魔導世界に墜ちた規格外品   作:苦朗

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願望石の章 16話 

魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 16話 

 

 晶が獣の頭を握り潰す瞬間を階段を上がってすぐ目撃してしまい、その場で震えているなのは。

 そんな彼女に彼は事情を話そうと手を伸ばす。

 

「ち、違う「いやっ」ッ」

「いやいやいやイヤッこっち来ないでッ」

「話を聞いて、僕はッ」

「来ないでえええぇぇぇぇーーーー」

 

 だが、なのはには『次はお前だ』っと言っているように見えていた。

 だから、彼女は恐怖し、後ずさった結果、石段から足を踏み外してしまった。

 

「あ・・・・・・」

「なのはちゃんッ」

【Pr-t--ti-n】

「間に合わなかった・・・・・・・」

 

 如何にガイバーとて出来る事と出来ない事がある。

 例えば急いで駆け出し手を精一杯伸ばしてもなのはの手を掴む事が叶わず、晶の手は空を切ってしまった事。

 

「・・・そうだ、急いで病院にッヴィータ、シャマルさん急いでなのはちゃんを病院に「必要ねぇ」何言ってるんだよッ」

 

 ヴィータとシャマルは、それまでと違い険しい目でなのはを見ていた。

 

「見てみろよ、さっきの奴なら無傷だぜ」

「そんな訳・・・・・う・・そ・・・でも、どうして・・・」

「落ちる時に、バリア系の魔法をデバイスが使ってましたね」

「ああ、ミッド式の魔導士だ。おい深町、あいつどんな奴だ?」

「どんなって普通の子だよ。ただちょっと融通が効かないことがあるけど」

「そういうことを聞きたいんじゃねぇんだけどな・・・・じゃあ、家族は?」

「えっと両親が『喫茶翠屋』っていうお店を出してるよ。シュークリームがお勧めだよ。お兄さんの恭也さんは大学生で翠屋では彼女の忍さんと手伝ってるよ。お姉さんの美由希さんは高校生で恭也さん同様、翠屋で手伝ってる」

「他には?」

「・・・・・・あぁそういえば、恭也さんと美由希さん、それにたまにだけど士郎さんも家にある道場で剣道の練習をしてるよ。何でも代々受け継いできたんだって」

「ケンドウ?剣術の事でしょうか?シグナムなら喜びそうな話ですけど、今は関係ないですね」

「だな・・・ってことはあいつが突然変異の一代目ってことか。深町の話し通りならだけど」

 

 2人は、晶を置き去りに話を続け結論を出した。

 

「深町さん、アレが逃げそうなので抑えていてください」

「アレ?」

「ほらアレですよ、頭が無いのに立ち上がってます」

「・・・・・うそッ」

 

 シャマルが指差す方向には、晶によって頭部を失った獣がその状態のままふらふらと歩き出している姿だった。

 

「まあ、予想は出来ましたけどね。魔力で肉体を構成してる時点で私たち同様真っ当ではありませんから、脳の代わりをしている物があってもおかしくないですね」

「だったら、抑えるってどうやって・・・」

「そんなもん体で取り押さえとけよ。幸い動きはとろいしよ、まあ難点は、グロイ所だな」

「ううぅ・・・でも、抑えててもその後どうするのさ」

「知ってる奴に聞けばいいんだよ、ほら、石段のとこで目をパチクリしてる奴によ」

「なのはちゃんに?」

「ぐずぐずすんなよ、ほんとに逃げられるぞ」

「・・・・・・後で詳しく話してよ」

 

 実際、森の手前に差し掛かっている獣が目に入る。

 その動きは始めよりスムーズになってきており、時間が経てば経つだけ逃げられる可能性が上がってきていた。

 だから、晶は納得出来ていないものの再び駆け出し獣の前に立ち塞がる。

 一方、ヴィータとシャマルもなのはを挟むように石段へと降りていった。

 

「んljかんぃうぇあdf」

「うぅ、気持ち悪い」

 

 晶は、唸り声になっていない喉を通る空気の音と飛び散る体液を受けながら呻く。

 幸い取り押さえるのには、苦労しなかった物の徐々に再生してきている下顎の様の気持ち悪さに耐えるのに苦労していた。

 

「lくぁjmrうぇ」

「ねえ、まだなのヴィータ、シャマルさんッ」

「ビービー言うなよ。まあ、気持ちは解らなくもねえけど」

「だったら、早くッもう我慢できないよ」

 

 石段から声が聞こえてくるヴィータに晶は、気持ち悪さに耐えながら声を張り上げる事しかできなかった。

 

つづく

 

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