魔導世界に墜ちた規格外品   作:苦朗

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願望石の章 42話

導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 42話

 

 泣き声が徐々に治まっていくと晶は、リニスの腕の中から恥ずかしそうに離れた。

 

「・・・・ご、ごべんなざい、ど、どりびだしで」

「気にしないでください。前にも似たようなことがありましたから」

「?」

「あ、いえ何でもないですよ。それで、もう大丈夫ですか?」

「はい゛」

「ん~・・・うん、大丈夫そうですね」

 

 晶の返事に彼の目を真っ直ぐ見つめながら様子を窺い、リニスはそう判断したようである。

 

「本当は、あんな事があってすぐというは良くないんですが、少し離れますね。主たちに晶が目を覚ましたことを連絡しないといけないので」

「ぎにじないで、行っでくだざい」

「そうそう顔が涙や鼻水で汚れてますから、そちらに洗面所がありますから使ってください」

「あ゛・・・ふぐごべんなざい」

「・・・・あぁ私の服の事ですか。大丈夫ですよ、着替えればいいことですから」

 

 申し訳なさそうにする晶にリニスは、そう答えあやす様に頭を撫でてから部屋を出て行った。

その姿をしばらく見送った後、晶は自身に活を入れる様に両頬を手で強く叩く。

 

「よじ、どりあえず顔あら゛っでごよ」

 

 晶はリニスに言われた様に隣の洗面所で顔を洗いすっきりすると、辺りに目を向ける余裕が生まれたのか窓から見える風景に目を奪われた。

 

「き、騎士が庭師?」

 

 広大な庭を帯剣した鎧が剪定ばさみやじょうろを手に作業をしていた。

 他にも高所で作業する羽根付きの鎧や雑草を毟る鎧、剪定した枝や雑草を片付ける鎧など一部の例外を除いて庭の手入れを行っている。

 シグナムたちによって培われた晶の中にある騎士のイメージが壊れるような光景だった。

 

「っていうか、あいつらだけ何してんだろ?」

 

 庭の彼方此方に点在する木々よりも大きな数体の鎧。

 彼らは、ただ立って両腕を上げている一体を除き、全て三角座りしていた。

 作業する鎧たちの中でその巨体と行動が異彩を放っている。

 だが、本当にすごかったのは彼らだった。

 

「うわっ!?」

 

 元から曇っていていつ起こっても可笑しくはなかった天候だったが、轟音と激しい光―つまり雷が近くに落ちたのを皮切りに何度も落雷が発生し続けた。

 そして、子供でも知っている通説―高い所ほど雷はよく落ちる―通り手を上げている大鎧の彼にも当然何度も落ち続ける。

 鎧表面の塗装が剥がれ、煙が蒸気だろうか煙が上がっていた彼はやがて手を下し少し遠くにある大きな建物へ歩き出し、その彼に代わりにそれまで座っていた大鎧の一体が立ち上がり手を上げ雷を受け始めた。

 しばらく雷を受け続けたらあの建物へ向かい、別の大鎧が代わりに受け続けやがてまた交代。

 

「あ、最後の一人になっちゃった」

 

 それが繰り返され座っているのが残り一体になる頃に、あの建物から一体やって来て座って待機し始める。

 塗装は剥がれていて座った場所が初めに落雷を受けていた彼の場所だった。

 もしかしたら、最初の彼なのかもしれない。

 そんな彼らの行動の傍ら、庭の手入れをしている鎧たちは大鎧に近づかないように、羽根付きは大鎧より高く飛ばない様に作業を続けている。

 

「もしかして、雷が庭に落ちたり他の人たちに落ちない様に?」

 

 つまり彼ら大鎧の役目は、雷から庭や仲間を守る立派な戦いだった。

 そうなると今まで晶が思っていた感想と違い、応援したくなってくる。

 

「がんばれッ」

「何がだ?」

「うへぇッ!?」

「・・・おぉいフェイトここに居たよぉ」

 

 突然声を掛けられ振り返るとザフィーラの様にオレンジの髪と獣の耳に尻尾が生えた女の人がいた。

 

 「で、何見てたんだい?・・・あぁ、あいつらかよくやるよなプレシアの魔力が漏れて雷が落ちだすといつものことだよ。一回それで庭園内が酷いことになったらフェイトが悲しんでさ、プレシアがあいつらの指令コードに追加したんだ」

「指令コード?」

「傀儡兵だからなぁ」

「??」

「ま、安心したよ。元気になってさ」

「アルフここ?」

「そうだよ、フェイト。ほら元気になってる」

「あ、ヒーローさん」

「?えっと・・・家のアルフがごめんなさい」 

「え゛・・・・・まさか、この人がアルフ?」

「なにさ」

 

 遅れてやって来たフェイトと呼ばれた少女は、晶を助けてくれてあのヒーローさんだった。

 そして、先に来た守護獣の様な人が彼がここに来る原因を作ったあの悪名高いアルフらしい。 

 

つづく

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