魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 32話
「突然、何もするなって言われてもな・・・・」
晶は、汗を浮かべたジャージ姿のまま、だんだんと賑わって来た夕方の商店街を一人歩いていた。
「そりゃあ、今迄みたいに探すことはできないけどさ」
戦力外を言い渡されたものの納得できず反論も聞いてもらえず、飛び出して来たのだ。
「1撃でジュエルシードを取り出しちゃえばいいだけじゃないか」
凄まじい戦闘力と優れた探知能力を持つガイバーなら可能ではある。
奇襲に成功すれば・・・・という条件付きではあるが。
「よしッ次、ジュエルシードが発動したら、僕が回収してやる。見てろよー」
奇襲に成功するという根拠もない確証から勢い込む。
だが、突然の大声に発生源の晶へ視線を周囲から視線が集まると彼は、恥ずかしそうに歩を早める。
そんな時、人混みの中に金色の髪が視界に過ぎった。
「え?・・・もしかしてッ」
まさかと思うものの晶は、人垣を掻き分け髪の主を追いかける。
だが、次の瞬間。
視界が真っ暗になってしまった。
「だーれだ?」「うふぃ!?」
「ぷっ・・・あはははは、何変な声出してんのよ、晶」
「ッその声――」
晶は、乱暴に目から手を外し振り返ると予想通りの人物が笑っていた。
「――アリサッ」
「久しぶり、元気そうじゃない家出少年」
「なんだよ、その家出少年って」
「聞いてるのよ、私。なのはの家に帰ってないんでしょ、ここ数週間」
「うっ」
「しかも、はやての家で寝泊まりしてるんだって?」
「うぅ・・・何で知ってるんだよ」
「すずかが聞いたらしいわよ。はやてから家族が増えて大変だけどうれしいって」
「・・・・ごめん、今急いで「待ちなさいよ」なに?」
「ふざけたのは悪かったわ、私も2日ぶりに外に出れた上にあんたを見つけて舞い上がってたのよ」
「2日ぶり?」
「そ、あんた最近ニュース見た?アニメばっか見てたんじゃないでしょうね?」
む、心外だなッ
「見たよ。あと、アニメ”も”見るだからね」
「・・・まあいいわ「よくない!」だったら、2日前に誘拐事件があったの知ってる?」
「うっ・・・・・・」
何であの事件のこと、僕に聞くんだよ
「・・・知らないの?」
う・・・早く答えなきゃ
「し、知ってるよ、アリサとすずかが遠見市へ誘拐さ「何で知ってるのよ?」そりゃぁニュースで見たからだろ?」
「そんなな筈ないわ、だってあの事件で報道された被害者は、実名を伏せてあるのよ」
焦って余計なこと言っちゃったみたいだッ誤魔化さないと
「あ、あれ?そうだっけ?でも、僕が今日見た新聞だと「嘘ね」え?」
「パパが警察に頼んで伏せて貰ってるのよ。クラスメイトとかが私たちに変な気を使わないようにって」
「うぅ・・・」
や、やばいっまさかあの場で2人を助けただなんて言えないし・・・・
「それで、どうしてあんたが知ってるのよ」
「ご・・・・・」
「ご?」
「ごめんッ僕、急いでるんだ、じゃっ」
に、逃げるが勝ち
「あぁッ待ちなさい!!」
走り出した晶とそれを追いかけるアリサ。
人混みのせいでうまく距離を離せないものの、彼女も距離を最初の距離を詰められないでいる。
だが、こんな人混みの中、アリサを気にして前方への注意が疎かになっていれば当然―――衝突する。
「きゃっ」「うわっ」
つづく