魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 22話
4月10日 19:50 結界内
現在、殖装した晶は屋根を、道路を全力で疾走していた。
「ッ来る右ぃ・・・・・ほっ」
「一回避けたぐらいで何安心してんだ、もっと早く走れっ」
「ひぃー」
「お前が『今日は遠出しよ』って言ったせいで遅くなっただろ。その上収穫無しってどういうことだッ」
「それ、僕のせい「うっせぇ」うわッ」
急加速した鉄球を慌てて避ける晶。
この鉄球、シュワルベフリーゲンという直径数センチの鉄球に飛翔・誘導制御・バリア貫通・着弾時炸裂といった効果を付与してハンマーヘッドで打ち出す射撃魔法・・・・・らしい。
とても魔法に見えないが、現に打ち出されてから数分、飛翔を続け晶がスピードを落とすと背中や頭を小突き、または急加速して彼を追い立てており、まるで牧羊犬のようだった。
「ん?」
「あっバカ急に止まんなッ」
ゴスッ
「んヴぉ;あいッ」
「お、おい大丈夫か?」
衝突した後頭部を押さえて蹲る晶にヴィータは、心配そうに声を掛けながら降りて来た。
「~~ッヘタクソ」
「はぁ?お前がわりぃんだろうが」
「コントロールが悪いのを僕のせいにしないでよ」
「あんな急に止まられたら、コントロールもくそもあるかッ『飛び出すな 車は急には 止まれない』だっけか?はやても言ってたろうが」
「それは車の話だろ?魔法だったらどうにかしろよ」
「魔法に幻想をもつな。大体あたしらベルカ式は、射撃系が苦手なんだよ。そもそも何で急に立ち止まってんだよ」
「あの猫だよッ」
「にゃっ!?」
急に指を指された塀に上を歩く一匹の猫が驚いて声を上げている。
「おかしいだろ?猫がいるの」
「はぁ?猫ぐらいどこに居たって不思議じゃないだろうが・・・・頭大丈夫か?」
「頭がおかしいのはそっちだろ?ここ、結界内じゃなかったのかよ」
「あ」
ヴィータがやっと気づき、猫へ視線を送ると抜き足差し足っと言った具合に逃げようとしている姿が視に映った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・にゃ?」
「「待てぇーーーッ」」
「にゃぁあああああ」
「なんだよ、あれ?どうして、あたしらがなかなか追いつけないんだよッ」
「そんなの僕に聞かないでよ。魔法は、そっちが専門でしょ」
「お前って例外が居るんだ。わかるかよ」
猫は、その身軽で、小さな体を使って2人が入り込めないような狭い道や多くの曲がり角を駆使して撒きにかかる。
だが、高い身体能力と秀でた索敵能力のあるガイバーの晶と飛行魔法を有している騎士のヴィータには、それだけでは逃げおおせることが出来ず、それほど10分もしないうちに捕獲され、今はヴィータの腕の中だった。
「ふにゃあぁああああッ」
「イタッ痛いッ暴れんな~~~~ッ晶パスッ」
「ぼ、僕?」
「ふしゃあああああぁああッ」
ヴィータの時同様、爪や牙を立て暴れるがガイバーの装甲に傷1つ付けられず、かと言って腕の中から逃げられもせず疲労が溜まるだけである。
「えっと、乱暴なことはしないから大人しくしててよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・にゃぅ」
最後に勝手しろと言いたげな声を上げ、息も絶え絶えにそっぽを向き大人しくなった。、
「なあ、こいつあたしらの言葉理解してんじゃないか?」
「にゃっ!?にゃぁぁぁああぁぁッ」
「ヴィータ余計な事言わないでよッまた暴れだしたじゃないか」
「ご、ごめん」
猫がまた疲れ大人しくなるのに数分を要した。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・それでどうなんだ、こいつ?」
「うん、この仔魔力をもってるみたい。でも、体内にジュエルシードがある訳じゃないみたい」
「ふーん」
「あれ驚かないの?動物に魔力があるんだよ」
「別に驚くほどでもねえしな。次元世界にはリンカーコア持ちの人間以外の生物だって居るわけだし」
「へぇー」
「さてどうすっかな」
「シャマルさんに聞いてみる?」
「だな、こういう頭脳労働はシャマルに任すに限る。それにいい加減腹の限界」
くぅーーー
「にゃぁ」
「この仔もみたいだね」
こうして『異常』な猫を連れ、八神家への家路を急ぐ2人と1匹だった。
つづく