魔導世界に墜ちた規格外品   作:苦朗

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願望石の章 21話

魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 21話

 

4月10日 八神家リビング

 

 晶となのはがケンカしてから、早一週間。

 彼は彼女と仲直りすることなく、かといって高町家に帰ることもせずに未だに八神家に泊まっていた。

 

「「「「「いただきます」」」」」

「ん~~やっぱはやての作るごはんはうめぇ」

「えへへ、そう言ってくれるとうれしいわ」

「すみません、ザフィーラさん。その子の事任せちゃって」

「気にするな、この程度他愛もない」

「に、にゃぁー」

「「・・・・・・・・」」

 

 素直な感想を述べる者、賛辞に照れる者、申し訳なさそうにする者、猫を視ながら食事を取る者、視られビクつきながら食べるモノなど一部を除き和気藹々とした食事風景だった。

 そこはやはり、守護騎士たちから堅苦しさが抜けたところも大きな要因だろう。

 そんな折、ぼそりと黙々と箸を進めていたシグナムが呟いた。

 

「・・・・・シャマル今日は何もしなかったろうな?」

「何のことですか、シグナム?」

「・・・・・だったら、今不自然に隠した手見せてみろ」

「か、隠した?何のことですか?」

「あくまで誤魔化すつもりか?忘れたとは言わさんぞ、3日前の『惨事』をッ」

「「「「「「「ッ」」」」」」」

「あ、あははは」

 

 シグナムの慟哭に彼女が言う『惨事』を経験した者達は一斉に肩を震わせる。

 彼女らが忌避する『惨事』。

 それは一般家庭で起きた悲劇であった。

 和気藹々とした夕食の団欒中に紛れ込んでいたはやて作の料理と謙遜ない一品が引き金だった。

 ソレを口にした全員に一過性の食中毒になったという。 

 偶然箸をつける前で『惨事』を免れたはやても乾いた声を出すしかない。

 しかし、今日来たばかりの猫も同様の反応をしていることが解せないが、誰もがそれどころではなかった。

 

「もう、し、仕方ないですね。ほら、これでどうです?」

「何もないだと・・・・すま「シグナム『旅の鏡』だ」シャマル貴様ッ」

「もうザフィーラばらさないで」

「知らん。我は事実を見たままに伝えたまでだ」

 

 獣の姿で床で食べているザフィーラには、テーブルの下でのシャマルの行動は筒抜けだった。

 

「舌も乾かぬ内にまた引き起こす気かッ」

「今度はうまく出来たんです。ね、はやてちゃん」

「・・・・まあ、うん、うまく出来たんやないかな『味』だけは」

 

 『味』だけを強調したはやての証言。

 後ほど、『旅の鏡』の先であった冷蔵庫を改めた所、とても食べ物とは思えないナニカが発見され処理されたという。

 

「見た目と味は別なんですッ」

 

 というは製作者の言であった。

 

 

 一騒動あったものの、夕食を終えた一同は、食休みのお茶をすすりながらいくつもの×が付けられた海鳴市の地図を前に恒例となりつつある対ジュエルード報告会を始めた。

 そもそもの発端は、一週間前シャマルと共に八神家に戻った晶がジュエルシード集めをシグナムたちに提案したことだった。

 提案当初、彼女らは否定的だった。

 わざわざ主を危険さらせるものかと。

 だが、それも退院しジュエルシードに関する報告を聞いたはやての『お願い』から一転、シグナムたちも回収に動き出したのである。

 

「今日のあたしらは外れだ」

「まあ、しゃあないやん。発動前は、ただの宝石に見えるんやから」

「まあそうなんだけどよ――」

 

 はやての言うように収集してすぐに判明したのだが、発動前のジュエルシードは魔力を発しておらず遠目からではただの宝石とほとんど見分けられず、紛失物を探す魔法を持たない守護騎士たちでは発動前に回収は絶望視された。

 しかし、それを打破することになったのが晶である。

 彼が言うには、殖装時には周りのモノが『良く』視得るという。

 実際それで、海鳴神社で出たジュエルシードの暴走体である怪物からジュエルシード本体をピンポイントで抜き取っている実績がある。   

 モノは試しだと、はやてのいつもしているヘアピンで宝探し的なものを始めた。

 ルールはシャマルが張った封鎖結界(通常空間から特定の空間を切りとり、一部の例外を除き外部から結界内で起こっていることの認識や進入も出来なくするもの)内に指定の物品(ヘアピン)を6時間以内に探し出すこと。

 妨害、ヒントは禁止。

 隠すとき、晶は目隠し、耳栓、非殖装状態でザフィーラ、シャマル、はやてに監視されていること。

 必然的に隠す役はシグナムとヴィータとなり、広い結界内を1つ辺り3時間で探さないといけないわけだが、殖装しガイバーとなった彼は10分もしない内に両方発見した。

 このことから、ガイバーの探知能力の優秀さが証明され、守護騎士の中でオールラウンダーであるヴィータと組み探索を始め、今までに2つを発見している。

 しかし、『見つからなかった』っと報告する彼らはなぜか何の変哲もない猫を連れ帰っていた。

 

「――晶のやつ、突然猫を捕まえるんだぜ」

「説明してくれるんだろうな、深町」 

「ええ、いつも通り僕が感じ取った似たようなモノを2人でしらみつぶしに見ていったんですけど途中でセンサーに引っかかったこの猫――――『異常』なんです」

 

 

つづく

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