引き取り手が居なくなった晶は、施設へ送られる事になった。
施設へ入って数日、悪夢に魘され、現実に打ちひしがれ日に日に衰弱していく。
しかし、彼を引き取るという人物が現れた。
その人物とは、末娘の『あの男の子どうなったの?』っという問いかけから晶の現状を知った高町士郎である。。
親切も同情もあったが、発見時の不審な点から野に放つより自身の目の届く範囲に置いた方が対応しやすいという打算が彼の中にあった。
そして、今晶はなのはに街を案内されている。
「晶君、こっちこっち。ここがね、私が通ってる学校、私立聖祥大学付属小学校だよ」
「・・・ここが?」
「うん、それでもうすぐ晶君も通う事になる学校だよ」
「・・・・・・なのはちゃんと一緒のクラスがいいな。知らない人たちは怖いよ」
「大丈夫、怖いことなんてないよ」
さらに月日が流れ、4ヶ月が経とうとしていた。
魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 2話
高町家 朝
「・・・・・「はい、お醤油」ありがとなのはちゃん」
「えへへどういたしまして」
「あらあら相変わらず仲良しね、2人とも」
「うん!」
「・・・・・・・・」
「違うの、晶君?」
「・・・・・・・」
母親の言葉に少女、高町なのはは、元気よく返事をし隣の席の同い年の少年、深町晶に同意を求める。
だが、その彼は呆けた様に何処か遠くを見ているようだった。
時折見せる晶のそんな姿が嫌でなのはは、彼のそでを強く引っ張る。
「晶君、晶君」
「・・・あ、ごめん。僕となのはちゃんは友達だよね」
「違うよぉ、私と晶君は家族だよ?」
「ありがと」
「にゃ~髪が乱れちゃうよぉ」
「あ・・・・ごめん」
言葉では抗議しているがその顔は、何処か嬉しそうななのはから慌てて撫でていた手をどける晶。
「あらあら」
「昔のわたしと恭ちゃんみたい」
微笑ましく眺める母、桃子と長女、美由希。
「「・・・・・・・・」」
その一方で晶へ無言の圧力を掛ける父、士郎と長男、恭也。
このように2通りでなのはたちの様子を眺めていた。
私立聖祥大学付属小学校 昼
転入時、なのはと別のクラスになった晶は、あまりしゃべろうとせず、いつも独りで弁当を食べていた。
クラスメイトに誘われれば、一緒にサッカーやドッジなど遊びはしたが、特に仲の良いと呼べる友人を作らなかった。
だがある時、いつもの様に独りで昼食に晶が出かけようとクラスを出ると、なのはとその親友、アリサ、すずかが彼の前に姿を現した。
「あ・・・・・」
「晶君」
「なのはちゃん、どうしたの?」
一向に改善が見られない晶になのはが、声を掛けた。
「クラスの子とお昼食べないの?」
「うん、1人の方が気楽だから」
「で、でもね、一緒の方が楽しいよ?」
「べつに・・・・・・今のままでも」
「あ~~ッもう、あんたさっきからウジウジしてッなんなのよ!」
「アリサちゃん、落ち着いて」
最近、なのはの付き合いが悪い事を疑問に思い、後をつけて来た彼女の親友、アリサ・バニングスが声を上げる。
その後ろには、もう1人の親友、月村すずかの姿も在った。
「すずかはちょっと黙ってて!そんなに1人がいいならさっさとどっかに行きなさいよ!」
「アリサちゃん!」
「どうしたのよ、なのは。大きな声出して」
「・・・・・・じゃあ、そうするよ。ばいばい、なのはちゃん」
「あ、待って晶君ッ」
「・・・・・・・・」
「ほっときなさい、あんなヤツ」
「放して、アリサちゃんッ晶君、待って!」
「・・・・・・」
「~~~ッ今日も一緒に帰ろうね!」
なのはは晶を止めようと手を伸ばすが、彼女の肩をアリサが掴みそれを阻む。
そうこうしている間に彼が角を曲がり姿が見えなくなりそうになった時、せめてっと放課後の約束を投げ掛けた。
その後、なのはたち3人だけで中庭に昼食を取ることになった。
「アリサちゃん、さっきは言いすぎだと思うよ」
「すずかは、優しすぎるのよ。アイツあれでカッコイイとでも思ってんじゃないの!なのはもなのはよ?居候だからって気を使いすぎ」
「ひどいよ、アリサちゃん。晶君の事情何にも知らないのに」
「だったら、その事情とやらを話してみなさいよ」
「いいよ・・・あのね晶君は―――」
なのはは、とつとつと晶の事を話し出した。
彼の記憶と事実に、食い違いが多々あり今後もそうなる可能性があること。
最近、それでお父さんと思ってた人に違うって言われたこと。
「―――だから、晶君、友達を作るのが不安なんだよ」
「「・・・・・・・・」」
「かわいそう」
「例外として、晶君が普通に接しられるのが私やお父さんたちと八神はやてちゃんっていう子だけなんだ」
「私、そんなこと知らなかったから・・・・」
晶の事情を聞き動揺を隠せないアリサ。
そして、後悔を踏みしめ彼女は口を開いた。
「・・・・・・・ねえ、なのは明日、いえ今日の帰りからアイツを待ち伏せしましょ?すずかもいい?」
「私はいいけど。何するつもりなの、アリサちゃん?」
「これ以上、晶君に酷いこと言うなら私・・・・」
「誤解よ、なのは!そりゃあ、さっきの私は、事情を知る人したらから酷かったと思うわ。でも、今は私もその事情を知ってるのよ?」
「だったらッ」
「だから、私もあいつに積極的に関わろうっていうの!その不安が、吹き飛ぶぐらいに仲良くなってやろうじゃない!」
「それだったら、私も」
「アリサちゃん、すずかちゃんありがとう・・・・・それとごめんね、アリサちゃん私さっき・・」
「いいのよ、さっきのは私が悪いんだから」
さっそく放課後、最近晶と一緒に帰っていたなのはと共に晶と一緒に下校するべく、3人は
こうして、すずか、アリサは、この日を境に積極的に彼に話しかけ、嫌がっても一緒にいるようになった。
そして、1ヶ月が経ち晶の方が遂に根負けし、それから4ヶ月が経った今・・・・・・
「晶君、一緒にお弁当食べよ?」
「うん、今行くよ、なのはちゃん」
「さっさとしない、晶」
「あ、慌てなくてもいいからね、晶君」
晶は、鞄の中から弁当袋を持ちなのは、ありさ、すずかの下へ急いだ。
つづく