士郎らが連れ帰った少年は、夢を、悪夢を見ているのか酷く魘されながらも眠り続けた。
医師の見立てでは、衰弱しているものの怪我、病気は無く何時目覚めてもおかしくないという。
取り合えず少年を入院させ、警察に届け出る。
そして、5日後。
絶叫と共に少年は、目を覚ました。
「~~~~~~ッ!?」
「どうしたの!?」
「はぁーはぁーはぁーはぁー」
「もう大丈夫だよ?怖いことなんて何も無いよ?」
「・・・・・ッ!?」
偶然、学校帰りに病室へ様子を見に来ていた高町家の末娘、高町 なのはは、酷く怯えた様子の少年に思わず声を掛ける。
その声に反応し、恐る恐る彼女の顔を見て安堵する。
「・・・・君はだれ?」
「なのは。私の名前は、高町なのはだよ?あなたのお名前は?」
「僕は深町晶っていうんだ・・・・・ねえ、お父さんはどこ?」
「え・・・深町君、覚えてないの?私のお父さんが倒れてる君を見つけたんだよ」
「たおれ・・・てた・・・僕が?」
「うん」
「・・・・・・」
晶と名乗った少年は、それっきり黙りこんでしまう。
その一方、彼の絶叫を聞きつけた看護師が病室へと駆け込んでくるのだった。
魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 1話
警察へ捜索願は出されておらず、晶から聞き出した父親、深町史雄に連絡した所、確かに『深町晶』という息子がいるがすでに独立し、結婚もしているということだった。
そして、実際に晶と深町史雄を会わせる事となった。
「お父さん!」
「・・・・・これは驚いた。晶の子供の頃そっくりだ」
「?僕、晶だよ?」
「あ、そうだったね、君も晶君か。でも、私が言ってるのは私の息子の晶のことだよ」
「お父さん、何言ってるの!?」
史雄は、声を上げる晶を宥めるように頭を撫でながら、付き添いの警官へ話し始める。
一方で、史雄に自身の息子ではないとはっきりと言われた晶。
彼は、耐え切れなくなりその場から逃げ出した。
「お父さんのばかッ!!」
「待ちなさい、晶君」
警察署を飛び出し、よく知らない街を当ても無く走り回る。
やがて、疲れ果て道の往来で大きな声で泣き出してしまった。
「ふぇええええぇぇええぇぇんッ」
「・・・・どうしたんや、こんな道の真ん中で大の男の子が泣いたりして?」
「ヒック・・・だヒックれ?」
「私か?通りすがりの美少女や」
「びしょうヒックじょって何?」
「あ~やっぱ同い年ぐらいやと伝わらんか・・」
「?」
「とにかくや、私は八神はやていうんや。君は?」
「深町晶ッ」
「おう、元気やな。そんで、こんなとこで泣いとるんて何があったんや?」
「お父さんが―――」
晶は、通りすがりの少女、八神はやてにさっきあった出来事を話す。
「・・・・・・・そらひどいわ、自分の息子を認知せえへんなんて」
「にんち?」
「あぁ『認めない』言う事や」
「~~ッ」
「あ~ごめんな、今の晶君にはつらいか・・・・・・なあ、晶君行く宛あるんか?」
「・・・・・ないよ。というか、僕この街のこと何にも知らない」
「そっか・・・・・・せやったら今日は、家に来ん?もう夕方やし」
「いいの?」
「ええよ、私も独りやし」
そう呟くはやては、寂しそうだった。
こうして、晶は一晩泊まらせて貰う事になった。
「ねえ八神、聞いていい?」
「ん、なんや晶君?私のことははやてでええよ」
「うん、じゃあは、はやてって足、どうかしたの?車椅子に乗ってるけど」
「・・・・あぁ病気や」
「そうなんだ、ごめん」
「謝らんでもええよ、別に気になるんはしゃあない」
「・・・僕が車椅子押してあげるよ」
「ん、そうか。ありがとうな・・・せやったら、このまま今日の買出しの続きをしよか。途中やし、今日は1人分多く作らなあかんしな」
晶は、車椅子を押しはやてとともに商店街へ買出しへ出かけた。
つづく