魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 34話
金髪の少女が人混みを掻き分け、辺りを見渡しながら走る。
晶は、そんな彼女の様子から何をしているのか予想がついた。
「・・・・・・」
あの子、魔法で飛んでくつもりだ、だったら僕も
「ねえ、待って!」
「ッ着いて来ないでッ」
「待って、僕も連れてってよ!」
「―――ッ」
少女は、さらに速度を上げ、人混みも利用し見事に晶を引き離す。
そして、鮮魚店「魚民」隣の路地裏に駆け込むのを遠目に見た晶は、遅れてそこに駆け込むと彼女がバリアジャケットを纏って飛び立った姿を見送るしかなかった。
「間に合わなかった・・・・」
仕方ないか・・・
「あ、でも、近くに人がいるから声は抑え気味に――ガイバーッ」
いつもより小さいがガイバーを呼び殖装すると店舗の屋根に跳び上がり屋根伝いにまた少女を追い始める。
だが、驚異的な身体能力で屋根や屋上を足場にして、一度に数軒を跳び越え進んでも限界がすぐにやって来た。
「ッなぁ!?」
もう15秒ッ
「くぅッ―――」
こんちくしょォォオオオ
重力に従い滑空中、殖装が解け宙に投げ出される晶。
しかし、幸いなことに落下先が平坦なビルの屋上だったこととそこから高さ5メートルほどの位置だったことであった。
「―――がぁッ!?」
イタイ痛いいたいイタイタイ痛いぃぃぃ
「ああぁぁぁあああ」
足を抱えのた打ち回り、さらに擦り傷を増やしているが晶は、無事だった。
ザフィーラたちに初めの頃に叩き込まれた受け身が着地時、咄嗟に出たおかげで身体へのダメージは最小に留まった様である。
しかし、それでも足は激しく痛み、腕も受け身で酷い有様。
とても、封印に向かうことなんて出来る様子ではなかった。
「ぐぅううう」
くそ、どうしてこうなるんだ
「うっわー痛そー」
「うぅぅ?」
こ、声?
「やっほー晶」
ア、アリサ?どうやって
「ん~普通に飛んで来たんだよ、こうビュー―って」
「ッ」
何も言ってないのに
「まほーの力だよ、まほーの。さっきまほー使いになっちゃた、あははは」
「ま、魔法?」
「そそ、2人を追いかけてたら魚民の路地裏がすっごいことになってて、そこで変な石見つけて気付いたらまほー使いになってたんだよねぇ」
「ジュ、ジュエルシード?」
「あの石ってジュエルシードって言うだ、へぇー」
突如現れたアリサ。
彼女はバリアジャケットと剣型のデバイスを持っており、その言葉から察するとジュエルシードの暴走に巻き込まれたらしい。
「あ、そうそう」
「・・・・」
ど、どうしたんだ?
「えい」
「え?」
そんな軽い掛け声と共にアリサは、晶の足を切断した。
つづく