魔導世界に墜ちた規格外品   作:苦朗

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願望石の章 10話

01:03 公園

 

「――とまあ、こんなことが起きたんやけど・・なんも覚えとらんの?」

「・・・うん、これっぽっちも・・・ねえ、まだ元の僕だった時に光ってたのってどの辺りからだった?」

「えぇ~とな・・・・・・ちょい待って」

「――こ―――ーーー」

「人の声?」

「あれだけ大声を上げとったんや、猛獣の声が無くなったからいい加減近所の人たちが様子を見に集まって来たんやろ」

「ど、どうしよ」

「場所を移そか、このままやったら、晶君捕まってまうし」

「?何で?」

「・・・あのな、服が破れとる美少女と変な格好をした大人が一緒にいて、悲鳴を聞いた人が居たら晶君どう思う?」

「え・・・・・・・・やばい」

「せやろ。その上周りの惨状、どう説明せい言うねん。だから、はい」

「あぁ抱っこね・・よいしょっと」

 

 両手を差し出したはやてを所謂お姫様抱っこした晶は、公園の外へ向かおうとしたがすでに出入り口に人が集まりだしており出る事が出来なかった。

 また、他の出入り口も同様で結局、林の中に身を隠すこととなった2人。

  

「お、重かった」

「失礼やな、女の子に重いやないて」

「ご、ごめん」

「まあ、許したる。でも次はないで。それにしても困ったわ、これじゃあ見つかるのも時間の問題や」

「・・・・・・・ねえ、あの時の姿って、前話した夢と同じ姿だった?」

「まあ、聞いとった特徴は一緒やったよ」

「そう・・・・」

「?なんで私から離れるんや?」

「うん・・もし、何から何まで夢の通りなら・・スゥーハァースゥーハァー・・よしッガイバーーーッ」

「ちょぉえ・・えぇッ!?」

 

 この状況で突然大声を出した晶に驚いたはやてだったが、すぐに別の驚きえと変わる。

 なぜなら、周囲にある木や草、地面が吹き飛び、彼の姿が化け物を倒した時の姿へと変わっていたからだった。

 

「あぁやっぱり、僕は・・・ならあの夢も・・・・」

 

 そして、彼は自身の手を見つめて辛そうな、悲しそうな声で呟くのだった。

 

 

 

 

魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 10話

 

 

「晶君?」

「あ、うんなんでも無いよ、とにかくここから離れよ」

「え、でも、どうやって?空でも飛んで逃げるんか?まさか、出入り口に居る人たちを・・・」

「しないしない。でも、何とかなるよ」

「え、えぇッどうすんのまた私を抱えて」

「よっ」

「ひゃッ」

 

 晶自身は軽くだったが、その体は真上の木々の葉っぱの中へと突っ込み、地面に落ちて来た。

 

「うん、行けそう」

「ぺっぺっ何すんのいきなりッ」

「あ、ごめん。僕もまさかあんなに飛び上がるとは思ってなくて」

「せやかてなぁやるんやったら、一言欲しいわ」

「次から気をつけます」

「頼むで・・でも、さっきのジャンプ力なら塀ぐらい飛び越えられそうやね」

「うん、じゃあ行こうか。パトカーや救急車も近づいてきてるし」

「え?サイレンの音なんて聞こえへんよ」

「え?・・・こんなにはっきり聞こえるのに?」

「・・・・・・まあ、考えるのは後にしよか。状況的には連絡しとってもおかしないし。あ、でも、もう一つ持って行きたい物があるんやけど、大丈夫?」

「まあ、物にもよるけど・・・何を?」

「車椅子をな、壊れとっても名前とか書いてあるし、私が居た事分かってまう」

「・・・・はやて、背中に移って」

「うん、頼むな」

「任せて」

 

 はやてをおんぶにしなおすと、すばやく壊れた車椅子の所に移動し、持ち上げた。

 

「お――あ―――ろッ!!」

「いくよ」

「うん」

「ッ」

「―――ひゃぁあああああッ」

 

 出入り口に集まっていた人々に姿を晒す事になったが、深夜である事、電灯の近くでは無かった事、距離が開いていた事が功をそうし、人々にははっきりとその姿を見られることは無く、晶とはやては車椅子を持ち、兵を飛び越え、屋根伝いにその場を離れて行った。

 

 

01:17 八神家

 

「はい、到着」

「・・・・・・」

「大丈夫?」

「ま、まあな・・・ジェットコースターってこんなんやろか」

「・・・・車椅子って玄関のとこでいい?」

「あ、うん、これ鍵」

「じゃッ誰!?」

ガシャッ

 

 鍵を受け取ろうとした晶だったが、車椅子を落とし庭木の一つを睨みつける。

 

「どうしたの、晶君?ここで騒いだら、公園の時の二の舞やで」

「・・・あそこにナニか居る」

「えぇッもしかして、あの化け物の仲間?」

「わからない。でも、変な感じがするんだ」

「「・・・・・・・・」」

「・・・・・・にゃ、にゃーーー」

「なんや、ただの猫やないの」

「・・・・・」

「逃げてったし、もうええやろ」

 

 晶は、猫が逃げて行った方をしばらく見ていた。

 

つづく

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