また、質問を頂いたので前書きにて答えさせてもらいます。
Qレリックイーターと契約したことは内密では?
A如月は草薙と同じ35試験小隊に所属しているので、契約している事をバラしても大丈夫です。
ではでは、銃?剣?無手ですがなにか?第2話どうぞ〜
ある朽ち果てた廃屋の中に怒号が響いた。
「許さない!なんで・・・一般人は巻き込まないって言ったでしょ!」
そこは魔女狩り戦争後の宗教規制の煽りを受けて、廃墟と化した教会だった場所だ。
その中で壊れた天井から差し込む月光に照らされた、二つの人影があった。
二つの人影の一人、二階堂マリは有らん限りの殺意を瞳に込め目の前の人物を睨みつけた。
「許さないって、あぁそのことですか。」
ステンドグラスの下、埃かぶった祭壇に座りマリの射殺さんばかりの眼孔を飄々とした態度で受け流す青年がいた。
死霊術師《ネクロマンサー》ホーンテッド。魔法使い、魔女による組織、幻想教団の幹部。死霊術師であると同時に、錬金術師であり、召還師であり、元教会の神父でもあるS級危険指定の魔法使いだ。
「たしかマリさんとの約束は【罪の無い一般人を巻き込まない】でしたよね?」
「そうよ!なのにあんたはその約束を破った!罪の無い一般人を巻き込んだ!!」
マリから激怒のあまり体内から魔力があふれ出し、周りの椅子や燭台を震わせる。
しかし、その様を見てもホーンテッドは飄々とした態度を崩さず祭壇から下り後ろに手を組んでマリに向けて歩き出した。
その姿はまるでアンデッドのように寒気がするものだった。
「約束は破ってませんよ?だって。
【この世界に、罪の無い一般人などいないのですから】」
ありえないほどの屁理屈を言い出したホーンテッド、その口は止まることなく次の言葉を吐き出した。
「それに、たくさん観客がいないとつまらないでしょう?だって英雄召還ですよ?過去の偉人さんですよ?準備万端おもてなし万全の状態で呼びだして置いて観客が異端審問会の人間だけでは味気じゃないですか。僕の思惑通り、盛り上がったでしょう?素敵な阿鼻叫喚でした。あの香しく打ち振るえる響きはしばらく忘れられそうもありません。」
ホーンテッドは歓喜に身を捩らせ、目の端から涙を一滴垂れて人々の怨嗟の叫びを思い出す。
「あぁ、今思い出してもたまらない。なんという感情の発露、あれこそが人間です。なによりも僕は____」
人々の怨嗟に打ち振るえるその姿はまさに凶人とよぶにふさわしかった。
マリの瞳は赤く染まり、あふれ出た魔力は周りの物を吹き飛ばした。
その瞳はホーンテッドを睨みながら、端からは感情が漏れ出たように涙が伝う。
「あなたのその表情が見たかった!いいですねぇ興奮します!そのおびえながらも精一杯威嚇する姿!痺れます、体の奥から熱いものが込み上げてきます!マリさん、あなたにはその顔がよく似合います!」
マリは目を閉じ、自分の中で判決を下す。
(そもそも、こんな奴を信じたのがいけなかったっ!こんな奴はこれ以上生かしておいちゃいけない!)
「ふっざけるなぁぁぁぁぁぁ!]
瞬間、マリを中心に魔法陣が出現する。その色は七色に輝き、まるで極北の地に現れる幻影のようだった。
脳内で練り込まれた術式を己の中の体内幻器にぶち込むイメージにより魔法が完成した。
次の瞬間、マリの魔法が発動し、半径二メートルほどの極光色のレーザーがホーンテッドに向かって放たれた。
光はそのままホーンテッドを飲み込み、背後の壁を突き破り空に向かって伸び、やがて消失した。
マリは大量の魔力消費により、膝に手をつき、荒い息を吐く。
「・・・・・くそっ」
思わず悪態をついてしまったのは、攻撃が失敗したのを自分の目で確認したからだ。
先ほどの立ち位置から少しも動いていない神父の周りには黒い障壁が展開されていた。
「___絶望の庭《ベラドンナガーデン》」
告げられた魔法名、直後にマリは自分の足下に出来た黒い影から飛び出してきた茨に拘束される。
契約召還魔法【絶望の庭】は彼の意志によって動く、茨と沼の魔法生物の集合体だ。
この魔法の行使には莫大な魔力を必要とするため、規格外な魔力を有する魔法使い、魔女しか使えない。
「こんな場所であんな規模の攻撃魔法を使うなんて、感心しませんねぇ。僕と同じ古代属性であり、【極光の魔女】であるあなたの魔法なら下手をすれば街が消し飛びますよ?」
心にもない説教を垂れる神父は、拘束したマリの姿を見て息を荒くする。
