4月3日 18:08
「・・・・・・・・なん・・・・だろこれ」
目を覚ました晶は、目の前に見える2つの大きな起伏に疑問を感じた。
除装するまでの記憶はあるが、とんと覚えが無い。
だから、まだ覚醒しきってない彼が下した結論は単純に『確かめる』というものであり、体はその命令に従って腕をソレに伸ばしていった。
「あ・・・柔らッんん?」
「き、きゃああぁあぁあああッ」「晶君!?」
起伏の感触はわかったものの、目に映った光景に違和感を感じる晶。
だが、それを確かめる前に悲鳴と非難の声に続いて起きた大地の揺れで彼の体が宙へと投げ出された。
「ッぃで!?」
「晶君ッ!?」
「あぁッ『ク、クラールヴィントぉ!』」
【はい】
「”し、静かなる風よ、癒しの恵みを運んで”」
「仕方ないとはいえこんな堂々と『封時結界』ッ」
そして、激しい痛みと衝撃によって朦朧とした意識の中、晶は周りがなにやら騒ぐ声を聞きながら意識が再び闇に落ちた。
魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 18話
数分後
再び目を覚ました晶は、自身にしがみ付くなのはと申し分けなさそうに頭を下げるシャマルに出迎えられた。
「ほんっっとうにすみません。突然、胸を触られて気が動転しちゃって」
「えぇ~っと・・・・・つまり?」
「・・・・さっき深町さんが掴んだのは、私の・・・胸です」
「あぅ・・・・・ごめんなさい」
「いえ、私こそ深町さんが膝の上にいるのを忘れて取り乱してしまって・・・・・・」
「???」
あの時触った起伏の正体と大地の揺れの原因は判ったものの、晶にはどうしてこれほど申し訳なさそうにしているのか分からなかった。
だから、とりあえず目の前にある大きな疑問を彼は聞くことにした。
「あの所で・・・・・どうしてなのはちゃんが僕にしがみ付いてるんですか?」
「う゛ぅ~じょうぐん゛い゛どごな゛い゛?」
「あぁ涙で顔がぐしょぐしょだよ。どうしたの?」
「じょう゛ッんぐんがじんじゃッッうどおぼっでぇ」
「死って、え?」
「そ、その~私が胸を触られて思わず立ち上がった時、深町さんが石段から転がり落ちてですね・・・・・」
シャマルに顔を向けると彼女が説明してくれた。
つまり、胸を触られて思わず立ち上がったシャマルの膝の上から落ちた晶は、石段に転がり落ち体と頭を強く打ち重傷を負っていた様でそれを彼女の魔法に救われたということらしい。
その証拠に、彼が倒れてる踊り場より上段へと延びる血痕が点々と石段に残されている。
さらに、彼の着ている服にもその痕跡が残されていた。
「・・・・・・・なんというか、『じごうじとく』ってやつですか」
「深町さんは、お歳のわりに難しい言葉を知ってますね。でも、もっと怒っていいんですよ?」
「いや、なんというか死に掛けたっていう実感が昨日みたいになくて・・・・それに、治してくれたのもシャマルさんですし」
「ぎ、昨日ってっんのこっど?」
なのはは、晶の様子にやっと落ち着いてきたのかまだ、涙や鼻を啜りながら聞いてくる。
彼は、どう説明するか、どう実際の事を隠して話すか言葉を選びながら口を開いた。
「あぁ・・・・うん、昨日もちょっとした事故に巻き込まれて、その時にもシャマルさんにケガを治してもらったんだよ」
「そう・・・なの?」
「え・・・・・・・・・」
話を突然振られたシャマルは、どう答えたものか迷っているようだ。
なぜなら、その時に闇の書は起動しておらず、彼女もまだ現れていなかったから。
だが、こちらを見る晶の懇願の目となのはの視線を受け、シャマルはやっと口を開く。
「は・・・はい、昨日も深町さん怪我をして戻ってきたので慌ててしまいました」
「そうなんだ」
「はい」
「・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・あれ?」
小休止のように会話が途切れた時、晶はやっとある重大な事に気づいた。
「どうしたの、晶君?」
「どうしました、深町さん?」
「な・・・・なな・・・・ッ」
「「な?」」
「なんで、なのはちゃんが僕を『晶君』なんて呼んでるんだよぉ!!」
晶は、自身に起きている変化にまだ気が付いていなかった。
つづく