魔導世界に墜ちた規格外品   作:苦朗

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願望石の章 25話

魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 25話

 

 白いワゴン車は、まるで人混みを避けるように山奥へと進んでいく。

 対向車とすれ違わなくなって十数分後、道の終点にあるキャンプ場の駐車場へと入っていった。

 晶は、その様子を木々の間から覗いていた。

 

「・・・・こんな山奥に来るから何かと思ったけど、親子でちょっと早いキャンプかな」

 

 ヘッドセンサーで、乗っているのが子供2人と運転手の大人だけだったことから彼らが親子ではないかと考える晶。

 そして、ジュエルシードをその母親と思われる40代頭の女が持って車から降りてきたのをヘッドセンサーと視覚から捉えた。

 

「あ~~~あのまま車に置きっぱなしにしといてくッ!?」

 

 厄介なことになったと愚痴っている晶は、女が荷台から台車を降ろし、その上に乗せ運んでいく少女たちに息を呑んだ。

 そして、呆然と1つのコテージに運び込まれたのを確認した彼は、震える声が溢れ出す。

 

「どどどどどうしようッ、誘拐されたってことだよね。で、でも、実はさっきのは、等身大人形とかそっくりさん?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 ガイバーのヘッドセンサーと目が彼女らは血の通った確かな人であることを、彼女らの衣服が聖祥大付属小学校の制服であることを、その顔がよく見知った友人たちであることを明確に示していた。

 それでも、信じたくは無い現実から目を背けようともっともらしい、理由を並べる。

 

ドスッ

「ッ~~ばかか僕はッそんななはず無いだろ!!」

 

 しかし、すぐに動揺する自分を拳でもって律する。

 

「落ち着け・・・・落ち着け。ここには僕しかいないんだ、僕がアリサとすずかを助けないと・・・・・・」

 

 クロ―先日、晶が独断で捕まえた猫のように判断に困るようならっとシグナムに教えられていたことを晶は思い出す。

 

「シグナムさんに言われたのはえっと状況と目的に自己確認、問題点の洗い出して結論を出す・・・だったよね。えっとまず状況は出来る限り解っていることを上げてからまとめる。で、ヘッドセンサーの情報から周囲に僕とあの3人以外いないのが確実な山奥のキャンプ場にジュエルシードを持ってる女の人が、2人を誘拐?してコテージに連れ込んだ。助けられるのが現状で僕だけで、ヴィータは――」

 

 携帯に目を落とし、時刻を確認する。

 

「――まだ老人会のところにいるはず。警察を呼んでもヴィータ同様すぐには来れないっというか、どう説明すればいいんだろ?とにかくあの人が何するつもりか分かんないし変に時間を掛けるわけにもいかないよね?あとは・・・・・あの人が僕が知らないだけで2人の家の関係者だった場合だけど―――」

 

 晶は、さっきの2人を運ぶ際のことを思い出した。

 

「―――うん、それはないな。それだったら、あんな荷物を運ぶみたいな乱暴な扱いはおかしいし。だから、まとめるとジュエルシードを持った知らない女の人が、人気の無い山奥のキャンプ場にアリサとすずかを連れ込んだ。すぐに助けられるのは僕だけっと。次が目的――――」

 

 こうして、言葉にしてまとめていき、どう動くのが良いのか考える。

 その間にも、ヘッドセンサーで2人に異変が何かを確認し続けているが、今のところ女の人が危害を加える様子も2人が目を覚ます様子もない。

 そして、晶は、自身を取り巻く現状をまとめ終えた。

つまり、状況―ジュエルシードを持った知らない女の人が、人気の無い山奥のキャンプ場にアリサとすずかを連れ込んだ。すぐに助けられるのは晶だけ―

 目的―アリサとすずかの救出とジュエルシードの確保―

 自己確認―体調は良好。疲労は軽微。精神状態は若干不安定。使用可能兵装は高周波ソード、ヘッドビーム、ヘッドセンサー、極小ワームホールの生成―

 問題点―元の子供の姿では大人をどうにかできない。かと言って、ガイバーの力では強すぎて女の人を傷つけてしまう可能性がある(よくアクション映画で出てくる手刀で首の後ろを叩く等の意識を奪う方法は首を折る、内臓破裂など加減に失敗した時の考えから晶はやりたくなかった)また、どの武装も普通の人に向けるには強力すぎた。そして、何よりガイバーを他人に見られるわけにはいかないー

 これらから、晶が導き出した答えは・・・・・・

 

「・・・・とにかく、僕に出来るのは警察と申し訳ないけどヴィータへの連絡。あとは、2人に危害が加えられないように見張りながらいざと言う時に飛び出す勇気といかに相手に姿を見られず、傷つけないように捕まえる方法を考えること」

 

 晶は、これらの結論から携帯で、警察へ用件だけ一気にまくし立てて切るとヴィータへと連絡をとる。

 その後、足音を立てないようにコテージの近く(すぐに助けに行ける距離)まで近づくと目を閉じた。

 目を閉じたおかげでヘッドセンサーからの情報が立体的に脳裏に浮かび、近づいたことでアリサたちの息遣いも聞き取れることで中の様子を詳細に知ろうとしながら、いざと言う時の方策を考え始めるのだった。

 

つづく

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