湖の騎士が王妃じゃなくて王を好きになっちゃったら 作:天才になりたい
というわけで、次回にはくっつくといいね!
城にある大きな大きなお庭でお花を見ながら溜息をついていた女性が一人。
キャメロン城城主・アーサー王の王妃、ゲネヴィアである。
彼女は色々と悩んでいた。それはもう結構なほどの重症で悩んでいた。
何を悩んでいたのか?簡単だ。
自分の在り方について。自分は本当に王妃として勤められているのか、ということ。そして自分から受け入れてはいたが、やはり女性に嫁いだということも彼女には悩みの種だった。
前者はまだ誰かに相談もできよう。だが、後者は絶対に無理である。
何故なら、アーサー王が女性だということは円卓の騎士の間でも極少数しか知られていない機密事項だからだ。
別にアーサー王が嫌いなわけではない。むしろ好意的に感じている。しかしそれは恋愛的な感情ではなく憧憬の念のようなものだ。というか別に彼女は同性愛者ではない。普通に恋愛対象は男だ。その時点で色々と思うところもあるだろう。だが、彼女自身もそれは承知で受け入れたのだ。それについてとやかく言う筋合いは自分にはないと思っている。故にこの悩みはもはや諦めの境地に近く、然程問題視していなかった。
ではならばなぜ彼女はそこまで落ち込み悩んでいるのか。その原因はアーサー王にあった。本来王妃である彼女の役割は王を陰ながら支える存在である。しかし、ただ少し家柄がいい娘であっただけでそこらの町娘と大して変わらない彼女は中々上手くいかず失敗してばかりだった。先ずそこで萎える。そして止めにアーサー王が刺す。いや別にアーサー王に悪気あるわけではない。むしろそれがわかってるからタチが悪い。
そんなどうにもならないようなことで悩んでいるところに一人のイケメン騎士がやって来た。そう、我らがランスロットである。
(おや?あれはゲネヴィア様ではないですか。何をやっているのでしょう?)
普通にスルーしておけばいいものを紳士な彼はレッツラゴーしちゃったのです。
「何をなさっているのですか?」
「うわあぁぁ!ラ、ランスロット様⁉︎」
考え事をしていたゲネヴィアは全く気配に気付かず驚き飛び上がる。
「驚かしてしまいまい申し訳ありません」
さすがに申し訳なくなったのか、深々とお辞儀されるのを見て、ようやくゲネヴィアも落ち着いてきた。
「い、いえ!私も気付かなかったのがいけないのです!どうか頭をお上げください!」
そう言われ、ランスロットは姿勢を元に正す。
「ランスロット様はこのような所で何をなされているのですか?」
そうすると、ゲネヴィアがランスロットに尋ねた。
「それはこちらのセリフですよ!今は暖かくなってきたとはいえ、夕方には冷え込むというのに上着も持たずこのような所にいらっしゃっては風邪を引かれますよ?女性なのですから、外に出るのなら暖かい格好をしてください!」
逆に何故か説教された。目が点である。
「あ、ご、ごめんなさい」
ランスロットの剣幕に押され思わず謝ってしまった。
「いえ、分かっていただけたのなら宜しいのです」
そう言うとさっきとは打って変わって紳士スマイル。不本意ながらドキッ!としてしまった。町娘や付き人の娘たちが何故キャーキャー言うのか分かった気がする。そしてゲネヴィアは知っている。それを聞いてる時、王のご機嫌が斜めになることを……。
そもそもこの二人には今まで全くと言っていいほど接点がなかった。王を介して少し話すということはあったが、あくまで二言、三言である。
だが、この日出会ってからたちまちこの二人は大の仲良しとなる。いやもうほんと、やましい事なく仲良いのである。趣味があったのが一番なのかもしれない。
それは、〝王って可愛いよね!〟というものだ。アホなのか?と問われればアホなのだろう。しかしお互い王に対する思いは違えど、それは変わらないのである。それ故、ゲネヴィアもランスロットも王に対して思ってることや悩んでいることをお互いに相談し合った。こうして出来上がったのが、会員2名の〝アルトリア大好きクラブ〟である。後に何人か増えるが。
さて、ではこの二人、ゲネヴィアはいいとしてランスロットの方は一体何を悩んでいるのか?察してくれている方々も多いと思うが、正にその通りと思われる。アーサー王、いやアルトリアに対して抱いている思いについてである。こいつ、幼い頃からヴィヴィアンに育てられたせいで恋愛に関しては全くの初心者にして自分のことになると途轍もなく鈍くなる。(ちなみに他人のことは結構すぐ気がついてアドバイスをあげてるらしい。)
「まあヴィヴィアンがそう仕向けて育てたんだろうけどね。だって彼女、親バカじゃん」 by.マーリン
そしてそこは純粋なる少女の心を持ったゲネヴィア様。王様の恋心もランスロットの想いも察しちゃってくれてる出来る子です。でもアーサー王はそんなものに気付いてないし、ランスロットは気付いていてもそれが何の感情か分かってないしで、それはもう大変!
