魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 13話
海鳴大学病院 16:37
はやてが運び込まれたのは、主治医の石田幸恵がいる大学病院だった。
だが、彼女の足の麻痺同様に昏倒の原因も不明、入院する事となる。
そして、約4時間経った現在、はやては何事も無かったように目を覚ましていた。
「いや~、ごめんな話の途中で寝てもうて」
「いやいや、アレは倒れたって言うよ」
「ん~まぁこうして何事も無かったんやからええやん。まあこぶは出来たけど」
はやては笑いながら額を撫でるが、シグナムたちの表情は硬い。
「・・・・主、発言してもよろしいでしょうか?」
「確かシグナムやよね、別にそんなん態々聞かんでもええよ?みんなもな」
「「「はい」」」
「では・・・今回の主の不調ですが、おそらく闇の書の起動が早まったことで主に要らぬ負担を強いたと考えられます、申し訳ありませんでした」
「謝らんでもええよ。起動って別にシグナムたちが如何こう出来たことやないんやろ?」
「はい、ですが「だったら、気にせんでええよ」・・・寛大なお心遣いありがとうございます」
「ところで、何で私がまたこれを持っとるん?晶君のやないの」
はやては、自身の手の中に戻ってきている石を見せる。
「それ、僕が持ってたのと違うみたいなんだ。僕が持ってた石の数字『Ⅸ』なんだ」
「だったらこれ、あんな所に何で落ちてたんやろ?・・・・案外あん時の猫を怪物にした原因だったりして」
「はは、まさかこんなのが・・・こんなのが・・・・・・・」
最初は笑っていたが、状況的にありえそうだと思えてくる、晶。
さらに、それを後押しする発言が飛び出る。
「その可能性は高いと思います、主」
「「え?」」
「その石はロストロギア、過去に滅んだ超高度文明の遺物です。闇の書もそうですが、多くのロストロギアには大きな力があり、中には次元世界を破壊すら容易い物もあります」
「っ!?」
「いけません、主ッ」
はやては慌てて石を手放そうとするが、シグナムが彼女の手を両手で包みそれを許さない。
「何するんや、シグナム。そんな物騒な物、私に持たせんといて」
「なりません、主」
「そうです。確かにその石の力がどんな物か分かりませんけど、今は安定していますし、主の負担を軽減させているのは確かです」
「いざとなったらあたしらがどうにかするから持ってろです」
「シグナム、シャマル、ヴィータ・・・・・・・じゃあ、そん時はよろしゅうな・・・ところで、その格好どうしたんや皆?それにザフィーラだけここに居らんようやけど・・・」
はやての疑問も最もだった。
シグナム、シャマル、ヴィータは、朝の黒一色の格好と違い、普通の服を着ていた。
「深町に目立つからと言われまして、主のご両親の服をお借りしました」
「ふーん、じゃあヴィータのは私のを?」
「うん・・・・勝手なことしてごめん、はやて」
「まさかとは思うけど私の部屋のタンスやらを晶君が・・・・・・」
「違うよッそれはさすがにシャマルさんたちにしてもらった」
「ならよかったわ、もししとったら私、晶君のこと軽蔑しとった」
「僕もホッとしてるよ、誤解されなくて・・・・・・あ、あとザフィーラさんだけど、サイズが無くて家に居てもらってる」
「あー確かに家にある服じゃ着れそうにないなぁ」
「うん、それにあの耳と尻尾がね」
「ぶふッ」
「どうしたの、はやて?」
「い、いや、今ザフィーラがぴちぴちのスーツ着てる姿浮かんでなぁ」
「あー・・・・・た、確かに、想像したらすごいね」
「やろ?くくく・・・・」
「悪いよ、留守番してもらってるのに」
「うん、わかっとる。退院は明日やったよね?」
「石田先生はそう言ってたよ」
「じゃあ、明日その足でみんなの服買いに行こか」
「ですが、お金が」
「大丈夫や。へそくりあるからそれにシグナムたちにはその服似合ってないし、ザフィーラも外歩けんのは辛いやろ。あ、そうそう私の車椅子もしばらく病院から借りなな」
とても数時間前に倒れたとは思えないほど、元気に笑いながら明日の予定を立てるはやてだった。
つづく