魔導世界に墜ちた規格外品   作:苦朗

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願望石の章 30話

 真っ暗な何処かに気付いたら僕はいた。

 

ここに来る前はえっと・・・・・・確か・・・そうあの見てると気持ち悪くなる白い異相体を綺麗な女の子が封印した・・・・と思う。

結局、ここが何処かわからないし、体も動かない・・・・・怖いよ、僕これからどうなるの?

 

 そんな時だった、目の前が開いて光の中に飛び出したのは。

 

ここって、林の・・・中?・・・あ、あの山の中か・・・・って声が出ないッそれに体が勝手に!?

 

 視線が勝手に下を向いた。

 そこには、あの異相体に似た手が一本落ちていた。

 

そっかこれいつもの夢だ。じゃあ、僕あのまま気を失って・・・・

 

 夢の中の僕は、その手をなぜか大事そうに両手で拾っていた。

 でも、何で本人もそんなことするのか分かってないみたい。

 

 

この手っていったい・・・・・

 

 

 でも、何か分かる前に蒸発するみたいにその手は消えていき、太めの眼鏡の男の人と最近この夢に出るようになったジャケットの男の人に連れられていった。

 

 

 

魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 30話

 

 

「・・・ぎぼちわ――ッ!?」

「ナー」

「――ッ――ッ」

 

 晶は、起き抜けの一声にそう呟く。

 彼は、喉まで上がってきている酸っぱいものを必死に飲み下し、やっと余裕が生まれさっきから自己主張している相手を持ち上げた。。

 

「ナー」

「おはよ、クロってことは・・・・僕の部屋?でも、森の中にいたはず・・・・」

 

 というものの、そこで晶の記憶は途切れているため答えはでない。

 

「今は・・・昼か。だったら台所に誰かいるはず」

「ニャ」

 

 晶は、目覚まし時計を見てそう呟くとクロを下し、部屋を出た。

 

「「「「「・・・・・・・」」」」」

 

 そして、晶がリビングで見たのは、いつもと違い暗く静かな食卓だった。

 

「み、みんなどうしたの?」

「「「「「晶(君)っ!?」」」」」

「全然目を覚まさなくて、心配したんですよ」

「無事で何よりだ」

「ん」

「どっか変なとこ無い?病院行く?」

「バカ野郎・・・・・心配させんなッ」

「あ・・えっと・・・・」

 

 皆、一様に晶の無事を喜び、気遣う。

 一方、当の本人は、状況をよく分かっていなかった。

 

「みんな、どうしたのいったい?」

「お前なッあたしらがどん――」

「やめろ、ヴィータ、本人に分かるわけあるまい」

「?」

「晶君あのな、アリサちゃんたちの誘拐事件からな、今日で2日目なんよ」

「は・・・え・・・僕ってじゃあ、2日間ぐらい寝てたの?」

 

 こうして晶は、この2日の間の出来事を聞かされた。

 現場に到着したヴィータが見たのは、遠くに離れていく魔導士後ろ姿と大型の獣が暴れたような痕跡の中で嘔吐物にまみれ傷つき倒れていた晶と裸のおばさんがいたこと。

 ジュエルシードの異相体は消えていたもののパトカーのサイレンが近づいて来ているので、慌てて彼を連れその場を離脱したこと。

 その後のニュースでアリサとすずかは無事保護され、全裸だった女が警察に誘拐犯として逮捕されたこと。

 晶は、裂傷や打撲があるものの頭を強く打ったのせいか2日ほど意識が戻らなかったこと。

 

「――まあ、こんなところだな」

「あのおばさんがあの白い異相体だったんだ・・・・」

「っで、あん時お前は何があったんだ?」

「えっと―――」

 

 誘拐犯の女の隙を見て、2人を助け林の中に逃げ込んだこと。

 その途中でジュエルシードの発動を感じて、2人を林の中に隠してジュエルシードを止めに行ったこと。

 異相体の方からもこっちに向かってきて、異相体と戦闘になったこと。

 ただ、その異相体と遭遇してから体調が悪くなってきて、最終的には殖装が勝手に解除されて吐いたこと。

 殖装も解けて、怪我をして上謎の体調不良のせいでピンチになってたら、綺麗な女の子の魔導士が現れてあっというまに異相体を倒したこと。

 朦朧とした意識の中だったから、確証はないけどその女の子がジュエルシードを回収していったこと。

 晶は、思い出したことを手当たり次第に口にしていった。

 

「・・・・あたしが見た奴だな」

「なのはとは別の騎いや魔導士か」

「謎の体調不良・・・異相体の能力か?」

「それに殖装が勝手に解けるって今までにありませんでしたし・・・」

 

 シグナムたちが晶の話から得た情報を話し合う中、はやてが彼に話しかけた。

 

「なあなあ晶」

「?」

「その女の子に惚れたんか?」

「ほ、惚れ!?何言ってんだよ」

「いや~なぁんか女の子のこと話すときの晶、様子おかしかったし」

「確かに綺麗な子だったけど、なんか影があるみたいな感じで水着みたいな恰好で・・・」

「へぇ~朦朧としとった割によぉ覚えとるね」

「う・・・・しょうがないだろ、僕にとってあの時のあの子はヒーローだったんだから」

「へぇ~・・ふ~~~ん」

「あ、信じてないなッ」

 

 しばらくの間、心配かけた罰なのかこのネタではやてにからかわれ続ける晶であった。

 

つづく

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