魔導世界に墜ちた規格外品   作:苦朗

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願望石の章 7話

00:23

 

 晶がはやての誘導によって、槙原動物病院付近に辿り着いた頃。

 1人家を飛び出したなのはは・・・・・・。

 

「詠み上げてください、あなたの呪文をッ」

「リリカル・・・マジカル!」

【Ssaling mode Set up】

「封印すべき忌わしき器の名はジュエルシード!」

「グオオォォォオオ!?」 

 

 黒い流体のような獣は、なのはの魔力の高まりに恐れを抱き、飛び掛る。

 だが、喋るフェレット、ユーノ・スクライアの導きと意思を持つ魔法の杖、レイジングハートのサポートによって完成した魔法の方が早かった。

 

「ジュエルシードシリアル21・・・」

【Standby ready】

「封印!」

【sealing】

「ギュオ!?グォォォオォオオ!」

 

 黒い獣は、宙でなのはの魔法に囚われ在るべき姿、宝石に似た石へと還元される。

 フェレットの指示の元に石を回収、レイジングハートへと収めた。

 だが、それを見届けると張り詰めていた糸が切れたのだろう、ユーノは気を失い辺りに虫の鳴き声が戻ってくる。

 なのはは、気を失ったユーノと待機状態の宝玉に戻ったレイジングハートを手に辺りの惨状を鑑みてその場から退散した。

 

「え~っと・・・・・ごめんなさ~いっ」

 

  

魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 7話

 

 同時刻 槙原動物病院

 

 突然戻った虫の鳴き声や遠くから微かに聞こえる車の音。

 それら周囲の音が戻ったことに驚きと安堵を覚えるはやて。

 一方で、彼女と会う前に同じことを経験している晶は驚いたものの歩みを止めることは無く、2人は目的地に着いていた。

 

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「な、なあ晶君、事故でもあったんかな?」

「さ、さあ。でも、これだけの惨状なら周囲の人たちが集まってくるはずだよ」

 

 ブロック塀の一部を崩し、庭の木を折り、病院内はぐしゃぐしゃに荒され敷地内は酷い有様だった。

 

「・・・・・・・・・ここ離れた方がええんちゃう?」

「だね。でもその前に少しなのはちゃんを探させて」

 

 恐る恐る敷地内になのはが居ないかどうか見て回る晶だったが、その姿を見つけることは出来ない。

 そして、はやての提案に従いすごすごとその場を後にした。

 

「あ、パトカーのサイレン。誰かが通報したんかな」

「だろうね・・・・・ところで、はやてはあの病院のこと前から知ってた?」

「いんや、あそこに動物病院があるなんて今まで知らんかったわ」

「夢に呼ばれたから、迷うことなく辿り着けたんだ」

「そうそう、そしたらあないなことになっとってビックリや」

「・・・少し休んまない?ちょうど公園あるし」

「ええな、私もちょい疲れたわ」

 

 そういうと2人は、目に映った公園に足を踏み入れた。

 

「晶君、なんか飲みたいもんある?」

「いや、僕お金持って来てないから」

「ええよ、私が奢ったる。車椅子押してくれたお駄賃や」

「お駄賃って、何かその言い方おばさんくさくない?」

「なに言うとんのっこんなぴっちぴちの美少女捕まえて」

「ぴっちぴちって・・・・・・」

「で、どうすんの?3秒以内に言わないと適当に決めるで。3・・・・2・・・」

「じゃあ、スポーツ飲料で」

「ちっ無難なもんかいな。冒険してこのドリアンジュース試してみればええやんか・・あ、開けたら1,5メートルは離れてな」

「だったら、はやてが飲んでみたら?」

「私は、天然水でええ。女の子に夜中の甘いモンは厳禁や」

 

 晶は、はやてからお金を受け取り自販機から目的の物を取り出すと、彼女の車椅子を横に着けベンチに腰を降ろした。

 

「・・・・・・」

「・・・・・・何か水だけやと味気ないな・・・なあ、晶君一口頂戴」

「それ自分で選んだんじゃん・・・まあ、はやてのお金で買ッぎゃぁあああ」

「へ?・・・え・・・あ・・・・・?・・・血ィ!?きゃぁぁあああぁあああ」

 

 缶を差し出した晶の右腕は、背後の林から飛び出してきた鋭い牙がある大きな口に食い千切られていた。

 唐突に起きた出来事にはやての思考は一瞬停止したが、自身の顔に掛かる彼の血と彼女と目が合った猫科特有の目。 

 その2つがはやての口から悲鳴を紡ぎだす。

 

にちゃにちゃ

「あ、ああ、に、逃げなッ」 

「あぁあああぁああ!?」

「ッ晶君も早よ逃きゃああああああッ」

 

 晶の腕を咀嚼する音が響く中、痛みにもがく彼を連れ逃げようとするはやて。

 だが、そんな2人を逃がすつもりがないナニカは体当たりをした。

 

「「――――ッ」」

 

 地面に叩き付けられ痛みと衝撃で見開いた晶の目に映ったのは、彼の上に降って来るベンチの残骸。

 

まだ・・・・・・死にたくないな

 

 残骸が身体に降り注ぐ感触を最後に晶は、意識を失った。

 

つづく

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