魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 40話
翌日。
晶は、いつも腕立て等をする時に使用する平らな巨石の上で腕立てを始めていた。
「6・・・・・・・・7・・」
また来るわけないよね
「・・・・・・・8・・・・」
突然訳の分からないこと言って脱ぎだすようなヤツの所に・・
「・・・9・・・・・・・10」
い、いやでも僕の服が消えてたし、もしかして・・・・・
「ないない、そんな良い人いるわけないよ・・・落ち着け僕ッ」
昨日のことが気になってトレーニングに身が入らない晶。
だが、本来の目的から言えば達成していた。
なにせ彼の頭の中は今、昨日現れた誰かでいっぱいである。
「あれはちょっとした勘違いと行き違いが原因、そう事故だったんだ。だから大丈夫ッ」
恥ずかしくないッ
誰もいないことを良いことに空へ向かってウガーッと吠えた。
だがまあ、そういう時に限って人は現れたりするものである。
「あ、あのッ」
「ッひゃい」
え、今の見られてた?
声色から少女の様だが、晶は羞恥から頭を抱える。
その様子に彼女は心配そうに声を掛けてくれるが、彼は恥ずかしく背を向けたまま声を絞り出した。
「い、いつからですか?」
「え?」
「いつから見てました?」
ま、まさか始めから・・・ッ
「えっと大きな声が聞こえたのでここに・・」
「よ、よかった~~~」
晶は答えに安堵し身体を伸ばし、彼女へ顔を向ける。
だが、タイミングと位置が悪かった。
彼の視界に入ったのは、黒のミニスカートから伸びる細い足とその付け根にある・・・・
「あ、水色・・・」
こ、これってまさか
「く、暗くて色しか分からなかったから」
え、僕何言ってるの?
「?・・・・・・・ッ」
「ふげぇ!?」
「~~~~~~~ッ」
晶は自分の見たものに気が付き慌てて顔を背ける。
少女も始め何のことか分からなかったが、彼の様子や位置関係から気がついてしまった。
そうなってしまえば平静ではいられず、スカートを抑え羞恥に震えている様子。
そして、突然晶の身体に衝撃が走り、慌てて振り返ると走り去る少女の後ろ姿だった。
「どうしよ、あの子に謝らないとそれにこれも届な――僕の服?」
え、これって昨日の僕のままっまままさか
「昨日、ここに来た子?し、失敗した」
先ほどの衝撃の正体は、紙袋に入っていた洗濯した晶の服だった。
そこから導き出された答えに愕然とし、先ほどとは違う意味で頭を抱えることになった。
「とにかく追わ・・・ダメだ、僕あの子のこと知らな――」
あれ?あの後ろ姿見たことある様な
「――くもない?えっとあの子は黒い服に金髪、それにさっきの声・・・・げげ、まさかあの子ってヒーローさん」
ま、ますます謝らないとッ
だが、今さらどうすることも出来ず自己嫌悪に苛まれ、2度と会ってくれないかもとネガティブな思考に捕らわれる、晶。
しかし、その1時間後に再び少女と会うことが出来るのだった・・・・・・・・飛び切りの恐怖が付いてきたけど。
つづく