魔導世界に墜ちた規格外品   作:苦朗

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願望石の章 17話

魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 17話

 

「ガルルルル」

「うぅ・・・」

 

 晶は間近にある獣の姿にとうとう我慢できず、目を逸らしているもののどうにか手を退ける事だけは我慢していた。

 だが、相手を見ずに抑えていられるのもそう長くは持ちそうになそうだった。

 なぜなら、すでに眼球の再生を始めており、激しく暴れだすのも時間の問題である。

 

「グルァアアアァ」

「ヴィータぁ」

「情けない声出すなよ・・・待たせたな深町」

「やっと来たぁ。早くコイツをどうにかしてッ」

「何言ってんだ?お前がどうにかすんだよ」

「え」

「しっかりそいつを見ろって、目ぇ逸らしてんじゃねぇよッ」

「うぅでも、気持ち悪くて」

「だったら、さっさと終わらせれば良いだろうが。そいつの中から一番魔力が高い所を探せ」

「魔力?僕、魔法使えないから」

「アホか。お前あたしらと一緒にジュエルシードが発動したのを感じただろうが、あの感じの強い所を探せ」

「ジュエルシード?と、とにかくやってみるけどダメだったら、助けてよ」

「わかってるよ」

 

 晶は、我慢して獣を凝視する。

 それと同時に頭部の左右に付いている金属球が前に移動したのだが、気づいた者はいなかった。

 

「僕にわかるはずない・・・あれ?もしかして、腹にあるこれの事なのかな?」

「ほら見ろやりゃあできるじゃねえか」 

「え、でも、本当にこれなのかな?近くにもっと大きい何かこれって・・・・生き物?」

「ん?ああ、それはたぶん、ジュエルシードが取り込んだ現地生物だな。おまえそんな事も判るのか。まあいいや、さっさとジュエルシードを取り出せ」

「どうやってさ」

「そんなもん、手ぇ突っ込んで抉り出せよ」

「んな!?出来ないよ、そんなことッ」

「そいつを殺すとか考えてんのか?気にすんな、どうせジュエルシードが現地生物の情報から擬態してるだけの物だ」

「物?これが・・・」

「ガァルルル」

「とても、そうは見えないよッ」

「あぁもう・・だったらそいつを逃がした時のこと考えろよ。この街の連中がさっきの女みたいに襲われるんだぞ」

「ッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめん」

「グギャぅッ」

 

 晶は高町家やはやて、アリサ、すずか、クラスメート、商店街のおじさんたち・・・・etc、この街で出会った人たちが襲われ無残な目に合う事を想像し、散々悩み獣の腹に手を突き刺した。

 真贋はともかく、獣の内臓を掻き分け目的の物を掴み引き抜いた。

 すると獣の姿は、光と消え、気を失った子犬が光の中から現れる。

 

「本当に取り込まれてたんだ・・・こんな石こえッ!?これって僕やはやてが持ってたヤツと同じじゃないか」

「なっ、よく見せろッ」

 

 ヴィータも晶の言葉に驚き、彼の腕に飛びつく。

 

「・・・マジかよ。シャマルッあたしはマスターの所に行く、後頼んだ」

「えぇッこれどうすんのさ」

「シャマルとこへ持ってけ」

「・・・・・・・・・・・・と、とにかく、持って行こう」

 

 ヴィータは、そう言い残し急いで海鳴大付属病院にいるシグナムに念話をしながら飛び立った。

 残された晶は、彼女の指示通りまだ石段の下になのはといるシャマルの元へ急いだ。

 

「シャマルさん」

「ッ」

「深町さん、ジュエルシードの方はどうにかなったんですね」

 

 晶の顔を見てシャマルは笑顔で出迎えてくれるが、なのははあきらかに顔を強張らせシャマルの影に隠れてしまう。

 それを彼は、努めて気にしないようにして手の中の石を見せながら答えた。

 

「はい、ジュエルシードってのがこの石の事ならですけど」

「ッ深町さんすぐにそれを放してッ」

「?」

「今度はあなたを取り込もうとしてます」

「わッわわ、このッこのッ放れろ」

 

 シャマルの言葉通り、晶の手の中にある石、ジュエルシードから黒い靄の様な物が溢れ、彼の腕に絡み付いて来ていた。

 そのことに彼女の言葉から始めて気づいた彼は、手を振ったり、石を左手で掴み右手から離そうとするがまるで腕の一部になっているかのように離れる事はなかった。

 その間にも靄はどんどん広がり晶の体を覆っていく。

 それを見た、一匹のフェレット?が驚くことに言葉を発した。

 

「なのは、昨日みたいにジュエルシードを封印するんだ」

「え?でも、どうやって?」

「とにかく、レイジングハートの起動を早くッ」

「え?え?」

「『我は、使命を受けし・・・・』っていう起動パスワードだよ」

「えぇ!?あんな長いの覚えてないよ」

「早くしてくださいッ彼が取り込まれちゃいます」

「わかってます。もう一度言うから、僕に続けて――」

「ッ」

「ユーノ君あれ見て」

「?・・・・うそだろ・・ジュエルシードがッ」

 

 フェレットがシャマルに言葉に答え、起動パスワードを口にしようとした時、上半身の殆どを黒い靄に飲み込まれていた晶に異変が起きた。

 彼の額にある金属球が光を発すると、黒い靄が霧散し、手の中のジュエルシードが手に埋もれて行くように消えていった。

 

「・・・・・・取り込もうとして逆にジュエルシードのほうが深町さんの甲冑(ガイバー)に取り込まれた?」

「・・・・彼は何者なんですか?シャマルさん」

「私にもわかりません・・・」

「あれ?皆何が起き・・・・た・・・の・・・」

「あ、あら?」

「えぇッ!?」

「僕と同じぐらいの子!?」

 

 1人状況を飲み込めていない晶だったが、突然ガイバーを除装しながら前のめりに倒れる。

 それを慌ててシャマルが受け止めたものの、彼の変化に戸惑いを隠せない。

 一方で除装したガイバーは、ユーノ達の見ている前で石段に潜って行くように消えていった。

 

「え~と・・・」

「ごめ・・・んな・・・さい、ちょっと疲れちゃ・・・いまし・・・た」

 

 晶は、そう言いうと周りが騒ぐ音を聞きながら目を閉じるのだった。

  

 

つづく

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