさそうなアルトリアだったが、さっきの言葉の方が気になるようで、
「嬉しい、ですか?」
「はい。そのようなこと言ってもらえるとは思っていませんでした。王がよろしいのであれば、そのように呼ばせていただきたい。その方が私としては嬉しいものです」
あまりにも嬉しそうに微笑んで言うものだから、怒る気なんて失せてまた真っ赤になってしまった。
「な、なぜ嬉しいのですか?」
顔を真っ赤になったのを見られまいと俯きながら問いをこぼすが、ランスロットから見ればまるきり分かってそれが彼女がやはりまだ年端のいかぬ少女だと思い知らされて一瞬胸にズキッと痛みはしたがそれを無視する。
「(今はいい。だから私は……。)だってあなたに信頼されているということでしょう?これが嬉しくないわけないでしょう。貴方の騎士として、親友として誇りですよ」
そんなことを真正面からイケメンスマイルで言われたら、余計に真っ赤になってしまった。それを不覚にも可愛いと思ってしまったランスロットは別れを告げる。
「それでは王よ。後程お部屋に伺いますので、ごゆっくりお休みください」
そういうと立ち去るランスロット。アルトリアは思う。なぜ彼はああも女性を扱うのがうまいのかと。これではそこらの少女ではないか、と。
アルトリアは知らない。彼女に背を向けた後のランスロットの顔がとてつもなく真っ赤になってしまっていたのを。
アルトリアが部屋でゆっくりしているとノックがなった。
「アーサー王、お飲物をお持ちしました」
「ラ、ランスロット様!そのようなことは私たちがやります!そのような真似は!」
「ああ、いえ。これは私が好きでやっていることですからお気になさらずに」
どうやら、従者と揉めているようだ。どちらも引きそうにないので仕方なくアルトリアが仲裁に入る。
「二人共、何をなさってるのですか?」
「「あ」」
「王からもおっしゃってください!飲み物などをお出しするのは私たちの役目です!」
「ですから、好きでやっているのですからいいではありませんか。それに王のことは貴方よりもよく知っています。王の好みも熟知している私が淹れたほうがいいに決まってるではありませんか!」
アルトリア本人を他所にヒートアップしていく二人。
「ハァ。とりあえず落ち着いてください。ランスロットも大人気ないですよ」
「ほらぁ」 「ぐぬぬ」
「まあしかしそうですね。あなたには申し訳有りませんが、ランスロットの好きなようにさせてやってくれませんか?」
「え」
呆然と開いた口がふさがらない従者とは裏腹にパァ!とあからさまに嬉しいです顔のランスロット。
「し、しかし!そんなことをされては私がケイ様に叱られてしまいます!」
「心配無用だ」
するとどっから現れたのかケイがやって来た。
「ケイ殿!」「ケイ様!」「義兄上!」
「ランスロットの好きにさせてやれ。これが望むなら従者の仕事だろうがなんだろうがさせてやればいい。全く。向こうまでお前たちの声が聞こえていたぞ」
そう言うとあからさまにため息を疲れ、三人とも頭を下げた。
「申し訳ありませんでした」
トポトポトポ。カチャ。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
注意をしておく。これ、お茶を入れたのは何処ぞの弓兵でもなければ、何処ぞの正義の味方が夢なやつでもない。あくまで、円卓の騎士が一人サー・ランスロットだ。
ズズッ。
「相変わらず貴方の淹れた物は美味しいですね。なんだか落ち着きます」
「リラックスできる茶葉を使いまして。そう言っていただけると嬉しい限りです」
※従者と主人ではありません。騎士と王です。
「あ、そういえばアルトリア。一つ聞きたいのですがよろしいですか?」
「なんですか?」
「いえ、その私まだ聞いてないと思いまして、貴方の理想を」
「理想、ですか?」
突然聞かれたことに驚いき、思わず居住まいを正した。
「はい。王としての理想と言いますか、夢と言いますか…。それをお聞きしたいな、と」
カチャ。アルトリアはカップを置くとランスロットに向き合いこう答えた。
「そう、ですね。私の夢は理想は多くの人達が笑っていられる未来を作ることです」
「……フ。そうですか。いや、素晴らしいことです。いや、フフフ。」
「ど、どうされたのです?」
いきなり笑い出したランスロットにアルトリアは訝しげな顔をする。
「いえ、失礼。どうやら私と貴方は同じことを考えていたようで」
「同じこと、ですか?」
「はい。対象こと違えど、ですが」
「それは貴方の願いが誰かに笑っていて欲しいと?」
「ええ。私の願いはーーー。」
「それは…」
いきなり腰を曲げ頭を垂れるランスロットは告げる。
「アーサー王、アルトリア。私は貴方にお願いがある。私は我が王であり友である貴方の最強の剣になりましょう。最強の盾となりましょう。あらゆる害悪を打ち倒し、如何なる災厄からをも貴方を守ると誓ましょう。我が身は我が魂は我が誇りは何時如何なる時も貴方のものであり、貴方と共にありましょう。ですからどうか、いつの日か私の願いをあなたの願いを叶えて欲しい」
「……我が騎士にして我が友よ。貴方が私の剣であり盾であり続ける限り、貴方が私と共に在り続ける限り私は貴方の願いと私の願いをいつの日か必ず叶えて見せましょう」
そういうと二人はただ静かに微笑み合った。
この誓いは果たせぬままに終る。それでも、と彼は願う、それでもいつの日か、と。
もうこいつ本音トーク苦手とか嘘だろ!とか言わないであげてください。歳を取るごとに苦手になっていったんだよ、たぶん。よくあるじゃない?若い頃は素直だったのに歳をとると卑怯になっちゃうやつ。あれ?いない?いるってことにして!
というわけで、セイバーさんの夢?理想?ってあんな感じかな?間違ってたら言ってください。
それではこのへんで!
感想待ってます!
追記:ガラハッドくんの母親、エレインさんのまんまの方がいいっすかね?どうか皆さん、意見を聞かせてください。