魔導世界に墜ちた規格外品   作:苦朗

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願望石の章 8話

00:57 公園

 

「―ょ――ん」

誰?

「し―うく―」

あ、なのはちゃん?

「しょ――ん」 

もう朝か

「晶君ッ!」

「今・・・起きるよぉ・・・・だからそんなに怒鳴らないでよ、なのはちゃん」

「どアホっ誰がなのはちゃんやねん!」

「え?あ、はやてか―――ッ僕の腕っ・・・・!?・・・・・なのか・・・・・・コレが・・・」

「・・・そうや」

 

 晶の疑問に答え難そうに呟く、はやて。

 なぜなら、”失った”右腕がそこにあった。

 

「は・・・はははは」

「晶君、落ち着いてッ」

「落ち着いてなんていられないよっこれじゃあ―――」

 

 感覚もあり、意思通りに動く。

 だが、その姿は変わり果てていた。

 

「―――夢と一緒じゃないか!!!!」

 

 青緑の装甲とその隙間から垣間見える生物組織に覆われたた悪夢の中の晶と同じ姿に・・・・

 

 

魔導世界に墜ちた規格外品 願望石の章 8話

 

 

バシュッ

「え?」

「はぇ?」

「・・・・腕が元に「う、後ろっ」?」

ズブズブ

「・・なっ地面に沈んでるのかコイツ」

「「・・・・・・・・」」

 

 先ほどまで晶自身が纏っていた鎧の様な物が沼に沈んで行くのを彼とはやては呆然と眺めていた。

 そして、完全に姿が消えると彼は恐る恐る先ほどの場所を触るが硬い感触が返ってくる。

 

「穴も空いてないのに・・・・・あ、はやてやったよ僕元に戻っ・・・その格好どうしたの?」

「うきゃあぁあぁああッ見んといてっ」

「~~ッあっち向いてるから、その間に」

「う、うん」

 

 はやては、破れ目を手で引っ張り下着やら真新しい擦り傷が目立つ肌やら小さな膨らみやら・・・・服の下から見え隠れしているモノをどうにかこうにか隠す。

 

「・・・・・もうええよ」

「ん」

「でや、ほんまに・・晶君なんか?」

「何言ってるの?僕に決まってるじゃないか」

「気づいとらんの、もしかして?自分の体見てみい」

「?・・・・へ?え?どうなんてんの、これ・・・僕、大きくなってるっていうか、服きつッ」

「まあ、そんだけ首元やら二の腕やら太ももやらにくい込んどったらなぁ」

 

 はやての指摘通りである。

 『小学生の服を無理矢理着た高校生』それが今の晶の格好を表す言葉だった。

 彼もまた身体を締め付ける服に四苦八苦しながら、自身の身体を確かめるがおかしな所を見つける。

 

「ここだけどうしてこんな穴が?それに穴の縁・・これって血痕?」

「何も覚えとらんの?猫の化け物倒したんも」

「猫の化け物?」

「・・・その様子やと、ほんまみたいやな・・・晶君は何処まで覚え取る?」

「え?えっと・・・ベンチが僕の上に・・・ッこの血痕ってその時の!?」

「・・・やろね。私も全部を見てた訳じゃないけど・・・・・その後のこと話そか?」

「・・・お願い」

 

 晶は真っ青な顔ではやての話に耳を傾けた。

 

数分前

 

グシャッ

「―――ッ」

「いやぁああぁあ晶君ッ」

 

 はやては、動かない足の代わりに腕を必至に動かし晶へと近づいて行く。

 

「はぁはぁ死んだらあかん、晶君!」

「・・・・・・」

「はぁはぁはぁ・・?光っとる」

 

 だいぶ晶に近づいた事でやっとはやては、彼に起きている異変に気づく。

 ポケットの中の何かが幽かに光っている事。

 彼の腹は血塗れになっているがその原因たるベンチの残骸が無い事。

 そして、彼の反対側に大人が易々と入りそうな大きさの貝の様な、卵の様な、蛹の様なナニカがある事。

 さらにそのナニカから滲み出て来るスライム状のモノが額に金属球が付いた晶を覆い始めている事。

 だが、はやてがそれらに対し何か行動を起こす事は無かった、いや出来なかった。

 

「グルラァアアアッ」

「きゃぅッ―――なんやいヒィッ!?」

「グルルル」

 

 獣の叫び声が聞こえると同時にはやては横合からのナニカに弾き飛ばされる。

 そして、痛みに耐えながら身体を目を開けると目の前に晶の右腕を噛み千切ったのと同じ巨大な牙を持つ口があった。

 

「いやぁああぁあああッ」

「グルル」

 

 獣は、無様に這い回る獲物(はやて)で遊ぶように動きが悪くなった彼女を何度も軽くこずく。

 だが、その内飽きたのか獣は、口を大きく開けはやてを喰い付こうとした。

 

「いやや、こんなんいややッ」

「グルル――ガルルッ」

「え?助かったんか?・・・え、誰?」

 

 突然はやてから離れた獣は、何かに向けて威嚇するように唸る。

 彼女もその声に恐る恐る目を開け、唸り声の方へ目を向けると人影がふらふらと立ち上がろうとしていた。

 

 

つづく

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