「はぁ、はぁ、いいですねぇ。縛られ身動きのとれないマリさん!お仕置きしたくなります、虐めたくなります!その未成熟な肢体を僕好みに染めたくなります!しかし、残念なことにどうやらお客さんのようだ。」
その言葉と同時にマリを縛っていた茨が力を失い、灰となる。
そして、数秒後。突然背後のドアが蹴り破られた。
「異端審問官だ!頭の後ろに手を置いて躓け!」
振り返ると、異端審問官男女2名が銃をこちらに向けていた。
いや、よく見ると制服が違った。この二人は対魔導学園の試験小隊なのだとマリは悟った。
「__っ!逃げて!!」
マリは2人に向かって床を蹴ろうとしたが、床に這っていた茨が再び体に巻き付きマリの動きを封じ込めた。
直後、絶望が始まった。
__ズギゅル
水気を帯びたナニかが蠢いたかと思えば、教会内部を黒い茨が覆い尽くした。そして茨は迷うことなく試験小隊の学生に襲いかかる。
「うお!・・なんっ・・ぐぉえぁっ!」
少年に茨がまるで蛇のように絡みつき、瞬く間に肌が見えなくなるほどに張り付いた。
「い、いや・・・なによ、これ・・・」
その寒気を誘う光景を見た少女は思わず後ずさる、しかし希望なんてこの朽ちた教会に足を踏み入れた瞬間消え去っていた。
蠢く影が少女の足を捕らえ、転倒させる。
「きゃぁぁぁぁぁッ!!」
転んだ先にあったのは、愚者を飲み込む底なし沼。それは少女を容赦なく飲み込んでいく。
「た、助け・・て___痛いっ!中に何かいる!___痛い痛い痛い痛い痛い痛い!__誰か助け_____」
プツンっ___とまるでラジカセを切ったかのように少女の悲痛の叫びが止まる。
マリは我に返り、自分を縛り付けている茨を解こうと全身から魔力を放出する。
「ほど・・・いて、棘が・・・・・」
マリを拘束していた茨がマリから嫌がるように離れると同時、マリは少年に向けて駆け出す。
少年はすでに茨によって、肉をずたずたに引き裂かれていた。それでもまだ生きているのは、痛みを、苦しみをより与える為に茨がゆっくりと少年の体に食い込んでいるためだ。
「助けるっ!・・・助けるから!!」
マリはすぐに茨を取り除こうとするが、茨一本一本が別個体である為に魔力による拒絶反応で取り除けるのは一本ずつだった。
「ちくしょ・・・・!こんな、こんなの!」
そして次の瞬間。
____パァン
まるで風船が弾けるような音と共に少年の体が茨によって引き裂かれた。
血と臓物が飛び散り、周りとマリの体を汚した。
周りには噎せ返るような鉄の匂いが充満し、マリの思考をすり減らす。
「あっ・・・ああっ」
「あなたの魔法への重いは、はっきり言って夢物語だ。正しさで言えばまだ審問会の認識の方が近い。」
ホーンテッドは放心しているマリに向かって、ゆっくりと歩きながらマリの魔法の認識について語りかける。
その姿はまるで神父が異端に道徳を説くかのようだった。しかし実際は悪魔が無垢なる少女に囁いているのと変わりない。
「『魔法は人を幸せにするためにある』・・・でしたっけ?残念ですが、それは誤りと言わざる得ない。____元来、魔法とはこういうものだ」
その言葉がきっかけとなったのか、マリは血の海と化した床に膝をついた。
同時に再び教会の扉が乱暴に開かれる。
「____異端審問官『魔女狩り』だ。貴様を殺人の現行犯で逮捕する」
「・・・・・・・・」
「尚、貴様に黙秘権は無い。弁護士を雇う資格もない。これより、全ての人権は剥奪される。」
マリは顔を上げたがそこには、すでにホーンテッドの姿はなかった。
もはや、マリには抵抗する気力も、反抗する意志さえ残されてはいなかった。
銃口を突きつけられ、手錠をかけられ、無理矢理立たされた。
(もう、だめなのかな・・・)
そう思った時だった。自分のポケットの中に入れてある財布の中で、何かが熱を持つのをマリは感じた。
機械的な熱ではなく、魔力的な熱だ。
「__これ、って」
(_____まずい!)
咄嗟に頭のなかに防壁を張るも、少し遅かった。
パチン___!
頭の中で何かが切れる音とともに、マリはその場に崩れるように倒れた。
「おい!貴様!何をしている!?おい!?どうした!」
頭にもやがかかるような感覚と共に、審問官の声が響く。
マリは、自分の記憶が砂のようにこぼれ落ち、失われるのを感じながら目を閉じた。
読んで頂き、ありがとうございます!
感想、お待ちしております!
なお作者のメンタルは綿アメ以下であることを注意して下さいm(_ _)m
次回の投稿は3〜4日以内に投稿したいと思っております。