魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 38話
シグナムは、いつでもレヴァンティンを動かせるように晶の耳に向けたまま話し出す。
一方で、レヴァンティンが発する炎で熱せられているが先ほどの脅しが効き、彼は声を出さずに耐えていた。
「すでに結界が張られていたため一般人への被害は無かったが、他の場所でジュエルシードを3つ回収し到着した我らが見たのは血だるまのバニングスと彼女を庇って動けないでいたミッド式の少女だった」
「・・・・・」
なんで僕が倒れてるんじゃなくて、アリサの方が・・・でもミッド式の少女ってたぶんあの子だ
晶の脳裏に浮かんだのは、彼を以前にも救いシグナムの話では昨日、ジュエルシードが発動するまで一緒にいた金髪の少女である。
「バニングスは見るからに危険な状態で慌ててシャマルが回復魔法を開始したものの、損傷が酷く助かるかどうかは賭けだった。しかし、幸いなことに体内にあるジュエルシードが動体端末であるバニングスを修復するために力を使っていたおかげでキズ跡もほとんど残らず治癒できた。残った傷も時と共に周りに同化して目立たなくなるだろう」
つまり、少しキズが残ったけど助かったと・・・でも、なんでアリサだけが?
「?」
「・・・疑問そうだな、言ってみろ」
「・・え、えっと異相体が傷つけても取り込まれた生物には影響ないんじゃ・・・今までは大丈夫だったじゃないですか」
「今までの事例は、ジュエルシードが現地生物を取り込み魔力で異相体を形成していたが、バニングスの時は逆に現地生物をそのまま強化していたからだ。非殺傷設定ならば別だが、前者でも異相体内にある生物を傷つければジュエルシードを封印し、解放してもケガをしていただろう」
シグナムは、晶の顔から疑問が晴れたと判断したのか、続きを始めた。
「ミッド式の少女だが、お前が手から放っていた見えない何かを防御魔法で防ぎ、近接戦を仕掛けると魔力刃の大鎌でお前を堰き止めていた。すでにダメージを受けていたようで、動きにも精彩さが無くバリアジャケットにも損傷が見られた。私とヴィータが介入するし、お前に声を掛けているのを見ると治癒に集中していたシャマルからジュエルシードを奪い撤退していった。さすがに、バニングスを庇っていた所を見るにバニングスのを封印して持ち去るのは心情的にも余力的にも無理だったのだろう。シャマルもケガは無い」
「――」
そっかあの子も無事なんだ
「だが、少女が去るとお前は傷ついた獣の様に止めに入った我らへ牙を向いた。やむなくお前を止めるため我らも応戦した」
その時のガイバーは、シグナム話を要約すると頭部の大きい金属球が通常よりも強く輝き、戦闘能力が上がっており、以前から用途不明だった腰部の金属球に光が灯ると宙を翔けたとのことだった。
そして、両肘の剣や手から放つ見えない砲弾等、その身に秘めていた力を如何なく発揮し、2人に手傷を負わせたものの、手足や首に幾重にもバインドを掛けることで捕縛された。
「だが、動けないと分かるとお前の胸部装甲が独りでに開き、その下から現れたガラスの様な球体にエネルギーが集まっていき、慌てて距離を取った我らに放ったのは、砲撃魔法に匹敵する武装だった」
「・・・・」
また、知らない力だ・・・
「ただ、射角が限定されていたおかげで回避することには成功し、不用意に近づくのを止め、どうするか決めかねているとお前は展開した装甲を戻し、動きを止めた。その後、調べて分かったのだが、一定距離以内に侵入した物体に反応するようなので、そのまま次の対応を考えている間に、ボロボロ衣服を纏ったお前が気絶した状態でガイバーから出て来た」
「・・・」
「厳重に拘束し、殖装出来ないように口を塞いで連れ帰った。そして、今後のお前の処遇を話し合った。ミッド式の少女が居ない以上、何があったのかお前が知っていればよかったのだが・・・・・」
「・・・・」
「・・・・主の守護騎士たる我らは、再びお前が暴走するのではと危惧し、その暴力を主に向けるのではと」
「――」
僕にも分からない・・・でも・・・
「主は最後まで反対されていた、そのことは覚えておいてほしい・・・全ての責は我らにある。お前には恩もある、情もある。だが、この場では忠義が勝る」
「・・・・」
まさか・・・・・
「だから、ここから出て行ってくれ。そして、主に近づくな」
「そ・・・んな」
また、ぼくは・・・・
「・・・・・今のは見逃そう。枷は解いた。大人しく自分の足で出て行ってくれ、主にお眠り頂いている間に頼む」
すてられた
「―――――ッ」
晶が声無き叫びを上げ飛び出していく姿にシグナムは憂いた瞳で見送っていた。
つづく