だからある人に協力を仰ぎました。それは我らがアーサー王の友、グリフレッドくんです。彼は快く(面白がって)引き受けました。グリフレッドがアーサー王を、ゲネヴィアがランスロットを担当する形で落ち着いたのです。ランスロットはまだいい方でしたが、アーサー王の方はそう簡単にいきません。てかいったら、アーサー王の意思ガッタガタになっちゃうんでそこは突っ込まないであげてください。
因みにランスロットに対してはもうなんの計画もなくド直球で言ったそうです。
「いいですか、ランスロット様!それは恋です!貴方は王に、いえ!アルトリアという少女に恋していらっしゃるのです!」
その時途轍もない剣幕で言われた為、ランスロットの頭は一瞬真っ白になったそうです。
「……………………え?ええええええええ!いやいやいやいやいや!な、何を仰ってるのですか⁉︎いやいやありえないありえない!」
全力否定したそうな。
「いいえ!だって王が他の騎士達と仲よさそうに話してるとイライラしてしまうのでしょう?」
「え、あ、いや、それはそうですけど…」
「いい加減認めたらいかがです?王だけでも大変なのにあなたの面倒まで見切れませんよ!」
「いや、何でそこで王が出てくるのですか!」
「え?あー、いえ別に?」
あからさまに目を背けられては気にならないわけがない。
「は!まさか、王はグリフレッドに!」
「「いやなんでそうなる⁈」」
マーリンとゲネヴィアが珍しくハモったとさ。
「って、マーリン殿!」
その後、マーリンも交えてゲネヴィアと二人でランスロットを攻め立てたのはいうまでもない。まあマーリンは楽しんでただけだが。
その頃、グリフレッドの方は苦労していた。そもそもアルトリアに気付かせる云々の前にケイという最難関がいたのだ。こいつにどれだけ気付かれずに行えるかが戦況を決める。と言うわけで、ここでグリフレッドはさらにもう一人味方を入れる。
我らがルーカン殿である。ルーカンと言えば型月世界においてあの円卓の騎士の良心とも言われるサー・ヴェティヴィエールの兄である。彼はケイと同じように苦労人のように見えて結構乗ってくれる人である。グリフレッドからの話を聞き、是非とも協力させて欲しい。と仰り、ここからグリフレッドとルーカン殿との〝アルトリアに恋ってやつを教えてやろうぜ〟会が発足された。ちなみに期限はランスロットとくっつくまでである。
こうした人たちの苦労も甲斐あってか、いつしか二人はお互いのことを意識し合うようになる。だが、お互い相手には気持ちが伝えられないまま数年が過ぎていった。
次回はくっ付かせる予定です。うん、その次ぐらいにはガラハッド生まれてたらいいな〜
というわけで感想待ってます!